(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しの動きがみられ、景気回復の程度は国や産業により異なるものの、経済活動の再開が進められるなかで推移しました。米国では景気が着実に持ち直しており、欧州でも景気に持ち直しの動きが見られました。中国では景気の緩やかな回復が継続しており、アジア新興国でも、一部で感染の再拡大による下押しの懸念はあるものの、景気の下げ止まりや持ち直しの動きがみられました。 日本経済は、設備投資や生産活動は持ち直しており、輸出も増加傾向が続くなど、企業収益は総じて改善の動きが見られました。一方で、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の影響でサービス支出を中心とした個人消費の動きは弱く、非製造業では弱さが残りました。 化学工業界におきましては、需要は回復傾向にあり稼働率も上昇するなど、持ち直しの動きがみられました。また景気回復に伴う需要増加などにより原油価格が上昇し、国産ナフサ価格が上昇しました。
このような状況のもと、当社グループの当四半期累計期間の売上収益は、原料価格の上昇や製品海外市況の上昇に伴い販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)に比べて483億2千万円増収(38.8%)の1,729億8千8百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、生産・販売数量の増加や、一部製品の海外市況の上昇、在庫評価差額などの加工費が減少したことなどが増益要因となり、加えて、前期に計上したニッポンショクバイ・ヨーロッパN.V.の減損損失17億7千9百万円がなくなったため、営業利益は、前年同期に比べて163億6千5百万円増益の151億7千7百万円となりました。
税引前四半期利益は、営業利益や持分法による投資利益の増加などにより、前年同期に比べて178億2千2百万円増益の177億5千万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて135億3千3百万円増益の123億5千万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①基礎化学品事業
アクリル酸及びアクリル酸エステルは、原料価格の上昇や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
酸化エチレンは、原料価格の上昇により販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が減少しましたが、製品海外市況の上昇による販売価格の上昇などにより、増収となりました。
セカンダリーアルコールエトキシレートは、販売数量が増加したことや、原料価格の上昇などに伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
以上の結果、基礎化学品事業の売上収益は、前年同期に比べて51.7%増加の744億5千3百万円となりました。
営業利益は、製品海外市況の上昇によるスプレッドの拡大や、生産・販売数量の増加、在庫評価差額などの加工費が減少したことなどにより、前年同期に比べて112億6百万円増益の108億1千1百万円となりました。
②機能性化学品事業
高吸水性樹脂は、原料価格や製品海外市況の上昇に伴う販売価格の上昇や、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
特殊エステルは、製品海外市況の上昇などに伴い販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
コンクリート混和剤用ポリマー、洗剤原料などの水溶性ポリマー、エチレンイミン誘導品及び塗料用樹脂は、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。 樹脂改質剤及び粘着加工品は、販売数量が増加したことや、原料価格の上昇などに伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。 無水マレイン酸は、販売数量は減少しましたが、原料価格の上昇などで販売価格が上昇したことにより、増収となりました。 電子情報材料は、販売数量が減少したことなどにより、減収となりました。 ヨウ素化合物は、販売数量は増加しましたが、製品販売構成により、減収となりました。
以上の結果、機能性化学品事業の売上収益は、前年同期に比べて31.5%増加の939億8千4百万円となりました。
営業利益は、生産・販売数量の増加や、在庫評価差額などの加工費が減少したことなどにより、前年同期に比べて58億2千1百万円増益の48億2千万円となりました。
③環境・触媒事業
プロセス触媒は、販売数量が減少しましたが、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
脱硝触媒及び燃料電池材料は、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
リチウム電池材料は、製品販売構成により、減収となりました。
湿式酸化触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、環境・触媒事業の売上収益は、前年同期に比べて10.6%増加の45億5千1百万円となりました。
営業利益は、在庫評価差額などの加工費が増加したことや、生産・販売数量の減少などにより、前年同期に比べて8億3千9百万円減益の△9億6千1百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は、次のとおりとなりました。
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下、前年度末)に比べて194億9千2百万円増加の4,911億9百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べて187億1千9百万円増加しました。原料価格の上昇や定期修繕工事に向けた在庫の積み増しなどにより棚卸資産が増加したこと、原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことから営業債権が増加したことなどによるものです。非流動資産は、前年度末に比べて7億7千3百万円増加しました。保有株式の時価の上昇によりその他の金融資産が増加したことなどによるものです。
負債合計は、前年度末に比べて58億7千5百万円増加の1,537億6千6百万円となりました。社債の償還があったものの、原料価格の上昇や購入数量の増加により営業債務が増加したことや、短期借入金が増加したことなどによるものです。
資本合計は、前年度末に比べて136億1千7百万円増加の3,373億4千3百万円となりました。利益剰余金が増加したことなどによるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前年度末から増減なく、67.3%となりました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前年度末に比べて334.21円増加の8,293.28円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)末における現金及び現金同等物は、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出が、営業活動によるキャッシュ・フローの収入を上回ったため、前連結会計年度末に比べて21億2千7百万円減少の342億1千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(以下、前年同期)の226億3千9百万円の収入に対し、当四半期累計期間は160億2百万円の収入となりました。税引前四半期利益や営業債務が増加した一方で、前年同期は販売数量減少などにより減少した営業債権が当四半期累計期間は販売価格上昇に伴い増加したことや棚卸資産が増加したこと、減損損失の計上がなかったことなどにより、前年同期に比べて66億3千7百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の163億4千2百万円の支出に対し、当四半期累計期間は118億5千2百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が減少したことなどにより、前年同期に比べて44億9千万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の44億4千2百万円の支出に対し、当四半期累計期間は65億2千9百万円の支出となりました。短期借入金が増加したものの、社債の償還があったことや長期借入金の返済による支出が増加したことなどにより、前年同期に比べて20億8千7百万円の支出の増加となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資及び研究開発投資に対応するものであり、これらを自己資金、金融機関からの短期・長期借入金により賄っております。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載については、「第4 経理の状況1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は72億3千8百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当第2四半期連結累計期間における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
基礎化学品事業 | 83,104 | 65.4 |
機能性化学品事業 | 88,340 | 31.9 |
環境・触媒事業 | 3,205 | 57.4 |
合計 | 174,649 | 46.5 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.生産実績が増加した主な要因は、国産ナフサや原料価格の上昇による価格の上昇があったことに加え、販売数量増加に伴い生産数量が増加したためであります。
②受注状況
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
③販売実績
当第2四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
基礎化学品事業 | 74,453 | 51.7 |
機能性化学品事業 | 93,984 | 31.5 |
環境・触媒事業 | 4,551 | 10.6 |
合計 | 172,988 | 38.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。