有価証券報告書-第173期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における世界経済は、米国の関税率引上げを含む政策変更に伴う影響に加えて、欧米における政策金利動向や為替及び株式市場の大きな変動、中国における経済成長の停滞、さらには中東情勢をはじめとした地政学リスクの顕在化など、不安定な状況が継続しました。国内経済においては、全体として緩やかな回復基調にはあったものの、物価上昇の継続や世界経済の情勢変化を起因とした下押し圧力、自動車産業を中心とした米国の通商政策による影響など、楽観視できない状況が継続しました。
半導体・電子部品業界の市場は、サーバー市場においては、生成AI関連を中心とした成長領域は引続き好調に推移しました。データセンター向け汎用サーバー市場は、緩やかな成長基調で推移しましたが、パソコン市場は、全体として力強さに欠ける水準で推移しました。
自動車業界の排気系部品市場は、米国の関税政策変更に端を発する世界的な景気先行きの不透明感により、グローバルでの自動車生産台数の伸びは鈍化しました。
このような情勢のもと、当社におきましては、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」に基づき、強靭かつしなやかなビジネスモデルの構築を中心とした事業競争力強化や、DXを活用したモノづくり改革など、5本の活動の柱(強化していく5つの力)と製造業としての基盤活動を軸に、事業環境変化への対応と、持続可能な成長の両立に向けた取り組みを進めております。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
(ア)財政状態
当連結会計年度末における総資産は9,604億25百万円(前年同期比11.2%減)となりました。流動資産は4,655億41百万円(同15.3%減)、固定資産は4,948億83百万円(同7.0%減)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、4,030億12百万円(同31.0%減)となりました。流動負債は2,216億45百万円(同32.4%減)、固定負債は1,813億67百万円(同29.3%減)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は5,574億12百万円(同12.1%増)となりました。
(イ)経営成績
当連結会計年度の売上高は4,162億1百万円と前連結会計年度に比べ467億64百万円(12.7%)増加しました。営業利益は620億27百万円と前連結会計年度に比べ144億5百万円(30.3%)増加しました。経常利益は608億22百万円と前連結会計年度に比べ129億32百万円(27.0%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は637億13百万円と前連結会計年度に比べ300億8百万円(89.0%)増加しました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(電子事業)
電子事業の売上高は2,433億16百万円となり、前連結会計年度に比べ23.4%増加しました。同事業の営業利益は、452億48百万円となり、前連結会計年度に比べ68.5%増加しました。
(セラミック事業)
セラミック事業の売上高は825億54百万円となり、前連結会計年度に比べ1.8%減少しました。同事業の営業利益は76億46百万円となり、前連結会計年度に比べ37.4%減少しました。
(その他事業)
その他事業の売上高は903億30百万円となり、前連結会計年度に比べ2.5%増加しました。同事業の営業利益は89億64百万円となり、前連結会計年度に比べ3.0%増加しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,929億8百万円となり、前連結会計年度末より977億47百万円減少しました。
各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、1,064億7百万円となり、前期に比べ、124億88百万円の資金の減少となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加した一方、投資有価証券売却益が増加したこと、前受金の増減額が増加から減少に転じたことにより資金が減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は、524億16百万円となり、前期に比べ、1,117億65百万円の支出の減少となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したこと、投資有価証券の売却による収入が増加したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は、1,575億11百万円となり、前期に比べ、1,503億97百万円の支出の増加となりました。これは主に借入金の返済による支出が増加したこと、社債の発行による収入が減少したことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(ア)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電子 | 219,687 | 25.3 |
| セラミック | 84,320 | 7.9 |
| その他 | 12,790 | △0.5 |
| 合計 | 316,799 | 18.9 |
(注) 金額は、販売価格によっております。
(イ)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電子 | 223,041 | 20.7 | 39,070 | 27.8 |
| 合計 | 223,041 | 20.7 | 39,070 | 27.8 |
(注) セラミック及びその他部門は主として見込生産であります。
(ウ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電子 | 243,316 | 23.4 |
| セラミック | 82,554 | △1.8 |
| その他 | 90,330 | 2.5 |
| 合計 | 416,201 | 12.7 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| NVIDIA Corp. | 75,077 | 20.3 | 122,470 | 29.4 |
| Intel Corp. | 76,709 | 20.8 | 75,319 | 18.1 |
| Advanced Micro Devices Inc. | 40,707 | 11.0 | - | - |
※当連結会計年度のAdvanced Micro Devices Inc.の販売実績は、総販売実績の10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、これらの記載には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ア)経営成績等
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は9,604億25百万円(前年同期比11.2%減)となりました。流動資産は4,655億41百万円(同15.3%減)、固定資産は4,948億83百万円(同7.0%減)となりました。
流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が977億47百万円減少したことによります。
固定資産の減少の主な要因は、建設仮勘定が902億26百万円減少したことによります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、4,030億12百万円(同31.0%減)となりました。流動負債は2,216億45百万円(同32.4%減)、固定負債は1,813億67百万円(同29.3%減)となりました。
流動負債の減少の主な要因は、短期借入金が500億円減少したことと、1年内償還予定の社債が250億円減少したことによります。
固定負債の減少の主な要因は、長期借入金が600億円減少したことと、社債が150億円減少したことによります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は5,574億12百万円(同12.1%増)となりました。
純資産合計の増加の主な要因は、利益剰余金が567億18百万円増加したことによります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の45.35%から57.27%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,756円66銭から1,969円85銭となりました。
b.経営成績
(売上高及び営業利益)
売上高は、4,162億1百万円(前年同期比12.7%増)となりました。
売上原価は、2,845億32百万円(前年同期比11.1%増)となりました。売上原価率は1.0ポイント改善し、68.4%となりました。
この結果、営業利益は、620億27百万円(前年同期比30.3%増)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度の2億68百万円の利益(純額)から当連結会計年度は12億5百万円の損失(純額)となり、利益(純額)が減少しました。主な変動要因は、休止固定資産償却費が21億27百万円増加したことによります。
この結果、経常利益は、608億22百万円(前年同期比27.0%増)となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の35億60百万円の利益(純額)から当連結会計年度は302億70百万円の利益(純額)となり、利益(純額)が増加しました。主な変動要因は、投資有価証券売却益が249億68百万円増加したことによります。
この結果、税金等調整前当期純利益は、910億92百万円(前年同期比77.0%増)となりました。
(法人税等(法人税等調整額を含む。))
法人税等は、前連結会計年度の174億円から当連結会計年度は269億29百万円となり、増加しました。
この結果、当期純利益は、641億62百万円(前年同期比88.4%増)となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の3億46百万円から当連結会計年度は4億49百万円となり、増加しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、637億13百万円(前年同期比89.0%増)となりました。
1株当たり当期純利益は、228円16銭となりました。
ROE(自己資本当期純利益率)は、12.25%となりました。
(イ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、第2「事業の状況」 3「事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりませんが、連結中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」の3年目にあたる2026年3月期の期初に掲げました売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。
| 2026年3月期 (計画) | 2026年3月期 (実績) | 増減(計画比) | ||
| 売上高 | 410,000百万円 | 416,201 | 百万円 | 6,021百万円増(1.5%増) |
| 営業利益 | 48,000百万円 | 62,027 | 百万円 | 14,027百万円増(29.2%増) |
| 経常利益 | 44,000百万円 | 60,822 | 百万円 | 16,822百万円増(38.2%増) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 28,000百万円 | 63,713 | 百万円 | 35,713百万円増(127.5%増) |
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項は、次のとおりであります。
(電子事業)
電子事業におきましては、生成AI用サーバー向けの受注は総じて堅調に推移しました。また、パソコン向けは想定を下回ったものの、汎用サーバー向け高機能ICパッケージ基板の需要が緩やかな回復基調で推移したことに加えて、フィリピン工場の製造原価低減活動の効果もあり、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、電子事業の売上高は2,433億16百万円となり、前連結会計年度に比べ23.4%増加しました。同事業の営業利益は452億48百万円となり、前連結会計年度に比べ68.5%増加しました。
(セラミック事業)
自動車排気系部品であるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、受注減少に合わせた生産体制を構築したものの、生産数量の減少に伴う製造原価の悪化により、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ減少しました。
触媒担体保持・シール材(AFP)は、需要の減速に伴う販売数量の減少を受け、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ減少しました。
特殊炭素製品(FGM)は、EV市場の減速による影響を受けたパワー半導体向け需要の低迷に加え、市況変化による一部顧客の在庫調整が継続したことなどにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ減少しました。
EVバッテリー用安全部材(NEV)は、今年度より、技術開発本部からセラミック事業本部へ事業移管しております。量産開始により売上高は前連結会計年度に比べ増加したものの、想定以上のEV市場の減速による固定費負担増加を主要因に、前連結会計年度に引続き、営業損失を計上する結果となりました。
以上の結果、セラミック事業の売上高は825億54百万円となり、前連結会計年度に比べ1.8%減少しました。同事業の営業利益は76億46百万円となり、前連結会計年度に比べ37.4%減少しました。
(その他事業)
建材部門におきましては、建築基準法改正の影響を受け、住宅着工が遅れ販売棟数が減少したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
建設部門におきましては、発電設備・排水処理設備の建設工事の受注が堅調に推移したことに加え、大型工事が順調に進捗したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
その他部門におきましては、法面事業及び造園事業において大型物件の施工が順調に推移したことや、ヘルスケア事業において、年度末にかけて大型受注を獲得したことなどにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、その他事業の売上高は903億30百万円となり、前連結会計年度に比べ2.5%増加しました。同事業の営業利益は、89億64百万円となり、前連結会計年度に比べ3.0%増加しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。また、資金運用の柔軟性を保つため、必要な都度、借入等による資金調達を行うこととしております。
当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、プラス539億91百万円となりました。また、財務活動によって使用された資金は、借入金の返済等により1,575億11百万円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高(資金)は2,929億8百万円となりました。
この資金の運用については、当社グループは、資金の流動性を考慮して、短期的な預金などとして運用する方針です。さらに、当社グループでは、旺盛な顧客需要に対応するために、ICパッケージ基板の生産能力増強を図る目的で設備投資を継続しており、これらの資金需要に対して資金を充当してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。