有価証券報告書-第151期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 15:53
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」ことを基本方針としております。そのためには、益々よい薬を創り、かつ製造するとともに、多くの方々に知らせ使って頂くことが必要であります。このことを成し遂げるために、シオノギのあらゆる人々が日々技術を向上させることが、顧客、株主、取引先、社会、従業員などシオノギに関係するすべてのステークホルダーの利益の拡大に貢献できるものと考えております。
SGS2020では、外部環境の変化に対応し2020年度の経営目標を達成するため、向こう3ヵ年の事業計画を毎期更新するローリング方式の目標管理方法を採用しています。2016年度は、前期の成果と新たな課題を踏まえ、2018年度までの事業計画を策定し、活動を開始しています。
(1) 創薬研究
世界的な高齢社会の到来に伴う医療費の高騰により、創薬研究においては益々生産性の向上が求められています。患者さまにとって、より安価で最もよい薬を継続的に創製することが、私たち創薬型製薬企業の取り組むべき課題であると考えています。この社会ニーズに応えるため、私たちは、強みである感染症と疼痛・神経の領域において、新たなグローバル開発品の創出を目指します。また、ペプチド創薬等のさまざまな創薬アプローチを活用することにより、創薬研究プログラムを加速させます。そして、新たな強みを構築するため、国内外における産学連携及び産産連携を推進します。さらに、病気の進行や治療効果をより的確に測定できるバイオマーカーの探索研究、臨床活用、そして診断薬の開発を加速します。以上の取り組みを通じ、開発パイプラインのうちシオノギ研究所が創製した化合物の占める割合を、引き続き50%以上確保することを目指します。
(2) CMC研究 *1
本年3月に日本と米国で同時に承認申請を行ったオピオイド誘発性便秘症治療薬候補「ナルデメジン(一般名)」にかかわる各規制当局への対応を迅速かつ柔軟に進めます。あわせて、米国では多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬候補「S-649266」の承認申請の準備、国内ではインフルエンザ感染症治療薬候補「S-033188」の第Ⅲ相臨床試験及び承認申請の準備を進めます。また、国内開発では主力製品「オキシコンチン」の乱用防止製剤の工業化にかかわる研究に注力します。引き続き、CMC技術力を駆使した付加価値の高い製品開発を推進することにより、新薬候補の臨床試験へのステージアップに貢献するとともに、NTE創薬*2にも注力いたします。
*1 原薬プロセス研究、製剤開発研究、品質評価研究を統合した研究のこと
*2 既知の化合物を用いた新しい剤型、新しい投与経路、新しい適応症の追加に関わる開発研究のこと
(3) グローバル開発
2016年度は、グローバルオペレーションの機能向上や標準化が課題であると考えています。また、2017年度以降、国内戦略8品目が相次いで独占販売期間の満了を迎えることから、最大7つのグローバル第Ⅲ相臨床試験の進展及び申請を着実に行い、一日も早く上市することを目指します。そのために、戦略的意思決定機能の強化に継続して取り組むとともに、ITや医療データ、医師主導臨床試験等の活用も進めます。さらには、メディカルアフェアーズ部の機能充実を図り、当社グループの製品に関する臨床研究を企画・実施し、医学的見地に基づくエビデンスを構築してまいります。
(4) 生産・サプライチェーンマネジメント
グローバル規模で企業の環境・健康・安全(EHS)への取組みに対する社会的な関心が高まっており、製品購入や製造委託の選定に際してEHSを重要視する顧客が増えています。
当社グループは本年4月にEHS推進室を新設し、グループ全体の事業活動がEHSに及ぼす影響を評価し、新たな目標を設定して改善する活動を強化します。とくに調達・製造・供給活動においては、高品質の製品を安定的に,かつ経済的に市場へ提供する取組みを継続するとともに、従業員と関連企業の皆さまの健康と安全及び地域住民の皆さまの環境保全を推進します。
(5) マーケティング・販売
国内では、本年6月に新発売する「クレストール」口腔内崩壊錠をはじめとする戦略品目の情報提供活動に経営資源を集中し、売上拡大を目指します。また、本年3月に「慢性腰痛症に伴う疼痛」の適応を追加した「サインバルタ」の適正使用を推進するとともに、育薬に努めます。今後の主力製品の一つとして期待される注意欠如・多動症治療薬候補「S-877503」の発売準備にも着手します。
海外事業では、米国「オスフィーナ」と欧州「センシオ」の製品価値最大化を図ります。また、米国ではグローバル開発品のオピオイド誘発性便秘症治療薬候補「ナルデメジン(一般名)」と多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬候補「S-649266」の発売準備も進めます。
当社グループは、経営理念である基本方針「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」ことをグローバルに実現するため、創薬型製薬企業としての成長を目指します。そして、世界中の患者さまやそのご家族、医療関係者の方々等、あらゆるステークホルダーの皆さまに信頼されるグローバル企業を目指し、日本経済の成長・発展に貢献していきます。