有価証券報告書-第112期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
(注)2024年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、基本的1株当たり当期利益を算定しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて207億4千1百万円増加の5,440億6千万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて156億2千6百万円増加しました。原料価格の下落などにより棚卸資産が減少したものの、当連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったこと等により現金及び現金同等物が増加したこと等によるものです。非流動資産は、前連結会計年度末に比べて51億1千5百万円増加しました。保有株式の時価上昇によりその他の金融資産が増加したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて18億2千3百万円減少の1,514億9千8百万円となりました。当連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったこと等により営業債務が増加したものの、借入金が減少したことや、課税所得の減少に伴い未払法人所得税が減少したこと等によるものです。
資本合計は、前連結会計年度末に比べて225億6千4百万円増加の3,925億6千2百万円となりました。為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の69.2%から70.5%へと1.3ポイント増加しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度末に比べて178.97円増加の2,482.45円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出および財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べて160億9千4百万円増加の551億2千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の414億4千7百万円の収入に対し、578億8千万円の収入となりました。税引前利益が前連結会計年度を下回ったものの、前連結会計年度は原料価格の上昇等により増加した棚卸資産が当連結会計年度は減少したことに加え、前連結会計年度は減少していた営業債務が当連結会計年度は金融機関の休日影響等で増加に転じたことなどにより、前連結会計年度に比べて164億3千3百万円の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の259億7千6百万円の支出に対し、156億8千4百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が減少したことや、投資有価証券の売却による収入が前連結会計年度を上回ったことにより、前連結会計年度に比べて102億9千1百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の173億2千1百万円の支出に対し、283億6千4百万円の支出となりました。長期借入金による調達の減少や短期借入金の純増減額等により、前連結会計年度に比べて110億4千4百万円の支出の増加となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績が減少した主な要因は、製品海外市況および原料価格の下落等により、販売価格が低下したためであります。
b.受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要性のある会計方針および見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性のある会計方針および見積りの詳細については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」および「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束により経済活動の正常化が一段と進む一方、ロシアによるウクライナ侵攻のさらなる深刻化や中東情勢の緊迫化、各国の政策金利引き上げによる金融不安等、先行き不透明な状況が継続し、各国の景気動向にはばらつきがみられました。
米国においては、実質賃金の上昇等を背景として個人消費に堅調な動きがみられました。欧州においては、金融引き締め等により個人消費が低調に推移し、また中国向け等の輸出が落ち込みました。中国においては、不動産市場の不振や輸出の停滞等により、景気の持ち直しに足踏みがみられました。アジア新興国においては、半導体需要の減少や中国経済の減速等により、輸出が落ち込みました。
日本経済は、企業収益の改善等が続く一方、賃上げ率を上回る物価上昇により、個人消費の持ち直しに足踏みがみられました。
化学工業界におきましては、原油価格や国産ナフサ価格が大きく変動する等、先行き不透明な状況が継続しました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の売上収益は、製品海外市況および原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少により、前連結会計年度に比べて275億5千9百万円減収(△6.6%)の3,920億9百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の下落等により販売費及び一般管理費が減少したものの、一部製品において販売価格の下落によりスプレッドが縮小したこと、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度において減少したこと等で、営業利益は、前連結会計年度に比べて69億6千6百万円減益(△29.6%)の165億6千2百万円となりました。
税引前利益は、営業利益の減益に加えて持分法による投資損益が減少したことにより、前連結会計年度に比べて104億3千1百万円減益(△39.9%)の157億4千4百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて83億8千4百万円減益(△43.2%)の110億8百万円となりました。
なお、ROA(資産合計税引前利益率)は、5.0%から2.9%へ2.1ポイント減少し、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は5.5%から3.0%へ2.5ポイント減少しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当連結会計年度末における当社グループの有利子負債の合計残高は、金融機関からの借入金の返済が進んだことにより、前連結会計年度末に比べて120億円減少し、456億1千2百万円となりました。なお、今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金につきましては自己資金および金融機関からの借入金により調達する予定であります。
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資、研究開発投資、借入金返済であり、これらを自己資金、金融機関からの借入金により賄っております。
当社グループにおける、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標およびその進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
マテリアルズ事業
アクリル酸およびアクリル酸エステルは、販売数量は増加したものの、製品海外市況や原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。
高吸水性樹脂は、販売数量は増加したものの、原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。
酸化エチレンは、販売価格が上昇したものの、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
特殊エステルは、製品海外市況の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少により、減収となりました。
無水マレイン酸は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
プロセス触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、マテリアルズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて7.2%減少の2,838億8百万円となりました。
営業利益は、海上輸送費の下落等による販売費及び一般管理費の減少等の増益要因があるものの、一部製品の海外市況の下落等によりスプレッドが縮小したことや、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度においては差損へ転じた等の減益要因により、前連結会計年度に比べて39.2%減少の127億3千2百万円となりました。
マテリアルズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて171億8百万円増加の3,507億3千4百万円となりました。主として、現金及び現金同等物が増加したことによるものです。
ソリューションズ事業
コンクリート混和剤用ポリマー、セカンダリーアルコールエトキシレート、洗剤原料等の水溶性ポリマーは、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
塗料用樹脂およびエチレンイミン誘導品は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
ヨウ素化合物は、販売数量が減少したものの、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
脱硝触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
電子情報材料は、製品販売構成により、増収となりました。
電池材料は、製品販売構成により、増収となりました。
以上の結果、ソリューションズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて5.0%減少の1,082億1百万円となりました。
営業利益は、生産・販売数量が減少したことや、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度において減少したこと等の減益要因があるものの、原料価格の下落等によりスプレッドが拡大したことに加えて、連結子会社である中日合成化學股份有限公司において土地の売却益13億6百万円を計上したこと等の増益要因があることから、前連結会計年度に比べて81.8%増加の27億3千2百万円となりました。
ソリューションズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて5億5千8百万円減少の1,434億1千1百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社および当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
(単位:百万円) |
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | ||
(金額) | (伸び率) | |||
売上収益 | 419,568 | 392,009 | △27,559 | △6.6% |
営業利益 | 23,528 | 16,562 | △6,966 | △29.6% |
税引前利益 | 26,175 | 15,744 | △10,431 | △39.9% |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 19,392 | 11,008 | △8,384 | △43.2% |
基本的1株当たり当期利益 | 122.07円 | 70.48円 | △51.59円 | △42.3% |
ROA(資産合計税引前利益率) | 5.0% | 2.9% | - | △2.1ポイント |
ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 5.5% | 3.0% | - | △2.5ポイント |
為替レート(USD、EUR) | 135.45円/USD | 144.65円/USD | 9.20円/USD | |
140.99円/EUR | 156.82円/EUR | 15.83円/EUR | ||
国産ナフサ価格 | 76,600円/kl | 69,100円/kl | △7,500円/kl |
(注)2024年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、基本的1株当たり当期利益を算定しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | ||||
事業別 | マテリアルズ | ソリュー ションズ | マテリアルズ | ソリュー ションズ | マテリアルズ | ソリュー ションズ |
売上収益 | 305,689 | 113,879 | 283,808 | 108,201 | △21,881 | △5,678 |
営業利益 | 20,949 | 1,503 | 12,732 | 2,732 | △8,217 | 1,229 |
当連結会計年度末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて207億4千1百万円増加の5,440億6千万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて156億2千6百万円増加しました。原料価格の下落などにより棚卸資産が減少したものの、当連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったこと等により現金及び現金同等物が増加したこと等によるものです。非流動資産は、前連結会計年度末に比べて51億1千5百万円増加しました。保有株式の時価上昇によりその他の金融資産が増加したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて18億2千3百万円減少の1,514億9千8百万円となりました。当連結会計年度の期末日が金融機関の休日であったこと等により営業債務が増加したものの、借入金が減少したことや、課税所得の減少に伴い未払法人所得税が減少したこと等によるものです。
資本合計は、前連結会計年度末に比べて225億6千4百万円増加の3,925億6千2百万円となりました。為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の69.2%から70.5%へと1.3ポイント増加しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度末に比べて178.97円増加の2,482.45円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出および財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べて160億9千4百万円増加の551億2千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の414億4千7百万円の収入に対し、578億8千万円の収入となりました。税引前利益が前連結会計年度を下回ったものの、前連結会計年度は原料価格の上昇等により増加した棚卸資産が当連結会計年度は減少したことに加え、前連結会計年度は減少していた営業債務が当連結会計年度は金融機関の休日影響等で増加に転じたことなどにより、前連結会計年度に比べて164億3千3百万円の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の259億7千6百万円の支出に対し、156億8千4百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が減少したことや、投資有価証券の売却による収入が前連結会計年度を上回ったことにより、前連結会計年度に比べて102億9千1百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の173億2千1百万円の支出に対し、283億6千4百万円の支出となりました。長期借入金による調達の減少や短期借入金の純増減額等により、前連結会計年度に比べて110億4千4百万円の支出の増加となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
マテリアルズ事業 | 270,551 | △7.8 |
ソリューションズ事業 | 97,059 | △10.0 |
合計 | 367,610 | △8.4 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績が減少した主な要因は、製品海外市況および原料価格の下落等により、販売価格が低下したためであります。
b.受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
マテリアルズ事業 | 283,808 | △7.2 |
ソリューションズ事業 | 108,201 | △5.0 |
合計 | 392,009 | △6.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要性のある会計方針および見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性のある会計方針および見積りの詳細については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」および「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束により経済活動の正常化が一段と進む一方、ロシアによるウクライナ侵攻のさらなる深刻化や中東情勢の緊迫化、各国の政策金利引き上げによる金融不安等、先行き不透明な状況が継続し、各国の景気動向にはばらつきがみられました。
米国においては、実質賃金の上昇等を背景として個人消費に堅調な動きがみられました。欧州においては、金融引き締め等により個人消費が低調に推移し、また中国向け等の輸出が落ち込みました。中国においては、不動産市場の不振や輸出の停滞等により、景気の持ち直しに足踏みがみられました。アジア新興国においては、半導体需要の減少や中国経済の減速等により、輸出が落ち込みました。
日本経済は、企業収益の改善等が続く一方、賃上げ率を上回る物価上昇により、個人消費の持ち直しに足踏みがみられました。
化学工業界におきましては、原油価格や国産ナフサ価格が大きく変動する等、先行き不透明な状況が継続しました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の売上収益は、製品海外市況および原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少により、前連結会計年度に比べて275億5千9百万円減収(△6.6%)の3,920億9百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の下落等により販売費及び一般管理費が減少したものの、一部製品において販売価格の下落によりスプレッドが縮小したこと、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度において減少したこと等で、営業利益は、前連結会計年度に比べて69億6千6百万円減益(△29.6%)の165億6千2百万円となりました。
税引前利益は、営業利益の減益に加えて持分法による投資損益が減少したことにより、前連結会計年度に比べて104億3千1百万円減益(△39.9%)の157億4千4百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて83億8千4百万円減益(△43.2%)の110億8百万円となりました。
なお、ROA(資産合計税引前利益率)は、5.0%から2.9%へ2.1ポイント減少し、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は5.5%から3.0%へ2.5ポイント減少しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当連結会計年度末における当社グループの有利子負債の合計残高は、金融機関からの借入金の返済が進んだことにより、前連結会計年度末に比べて120億円減少し、456億1千2百万円となりました。なお、今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金につきましては自己資金および金融機関からの借入金により調達する予定であります。
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資、研究開発投資、借入金返済であり、これらを自己資金、金融機関からの借入金により賄っております。
当社グループにおける、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標およびその進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
マテリアルズ事業
アクリル酸およびアクリル酸エステルは、販売数量は増加したものの、製品海外市況や原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。
高吸水性樹脂は、販売数量は増加したものの、原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことにより、減収となりました。
酸化エチレンは、販売価格が上昇したものの、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
特殊エステルは、製品海外市況の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少により、減収となりました。
無水マレイン酸は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
プロセス触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、マテリアルズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて7.2%減少の2,838億8百万円となりました。
営業利益は、海上輸送費の下落等による販売費及び一般管理費の減少等の増益要因があるものの、一部製品の海外市況の下落等によりスプレッドが縮小したことや、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度においては差損へ転じた等の減益要因により、前連結会計年度に比べて39.2%減少の127億3千2百万円となりました。
マテリアルズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて171億8百万円増加の3,507億3千4百万円となりました。主として、現金及び現金同等物が増加したことによるものです。
ソリューションズ事業
コンクリート混和剤用ポリマー、セカンダリーアルコールエトキシレート、洗剤原料等の水溶性ポリマーは、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
塗料用樹脂およびエチレンイミン誘導品は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
ヨウ素化合物は、販売数量が減少したものの、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
脱硝触媒は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
電子情報材料は、製品販売構成により、増収となりました。
電池材料は、製品販売構成により、増収となりました。
以上の結果、ソリューションズ事業の売上収益は、前連結会計年度に比べて5.0%減少の1,082億1百万円となりました。
営業利益は、生産・販売数量が減少したことや、前連結会計年度において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当連結会計年度において減少したこと等の減益要因があるものの、原料価格の下落等によりスプレッドが拡大したことに加えて、連結子会社である中日合成化學股份有限公司において土地の売却益13億6百万円を計上したこと等の増益要因があることから、前連結会計年度に比べて81.8%増加の27億3千2百万円となりました。
ソリューションズ事業の資産は、前連結会計年度末に比べて5億5千8百万円減少の1,434億1千1百万円となりました。