四半期報告書-第110期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/09 15:57
【資料】
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【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しの動きが続き、景気回復の程度は国や産業により異なるものの、経済活動の再開が進められるなかで推移しました。米国では景気が着実に持ち直しているものの、欧州では感染再拡大や、天然ガスなどの原燃料の高騰を受けて持ち直しの動きは鈍化しております。中国では電力不足が緩和したことなどで景気の持ち直しの動きが改善し、アジア新興国でも景気の持ち直しの動きがみられました。
日本経済は、設備投資には足踏みがみられるものの、輸出は増加傾向が続き、個人消費や生産活動も持ち直しているほか、企業収益は総じて改善の動きがみられました。一方、足元ではオミクロン株感染拡大に伴うまん延防止等重点措置の影響による景気下押しが懸念されております。
化学工業界におきましては、需要は回復傾向にあり稼働率も上昇するなど、持ち直しの動きがみられました。世界的な景気回復に伴う需要増加などにより原油価格が上昇し、国産ナフサ価格が上昇しました。また、景気回復に伴い海運需給が逼迫し、海上輸送費が上昇しました。
このような状況のもと、当社グループの当四半期累計期間の売上収益は、原料価格の上昇や製品海外市況の上昇に伴い販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)に比べて743億5千2百万円増収(38.0%)の2,698億1千3百万円となりました。
利益面につきましては、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、生産・販売数量の増加や、一部製品の海外市況の上昇によるスプレッドの拡大、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、加えて、前期に計上したニッポンショクバイ・ヨーロッパN.V.(以下、NSE)の固定資産に対する減損損失17億9千5百万円がなくなったため、営業利益は、前年同期に比べて224億4百万円増益の238億8千9百万円となりました。
税引前四半期利益は、営業利益や持分法による投資利益の増加などにより、前年同期に比べて238億8千5百万円増益の275億1千4百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に比べて177億9千7百万円増益の193億3千6百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①基礎化学品事業
アクリル酸及びアクリル酸エステルは、原料価格の上昇や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
酸化エチレンは、原料価格の上昇により販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
エチレングリコールは、販売数量が減少しましたが、製品海外市況の上昇による販売価格の上昇などにより、増収となりました。
セカンダリーアルコールエトキシレートは、販売数量が増加したことや、原料価格の上昇などに伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
以上の結果、基礎化学品事業の売上収益は、前年同期に比べて49.2%増加の1,165億1千6百万円となりました。
営業利益は、製品海外市況の上昇によるスプレッドの拡大や、生産・販売数量の増加、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、前年同期に比べて147億1千3百万円増益の170億7千7百万円となりました。
②機能性化学品事業
高吸水性樹脂は、原料価格や製品海外市況の上昇に伴う販売価格の上昇や、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
特殊エステルは、製品海外市況の上昇などに伴い販売価格が上昇したことや、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
コンクリート混和剤用ポリマー、洗剤原料などの水溶性ポリマー、エチレンイミン誘導品、塗料用樹脂及びヨウ素化合物は、販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
樹脂改質剤及び無水マレイン酸は、原料価格の上昇などに伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
粘着加工品及び電子情報材料は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、機能性化学品事業の売上収益は、前年同期に比べて31.5%増加の1,466億5千5百万円となりました。
営業利益は、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、生産・販売数量の増加や、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などが増益要因となり、加えて、前期に計上したNSEの固定資産に対する減損損失がなくなったため、前年同期に比べて66億5千1百万円増益の72億7百万円となりました。
③環境・触媒事業
プロセス触媒、脱硝触媒及び燃料電池材料は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
リチウム電池材料は、販売価格が下落したことにより、減収となりました。
湿式酸化触媒は、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
以上の結果、環境・触媒事業の売上収益は、前年同期に比べて13.8%増加の66億4千2百万円となりました。
営業利益は、在庫評価差額の影響や、一部製品の生産・販売数量の減少などが減益要因となり、前年同期に比べて11億6千7百万円減益の△11億4百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は、次のとおりとなりました。
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下、前年度末)に比べて406億8千1百万円増加の5,122億9千8百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べて419億4千7百万円増加しました。原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことから営業債権が増加したこと、原料価格の上昇や定期修繕工事に向けた在庫の積み増しなどにより棚卸資産が増加したことなどによるものです。非流動資産は、前年度末に比べて12億6千6百万円減少しました。持分法による投資利益を計上したことにより持分法で会計処理されている投資が増加したものの、減価償却の進捗により有形固定資産が減少したことなどによるものです。
負債合計は、前年度末に比べて233億8千4百万円増加の1,712億7千5百万円となりました。原料価格の上昇や、当四半期連結会計期間の期末日が金融機関の休日であったことなどにより営業債務が増加したことなどによるものです。
資本合計は、前年度末に比べて172億9千7百万円増加の3,410億2千3百万円となりました。利益剰余金が増加したことなどによるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前年度末の67.3%から65.2%へと2.1ポイント減少しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前年度末に比べて420.46円増加の8,379.53円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間(以下、当四半期累計期間)末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べて74億2千8百万円増加の437億6千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前第3四半期連結累計期間(以下、前年同期)の304億4千9百万円の収入に対し、当四半期累計期間は284億1百万円の収入となりました。税引前四半期利益や営業債務が増加したものの、営業債権が販売価格上昇に伴い増加したことや、原料価格の上昇により棚卸資産が増加したこと、減損損失の計上がなかったことなどにより、前年同期に比べて20億4千8百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の234億9千6百万円の支出に対し、当四半期累計期間は172億5千3百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出が減少したことなどにより、前年同期に比べて62億4千3百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の115億7千9百万円の支出に対し、当四半期累計期間は43億9千万円の支出となりました。当四半期累計期間において社債の償還があったことに加え、長期借入金の返済による支出が増加したものの、短期借入金が増加したことなどにより、前年同期に比べて71億8千9百万円の支出の減少となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資及び研究開発投資に対応するものであり、これらを自己資金、金融機関からの短期・長期借入金により賄っております。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載については、「第4 経理の状況1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は110億6千1百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当第3四半期連結累計期間における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
基礎化学品事業126,04055.6
機能性化学品事業134,05127.8
環境・触媒事業5,13138.2
合計265,22339.9

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.生産実績が増加した主な要因は、国産ナフサや原料価格の上昇による価格の上昇があったことに加
え、販売数量増加に伴い生産数量が増加したためであります。
②受注状況
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
③販売実績
当第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
基礎化学品事業116,51649.2
機能性化学品事業146,65531.5
環境・触媒事業6,64213.8
合計269,81338.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。