四半期報告書-第141期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 16:27
【資料】
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【項目】
41項目
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、中国経済の回復持続に加えて、新型コロナウイルスによる落ち込みからの反動と、ワクチン接種の進捗を背景とした行動制限の緩和、及び米国の大型景気対策もあって大きく回復しました。一方、感染対策や経済対策の巧拙によって、新型コロナウイルスの感染抑制や経済の回復に各国で差が生じたほか、半導体をはじめとする部材の需給ひっ迫や人手不足などの供給制約が顕在化し、自動車の減産につながりました。
このような事業環境の中で、当社グループは2020年5月より、「持続的かつ健全な成長」を目指し、「成長分野でのグローバルな拡大」、「競争力強化」、「経営基盤強化」を基本戦略とした新たな中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022”を実行しています。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前年同期比20.7%増の1兆6,469億円、事業利益(注1)は同58.3%増の1,060億円となりました。営業利益は同185.0%増の1,031億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同220.1%増の893億円となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりです。
(繊維事業)
国内外ともに需要の回復が見られました。衣料用途では、引き続き新型コロナウイルスの影響を受けた用途があるものの、スポーツ・アウトドア用途が好調に推移、産業用途は、自動車減産の影響から、第3四半期に入って自動車関連用途の数量が減少しました。
以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前年同期比17.8%増の6,316億円、事業利益は同26.8%増の355億円となりました。
(機能化成品事業)
樹脂事業は、コロナ禍の反動と自動車メーカーの稼働及び中国経済の回復から、総じて需要が好調に推移しましたが、第3四半期に入って自動車減産の影響を受けました。ケミカル事業は、基礎原料の市況が回復しました。フィルム事業は、リチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムにおいて、価格低下及び自動車減産等の影響を受けましたが、ポリエステルフィルムで光学用途・電子部品関連が好調に推移しました。電子情報材料事業は、有機EL関連の需要が増加しました。
以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前年同期比30.4%増の6,781億円、事業利益は同56.6%増の746億円となりました。
(炭素繊維複合材料事業)
原料価格上昇の影響、及び航空宇宙用途で民間旅客機のビルドレートが減少した影響を受けましたが、一般産業用途において風力発電翼用途が引き続き拡大したほか、スポーツ用途が好調に推移しました。また、価格転嫁を推進しました。
以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前年同期比13.5%増の1,532億円、事業利益は同18億円増の19億円の損失となりました。
(環境・エンジニアリング事業)
水処理事業は、一部地域で新型コロナウイルスの影響があったものの、逆浸透膜などの需要が堅調に推移しました。
国内子会社では、エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置の出荷が増加しました。
以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前年同期比8.0%増の1,346億円、事業利益は同36.2%増の109億円となりました。
(ライフサイエンス事業)
医薬事業は、経口そう痒症改善薬レミッチ®(注2)において、後発医薬品発売の影響を受けたほか、薬価改定の影響を受けました。
医療機器事業は、血液透析ろ過用のダイアライザーが国内で堅調に拡大したほか、新型コロナ感染が一時的に落ち着いたことでその他の医療機器の需要も回復傾向となりました。
以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前年同期比0.5%増の386億円、事業利益は同9.8%減の16億円となりました。
(その他)
売上収益は前年同期比7.4%増の108億円、事業利益は同14.3%減の15億円となりました。
(注) 1.事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。
2.レミッチ®は、鳥居薬品㈱の登録商標です。
(2) 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の財政状態は、資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,142億円増加し2兆9,631億円となりました。
負債は、社債及び借入金が減少した一方、営業債務及びその他の債務が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ14億円増加し1兆5,280億円となりました。
資本は、利益剰余金の増加を主因に、前連結会計年度末に比べ1,128億円増加し1兆4,351億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆3,446億円となりました。当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.9ポイント上昇し45.4%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を315億円上回った一方、有利子負債の減少を主因に財務活動による資金の減少が715億円となったこと等により、前連結会計年度末に比べ342億円減の2,022億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前四半期利益が前年同期比776億円増加した一方、棚卸資産の増加額が同958億円増加、営業債権及びその他の債権の増加額が同333億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同631億円(50.7%)減の615億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前年同期比280億円減少したこと等により、投資活動による資金の減少は同420億円(58.3%)減の300億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入債務の純増額が前年同期比548億円減少したこと等により、財務活動による資金の減少は同652億円増の715億円となりました。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費総額は441億円です。