有価証券報告書-第116期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/25 11:46
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157項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社は、2019年6月25日開催の第114回定時株主総会で「定款一部変更の件」を決議し、2019年12月期より、決算期を3月31日から12月31日に変更しました。このため、経営成績及び各セグメントにおける比較につきましては、2019年1月1日から2019年12月31日までの12ヶ月間を「前年同一期間」として算出した参考数値と比較しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き厳しい状況が続きました。段階的な社会経済活動の再開により回復の兆しがみられるものの、感染の再拡大等により、再び経済が停滞するリスクがあり、国内外の感染症の動向及び経済への影響を注視する必要があります。
このような状況の中で、当社グループは、「おいしさと健康」の企業理念のもと、嗜好食品企業から日常必需食品企業へと変革するべく、①ロングセラーブランドの成長継続と立て直し、②健康付加価値ブランドの成長継続と習慣化、③社会課題の解決に向けた新たな市場の創造と拡大へ経営資源を集中するとともに、海外事業の成長加速に向けて取り組みました。
その結果、売上面では、冷菓部門は前年同一期間を上回りましたが、菓子・食品部門、乳業部門、食品原料部門、海外部門、健康事業を含むその他部門が前年同一期間を下回ったため、当連結会計年度の売上高は344,048百万円となり、前年同一期間(353,686百万円)に比べ2.7%の減収となりました。
利益面では、売上原価率は、乳業部門、海外部門の売上原価率が低下した一方、菓子・食品部門、冷菓部門等の売上原価率が上昇したため全体では0.2ポイント上昇しました。販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛要請に伴う旅費交通費の減少及び経費、広告費、販売促進費の抑制により減少しました。
その結果、営業利益は18,523百万円となり、前年同一期間(16,259百万円)に比べ2,264百万円の増益となりました。経常利益は営業利益段階での増益により、19,641百万円となり、前年同一期間(17,522百万円)に比べ2,119百万円の増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は11,836百万円となり、投資有価証券売却益等を特別利益に計上した前年同一期間(12,125百万円)に比べ289百万円の減益となりました。
各セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<菓子・食品部門>売上面では、“DONBURI亭”“バランス食堂”等が前年同一期間を上回りましたが、“ビスコ”“ポッキー”等が前年同一期間を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は89,280百万円となり、前年同一期間(96,194百万円)に比べ7.2%の減収となりました。利益面では、減収及び売上原価率の上昇等により、営業利益は4,963百万円となり、前年同一期間(6,643百万円)に比べ1,680百万円の減益となりました。
<冷菓部門>売上面では、“セブンティーンアイス”等が前年同一期間を下回りましたが、“アイスの実”“パピコ”“ジャイアントコーン”等が前年同一期間を上回りました。また、卸売販売子会社売上も前年同一期間を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は92,302百万円となり、前年同一期間(87,353百万円)に比べ5.7%の増収となりました。利益面では、販売品種構成の変化に伴う売上原価率の上昇はあったものの、増収による売上総利益の増加等により、営業利益は6,134百万円となり、前年同一期間(6,012百万円)に比べ122百万円の増益となりました。
<乳業部門>売上面では、“カフェオーレ”“1歳からの幼児食”“プッチンプリン”等は前年同一期間を上回りましたが、“朝食りんごヨーグルト”等が前年同一期間を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は83,445百万円となり、前年同一期間(87,610百万円)に比べ4.8%の減収となりました。利益面では、減収による売上総利益の減少等により、営業利益は2,522百万円となり、前年同一期間(2,644百万円)に比べ121百万円の減益となりました。
<食品原料部門>売上面では、“E-スターチ”等は前年同一期間を上回りましたが、“A-グル”等が前年同一期間を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は10,059百万円となり、前年同一期間(10,607百万円)に比べ5.2%の減収となりました。利益面では、一般管理費の減少等により、営業利益は879百万円となり、前年同一期間(764百万円)に比べ115百万円の増益となりました。<海外部門>売上面では、地域別において、米国、中国等では前年同一期間を上回りましたが、ASEAN等では前年同一期間を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は50,998百万円となり、前年同一期間(53,429百万円)に比べ4.5%の減収となりました。利益面では、売上原価率の低下等により、営業利益は2,581百万円となり、前年同一期間(1,166百万円)に比べ1,414百万円の増益となりました。
<その他部門>売上面では、“アーモンド効果”“SUNAO”等は前年同一期間を上回りましたが、「オフィスグリコ」等が前年同一期間を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は17,961百万円となり、前年同一期間(18,490百万円)に比べ2.9%の減収となりました。利益面では、減収に伴う売上総利益の減少等により、営業利益は281百万円となり、前年同一期間(375百万円)に比べ93百万円の減益となりました。
財政状態については、下記のとおりであります。
資産
当連結会計年度末における流動資産は177,813百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,538百万円減少しました。これは主に現金及び預金が1,735百万円減少、有価証券が5,237百万円減少したことによるものであります。固定資産は162,267百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,807百万円増加しました。これは主に有形固定資産が2,222百万円減少しましたが、ソフトウエア仮勘定が3,185百万円増加、退職給付に係る資産が1,273百万円増加したことによるものであります。この結果、総資産は、340,081百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,731百万円減少しました。
負債
当連結会計年度末における流動負債は75,590百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,099百万円減少しました。これは主に支払手形及び買掛金が3,468百万円減少、未払費用が3,646百万円減少したことによるものであります。固定負債は41,939百万円となり、前連結会計年度末に比べ268百万円減少しました。これは主に繰延税金負債が941百万円増加しましたが、退職給付に係る負債が1,603百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は、117,530百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,367百万円減少しました。
純資産
当連結会計年度末の純資産合計は222,551百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,636百万円増加しました。これは主に、剰余金の配当により3,895百万円、非支配株主との取引等により非支配株主持分が6,937百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益を11,836百万円計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は65.2%(前連結会計年度末比3.2ポイント増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度当連結会計年度増減額(△は減)
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)17,34417,218-
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△9,022△12,444-
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△9,616△9,738-
現金及び現金同等物期首残高(百万円)99,23798,005△1,231
現金及び現金同等物期末残高(百万円)98,00592,449△5,556

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、投資活動及び財務活動による支出が営業活動による収入を上回ったため、前連結会計年度末に比べ5,556百万円減少し、当連結会計年度末には92,449百万円となりました。
なお、前連結会計年度は、決算期の変更により、2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、対前年同期比については記載しておりません。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は17,218百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が19,683百万円、減価償却費が14,577百万円があったものの、仕入債務の減少3,302百万円、その他の減少7,174百万円及び法人税等の支払額5,199百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は12,444百万円となりました。これは主に、有価証券の売却による収入2,500百万円、有形固定資産の売却による収入2,095百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出10,907百万円及び無形固定資産の取得による支出5,837百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は9,738百万円となりました。これは主に、配当金の支払額3,895百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出5,343百万円及び自己株式の取得による支出699百万円等があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
菓子・食品(百万円)79,162-
冷菓(百万円)54,609-
乳業(百万円)60,096-
食品原料(百万円)5,577-
海外(百万円)38,962-
報告セグメント計(百万円)238,406-
その他(百万円)976-
合計(百万円)239,382-

(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度は、決算期の変更により、2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
菓子・食品(百万円)8,450-
冷菓(百万円)26,097-
乳業(百万円)14,823-
食品原料(百万円)3,179-
海外(百万円)489-
報告セグメント計(百万円)53,039-
その他(百万円)8,167-
合計(百万円)61,206-

(注)1.金額は、仕入価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度は、決算期の変更により、2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
c.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
菓子・食品(百万円)89,280-
冷菓(百万円)92,302-
乳業(百万円)83,445-
食品原料(百万円)10,059-
海外(百万円)50,998-
報告セグメント計(百万円)326,087-
その他(百万円)17,961-
合計(百万円)344,048-

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度は、決算期の変更により、2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見積額を計上しております。取引先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
c.退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社グループは、退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
d.有価証券の減損
当社グループは、投資有価証券を保有しており、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しております。また、時価のある有価証券については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30%から50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。他方、時価のない有価証券については、実質価額が取得価額と比べて50%以上下落したものについては「著しく下落した」ものとし、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。
当社グループは、投資有価証券について必要な減損処理をこれまで行ってきておりますが、将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現状の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が生じ、減損処理が必要となる可能性があります。
e.販売促進引当金
当社グループは、販売促進費の支出に備えて、連結会計年度末における販売促進費の見込額に基づき、発生見込額を計上しております。販売促進費の発生見込額に変動が生じた場合には、販売促進引当金の取崩しまたは販売促進費の追加計上により利益が変動する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、修正後予想(358,000百万円)を13,951百万円下回り、344,048百万円となりました。セグメント別には、海外部門、菓子・食品部門で予想を大きく下回りました。
利益面では、営業利益は、修正後予想(18,000百万円)を523百万円上回り、18,523百万円となりました。セグメント別には、菓子・食品部門、冷菓部門では、予想を下回りましたが、海外部門での増益及び経費抑制等により全体では予想を上回る結果となりました。
その結果、経常利益は修正後予想(18,500百万円)を1,141百万円上回り、19,641百万円となりました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、当初見込んでいた利益が次期以降にずれ込んだため、修正後予想(12,500百万円)を663百万円下回り、11,836百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当社グループの財務政策は、運転資金につきましては、内部資金の活用又は金融機関からの短期の借入により資金調達することとしております。設備資金等の中長期的な資金調達につきましては、内部資金の活用または転換社債型新株予約権付社債の発行等により資金調達することとしております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは、利益と資金を継続的に増加させながら成長加速に向けた投資を実行し、国内外における営業利益率の向上を図るとともに、特別損益を除くROE水準として10%以上を継続的に目指すことを目標としております。当連結会計年度の特別損益を除くROEは、5.4%(前連結会計年度は4.2%)となっております。