有価証券報告書-第144期(2024/04/01-2025/03/31)
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析
当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調に推移し、欧州は一部に足踏みがみられますが、持ち直しが続いています。中国は景気刺激策の効果もみられますが回復は足踏み状態となっています。国内経済については、緩やかな回復が続きました。
このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比4.0%増の2兆5,633億円、事業利益は同39.1%増の1,428億円となりました。営業利益は同121.1%増の1,275億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同255.8%増の779億円となりました。
(注) 事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。
セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、繊維事業、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業で増収となった一方、環境・エンジニアリング事業で減収となりました。事業利益は、全ての事業において増益となりました。
セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。
(注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。
2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。
・「数量差」は、主に機能化成品事業及び炭素繊維複合材料事業において、需要の回復・伸長を捉えたことにより、生産・販売数量がともに増加し、合計で276億円の増益要因となりました。
機能化成品事業では、電子部品関連用途におけるサプライチェーンの在庫調整の反動により、フィルム事業の需要が伸長し、販売数量及び稼働率がともに改善しました。炭素繊維複合材料事業では、航空宇宙用途及び風力発電翼用途における需要の回復が進み、同様に販売数量及び稼働率が改善しました。
・「価格差」は、価格是正、販売構成の改善や高付加価値品への転換などの「戦略的プライシング」が計画を上回るペースで進捗したことを主因に、合計で222億円の増益となりました。
・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で129億円の減益要因となりました。
セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。
(繊維事業)
衣料用途は欧州市場の低迷や海外品との競争激化の影響は継続していますが、総じて堅調に推移しました。
産業用途は自動車用途が国内自動車メーカーの不正問題の影響や欧州の市況低迷などから本格回復に至らず、また中国EV市場での競争激化の影響を受けました。
以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比3.7%増の1兆111億円、事業利益は同17.3%増の642億円となりました。
(機能化成品事業)
樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が国内自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、中国及びアセアン向け非自動車用途の需要が回復しました。
フィルム事業は電子部品関連において、サプライチェーンの在庫調整の反動から需要が伸長しました。
電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。
以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比6.6%増の9,449億円、事業利益は同63.6%増の600億円となりました。
(炭素繊維複合材料事業)
航空宇宙用途は順調に回復しました。一般産業用途については、風力発電翼用途は緩やかな回復が続きましたが、その他用途は調整局面となりました。
以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比3.3%増の3,000億円、事業利益は同70.7%増の225億円となりました。
(環境・エンジニアリング事業)
水処理事業は中国の市況低迷の影響を受けましたが、需要は堅調に拡大しており、中東向けの大型案件の出荷等により増収増益となりました。エンジニアリング事業は国内エンジニアリング子会社で案件の時期ずれにより減収となったものの、概ね堅調に推移しました。
以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比3.1%減の2,365億円、事業利益は同11.6%増の259億円となりました。
(ライフサイエンス事業)
医薬事業は、後発医薬品浸透と薬価改定の影響を受けたほか、海外で販売量が伸び悩みました。
医療機器事業は、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内外で堅調に推移しましたが、原材料価格高騰の影響を受けました。
以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比1.8%増の532億円、事業利益は同6億円増の8億円の損失となりました。
(その他)
売上収益は前期比4.4%増の177億円、事業利益は同25.9%減の24億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析
当連結会計年度末の財政状態は、資産は、営業債権及びその他の債権やその他の金融資産の減少を主因に、前連結会計年度末に比べ1,739億円減少し3兆2,926億円となりました。
負債は、社債及び借入金が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,481億円減少し1兆4,720億円となりました。
資本は、利益剰余金が増加した一方、その他の資本の構成要素が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ258億円減少し1兆8,206億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆7,090億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント上昇し51.9%、D/Eレシオは同0.05低下し0.49となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を1,918億円上回った一方、長期借入金の返済を主因に財務活動による資金の減少が1,885億円となったこと等により、前連結会計年度末に比べ14億円増の2,373億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業債務及びその他の債務の減少額が前期比267億円増加した一方、営業債権及びその他の債権の減少額が同996億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同694億円(37.4%)増の2,550億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前期比451億円増加した一方、投資の売却及び償還による収入が同905億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同578億円(47.8%)減の632億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の取得による支出が前期比384億円増加したことや、短期借入債務の純減額が同358億円増加したこと等により、財務活動による資金の減少は同1,182億円(167.9%)増の1,885億円となりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。
③ 財務政策
当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。
2024年5月、資本効率の改善を加速するため、2024年度から2026年度までの3年間で政策保有株式を50%、約1,000億円削減し、その売却代金を全額自己株式の取得に充当する方針を公表しました。この方針に基づき、当連結会計年度において、政策保有株式を1,098億円売却しました。また、2024年11月には1,000億円の自己株式取得枠を設定し、当連結会計年度において、自己株式を384億円取得しました。
財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパー、社債、借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。
(4) 経営上の目標の達成状況
中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標に対する進捗は以下のとおりです。
(注) 1.為替レートの前提は、145円/米ドルです。
2.為替レートの前提は、125円/米ドルです。
3.税引後事業利益/投下資本(期首・期末平均)
4.親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)
2025年度の連結業績予想は、成長領域における事業拡大及び収益性の改善による増益を見込む一方、米国の関税措置に起因する世界経済の停滞リスクを織り込み、売上収益は2兆6,700億円、事業利益は1,500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は820億円を見込んでいます。
“プロジェクト AP-G 2025”をスタートした2023年度以降、構造改革や「戦略的プライシング」の効果が順調に発現しており、事業利益は3年連続で前年比増益となることを見込んでいます。ただし、足元の事業環境は、地政学リスクの顕在化や米国の関税措置の影響等により不確実性が高まっており、世界経済のコロナ禍からの回復スピードは当初の想定を下回っています。このため、2025年度の事業利益は“プロジェクト AP-G 2025”で掲げていた目標に対し、300億円の減益となる見通しです。係る状況の中、当社は事業環境の変化に柔軟に対応すべく、事業ごとの戦略や購買機能強化等の具体的施策を随時修正しながら推進していきます。
セグメントごとの事業利益は、繊維事業及び環境・エンジニアリング事業が目標を達成する見通しです。一方で、機能化成品事業は自動車市場の回復遅れやディスプレイ関連用途の成長鈍化、炭素繊維複合材料事業は一般産業用途の成長鈍化を主因に目標未達となる見込みです。加えて、米国関税措置による影響として、需要減少を主因に150億円の減益を見込んでいます。
セグメントごとの事業利益は以下のとおりです。
なお、サステナビリティ目標に対する進捗については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析
当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調に推移し、欧州は一部に足踏みがみられますが、持ち直しが続いています。中国は景気刺激策の効果もみられますが回復は足踏み状態となっています。国内経済については、緩やかな回復が続きました。
このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比4.0%増の2兆5,633億円、事業利益は同39.1%増の1,428億円となりました。営業利益は同121.1%増の1,275億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同255.8%増の779億円となりました。
| (単位:億円) | |||
| 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 増減率(%) | |
| 売上収益 | 24,646 | 25,633 | 4.0 |
| 事業利益(注) | 1,026 | 1,428 | 39.1 |
| 営業利益 | 577 | 1,275 | 121.1 |
| 親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 219 | 779 | 255.8 |
(注) 事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。
セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、繊維事業、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業で増収となった一方、環境・エンジニアリング事業で減収となりました。事業利益は、全ての事業において増益となりました。
セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。
| (単位:億円) | |||
| 売上収益 | |||
| 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減 | |
| 繊維事業 | 9,748 | 10,111 | 363 |
| 機能化成品事業 | 8,861 | 9,449 | 588 |
| 炭素繊維複合材料事業 | 2,905 | 3,000 | 95 |
| 環境・エンジニアリング事業 | 2,441 | 2,365 | △76 |
| ライフサイエンス事業 | 522 | 532 | 9 |
| その他(注)1 | 169 | 177 | 7 |
| 合計 | 24,646 | 25,633 | 987 |
| (単位:億円) | ||||||||
| 事業利益 | 増減の内訳 | |||||||
| 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減 | 数量差 | 価格差 | 費用差 ほか | 海外子会社の 邦貨換算差 | ||
| 繊維事業 | 547 | 642 | 95 | 9 | 114 | △46 | 18 | |
| 機能化成品事業 | 367 | 600 | 233 | 191 | 68 | △34 | 8 | |
| 炭素繊維複合材料事業 | 132 | 225 | 93 | 63 | 25 | △0 | 5 | |
| 環境・エンジニアリング事業 | 232 | 259 | 27 | 18 | 9 | △3 | 2 | |
| ライフサイエンス事業 | △13 | △8 | 6 | △4 | 5 | 4 | 0 | |
| その他(注)1 | 33 | 24 | △9 | △1 | - | △7 | △0 | |
| 調整額(注)2 | △272 | △315 | △44 | - | - | △44 | - | |
| 合計 | 1,026 | 1,428 | 401 | 276 | 222 | △129 | 33 | |
(注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。
2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。
・「数量差」は、主に機能化成品事業及び炭素繊維複合材料事業において、需要の回復・伸長を捉えたことにより、生産・販売数量がともに増加し、合計で276億円の増益要因となりました。
機能化成品事業では、電子部品関連用途におけるサプライチェーンの在庫調整の反動により、フィルム事業の需要が伸長し、販売数量及び稼働率がともに改善しました。炭素繊維複合材料事業では、航空宇宙用途及び風力発電翼用途における需要の回復が進み、同様に販売数量及び稼働率が改善しました。
・「価格差」は、価格是正、販売構成の改善や高付加価値品への転換などの「戦略的プライシング」が計画を上回るペースで進捗したことを主因に、合計で222億円の増益となりました。
・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で129億円の減益要因となりました。
セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。
(繊維事業)
衣料用途は欧州市場の低迷や海外品との競争激化の影響は継続していますが、総じて堅調に推移しました。
産業用途は自動車用途が国内自動車メーカーの不正問題の影響や欧州の市況低迷などから本格回復に至らず、また中国EV市場での競争激化の影響を受けました。
以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比3.7%増の1兆111億円、事業利益は同17.3%増の642億円となりました。
(機能化成品事業)
樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が国内自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、中国及びアセアン向け非自動車用途の需要が回復しました。
フィルム事業は電子部品関連において、サプライチェーンの在庫調整の反動から需要が伸長しました。
電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。
以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比6.6%増の9,449億円、事業利益は同63.6%増の600億円となりました。
(炭素繊維複合材料事業)
航空宇宙用途は順調に回復しました。一般産業用途については、風力発電翼用途は緩やかな回復が続きましたが、その他用途は調整局面となりました。
以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比3.3%増の3,000億円、事業利益は同70.7%増の225億円となりました。
(環境・エンジニアリング事業)
水処理事業は中国の市況低迷の影響を受けましたが、需要は堅調に拡大しており、中東向けの大型案件の出荷等により増収増益となりました。エンジニアリング事業は国内エンジニアリング子会社で案件の時期ずれにより減収となったものの、概ね堅調に推移しました。
以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比3.1%減の2,365億円、事業利益は同11.6%増の259億円となりました。
(ライフサイエンス事業)
医薬事業は、後発医薬品浸透と薬価改定の影響を受けたほか、海外で販売量が伸び悩みました。
医療機器事業は、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内外で堅調に推移しましたが、原材料価格高騰の影響を受けました。
以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比1.8%増の532億円、事業利益は同6億円増の8億円の損失となりました。
(その他)
売上収益は前期比4.4%増の177億円、事業利益は同25.9%減の24億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析
当連結会計年度末の財政状態は、資産は、営業債権及びその他の債権やその他の金融資産の減少を主因に、前連結会計年度末に比べ1,739億円減少し3兆2,926億円となりました。
負債は、社債及び借入金が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,481億円減少し1兆4,720億円となりました。
資本は、利益剰余金が増加した一方、その他の資本の構成要素が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ258億円減少し1兆8,206億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆7,090億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント上昇し51.9%、D/Eレシオは同0.05低下し0.49となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を1,918億円上回った一方、長期借入金の返済を主因に財務活動による資金の減少が1,885億円となったこと等により、前連結会計年度末に比べ14億円増の2,373億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業債務及びその他の債務の減少額が前期比267億円増加した一方、営業債権及びその他の債権の減少額が同996億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同694億円(37.4%)増の2,550億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前期比451億円増加した一方、投資の売却及び償還による収入が同905億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同578億円(47.8%)減の632億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の取得による支出が前期比384億円増加したことや、短期借入債務の純減額が同358億円増加したこと等により、財務活動による資金の減少は同1,182億円(167.9%)増の1,885億円となりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。
③ 財務政策
当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。
2024年5月、資本効率の改善を加速するため、2024年度から2026年度までの3年間で政策保有株式を50%、約1,000億円削減し、その売却代金を全額自己株式の取得に充当する方針を公表しました。この方針に基づき、当連結会計年度において、政策保有株式を1,098億円売却しました。また、2024年11月には1,000億円の自己株式取得枠を設定し、当連結会計年度において、自己株式を384億円取得しました。
財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパー、社債、借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。
(4) 経営上の目標の達成状況
中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標に対する進捗は以下のとおりです。
| 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度見通し (注)1 | 2025年度目標 (注)2 | ||
| 売上収益 | 24,646億円 | 25,633億円 | 26,700億円 | 28,000億円 | |
| 事業利益 | 1,026億円 | 1,428億円 | 1,500億円 | 1,800億円 | |
| 事業利益率 | 4.2% | 5.6% | 6% | 6% | |
| ROIC (注)3 | 2.8% | 4.4% | 約5% | 約5% | |
| ROE (注)4 | 1.3% | 4.5% | 約5% | 約8% | |
| フリー・キャッシュ・フロー | 647億円 | 1,918億円 | プラス (3年間累計) | プラス (3年間累計) | |
| D/Eレシオ | 0.55 | 0.49 | 約0.6 | 0.7以下 (ガイドライン) |
(注) 1.為替レートの前提は、145円/米ドルです。
2.為替レートの前提は、125円/米ドルです。
3.税引後事業利益/投下資本(期首・期末平均)
4.親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)
2025年度の連結業績予想は、成長領域における事業拡大及び収益性の改善による増益を見込む一方、米国の関税措置に起因する世界経済の停滞リスクを織り込み、売上収益は2兆6,700億円、事業利益は1,500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は820億円を見込んでいます。
“プロジェクト AP-G 2025”をスタートした2023年度以降、構造改革や「戦略的プライシング」の効果が順調に発現しており、事業利益は3年連続で前年比増益となることを見込んでいます。ただし、足元の事業環境は、地政学リスクの顕在化や米国の関税措置の影響等により不確実性が高まっており、世界経済のコロナ禍からの回復スピードは当初の想定を下回っています。このため、2025年度の事業利益は“プロジェクト AP-G 2025”で掲げていた目標に対し、300億円の減益となる見通しです。係る状況の中、当社は事業環境の変化に柔軟に対応すべく、事業ごとの戦略や購買機能強化等の具体的施策を随時修正しながら推進していきます。
セグメントごとの事業利益は、繊維事業及び環境・エンジニアリング事業が目標を達成する見通しです。一方で、機能化成品事業は自動車市場の回復遅れやディスプレイ関連用途の成長鈍化、炭素繊維複合材料事業は一般産業用途の成長鈍化を主因に目標未達となる見込みです。加えて、米国関税措置による影響として、需要減少を主因に150億円の減益を見込んでいます。
セグメントごとの事業利益は以下のとおりです。
| (単位:億円) | |||
| 事業利益 | |||
| 2025年度目標 | 2025年度 見通し | 増減 | |
| 繊維事業 | 640 | 760 | 120 |
| 機能化成品事業 | 910 | 705 | △205 |
| 炭素繊維複合材料事業 | 360 | 240 | △120 |
| 環境・エンジニアリング事業 | 270 | 290 | 20 |
| ライフサイエンス事業 | 0 | 0 | - |
| その他 | 20 | 15 | △5 |
| 調整額 | △400 | △360 | 40 |
| 小計 | 1,800 | 1,650 | △150 |
| 米国関税措置による影響 | - | △150 | △150 |
| 合計 | 1,800 | 1,500 | △300 |
なお、サステナビリティ目標に対する進捗については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。