有価証券報告書-第82期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いておりますが、米中貿易摩擦の拡大や世界経済の不確実性などにより、先行き不透明な状況で推移しました。
菓子・食品業界におきましても、企業間競争の激化に加え、原材料価格やエネルギーコストが上昇し、消費動向は予断を許さない厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、新しいステージへ挑戦し更なる成長性を確保するために、2018年度から2020年度までを期間とする中期3カ年計画「新・維新 Next Stage 2020」を策定しました。
初年度となる2018年度は①SCMの経営的視点での取り組み ②双方向を土台とする「報・連・相」の実行 ③2N(Next New)の継続の3項目を活動目標として、新しい付加価値を生み出し、確実に成果を出すべく、事業活動を展開しました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、流通事業においては、井村屋株式会社の主力商品「あずきバー」シリーズや「肉まん・あんまん」が順調に推移しました。また、井村屋フーズ株式会社のBtoB事業の受託が伸長しました。その結果、売上高は、前期比46百万円(0.1%)増の451億8百万円となりました。
コスト面では、生産性向上活動の継続やSCM効果により販売費及び一般管理費の削減が図られましたが、原材料費やエネルギーコストが大きく上昇し、厳しい経営環境となりました。これら経営活動の結果、営業利益は前期比76百万円(5.1%)減の14億13百万円となりましたが、経常利益は前期比66百万円(4.4%)増の15億62百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1億44百万円(13.0%)増の12億56百万円となり、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益において過去最高の業績となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
① 流通事業
「点心・デリ」カテゴリーでは「肉まん・あんまん」の売上が増加し、各カテゴリーの主力商品も順調に推移しました。冷菓カテゴリーでは「あずきバー」シリーズが過去最高の売上本数となりましたが、「やわもちアイス」シリーズの売上が減少しました。その結果、流通事業の売上高は、前期比3億4百万円(0.8%)減の391億78百万円となり、セグメント利益は上記のコスト上昇要因により、前期比1億84百万円(7.5%)減の22億86百万円となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)
「ようかん」類では「えいようかん」や「煮小豆ようかん」が順調に推移し、「どら焼」シリーズでは「煮小豆どら焼」の売上が伸長しました。中国のカステラ事業では井村屋(北京)食品有限公司(IBF)における米国向けの輸出が堅調に推移しました。その結果、菓子カテゴリーの売上高は、前期比85百万円(1.8%)増の48億75百万円となりました。
(食品カテゴリー)
冷凍パックまんの「冷凍2個入りゴールドまん」シリーズや「おしるこ」「ぜんざい」などのホットデザートが好調に推移しました。井村屋フーズ株式会社の加工食品事業ではOEM受託商品の売上が増加しました。その結果、食品カテゴリーの売上高は前期比3億54百万円(5.1%)増の73億18百万円となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)
チルドパックまんにおいても「チルド2個入りゴールドまん」シリーズの売上が増加しました。「豆腐類」では「美し豆腐」やその他の業務用商品が堅調に推移しました。その結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は、前期比32百万円(1.2%)増の28億37百万円となりました。
(冷菓カテゴリー)
「あずきバー」シリーズの売上本数は2億75百万本(前期比0.1%増)となり、過去最高の売上本数を更新しました。一方で、クリーム系アイス商品は夏の酷暑の影響がマイナスに働き、「やわもちアイス」シリーズや「クリームチーズアイス」シリーズの売上は前期を下回りました。しかし、「やわもちアイス」シリーズでは3月に発売した新商品「やわもちアイス 黒ごまカップ」やファミリータイプの「BOXやわもちアイス(つぶあんミルクカップ)」が好評をいただいており、今後に期待が持てる状況となっております。また、米国でアイス事業を展開しているIMURAYA USA, INC.では、競争激化もあって、売上は前期を下回りました。その結果、冷菓カテゴリーの売上高は前期比13億92百万円(10.2%)減の122億37百万円となりました。
(点心・デリカテゴリー)
「肉まん・あんまん」などの「点心・デリ」カテゴリーは生産設備の増強やコンビニエンスストアとの取り組み強化など成長戦略を進めてきました。生産技術を活かした付加価値の高い商品が好評をいただき、コンビニエンスストアを中心に順調に売上を伸ばしました。その結果「点心・デリ」カテゴリーの売上高は前期比5億98百万円(5.6%)増の113億16百万円となりました。
(スイーツカテゴリー)
スイーツカテゴリーでは、「Anna Miller's(アンナミラーズ)高輪店」が堅調に推移しました。「JOUVAUD(ジュヴォー)」では、関西地区初として5月に京都へ出店した「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)京都祇園店」に続き、12月には「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)JR京都伊勢丹店」を出店し、順調に推移しています。2017年にオープンした「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)KITTE名古屋店」においても特長あるメレンゲ菓子の「生ロカイユ」がテイクアウト商品として引き続き人気を集めております。また、12月にはJR京都伊勢丹店に「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)」と同時に出店した「井村屋 和涼菓堂 京都店」も特色ある“アイスクリーム和菓子”を販売し、好評をいただいております。その結果、スイーツカテゴリーの売上高は、前期比17百万円(3.1%)増の5億91百万円となりました。
② 調味料事業
国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、新規顧客獲得やお客様ニーズに対応した商品提案に取り組み、ODM(Original Design Manufacturing)、OEMの売上が順調に増加しました。中国での調味料事業では、北京の北京京日井村屋食品有限公司(JIF)の商品提案が順調に進み、中国国内で売上が伸長しました。生産拠点である大連の井村屋(大連)食品有限公司(IDF)では海外輸出の増加とコスト低減が図られました。その結果、調味料事業の売上高は、前期比3億42百万円(6.4%)増の56億91百万円となり、セグメント利益は前期比45百万円(10.0%)増の5億1百万円となりました。
③ その他の事業
イムラ株式会社が行っているリース代理業は堅調に推移しました。また、井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」はお客様へのサービス向上に取り組み、地域住民の皆様から引き続き好評をいただきました。本社所在地である三重県津市の近鉄津駅構内に出店している「imuraya Sweets Shop irodori」や11月に本社近隣のイオンスタイル津南に出店した「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」では特色のあるスイーツ商品を中心に販売し、人気を得ております。井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は2億37百万円となり、セグメント利益は6百万円となりました。
2)当連結会計年度末の財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は346億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億4百万円の増加となりました。流動資産は、設備投資に伴う現預金の減少もありましたが、売掛金や製品在庫の増加などにより、2億48百万円増の147億64百万円となりました。固定資産は、AZUKI・FACTORYの新設などにより有形固定資産が増加となり、11億61百万円増の199億6百万円となりました。
負債は188億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億91百万円の増加となりました。流動負債は、計画的な設備投資の資金決済に伴う短期借入金の増加などにより、8億51百万円増の166億4百万円となりました。固定負債は長期リース債務の減少などにより、60百万円減の22億73百万円となりました。
純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の増加などにより、6億12百万円増の157億98百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と同様の45.5%となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、27億16百万円となり、前連結会計年度末比で6億58百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は12億13百万円となり、前期に比べ、収入は2億84百万円減少いたしました。この減少の主な要因は、春夏商品の前倒し生産による在庫増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は24億62百万円となり、前連結会計年度に比べ、支出は7億26百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は5億78百万円となり、前連結会計年度に比べ、収入は37億44百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、借入金による調達が増えたものの、自己株式の売却及び新株発行による収入が減少したことによるものであります。
4)生産、受注及び販売
当連結会計年度における生産等の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
① 生産等の状況
(1) 生産実績
(注) 1.金額は、製造原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他の事業における生産実績はありません。
(2) 製品仕入実績
(注) 1.金額は、仕入原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.調味料事業、その他の事業における製品仕入はありません。
(3) 商品仕入実績
(注) 1.金額は、仕入原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.調味料事業における商品仕入はありません。
② 受注状況
当社グループでは、流通事業及び調味料事業において一部受注生産を行っております。なお、金額は僅少のため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 売上高
当連結会計年度における当社グループの売上高は、流通事業においては、井村屋株式会社の主力商品「あずきバー」シリーズや、「肉まん・あんまん」が順調に推移しました。また、井村屋フーズ株式会社のB to B事業の受託が伸長しました。その結果、連結売上高は、前期比46百万円(0.1%)増の451億8百万円となりました。売上高等の詳細については「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりですが、さらに前連結会計年度と比較した連結会計年度の事業別売上高実績を示すと下記のとおりであります。
② 売上原価及び販売費及び一般管理費並びに営業利益
営業利益については、14億13百万円で前期比94.9%、76百万円減少しました。売上原価率は68.8%となり、前期より1.0%ポイント上昇し、金額にして4億61百万円増加しました。要因として、原材料費、動燃費が上昇し、また新規投資した大型案件の点心・デリ工場の減価償却費負担が増えたことによります。
販売費及び一般管理費については、3億38百万円の削減が図られました。主な要因としては、物流費が減少しており、当社グループで取り組んでいるSCM効果があったと捉えております。また、一般管理費においては、前期発生した周年事業費、菓子博関連費の臨時費用の減少が経費削減の要因となっております。
③ 営業外損益及び経常利益
営業外損益におきましては、為替差益が27百万円発生しており、海外事業への貸付金に対する為替影響であります。営業外費用においては、前期発生した上場関連費が今期発生せず、38百万円が減少要因となりました。これら差引して、経常利益は前期比、66百万円増加し、経常利益率は3.5%、前期比0.2%ポイント増加しております。
④ 特別損益
特別損益では、非上場株式の売却を行い、投資有価証券売却益を1億60百万円計上しました。補助金収入では、バイオマスボイラ、点心・デリ工場に対する補助金79百万円発生しておりますが、前期比1億37百万円減少しております。
⑤ 法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等では、海外事業会社への貸付金の株式化の影響で税負担が減少し、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は12億56百万円で前期比113.0%、1億44百万円増加しました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、中長期的な経営の方向性を中期3カ年計画「新・維新Next Stage 2020」で示し、中期経営方針の中で具体的な経営指標等の目標値を定めております。投資価値ある企業をめざし、1年目の2019年3月期におきましては、連結売上高470億円、連結経常利益17億円、連結売上高経常利益率3.6%、ROE7.5%を目標に掲げた結果、連結売上高451億8百万円、連結経常利益15億62百万円、連結売上高経常利益率3.5%、ROEは8.1%となり、本社新規工場の建築、設備投資を実施し、自己株式の売却、公募増資による調達資金を今後の成長への投資へ活用させていただき、ROE10%に向け、さらに資本生産性向上に取り組んでまいります。
(3)当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの短期、長期借入金等により賄っております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は27億16百万円、有利子負債の残高は79億29百万円となっております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いておりますが、米中貿易摩擦の拡大や世界経済の不確実性などにより、先行き不透明な状況で推移しました。
菓子・食品業界におきましても、企業間競争の激化に加え、原材料価格やエネルギーコストが上昇し、消費動向は予断を許さない厳しい経営環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、新しいステージへ挑戦し更なる成長性を確保するために、2018年度から2020年度までを期間とする中期3カ年計画「新・維新 Next Stage 2020」を策定しました。
初年度となる2018年度は①SCMの経営的視点での取り組み ②双方向を土台とする「報・連・相」の実行 ③2N(Next New)の継続の3項目を活動目標として、新しい付加価値を生み出し、確実に成果を出すべく、事業活動を展開しました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、流通事業においては、井村屋株式会社の主力商品「あずきバー」シリーズや「肉まん・あんまん」が順調に推移しました。また、井村屋フーズ株式会社のBtoB事業の受託が伸長しました。その結果、売上高は、前期比46百万円(0.1%)増の451億8百万円となりました。
コスト面では、生産性向上活動の継続やSCM効果により販売費及び一般管理費の削減が図られましたが、原材料費やエネルギーコストが大きく上昇し、厳しい経営環境となりました。これら経営活動の結果、営業利益は前期比76百万円(5.1%)減の14億13百万円となりましたが、経常利益は前期比66百万円(4.4%)増の15億62百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1億44百万円(13.0%)増の12億56百万円となり、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益において過去最高の業績となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
① 流通事業
「点心・デリ」カテゴリーでは「肉まん・あんまん」の売上が増加し、各カテゴリーの主力商品も順調に推移しました。冷菓カテゴリーでは「あずきバー」シリーズが過去最高の売上本数となりましたが、「やわもちアイス」シリーズの売上が減少しました。その結果、流通事業の売上高は、前期比3億4百万円(0.8%)減の391億78百万円となり、セグメント利益は上記のコスト上昇要因により、前期比1億84百万円(7.5%)減の22億86百万円となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)
「ようかん」類では「えいようかん」や「煮小豆ようかん」が順調に推移し、「どら焼」シリーズでは「煮小豆どら焼」の売上が伸長しました。中国のカステラ事業では井村屋(北京)食品有限公司(IBF)における米国向けの輸出が堅調に推移しました。その結果、菓子カテゴリーの売上高は、前期比85百万円(1.8%)増の48億75百万円となりました。
(食品カテゴリー)
冷凍パックまんの「冷凍2個入りゴールドまん」シリーズや「おしるこ」「ぜんざい」などのホットデザートが好調に推移しました。井村屋フーズ株式会社の加工食品事業ではOEM受託商品の売上が増加しました。その結果、食品カテゴリーの売上高は前期比3億54百万円(5.1%)増の73億18百万円となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)
チルドパックまんにおいても「チルド2個入りゴールドまん」シリーズの売上が増加しました。「豆腐類」では「美し豆腐」やその他の業務用商品が堅調に推移しました。その結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は、前期比32百万円(1.2%)増の28億37百万円となりました。
(冷菓カテゴリー)
「あずきバー」シリーズの売上本数は2億75百万本(前期比0.1%増)となり、過去最高の売上本数を更新しました。一方で、クリーム系アイス商品は夏の酷暑の影響がマイナスに働き、「やわもちアイス」シリーズや「クリームチーズアイス」シリーズの売上は前期を下回りました。しかし、「やわもちアイス」シリーズでは3月に発売した新商品「やわもちアイス 黒ごまカップ」やファミリータイプの「BOXやわもちアイス(つぶあんミルクカップ)」が好評をいただいており、今後に期待が持てる状況となっております。また、米国でアイス事業を展開しているIMURAYA USA, INC.では、競争激化もあって、売上は前期を下回りました。その結果、冷菓カテゴリーの売上高は前期比13億92百万円(10.2%)減の122億37百万円となりました。
(点心・デリカテゴリー)
「肉まん・あんまん」などの「点心・デリ」カテゴリーは生産設備の増強やコンビニエンスストアとの取り組み強化など成長戦略を進めてきました。生産技術を活かした付加価値の高い商品が好評をいただき、コンビニエンスストアを中心に順調に売上を伸ばしました。その結果「点心・デリ」カテゴリーの売上高は前期比5億98百万円(5.6%)増の113億16百万円となりました。
(スイーツカテゴリー)
スイーツカテゴリーでは、「Anna Miller's(アンナミラーズ)高輪店」が堅調に推移しました。「JOUVAUD(ジュヴォー)」では、関西地区初として5月に京都へ出店した「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)京都祇園店」に続き、12月には「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)JR京都伊勢丹店」を出店し、順調に推移しています。2017年にオープンした「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)KITTE名古屋店」においても特長あるメレンゲ菓子の「生ロカイユ」がテイクアウト商品として引き続き人気を集めております。また、12月にはJR京都伊勢丹店に「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)」と同時に出店した「井村屋 和涼菓堂 京都店」も特色ある“アイスクリーム和菓子”を販売し、好評をいただいております。その結果、スイーツカテゴリーの売上高は、前期比17百万円(3.1%)増の5億91百万円となりました。
② 調味料事業
国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、新規顧客獲得やお客様ニーズに対応した商品提案に取り組み、ODM(Original Design Manufacturing)、OEMの売上が順調に増加しました。中国での調味料事業では、北京の北京京日井村屋食品有限公司(JIF)の商品提案が順調に進み、中国国内で売上が伸長しました。生産拠点である大連の井村屋(大連)食品有限公司(IDF)では海外輸出の増加とコスト低減が図られました。その結果、調味料事業の売上高は、前期比3億42百万円(6.4%)増の56億91百万円となり、セグメント利益は前期比45百万円(10.0%)増の5億1百万円となりました。
③ その他の事業
イムラ株式会社が行っているリース代理業は堅調に推移しました。また、井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」はお客様へのサービス向上に取り組み、地域住民の皆様から引き続き好評をいただきました。本社所在地である三重県津市の近鉄津駅構内に出店している「imuraya Sweets Shop irodori」や11月に本社近隣のイオンスタイル津南に出店した「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」では特色のあるスイーツ商品を中心に販売し、人気を得ております。井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は2億37百万円となり、セグメント利益は6百万円となりました。
2)当連結会計年度末の財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は346億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億4百万円の増加となりました。流動資産は、設備投資に伴う現預金の減少もありましたが、売掛金や製品在庫の増加などにより、2億48百万円増の147億64百万円となりました。固定資産は、AZUKI・FACTORYの新設などにより有形固定資産が増加となり、11億61百万円増の199億6百万円となりました。
負債は188億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億91百万円の増加となりました。流動負債は、計画的な設備投資の資金決済に伴う短期借入金の増加などにより、8億51百万円増の166億4百万円となりました。固定負債は長期リース債務の減少などにより、60百万円減の22億73百万円となりました。
純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の増加などにより、6億12百万円増の157億98百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と同様の45.5%となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、27億16百万円となり、前連結会計年度末比で6億58百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は12億13百万円となり、前期に比べ、収入は2億84百万円減少いたしました。この減少の主な要因は、春夏商品の前倒し生産による在庫増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は24億62百万円となり、前連結会計年度に比べ、支出は7億26百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は5億78百万円となり、前連結会計年度に比べ、収入は37億44百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、借入金による調達が増えたものの、自己株式の売却及び新株発行による収入が減少したことによるものであります。
4)生産、受注及び販売
当連結会計年度における生産等の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
① 生産等の状況
(1) 生産実績
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
流通事業 | 22,034,964 | 103.7 |
調味料事業 | 4,575,029 | 106.7 |
消去(セグメント間取引) | △240,298 | ― |
合計 | 26,369,695 | 104.3 |
(注) 1.金額は、製造原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他の事業における生産実績はありません。
(2) 製品仕入実績
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
流通事業 | 4,709,585 | 89.7 |
合計 | 4,709,585 | 89.7 |
(注) 1.金額は、仕入原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.調味料事業、その他の事業における製品仕入はありません。
(3) 商品仕入実績
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
流通事業 | 64,930 | 105.9 |
その他の事業 | 54,274 | 110.7 |
消去(セグメント間取引) | △51,644 | ― |
合計 | 67,560 | 83.4 |
(注) 1.金額は、仕入原価によって示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.調味料事業における商品仕入はありません。
② 受注状況
当社グループでは、流通事業及び調味料事業において一部受注生産を行っております。なお、金額は僅少のため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
流通事業 | 39,430,764 | 99.6 |
調味料事業 | 5,890,185 | 106.2 |
その他の事業 | 238,841 | 103.8 |
消去(セグメント間取引) | △451,661 | ― |
合計 | 45,108,129 | 100.1 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
㈱日本アクセス | 13,173,370 | 29.2 | 14,693,506 | 32.6 |
三菱商事㈱ | 5,072,245 | 11.3 | 5,086,106 | 11.3 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 売上高
当連結会計年度における当社グループの売上高は、流通事業においては、井村屋株式会社の主力商品「あずきバー」シリーズや、「肉まん・あんまん」が順調に推移しました。また、井村屋フーズ株式会社のB to B事業の受託が伸長しました。その結果、連結売上高は、前期比46百万円(0.1%)増の451億8百万円となりました。売上高等の詳細については「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりですが、さらに前連結会計年度と比較した連結会計年度の事業別売上高実績を示すと下記のとおりであります。
企業集団の事業別売上高 | |||||||
(単位:百万円) | |||||||
事業区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前期比増減 | ||||
金額 | 構成比 | 金額 | 構成比 | 金額 | 増減率 | ||
流 通 事 業 | 菓子 | 4,790 | 10.6% | 4,875 | 10.9% | 85 | 1.8% |
食品 | 6,964 | 15.6% | 7,318 | 16.2% | 354 | 5.1% | |
デイリーチルド | 2,805 | 6.2% | 2,837 | 6.3% | 32 | 1.2% | |
冷菓 | 13,630 | 30.2% | 12,237 | 27.1% | △1,392 | △10.2% | |
点心・デリ | 10,718 | 23.8% | 11,316 | 25.1% | 598 | 5.6% | |
スイーツ | 574 | 1.2% | 591 | 1.3% | 17 | 3.1% | |
流通事業計 | 39,483 | 87.6% | 39,178 | 86.9% | △304 | △0.8% | |
調味料事業 | 5,349 | 11.9% | 5,691 | 12.6% | 342 | 6.4% | |
その他の事業 | 228 | 0.5% | 237 | 0.5% | 8 | 3.8% | |
合計 | 45,061 | 100.0% | 45,108 | 100.0% | 46 | 0.1% |
② 売上原価及び販売費及び一般管理費並びに営業利益
営業利益については、14億13百万円で前期比94.9%、76百万円減少しました。売上原価率は68.8%となり、前期より1.0%ポイント上昇し、金額にして4億61百万円増加しました。要因として、原材料費、動燃費が上昇し、また新規投資した大型案件の点心・デリ工場の減価償却費負担が増えたことによります。
販売費及び一般管理費については、3億38百万円の削減が図られました。主な要因としては、物流費が減少しており、当社グループで取り組んでいるSCM効果があったと捉えております。また、一般管理費においては、前期発生した周年事業費、菓子博関連費の臨時費用の減少が経費削減の要因となっております。
③ 営業外損益及び経常利益
営業外損益におきましては、為替差益が27百万円発生しており、海外事業への貸付金に対する為替影響であります。営業外費用においては、前期発生した上場関連費が今期発生せず、38百万円が減少要因となりました。これら差引して、経常利益は前期比、66百万円増加し、経常利益率は3.5%、前期比0.2%ポイント増加しております。
④ 特別損益
特別損益では、非上場株式の売却を行い、投資有価証券売却益を1億60百万円計上しました。補助金収入では、バイオマスボイラ、点心・デリ工場に対する補助金79百万円発生しておりますが、前期比1億37百万円減少しております。
⑤ 法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等では、海外事業会社への貸付金の株式化の影響で税負担が減少し、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は12億56百万円で前期比113.0%、1億44百万円増加しました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、中長期的な経営の方向性を中期3カ年計画「新・維新Next Stage 2020」で示し、中期経営方針の中で具体的な経営指標等の目標値を定めております。投資価値ある企業をめざし、1年目の2019年3月期におきましては、連結売上高470億円、連結経常利益17億円、連結売上高経常利益率3.6%、ROE7.5%を目標に掲げた結果、連結売上高451億8百万円、連結経常利益15億62百万円、連結売上高経常利益率3.5%、ROEは8.1%となり、本社新規工場の建築、設備投資を実施し、自己株式の売却、公募増資による調達資金を今後の成長への投資へ活用させていただき、ROE10%に向け、さらに資本生産性向上に取り組んでまいります。
(3)当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの短期、長期借入金等により賄っております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は27億16百万円、有利子負債の残高は79億29百万円となっております。