有価証券報告書-第138期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/25 15:33
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
当社グループは、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況及び関連する指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っている。
なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。連結財務諸表の作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載している。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告額に影響を与える見積りが必要となる。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
(2) 経営成績の概要及び分析
当連結会計年度の世界経済は、先行き不透明感による景気下押し圧力が続く中、好調な米国の下支えもあり、全体としては緩やかな回復が続いたが、年度後半には貿易摩擦の激化や中国の減速が顕著となり成長テンポが鈍化した。国内経済については、年度末にかけて輸出や生産に弱さがみられたものの、企業部門、家計部門とも総じて底堅く推移し、緩やかな景気回復が続いた。
また、原燃料価格の上昇は当社グループ収益の下押し要因となった。
このような事業環境の中で、当社グループは2017年度から、2019年度までの3ヵ年を期間とする中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”に取り組んでおり、「成長分野での事業拡大」、「成長国・地域での事業拡大」、「競争力強化」を要とした成長戦略を実行している。
(業績指標)
(単位:億円)
2017年度実績2018年度実績2019年度見通し“プロジェクト
AP-G2019”
2019年度目標
売上高22,04923,88825,30027,000
営業利益1,5651,4151,6002,500
営業利益率7.1%5.9%6.3%9%
ROA6.3%5.3%約6%約9%
ROE9.1%7.1%約8%約12%

当連結会計年度の売上高は、ライフサイエンス事業を除くすべてのセグメントで増収となり、前連結会計年度比1,840億円(8.3%)増収の2兆3,888億円で過去最高となった。営業利益は、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業を中心に減益となり、前連結会計年度比150億円(9.6%)減益の1,415億円となった。
営業利益の前連結会計年度比増減要因を分析すると、販売・生産数量の増加による増益279億円があった一方で、原料価格上昇や費用の増加などによる減益△429億円があり、差し引き150億円の減益となった。
営業外損益は、休止設備関連費用が増加したことなどにより、前連結会計年度比28億円の減益となり、経常利益は同178億円(11.7%)減益の1,345億円となった。
特別利益は有形固定資産売却益が増加したことを主因に前連結会計年度比178億円増の223億円、特別損失は減損損失が増加したことを主因に同92億円増の294億円となり、税金等調整前当期純利益は同92億円(6.7%)減益の1,274億円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比165億円(17.2%)減益の794億円となった。自己資本利益率は、7.1%と前連結会計年度比1.9ポイント悪化した。
2019年度の見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境及び対処すべき課題等」で記載した厳しい事業環境の中、グリーンイノベーションやライフイノベーションなどの成長分野を中心に事業拡大を進めることを踏まえ、連結売上高2兆5,300億円、営業利益1,600億円、経常利益1,550億円、親会社株主に帰属する当期純利益930億円としている。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績は、次のとおりである。
(繊維事業)
国内では、自動車関連など産業用途は総じて需要が堅調なものの、衣料用途は天候不順の影響もあり荷動きは低調に推移する中、各用途での拡販に加え、糸綿/テキスタイル/製品一貫型ビジネスの拡大を進めるとともに、事業体質強化に注力した。
海外では、東南アジアなどの一部子会社の業績が低調であったほか、中国経済の減速により、年度後半から自動車関連用途向けなどで需要減速の影響を受けた。衣料用途では一貫型ビジネスの拡大を進めた。
また、国内外とも全般的に原料価格上昇の影響を受けた。
以上の結果、繊維事業全体では、売上高は前連結会計年度比6.6%増の9,743億円、営業利益は同0.6%増の729億円となった。
主要な製品の生産規模は、ナイロン糸が前連結会計年度比1.3%減の約468億円(販売価格ベース)、ポリエステル糸が同0.6%増の約598億円(販売価格ベース)、ポリエステルステープルが同7.0%増の約630億円(販売価格ベース)となった。
(機能化成品事業)
樹脂事業は、自動車用途向けに拡販するとともに、原料価格上昇に対する価格転嫁を推進したが、中国経済減速の影響を受けた。ケミカル事業は、基礎原料市況が改善するとともに、ファインケミカル製品も増収となった。フィルム事業は、リチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムが需要の伸長を背景に出荷を拡大したが、原料価格上昇の影響がポリエステルフィルムなど広範にわたった。電子情報材料事業は、スマートフォン市場の需要鈍化の影響を受けた。
以上の結果、機能化成品事業全体では、売上高は前連結会計年度比8.2%増の8,688億円、営業利益は同5.1%減の677億円となった。
主要な製品の生産規模は、ABS樹脂が前連結会計年度比1.5%増の約1,039億円(販売価格ベース)、ナイロン樹脂とPBT樹脂が同9.2%増の約278億円(販売価格ベース)、ポリエステルフィルムが同0.1%減の約1,298億円(販売価格ベース)となった。
(炭素繊維複合材料事業)
航空宇宙用途では、航空機向けサプライチェーンでの在庫調整が完了したことを受け、需要は概ね堅調に推移した。一般産業用途では、圧縮天然ガスタンクや風力発電翼などの環境・エネルギー関連向けを中心に、全体として需要が回復傾向となった。
一方、原料価格の上昇や競合激化の影響を受けたほか、海外のコンポジット子会社で新規案件立ち上げに伴う費用が増加し、TenCate Advanced Composites Holding B.V.の全株式取得に関連する費用も発生した。
以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上高は前連結会計年度比21.3%増の2,159億円、営業利益は同44.4%減の115億円となった。
炭素繊維複合材料の生産規模は前連結会計年度比19.4%増の約1,958億円(販売価格ベース)となった。
(環境・エンジニアリング事業)
水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要が概ね堅調に推移した。
国内子会社では、商事子会社の取扱高が増加したが、海外のエンジニアリング子会社において、大型プラント工事案件が終了した影響を受けた。
以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上高は前連結会計年度比8.1%増の2,577億円、営業利益は同7.9%減の122億円となった。
(ライフサイエンス事業)
医薬事業は、経口プロスタサイクリン誘導体製剤ドルナー®が海外向けに数量を拡大したものの、国内では後発医薬品や薬価改定の影響を受けた。経口そう痒症改善薬レミッチ®*は、後発医薬品発売の影響を受けた。
医療機器事業は、ダイアライザーが国内保険償還価格の引き下げと原料価格上昇の影響を受けたが、国内外で堅調に数量を伸ばしたほか、透析装置も数量を拡大した。
以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上高は前連結会計年度比0.3%減の537億円、営業利益は同33.0%減の13億円となった。
医療機器の生産規模は前連結会計年度比6.7%減の約167億円(販売価格ベース)となった。
*レミッチ®は鳥居薬品㈱の登録商標である。
(その他)
売上高は前連結会計年度比3.2%増の185億円、営業利益は同6.5%増の31億円となった。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示している。
(3) 財政状態の概要及び分析
当連結会計年度末の財政状態は、資産の部は、受取手形及び売掛金が増加した結果、流動資産が前連結会計年度末比643億円増加し、固定資産も有形固定資産や無形固定資産の増加を主因に同1,481億円増加したことから、資産合計では同2,124億円増加の2兆7,884億円となった。
負債の部は、有利子負債が増加したことを主因に前連結会計年度末比1,677億円増加の1兆5,744億円となった。当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末比1,599億円増加の9,763億円となった。
純資産の部は、純利益の計上による利益剰余金の増加を主因に純資産合計で前連結会計年度末比448億円増加の1兆2,139億円となり、このうち自己資本は1兆1,310億円となった。当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末比1.8ポイント低下し40.6%、D/Eレシオは同0.11ポイント悪化し0.86ポイントとなった。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの概要及び分析
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動による資金の減少が営業活動による資金の増加を840億円上回った一方、有利子負債の増加を主因に財務活動による資金の増加が1,189億円となったこと等により、当連結会計年度末には前連結会計年度末比388億円(28.9%)増の1,731億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、前連結会計年度比471億円(36.4%)増の1,762億円となった。これは、税金等調整前当期純利益が1,274億円(前連結会計年度比92億円減)、減価償却費が1,017億円(同59億円増)、たな卸資産の減少額が284億円(同599億円増)であった一方、法人税等の支払額が426億円(同82億円増)であったこと等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、前連結会計年度比736億円(39.4%)増の2,602億円となった。これは、有形固定資産の取得による支出が1,658億円(前連結会計年度比204億円増)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,146億円(同1,119億円増)であったこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、前連結会計年度比571億円(92.5%)増の1,189億円となった。これは、長期借入れによる資金の調達が1,345億円(前連結会計年度比556億円増)であったこと等によるものである。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
回次第134期第135期第136期第137期第138期
決算年月2015年3月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月
自己資本比率(%)41.841.542.642.340.6
時価ベースの自己資本比率(%)68.367.365.962.540.6
キャッシュ・フロー対有利子負債比率5.03.64.16.35.5
インタレスト・カバレッジ・
レシオ
22.537.638.025.624.8

(注) 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産額
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出している。
また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要である。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載している。
③財務政策
当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施している。また、事業拡大と財務体質強化の両立という基本方針の下、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュマネジメントシステムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでいる。
財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物、有価証券などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入金、社債等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えている。また、緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保している。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している。

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