四半期報告書-第111期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/09 15:06
【資料】
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しの動きが続く一方、地政学リスクの高まり等による先行きの不透明感が継続し、一部の地域において景気回復に足踏みがみられるなど、景気の下押しが懸念されております。
米国においては物価高により個人消費が減速し、急速な利上げで住宅投資が落ち込んでおります。欧州においてはウクライナ情勢が長期化するなかで、資源価格の高騰や供給面での制約を受けて景気回復のペースは鈍化しております。中国では一部地域でのロックダウンの影響が残り、持ち直しの動きに足踏みがみられますが、アジア新興国では景気改善の動きが続きました。
日本経済は、中国での経済活動抑制の影響により生産が押し下げられたものの、個人消費や設備投資の持ち直しの動きが続くなど、輸出や企業収益は総じて改善の動きがみられました。
化学工業界におきましては、日米の金融政策の違い等により円安が進み、また原油価格も上昇したことで国産ナフサなど原燃料価格が上昇しました。また、世界的な物流網の混乱が続き、海上輸送費が上昇しました。
このような状況のもと、当社グループの当四半期累計期間の売上収益は、販売数量は減少したものの、原料価格の上昇や円安の進行等により販売価格が上昇したことにより、前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)に比べて254億4千7百万円増収(29.6%)の1,115億5百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、原料価格上昇による在庫評価差額の影響、円安の進行等によるスプレッドの拡大などが増益要因となり、営業利益は、前年同期に比べて23億6千7百万円増益(35.6%)の90億2千6百万円となりました。
税引前四半期利益は、営業利益や為替差損益の改善、持分法による投資利益の増加などにより、前年同期に比べて30億1千万円増益(37.1%)の111億2千2百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて19億4千8百万円増益(34.5%)の75億9千1百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当第1四半期連結会計期間より、事業セグメント及び報告セグメントを変更しており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
①マテリアルズ事業
アクリル酸及びアクリル酸エステルは、販売数量は減少したものの、原料価格の上昇などにより販売価格が上昇したことで、増収となりました。
高吸水性樹脂は、原料価格や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことで、増収となりました。
酸化エチレンは、原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が減少しましたが、原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇などにより、増収となりました。
特殊エステルは、販売数量が減少しましたが、原料価格や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことで、増収となりました。
無水マレイン酸は、原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や販売数量が増加したことにより、増収となりました。
樹脂改質剤は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
プロセス触媒は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
以上の結果、マテリアルズ事業の売上収益は、前年同期に比べて36.6%増加の815億7千1百万円となりました。
営業利益は、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、一部製品の海外市況の上昇等によるスプレッドの拡大や、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、前年同期に比べて58.9%増加の68億4千2百万円となりました。
②ソリューションズ事業
コンクリート混和剤用ポリマー、洗剤原料などの水溶性ポリマー、塗料用樹脂、エチレンイミン誘導品は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
セカンダリーアルコールエトキシレートは、販売価格は上昇したものの販売数量が減少したことにより、減収となりました。
粘着加工品は、販売数量が減少したことや販売価格が下落したことにより、減収となりました。
ヨウ素化合物は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
脱硝触媒は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
電子情報材料及びリチウム電池材料は、販売価格は上昇したものの販売数量が減少したことにより、減収となりました。
燃料電池材料は、販売数量が減少したことや販売価格が下落したことにより、減収となりました。
以上の結果、ソリューションズ事業の売上収益は、前年同期に比べて13.7%増加の299億3千4百万円となりました。
営業利益は、原料価格上昇による在庫評価差額の影響があったものの、スプレッドの縮小、生産・販売数量の減少、販売費及び一般管理費の増加などが減益要因となり、前年同期に比べて18.9%減少の18億3千1百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下、前年度末)に比べて206億2千7百万円増加の5,387億7千8百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べて177億2千3百万円増加しました。原料価格などの上昇に伴い販売価格が上昇したことから営業債権が増加したこと、原料価格の上昇や定期修繕工事に向けた在庫の積み増しなどにより棚卸資産が増加したことなどによるものです。非流動資産は、前年度末に比べて29億4百万円増加しました。保有株式の公正価値の変動によりその他の金融資産が減少したものの、設備投資や為替の影響により有形固定資産が増加したことなどによるものです。
負債合計は、前年度末に比べて91億5千2百万円増加の1,761億8千1百万円となりました。原料価格の上昇や購入数量の増加により営業債務が増加したことなどによるものです。
資本合計は、前年度末に比べて114億7千4百万円増加の3,625億9千7百万円となりました。為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したことや利益剰余金が増加したことなどによるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前年度末の66.4%から66.0%へと0.4ポイント減少しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前年度末に比べて290.07円増加の8,914.09円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)末における現金及び現金同等物は、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出が、営業活動によるキャッシュ・フローの収入を上回ったものの、為替換算差額の影響により、前連結会計年度末に比べて12億8千5百万円増加の406億4千8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間(以下、前年同期)の93億2千1百万円の収入に対し、当四半期累計期間は123億6千6百万円の収入となりました。法人所得税の支払額の増加や、原料価格の上昇に伴う棚卸資産の増加などはあったものの、税引前四半期利益や利息及び配当金の受取額、営業債務の増加などにより、前年同期に比べて30億4千6百万円の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の68億8千8百万円の支出に対し、当四半期累計期間は58億6千6百万円の支出となりました。有形固定資産の売却による収入は減少したものの、有形固定資産や投資の取得による支出の減少に加え、投資の売却及び償還による収入が増加したことなどにより、前年同期に比べて10億2千2百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の61億5百万円の支出に対し、当四半期累計期間は72億8千万円の支出となりました。社債の償還による支出はなくなったものの、短期借入金の減少や、配当金の支払額が増加したことなどにより、前年同期に比べて11億7千5百万円の支出の増加となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資及び研究開発投資に対応するものであり、これらを自己資金、金融機関からの短期・長期借入金により賄っております。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は38億5千3百万円であります。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の状況の重要な変更は、次の通りであります。
当社は、ソリューションズ事業拡大やカーボンニュートラル実現に向けた研究開発機能の強化のため、2022年4月1日付で研究組織の変更を行いました。具体的には、事業創出本部を改編、新たにコーポレート研究本部を設置し、事業創出本部とコーポレート研究本部の2本部体制といたしました。これにより、それぞれの役割を明確にするとともに関連部門との連携により新規事業やコア技術創出に注力いたします。
なお、この変更による各セグメントの研究開発費への影響は軽微であります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当第1四半期連結累計期間における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
マテリアルズ事業82,92333.7
ソリューションズ事業27,21212.5
合計110,13527.7

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績が増加した主な要因は、国産ナフサ価格や原料価格の上昇及び為替の円安影響による販売価格の上昇があったためであります。
②受注状況
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
③販売実績
当第1四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
マテリアルズ事業81,57136.6
ソリューションズ事業29,93413.7
合計111,50529.6

なお、当社グループは、当第1四半期連結会計期間よりセグメント区分を変更しており、生産実績と販売実績の前年同期比については、変更後の区分に基づき作成したものを記載しております。セグメント区分の変更については、「5.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」に記載しております。