(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、米国、欧州では極めて厳しい状況にあり、中国では持ち直しの動きがみられるものの、アジア新興国では依然として厳しい状況にあるなかで推移しました。また、長期化する米中貿易摩擦による影響や原油情勢の動向など、先行きが不透明な状況が続きました。
日本経済は、生産や輸出が急速に減少し、企業の景況感が大きく悪化するなど、極めて厳しい状況にあるなかで推移しました。
化学工業界におきましては、経済活動の縮小により消費が落ち込み、需要が低迷するなど、事業環境が悪化するなかで推移しました。
このような状況のもと、当社グループの当四半期累計期間の売上収益は、新型コロナウイルス感染症や米中貿易摩擦の影響による世界景気の減速などを受けて、原料価格や製品海外市況の下落に伴い販売価格が低下したことや、販売数量が減少したことにより、前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)に比べて140億5千4百万円減収(△18.3%)の629億3千6百万円となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、特に自動車産業分野や建設分野で需要の落ち込みが見られ、また一部の国や地域でロックダウン措置が取られたことにより、一部製品の輸出取引が減少するなどの影響を受けました。
利益面につきましては、原料価格の下落に伴い、スプレッドは拡大しましたが、在庫評価差額などの加工費が増加したことや、販売数量の減少などにより、営業利益は、前年同期に比べて21億9千8百万円減益(△59.6%)の14億8千8百万円となりました。
税引前利益は、営業利益や持分法による投資利益の減少などにより、前年同期に比べて23億7千1百万円減益(△47.8%)の25億8千8百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて17億1百万円減益(△52.1%)の15億6千4百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①基礎化学品事業
アクリル酸及びアクリル酸エステルは、新型コロナウイルス感染症や米中貿易摩擦による世界景気の減速などを受けた、需要低迷による製品海外市況の下落やプロピレンなどの原料価格の下落に伴い、販売価格が低下したことに加え、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
酸化エチレンは、エチレンなどの原料価格の下落により販売価格が低下したことや、景気の減速に伴う需要低迷などで販売数量が減少したことにより、減収となりました。
エチレングリコールは、製品海外市況の下落などに伴い販売価格が低下したことや、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
セカンダリーアルコールエトキシレートは、拡販に努め販売数量を増加させましたが、原料価格の下落などに伴い販売価格が低下したことにより、減収となりました。
以上の結果、基礎化学品事業の売上収益は、前年同期に比べて23.0%減少の249億9千万円となりました。
営業利益は、原料価格の下落に伴いスプレッドは拡大しましたが、在庫評価差額などの加工費が増加したことや、生産・販売数量が減少したことなどにより、前年同期に比べて89.1%減少の2億4千6百万円となりました。
②機能性化学品事業
高吸水性樹脂は、拡販に努め販売数量を増加させましたが、プロピレンなどの原料価格や製品海外市況の下落に伴い販売価格が低下したことなどにより、減収となりました。
特殊エステルは、新型コロナウイルス感染症などによる世界景気の減速により需要が低迷し、販売数量が減少したことや、製品海外市況の下落などに伴い販売価格が低下したことにより、減収となりました。
洗剤原料などの水溶性ポリマーは、拡販に努め販売数量を増加させたことなどにより、増収となりました。
エチレンイミン誘導品、コンクリート混和剤用ポリマー、電子情報材料、ヨウ素化合物、塗料用樹脂、樹脂改質剤及び粘着加工品は、需要低迷などで販売数量が減少したことなどにより、減収となりました。
無水マレイン酸は、需要低迷などにより販売数量が減少したことや、原料価格の下落などにより販売価格が低下したことにより、減収となりました。
以上の結果、機能性化学品事業の売上収益は、前年同期に比べて15.4%減少の355億2千7百万円となりました。
営業利益は、原料価格の下落によりスプレッドが拡大しましたが、在庫評価差額などの加工費が増加したことや、生産・販売数量が減少したことなどにより、前年同期に比べて10.0%減少の9億7千5百万円となりました。
③環境・触媒事業
プロセス触媒及び脱硝触媒は、販売数量が減少したことなどにより、減収となりました。
燃料電池材料、リチウム電池材料、湿式酸化触媒及び排ガス処理触媒は、拡販に努め販売数量を増加させたことなどにより、増収となりました。
以上の結果、環境・触媒事業の売上収益は、前年同期に比べて5.3%減少の24億1千8百万円となりました。
営業利益は、一部製品の販売数量が増加したことなどにより、前年同期に比べて117.0%増加の2億円となりました。
当第1四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下、前年度末)に比べて94億3千4百万円減少の4,662億6百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べて126億3千9百万円減少しました。販売数量が減少したことや、原料価格や製品海外市況の下落に伴い販売価格が低下したことなどから、営業債権が減少したことなどによるものです。非流動資産は、前年度末に比べて32億5百万円増加しました。保有株式の時価の上昇によりその他の金融資産が増加したことなどによるものです。
負債合計は、前年度末に比べて91億3千万円減少の1,404億2百万円となりました。原料価格が下落したことや、購入数量が減少したことなどから、営業債務が減少したことなどによるものです。
資本合計は、前年度末に比べて3億4百万円減少の3,258億4百万円となりました。その他の資本の構成要素が増加したものの、配当金の支払いなどから、利益剰余金が減少したことなどによるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前年度末の67.2%から68.5%へと1.3ポイント増加しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前年度末に比べて7.12円減少の8,010.05円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)末における現金及び現金同等物は、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出が、営業活動によるキャッシュ・フローの収入を上回ったため、前連結会計年度末に比べて3億9千3百万円減少の434億7千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間(以下、前年同期)の162億2千8百万円の収入に対し、当四半期累計期間は125億8千7百万円の収入となりました。主に税引前四半期利益が減少したことにより、前年同期に比べて36億4千1百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の81億7千7百万円の支出に対し、当四半期累計期間は96億8千7百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前年同期に比べて15億1千1百万円の支出の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の50億8千9百万円の支出に対し、当四半期累計期間は31億5千2百万円の支出となりました。設備投資のため長期借入れによる収入が増加したことなどにより、前年同期に比べて19億3千7百万円の支出の減少となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資及び研究開発投資に対応するものであり、これらを自己資金、金融機関からの短期・長期借入金や社債により賄っております。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載については、「第4 経理の状況1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業理念・経営理念及び社是の元、長期ビジョン・目標「人の暮らしに新たな価値を提供する革新的な化学会社」の実現を目指し、2014年4月にスタートさせた長期経営計画「新生日本触媒2020」と、また、2017年度からの具体的な行動計画である後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」に取り組んでおります。後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」は、長期経営計画「新生日本触媒2020」で定めた『2025年のありたい姿』及び『2020年のあるべき姿』を達成するための具体的な行動計画です。「新生日本触媒2020 NEXT」においては、『2025年のありたい姿』に向けた具体的な到達点として、『2020年のあるべき姿』を設定しておりました。
なお、新型コロナウイルス感染症や米中貿易摩擦の影響による世界景気の減速などを受けて、当社グループの連結業績予想値を下記に見直しております。
| 売上収益 | 税引前利益 | ROA (資産合計税引前利益率) |
2020年度連結業績予想※ | 2,700億円 | 100億円 | 2.1% |
※当四半期連結会計期間末において、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は36億4千1百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当第1四半期連結累計期間における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
基礎化学品事業 | 25,951 | △25.4 |
機能性化学品事業 | 37,755 | △6.4 |
環境・触媒事業 | 1,750 | 0.2 |
合計 | 65,456 | △14.8 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.生産実績が減少した主な要因は、ナフサや原料価格の下落による価格の下落及び、販売数量減少に伴い生産数量が減少したためであります。
②受注状況
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
③販売実績
当第1四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
基礎化学品事業 | 24,990 | △23.0 |
機能性化学品事業 | 35,527 | △15.4 |
環境・触媒事業 | 2,418 | △5.3 |
合計 | 62,936 | △18.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。