有価証券報告書-第24期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、当社グループは、当連結会計年度から従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容
①全般的状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に伴う活動制限等の影響により厳しい状況が継続しました。活動制限の解除後は景気持ち直しの動きがみられたものの、感染が再拡大した国・地域では活動制限が繰り返し実施されました。
日本経済においても、製造業を中心に景気持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症が再度拡大し、政府による緊急事態宣言が数度に亘り発令されるなど、先行きへの不透明感が続いております。
一方、化学工業界においては、新型コロナウイルス感染症流行により一時的に厳しい状況にありましたが、景気持ち直しの動きとともに、国内のナフサクラッカーの稼働率は回復傾向にあります。
このような情勢のもとでも、当社グループは、成長3領域の「モビリティ」、「ヘルスケア」、「フード&パッケージング」の拡大・成長、「次世代事業」の創出・育成、「基盤素材」領域の更なる競争力強化に取り組みました。
モビリティ領域では、自動車業界において燃費向上ニーズや電動化へのシフトに加え、軽量化・快適性の向上といった多様化したニーズが生まれています。自動車の軽量化に貢献するポリプロピレン・コンパウンドでは、欧州初の自社ポリプロピレン・コンパウンド拠点が営業運転を開始すると共に、成長するアジア需要獲得に向け、タイ拠点の生産設備増強も行いました。自動車の省燃費や長寿命に貢献するギアオイル用の添加剤「ルーカント®」は、拡大する世界需要に対応するべく、市原工場に新プラントを完工しました。ICT(情報通信技術)産業においては、主にスマートフォンカメラレンズに用いられる「アペル®」は、需要の急拡大に対応すべく、大阪工場において新プラント建設に着手しました。
ヘルスケア領域では、先進国の少子高齢化や新興国の経済成長に加え、足下の新型コロナウイルス感染症への対策など、健康への関心が増大しています。不織布においては、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、医療従事者支援や旺盛なマスク需要に応えるため、子会社であるサンレックス工業株式会社において、医療用ガウン用の不織布の生産体制を確立するとともに、マスク用ノーズクランプ「テクノロート®」の生産設備増強を行いました。世界トップシェアのメガネレンズ材料では、超撥水・反射防止コート材の製造・販売・研究を行うCOTEC GmbHを買収し、製品ラインナップの拡充を図りました。また、歯科材料では、市場における存在感を高め、企業価値の向上を図るべく、歯科材料・機器の総合メーカーである株式会社松風と資本業務提携契約を締結しました。
フード&パッケージング領域では、世界の人口増加や気候変動などに伴い食料の確保が社会課題となっています。また、アジアの生活水準向上によって、パッケージング分野での高機能化や環境負荷低減といったニーズが高まっています。機能性フィルム・シートにおいては、半導体製造工程用の保護テープとして世界トップシェアを有する「イクロステープ®」の設備増強を決定しました。農薬においては、新規原体「テネベナール®」を有効成分とする殺虫剤「ブロフレア®SC」が日本における農薬登録を取得しました。農作物生産で問題となる薬剤抵抗性害虫の対策に貢献してまいります。
石化・基礎化学品を中心とする基盤素材領域では、自動車、住宅、家電、インフラ、包装をはじめ、様々な分野に素材を提供しています。また、全社の戦略基盤として位置づけ、競争力強化のため、ダウンフロー強化・拡大及び最適化・再構築を進めております。当連結会計年度はクラッカーにおける原料多様化によるコスト低減やガスタービン新設によるエネルギー効率の向上等、一層の合理化を図ると共に、ダウンフロー強化のため、ICT、モビリティ、ヘルスケアに関連する高機能モノマー領域で様々な高い技術を有している本州化学工業株式会社の連結子会社化を目的とする株式公開買付けを行うことを決定しました。
また、当社においては新型コロナウイルス感染症拡大に対して、引き続きグループ全体に亘る在庫の圧縮及び固定費の一層の削減等を行い、業績への悪影響を最小限に留める努力を行っております。
これらの取組みにより、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
| 売上収益 | コア営業利益 | 営業利益 | 親会社の所有者に 帰属する当期利益 | |
| 当連結会計年度(億円) | 12,117 | 851 | 781 | 579 |
| 前連結会計年度(億円) | 13,495 | 723 | 646 | 340 |
| 増減率(%) | △10.2 | 17.7 | 20.9 | 70.4 |
売上収益は、前連結会計年度に比べ1,378億円減(10.2%減)の1兆2,117億円となりました。これは、ナフサなどの原燃料価格の下落に伴う販売価格下落の影響等があったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響等により販売数量が減少したことなどによるものです。
海外売上収益は6,557億円となり、売上収益全体に占める割合は前連結会計年度に比べ3.5ポイント増の54.1%となりました。

コア営業利益は、前連結会計年度に比べ128億円増(17.7%増)の851億円となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響等による販売数量の減少があったものの、交易条件の改善や固定費の減少があったことなどによるものです。
なお、当連結会計年度の為替レートは106円/$、国産ナフサ価格は31,300円/KLとなりました。
営業利益は、前連結会計年度に比べ135億円増(20.9%増)の781億円となりました。これは、主にコア営業利益の増加などによるものです。
金融収益・費用は、配当金の受取額が減少したことなどにより、1億円増の39億円の損失となりました。
以上により、税引前利益は、前連結会計年度に比べ134億円増(22.1%増)の742億円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ239億円増(70.4%増)の579億円となり、基本的1株当たり当期利益は298.00円となりました。
②セグメント別の状況
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(モビリティ)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ524億円減の3,155億円、売上収益全体に占める割合は26%となりました。また、コア営業利益は、主に自動車向けの需要鈍化等により、前連結会計年度に比べ129億円減の302億円となりました。以上により、セグメント全体では、減収・減益となりました。
エラストマー、機能性コンパウンド、海外ポリプロピレン・コンパウンド及びソリューション事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、販売が減少しました。
機能性ポリマーは、ICT関連需要に的確に対応し、販売が堅調に推移しました。
(ヘルスケア)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ7億円増の1,439億円、売上収益全体に占める割合は12%となりました。また、コア営業利益は、主に不織布の販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ67億円増の199億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。
ビジョンケア材料のメガネレンズ用材料は、販売が堅調に推移しました。
不織布は、マスク、医療用ガウン及びおむつ向けの販売が堅調に推移しました。
歯科材料は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、販売が減少しました。
(フード&パッケージング)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ36億円減の1,977億円、売上収益全体に占める割合は16%となりました。一方、コア営業利益は、主に農薬及び産業用フィルム分野における販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ50億円増の220億円となりました。以上により、セグメント全体では、減収・増益となりました。
コーティング・機能材は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、販売が減少しました。
機能性フィルム・シートは、産業用フィルム分野における販売が堅調に推移しました。
農薬は、海外の販売が堅調に推移しました。
(基盤素材)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ781億円減の5,414億円、売上収益全体に占める割合は45%となりました。一方、コア営業利益は、海外市況の影響等により、前連結会計年度に比べ102億円増の196億円となりました。以上により、セグメント全体では、減収・増益となりました。
ナフサクラッカーの稼働率は、新型コロナウイルス感染症拡大に起因する川下製品の需要減少の影響を受け、前連結会計年度に比べ低下しました。また、ポリプロピレンは、主に自動車用途で需要鈍化の影響を受けました。
ビスフェノールA及びアセトンの海外市況は、前連結会計年度を上回る水準で推移しました。
(その他)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ44億円減の132億円、売上収益全体に占める割合は1%となりました。一方、コア営業損失は、前連結会計年度に比べ18億円減の11億円となりました。
売上収益とコア営業利益のセグメント別増減内訳はそれぞれ以下のとおりであります。
(売上収益)
| (単位:億円) |
| 第23期 | 第24期 | 増減 | |||
| 計 | 数量差 | 価格差 | |||
| モビリティ | 3,679 | 3,155 | △524 | △431 | △93 |
| ヘルスケア | 1,432 | 1,439 | 7 | 2 | 5 |
| フード&パッケージング | 2,013 | 1,977 | △36 | 53 | △89 |
| 基盤素材 | 6,195 | 5,414 | △781 | △42 | △739 |
| その他 | 176 | 132 | △44 | - | △44 |
| 消去又は全社 | - | - | - | - | - |
| 合計 | 13,495 | 12,117 | △1,378 | △418 | △960 |
(コア営業利益)
| (単位:億円) |
| 第23期 | 第24期 | 増減 | ||||
| 計 | 数量差 | 交易条件 | 固定費差他 | |||
| モビリティ | 431 | 302 | △129 | △126 | 0 | △3 |
| ヘルスケア | 132 | 199 | 67 | 5 | 3 | 59 |
| フード&パッケージング | 170 | 220 | 50 | 23 | 20 | 7 |
| 基盤素材 | 94 | 196 | 102 | △41 | 175 | △32 |
| その他 | △29 | △11 | 18 | - | - | 18 |
| 消去又は全社 | △75 | △55 | 20 | - | - | 20 |
| 合計 | 723 | 851 | 128 | △139 | 198 | 69 |
(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差)
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下のとおりであります。なお、当社グループは、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング及び基盤素材の各セグメントにおいて、多種多様な製品を取り扱っており、それぞれの製品によって経営成績に影響を与える要因及びその程度は異なります。
a 売上収益について
売上収益は、販売数量及び販売価格等により変動します。
販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。
販売価格については、主にナフサ等の原燃料価格の変動の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。
b コア営業利益について
コア営業利益は、販売数量、交易条件及び固定費等により変動します。
販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。
交易条件については、主にナフサ等の原燃料価格の変動、原燃料価格の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。
固定費については、主に生産設備の新増設、研究開発の状況等の要因によって影響を受ける可能性があります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産実績及び受注実績については、「(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ②セグメント別の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しております。
b 販売実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 | 前年同期比(%) |
| モビリティ(百万円) | 315,480 | △14.3 |
| ヘルスケア(百万円) | 143,933 | 0.5 |
| フード&パッケージング(百万円) | 197,700 | △1.8 |
| 基盤素材(百万円) | 541,382 | △12.6 |
| 報告セグメント計(百万円) | 1,198,495 | △10.0 |
| その他(百万円) | 13,230 | △25.0 |
| 合計(百万円) | 1,211,725 | △10.2 |
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 自 2019年4月1日 至 2020年3月31日 | 当連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 三井物産㈱ | 225,225 | 16.8 | 229,470 | 18.9 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の概況、認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ276億円増の1兆5,581億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ448億円減の8,760億円となりました。また、有利子負債は356億円減の5,638億円となりました。この結果、資産合計に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ3.0ポイント減の36.2%となりました。
| 第20期 | 第21期 | 第22期 | 第23期 | 第24期 | |
| 有利子負債残高(億円) | 4,399 | 4,637 | 4,850 | 5,994 | 5,638 |
| 有利子負債比率(%) | 33.2 | 32.4 | 32.3 | 39.2 | 36.2 |
※第22期以前の指標については日本基準の値を記載しております。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ724億円増の6,821億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ4.4ポイント増の39.0%となりました。
以上により、当連結会計年度末のネットD/Eレシオ(ネット有利子負債(有利子負債-現預金・長期性預金)/親会社の所有者に帰属する持分)は、前連結会計年度末に比べ0.21ポイント減の0.60となりました。
ネットD/Eレシオの推移は以下のとおりであります。

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
①キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前結会計年度末に比べ314億円増加し、当結会計年度末には1,960億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ321億円増の1,743億円となりました。これは主に、税引前利益の増加や法人所得税の支払が減少したことなどによるものです。
この結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の4.2から3.2に減少し、インタレスト・カバレッジ・レシオは25.5倍から37.1倍に増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ316億円減の775億円となりました。これは主に、設備投資による支出が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ626億円増の690億円となりました。これは主に、有利子負債の返済額が増加したことなどによるものです。
なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。
| 第20期 | 第21期 | 第22期 | 第23期 | 第24期 | |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 33.9 | 35.7 | 36.8 | 34.6 | 39.0 |
| 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) | 41.5 | 46.6 | 34.7 | 25.6 | 44.0 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 4.4 | 5.6 | 4.4 | 4.2 | 3.2 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 17.3 | 14.8 | 19.9 | 25.5 | 37.1 |
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※第22期以前の指標については日本基準の値を記載しております。
キャッシュ・フローの推移は以下のとおりであります。

②資金の調達について
当社グループの資金調達については、
1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。
2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。
3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。
を基本的な考え方として実施しております。
また、子会社(日米欧、中国、シンガポール)の資金調達については、原則として、当社及び地域統括会社を通じたグループファイナンスを行うことにより、グループ全体での有利子負債削減と資金効率の向上に努めております。
③資金の流動性について
資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。
④資本政策のための基本方針
当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図っております。投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。一方資本コスト低減に向けては、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでおります。
このうち、最適資本構成については、財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追及しております。足下のネットD/Eレシオの状況は財政状態に記載のとおり低下しており、営業キャッシュ・フローも高水準な状況が継続しております。
今後につきましては、現状の財政状態の水準を維持しつつ、積極投資を継続して事業の成長・拡大による更なる企業価値の向上を推進してまいります。
一方で、当社は株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。翌連結会計年度以降の株主還元方針としては、業績の動向を踏まえながら、安定的かつ継続的な配当の実現と、機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、株主還元の充実を図ることといたします。

(4) 目標とする経営指標の達成状況等
2025年度長期経営目標に対する2020年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
| 当連結会計年度(計画) | 当連結会計年度 (実績) | 当連結会計年度 (計画比) | 2025年度長期経営目標 | |
| コア営業利益 | 350億円 | 851億円 | 501億円増 (143.3%増) | 2,000億円 |
| 売上収益 | 11,450億円 | 12,117億円 | 667億円増 (5.8%増) | 20,000億円 |
| 売上収益コア営業利益率 (ROS) | 3.1% | 7.0% | 3.9ポイント増 | 10% |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率 (ROE) | 3.7% | 10.2% | 6.5ポイント増 | 10%以上 |
| Net D/E | 0.80 | 0.60 | 0.20ポイント減 | 0.8以下 |
| 投下資本利益率 (ROIC) | 2.0% | 5.0% | 3.0ポイント増 | 8%以上 |
| 総還元性向 | 30%以上 | 33.9% | 3.9%増 | 30%以上 |
なお、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載したとおり、当社は新たに2030年度に向けた長期経営計画を策定し、2021年6月2日に公表しております。
主要な経営目標としては、「コア営業利益2,500億円」「ROIC8.0%以上」「ROE10.0%以上」を掲げており、株主還元方針として「DOE3.0%以上」を追加しております。
(5) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
①要約連結貸借対照表(日本基準)
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (2020年3月31日) | 当連結会計年度 (2021年3月31日) | |
| 資産の部 | ||
| 流動資産 | 781,347 | 778,825 |
| 固定資産 | ||
| 有形固定資産 | 485,531 | 492,068 |
| 無形固定資産 | 28,941 | 23,336 |
| 投資その他の資産 | 184,248 | 193,952 |
| 固定資産合計 | 698,720 | 709,356 |
| 資産合計 | 1,480,067 | 1,488,181 |
| 負債の部 | ||
| 流動負債 | 478,498 | 458,407 |
| 固定負債 | 393,548 | 375,708 |
| 負債合計 | 872,046 | 834,115 |
| 純資産の部 | ||
| 株主資本 | 541,888 | 588,484 |
| その他の包括利益累計額 | △14,299 | △7,012 |
| 非支配株主持分 | 80,432 | 72,594 |
| 純資産合計 | 608,021 | 654,066 |
| 負債純資産合計 | 1,480,067 | 1,488,181 |
②要約連結損益計算書及び連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 売上高 | 1,338,987 | 1,204,804 |
| 売上原価 | 1,041,840 | 916,435 |
| 売上総利益 | 297,147 | 288,369 |
| 販売費および一般管理費 | 225,511 | 210,530 |
| 営業利益 | 71,636 | 77,839 |
| 営業外収益 | 12,274 | 8,884 |
| 営業外費用 | 18,393 | 11,279 |
| 経常利益 | 65,517 | 75,444 |
| 特別利益 | 24,804 | 5,209 |
| 特別損失 | 21,861 | 11,801 |
| 税金等調整前当期純利益 | 68,460 | 68,852 |
| 法人税等 | 22,171 | 6,603 |
| 当期純利益 | 46,289 | 62,249 |
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | 8,345 | 6,209 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 37,944 | 56,040 |
要約連結包括利益計算書
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 当期純利益 | 46,289 | 62,249 |
| その他の包括利益 | △34,343 | 48,526 |
| 包括利益 | 11,946 | 110,775 |
| (内訳) | ||
| 親会社株主に帰属する包括利益 | 7,271 | 103,498 |
| 非支配株主に帰属する包括利益 | 4,675 | 7,277 |
③要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
| (単位:百万円) | ||||
| 株主資本 | その他の包括利益 累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
| 当期首残高 | 532,944 | 18,971 | 79,824 | 631,739 |
| 会計方針の変更による累積的影響額 | △307 | - | - | △307 |
| 会計方針の変更を反映した当期首残高 | 532,632 | 18,971 | 79,824 | 631,432 |
| 当期変動額 | 9,251 | △33,270 | 608 | △23,411 |
| 当期末残高 | 541,888 | △14,299 | 80,432 | 608,021 |
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
| (単位:百万円) | ||||
| 株主資本 | その他の包括利益 累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
| 当期首残高 | 541,888 | △14,299 | 80,432 | 608,021 |
| 当期変動額 | 46,596 | 7,287 | △7,838 | 46,045 |
| 当期末残高 | 588,484 | △7,012 | 72,594 | 654,066 |
④要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 114,974 | 165,233 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △85,168 | △60,357 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 9,050 | △87,351 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額等 | △1,423 | 3,604 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 37,433 | 21,129 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 109,839 | 147,272 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 147,272 | 168,401 |
⑤連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(会計方針の変更)
収益認識に関する会計基準等の適用
当社及び国内連結子会社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日。以下「収益認識会計基準」という。)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号」 2018年3月30日)が2018年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用できることになったことに伴い、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することとしました。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。
この変更が、利益剰余金の当期首残高、当連結会計年度の損益及び1株当たり情報に与える影響は軽微であります。
IFRS第16号「リース」及びASC Topic842「リース」の適用
国際財務報告基準及び米国基準を適用している在外連結子会社は、当連結会計年度より、国際財務報告基準第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という。)及びASC Topic842「リース」を適用しております。これにより、リースの借手は、原則としてすべてのリースを貸借対照表に資産及び負債として計上することとしました。IFRS第16号等の適用については、経過措置として認められている累積的影響を適用開始日に認識する方法を採用しました。
この結果、当連結会計年度の有形固定資産の「その他(純額)」が20,793百万円増加し、流動負債の「その他」が2,796百万円及び固定負債の「リース債務」が17,712百万円増加しております。なお、従来「営業活動によるキャッシュ・フロー」に表示していたオペレーティング・リースに係るリース料の支払は、「財務活動によるキャッシュ・フロー」で表示しております。また、当連結会計年度の損益及び1株当たり情報に与える影響は軽微であり、利益剰余金の当期首残高に与える影響はありません。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
該当事項はありません。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.初度適用」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(連結の範囲)
日本基準では重要性が乏しいため持分法を適用していた一部の子会社について、IFRSでは連結範囲に含めております。また、日本基準では持分法適用関連会社としていた一部の会社について、IFRSではジョイント・オペレーションとして認識しております。
(のれんの償却)
日本基準では一定期間でのれんの償却を行っておりましたが、IFRSではのれんの償却を行っていないため、IFRSでは日本基準と比べて「販売費及び一般管理費」が605百万円減少し、「持分法による投資利益」が1,464百万円増加しております。
(リース)
日本基準ではオペレーティング・リースとして認識していたリース契約について、IFRSでは使用権資産として認識しているため、IFRSでは日本基準と比べて「使用権資産」が24,813百万円、「その他の金融負債」(流動負債)が5,393百万円、「その他の金融負債」(非流動負債)が22,201百万円増加しております。
(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。また、当社は連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定を適用しております。連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。