有価証券報告書-第106期(2025/04/01-2026/03/31)
2025年3月26日に行われたアーディ社との企業結合について、前連結会計年度末において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の業績は、減収減益となりました。売上高は76,871百万円(対前年同期比18.3%減)、営業損失は899百万円(前年同期は営業利益21,034百万円)、経常損失は206百万円(前年同期は経常利益21,279百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,144百万円(対前年同期比84.6%減)となりました。なお、研究開発費につきましては、20,585百万円(対前年同期比9.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬業
売上高は74,328百万円(対前年同期比18.8%減)となりました。
なお、海外売上高は12,840百万円(対前年同期比51.7%減)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,543百万円(対前年同期比2.5%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前期末比15,159百万円減少し、178,217百万円となりました。これは主に、法人税等の支払により現預金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比10,144百万円減少し、30,597百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少によるものであります。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、73,248百万円であり、流動比率は452.1%で財務の健全性は保たれております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比5,015百万円減少し、147,619百万円となりました。これは主に、利益剰余金の減少によるものであります。
自己資本比率は、82.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前年同期に比べ19,380百万円減少し、50,705百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、11,079百万円の支出(前年同期は29,780百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、315百万円の収入(前年同期は19,650百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産売却額の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ3,471百万円支出が増加し、8,841百万円の支出となりました。これは主に、自己株式処分による収入の減少によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c. 受注実績
当社グループは、主として販売計画に基づく生産計画によって生産を行っており、受注生産は行っておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a. 経営成績の状況
国内医薬品事業におきましては、高齢化社会の進行等によって国の医療財政が逼迫する中、薬価制度の抜本改革をはじめとする様々な医療費抑制策が進められており、長期収載品の選定療養制度が導入されるなど、当連結会計年度においても引き続き厳しい事業環境にあります。
このような環境の中、当社グループは、2022年を起点とする10か年の経営計画において、製薬業界を取り巻く厳しい状況や、それに伴う当社グループの長期的課題を分析し、2031年ビジョンとして「画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業」「皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業」を掲げました。また、当社グループは、ビジョン実現のための戦略として「研究開発」「海外展開」「経営基盤」の3つのTransformationを策定し、研究開発への積極的な戦略投資、高い有効性と安全性を有し世界に通用する医薬品を効率良く創出・販売できる体制の構築、挑戦と変革を追求し続ける人材の育成等を進めております。
農業薬品事業におきましては、主力品である微生物由来の天然物質農薬「ポリオキシン」の成長戦略を柱とした価値の最大化をはかっております。以上の戦略を通じて経営計画達成に向けて取り組んでおります。
なお、経営環境の変化や計画の進捗等を踏まえ、2025年4月8日に「長期経営計画2031」の一部見直しを発表いたしました。主な変更内容は、①画期的・革新的新薬の継続的な上市のための戦略投資金額の増額、②財務規律の維持、③株主還元の強化であります。詳細につきましては当社グループのウェブサイトをご参照ください。
https://www.kaken.co.jp/invest/policy/long_term.html
当連結会計年度における事業の主な進捗は以下のとおりであります。
[研究開発]
・当社グループが、難治性脈管奇形を対象疾患として開発を進めている「KP-001」の国内第Ⅲ相検証的試験において、主要評価項目を達成いたしました。また、安全性に関しても開発上の問題となる副作用は認められませんでした。今後は、現在実施中の国内第Ⅲ相長期投与試験の結果を踏まえ、2026年度上期中の製造販売承認申請を予定しております。
・当社グループは、Numab Therapeutics AG(以下、「ニューマブ社」という。)と炎症性腸疾患を対象疾患とする新規多重特異性抗体医薬「NM81」の戦略的なライセンス及び共同開発契約を締結いたしました。本契約締結により、当社グループが2024年11月に締結した共同研究契約に附随するオプション権に基づくアジアの特定の地域における「NM81」の販売権を取得するとともに、両社で「NM81」の共同開発を推進いたします。また、ニューマブ社が製品の事業化に成功した場合、当社グループはニューマブ社から一定額までの対価を受け取ります。
・当社グループが、既存治療で効果不十分なアタマジラミ症を対象疾患として開発を進めている「KAR」の国内第Ⅲ相試験において、主要評価項目を達成いたしました。また、安全性に関しても開発上の問題となる副作用や重篤な副作用は認められなかったため、2026年度上期中の製造販売承認申請を予定しております。
[導入関連]
・2024年10月に、当社グループが三洋化成工業㈱(以下、「三洋化成」という。)と日本における独占的販売権に関するライセンス契約を締結しておりました日本初の遺伝子組み換え技術を用いた新規の創傷治癒材「シルクエラスチン創傷用シート」に関し、三洋化成が製造販売承認を取得いたしました。
・㈱ツーセルが創製し、再生医療等製品としての承認をめざしている同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織「gMSC1」に関するライセンス契約を締結いたしました。本契約締結により、当社グループは日本国内の整形外科領域における共同開発権、独占的販売権を取得いたしました。
・Astria Therapeutics, Inc.(現、BioCryst Pharmaceuticals, Inc. 以下、「バイオクリスト社」という。)が遺伝性血管性浮腫の長期予防を目的として開発中の「ナベニバルト」について、日本における開発及び商業化に関するライセンス契約を締結いたしました。本契約締結により、当社グループは日本における「ナベニバルト」の独占的な開発及び販売の権利を取得いたしました。
・当社グループは、KalVista Pharmaceuticals Ltd.(以下、「カルビスタ社」という。)が製造販売承認を取得した、遺伝性血管性浮腫急性発作治療用血漿カリクレイン阻害薬「エクテリー」(一般名:セベトラルスタット)の国内での販売を開始いたしました。
・当社グループが、日本での皮膚科領域の疾患に対する治療剤としての独占的な開発、製造及び販売の権利を取得している「ESK-001」について、Alumis Inc.(以下、「アルミス社」という。)が第Ⅲ相臨床試験の結果を2026年米国皮膚科学会年次総会において発表いたしました。当社グループは、国内での製造販売承認に向けた準備を進めてまいります。
[海外展開]
・爪白癬治療剤「Jublia」(日本販売名:クレナフィン)について、欧州の導出先であるAlmirall S.A.が、ドイツの連邦医薬品医療機器研究所より製造販売承認を取得いたしました。今回のドイツでの承認取得は、イタリアに続いて欧州で2か国目になります。
・原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」について、韓国の導出先であるDong-Wha Pharm. Co.,Ltd.が韓国で発売いたしました。
[その他]
・当社の株価や業績と従業員の処遇の連動性をより高め、経済的な効果を株主の皆様と共有することにより、株価及び業績向上への従業員の意欲や士気を高めることを目的として、従業員に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」の運用を開始いたしました。
・連結子会社である科研ファルマ㈱が、爪白癬治療剤「クレナフィン」のオーソライズド・ジェネリック(以下、「AG」という。)を発売いたしました。
b.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の業績は、減収減益となりました。売上高は、前連結会計年度の増収要因であった「NM26」の知的財産譲渡及び販売提携オプション契約に係る契約一時金収入(8,600万米ドル)、「STAT6阻害剤」に関するライセンス契約締結に基づく契約一時金収入(3,000万米ドル)の反動や、「クレナフィン」のAGへの置き換えが進んだこと等により減収となりました。利益につきましては、カルビスタ社との「エクテリー」(一般名:セベトラルスタット)の日本での販売に関する提携及びライセンス契約締結、㈱ツーセルとの「gMSC1」に関するライセンス契約締結、バイオクリスト社が開発中の「ナベニバルト」の日本における開発及び商業化に関するライセンス契約締結、ニューマブ社との「NM81」の戦略的なライセンス及び共同開発契約締結等による研究開発費の増加もあり、減益となりました。売上高は76,871百万円(対前年同期比18.3%減)、営業損失は899百万円(前年同期は営業利益21,034百万円)、経常損失は206百万円(前年同期は経常利益21,279百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,144百万円(対前年同期比84.6%減)となりました。
主要科目の状況は、次のとおりであります。
(売上高)
薬業
1) 医薬品・医療機器
[国内売上]
医薬品・医療機器につきましては、「エクロック」等の売上増加や「エクテリー」(一般名:セベトラルスタット)の販売開始による売上が増加したものの、「クレナフィン」のAGへの置き換えが進んだこと等により、結果として減収となりました。
[海外売上]
前連結会計年度の増収要因であった「NM26」の知的財産譲渡及び販売提携オプション契約及び「STAT6阻害剤」に関するライセンス契約締結に基づく契約一時金収入の反動等により、減収となりました。
2)農業薬品
農業薬品につきましては、除草剤「メタミホップ」等の売上が増加したことにより、増収となりました。
この結果、売上高は74,328百万円(対前年同期比18.8%減)となりました。
なお、海外売上高は12,840百万円(対前年同期比51.7%減)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,543百万円(対前年同期比2.5%増)となりました。
(売上原価)
当社グループの売上原価は、主に工場の製造原価、仕入商品原価、不動産事業の役務収益原価から構成されます。売上原価は36,879百万円であり、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度37.8%、当連結会計年度48.0%と増加いたしました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、主に人件費、研究開発費、営業活動費用であり、当連結会計年度は40,891百万円と前連結会計年度比9.1%増加いたしました。
c.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、50,705百万円であり、事業運営上適切な水準であるとともに、外部環境の急激な変化にも一定程度耐えうる流動性を確保できていると考えております。
当社グループの主要な資金需要は、開発パイプライン拡充のための研究開発費用及びM&A・導入費用、当社製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、商品仕入費用、研究・生産・営業効率を向上させるための設備投資費用であります。持続的な成長のための資金需要には、財務健全性を考慮したうえで積極的に対応していく方針であります。これら資金需要への対応は、営業キャッシュ・フローにより積み上げられた自己資金によることを基本としておりますが、追加的に資金が必要な場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施できる体制も整えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の業績は、減収減益となりました。売上高は76,871百万円(対前年同期比18.3%減)、営業損失は899百万円(前年同期は営業利益21,034百万円)、経常損失は206百万円(前年同期は経常利益21,279百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,144百万円(対前年同期比84.6%減)となりました。なお、研究開発費につきましては、20,585百万円(対前年同期比9.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬業
売上高は74,328百万円(対前年同期比18.8%減)となりました。
なお、海外売上高は12,840百万円(対前年同期比51.7%減)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,543百万円(対前年同期比2.5%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前期末比15,159百万円減少し、178,217百万円となりました。これは主に、法人税等の支払により現預金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比10,144百万円減少し、30,597百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少によるものであります。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、73,248百万円であり、流動比率は452.1%で財務の健全性は保たれております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比5,015百万円減少し、147,619百万円となりました。これは主に、利益剰余金の減少によるものであります。
自己資本比率は、82.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前年同期に比べ19,380百万円減少し、50,705百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、11,079百万円の支出(前年同期は29,780百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、315百万円の収入(前年同期は19,650百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産売却額の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ3,471百万円支出が増加し、8,841百万円の支出となりました。これは主に、自己株式処分による収入の減少によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 薬業 | 36,272 | △9.7 |
| 不動産事業 | - | - |
| 合計 | 36,272 | △9.7 |
(注) 金額は、販売価格によっております。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 薬業 | 22,910 | △0.6 |
| 不動産事業 | - | - |
| 合計 | 22,910 | △0.6 |
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c. 受注実績
当社グループは、主として販売計画に基づく生産計画によって生産を行っており、受注生産は行っておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 薬業 | 74,328 | △18.8 |
| 不動産事業 | 2,543 | +2.5 |
| 合計 | 76,871 | △18.3 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| アルフレッサ㈱ | 13,348 | 14.2 | 12,509 | 16.3 |
| ㈱メディセオ | 10,666 | 11.3 | 10,477 | 13.6 |
| ㈱スズケン | 10,109 | 10.8 | 9,333 | 12.1 |
| ニューマブ社 | 10,285 | 10.9 | - | - |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a. 経営成績の状況
国内医薬品事業におきましては、高齢化社会の進行等によって国の医療財政が逼迫する中、薬価制度の抜本改革をはじめとする様々な医療費抑制策が進められており、長期収載品の選定療養制度が導入されるなど、当連結会計年度においても引き続き厳しい事業環境にあります。
このような環境の中、当社グループは、2022年を起点とする10か年の経営計画において、製薬業界を取り巻く厳しい状況や、それに伴う当社グループの長期的課題を分析し、2031年ビジョンとして「画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業」「皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業」を掲げました。また、当社グループは、ビジョン実現のための戦略として「研究開発」「海外展開」「経営基盤」の3つのTransformationを策定し、研究開発への積極的な戦略投資、高い有効性と安全性を有し世界に通用する医薬品を効率良く創出・販売できる体制の構築、挑戦と変革を追求し続ける人材の育成等を進めております。
農業薬品事業におきましては、主力品である微生物由来の天然物質農薬「ポリオキシン」の成長戦略を柱とした価値の最大化をはかっております。以上の戦略を通じて経営計画達成に向けて取り組んでおります。
なお、経営環境の変化や計画の進捗等を踏まえ、2025年4月8日に「長期経営計画2031」の一部見直しを発表いたしました。主な変更内容は、①画期的・革新的新薬の継続的な上市のための戦略投資金額の増額、②財務規律の維持、③株主還元の強化であります。詳細につきましては当社グループのウェブサイトをご参照ください。
https://www.kaken.co.jp/invest/policy/long_term.html
当連結会計年度における事業の主な進捗は以下のとおりであります。
[研究開発]
・当社グループが、難治性脈管奇形を対象疾患として開発を進めている「KP-001」の国内第Ⅲ相検証的試験において、主要評価項目を達成いたしました。また、安全性に関しても開発上の問題となる副作用は認められませんでした。今後は、現在実施中の国内第Ⅲ相長期投与試験の結果を踏まえ、2026年度上期中の製造販売承認申請を予定しております。
・当社グループは、Numab Therapeutics AG(以下、「ニューマブ社」という。)と炎症性腸疾患を対象疾患とする新規多重特異性抗体医薬「NM81」の戦略的なライセンス及び共同開発契約を締結いたしました。本契約締結により、当社グループが2024年11月に締結した共同研究契約に附随するオプション権に基づくアジアの特定の地域における「NM81」の販売権を取得するとともに、両社で「NM81」の共同開発を推進いたします。また、ニューマブ社が製品の事業化に成功した場合、当社グループはニューマブ社から一定額までの対価を受け取ります。
・当社グループが、既存治療で効果不十分なアタマジラミ症を対象疾患として開発を進めている「KAR」の国内第Ⅲ相試験において、主要評価項目を達成いたしました。また、安全性に関しても開発上の問題となる副作用や重篤な副作用は認められなかったため、2026年度上期中の製造販売承認申請を予定しております。
[導入関連]
・2024年10月に、当社グループが三洋化成工業㈱(以下、「三洋化成」という。)と日本における独占的販売権に関するライセンス契約を締結しておりました日本初の遺伝子組み換え技術を用いた新規の創傷治癒材「シルクエラスチン創傷用シート」に関し、三洋化成が製造販売承認を取得いたしました。
・㈱ツーセルが創製し、再生医療等製品としての承認をめざしている同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織「gMSC1」に関するライセンス契約を締結いたしました。本契約締結により、当社グループは日本国内の整形外科領域における共同開発権、独占的販売権を取得いたしました。
・Astria Therapeutics, Inc.(現、BioCryst Pharmaceuticals, Inc. 以下、「バイオクリスト社」という。)が遺伝性血管性浮腫の長期予防を目的として開発中の「ナベニバルト」について、日本における開発及び商業化に関するライセンス契約を締結いたしました。本契約締結により、当社グループは日本における「ナベニバルト」の独占的な開発及び販売の権利を取得いたしました。
・当社グループは、KalVista Pharmaceuticals Ltd.(以下、「カルビスタ社」という。)が製造販売承認を取得した、遺伝性血管性浮腫急性発作治療用血漿カリクレイン阻害薬「エクテリー」(一般名:セベトラルスタット)の国内での販売を開始いたしました。
・当社グループが、日本での皮膚科領域の疾患に対する治療剤としての独占的な開発、製造及び販売の権利を取得している「ESK-001」について、Alumis Inc.(以下、「アルミス社」という。)が第Ⅲ相臨床試験の結果を2026年米国皮膚科学会年次総会において発表いたしました。当社グループは、国内での製造販売承認に向けた準備を進めてまいります。
[海外展開]
・爪白癬治療剤「Jublia」(日本販売名:クレナフィン)について、欧州の導出先であるAlmirall S.A.が、ドイツの連邦医薬品医療機器研究所より製造販売承認を取得いたしました。今回のドイツでの承認取得は、イタリアに続いて欧州で2か国目になります。
・原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」について、韓国の導出先であるDong-Wha Pharm. Co.,Ltd.が韓国で発売いたしました。
[その他]
・当社の株価や業績と従業員の処遇の連動性をより高め、経済的な効果を株主の皆様と共有することにより、株価及び業績向上への従業員の意欲や士気を高めることを目的として、従業員に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」の運用を開始いたしました。
・連結子会社である科研ファルマ㈱が、爪白癬治療剤「クレナフィン」のオーソライズド・ジェネリック(以下、「AG」という。)を発売いたしました。
b.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の業績は、減収減益となりました。売上高は、前連結会計年度の増収要因であった「NM26」の知的財産譲渡及び販売提携オプション契約に係る契約一時金収入(8,600万米ドル)、「STAT6阻害剤」に関するライセンス契約締結に基づく契約一時金収入(3,000万米ドル)の反動や、「クレナフィン」のAGへの置き換えが進んだこと等により減収となりました。利益につきましては、カルビスタ社との「エクテリー」(一般名:セベトラルスタット)の日本での販売に関する提携及びライセンス契約締結、㈱ツーセルとの「gMSC1」に関するライセンス契約締結、バイオクリスト社が開発中の「ナベニバルト」の日本における開発及び商業化に関するライセンス契約締結、ニューマブ社との「NM81」の戦略的なライセンス及び共同開発契約締結等による研究開発費の増加もあり、減益となりました。売上高は76,871百万円(対前年同期比18.3%減)、営業損失は899百万円(前年同期は営業利益21,034百万円)、経常損失は206百万円(前年同期は経常利益21,279百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,144百万円(対前年同期比84.6%減)となりました。
主要科目の状況は、次のとおりであります。
(売上高)
薬業
1) 医薬品・医療機器
[国内売上]
医薬品・医療機器につきましては、「エクロック」等の売上増加や「エクテリー」(一般名:セベトラルスタット)の販売開始による売上が増加したものの、「クレナフィン」のAGへの置き換えが進んだこと等により、結果として減収となりました。
[海外売上]
前連結会計年度の増収要因であった「NM26」の知的財産譲渡及び販売提携オプション契約及び「STAT6阻害剤」に関するライセンス契約締結に基づく契約一時金収入の反動等により、減収となりました。
2)農業薬品
農業薬品につきましては、除草剤「メタミホップ」等の売上が増加したことにより、増収となりました。
この結果、売上高は74,328百万円(対前年同期比18.8%減)となりました。
なお、海外売上高は12,840百万円(対前年同期比51.7%減)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,543百万円(対前年同期比2.5%増)となりました。
(売上原価)
当社グループの売上原価は、主に工場の製造原価、仕入商品原価、不動産事業の役務収益原価から構成されます。売上原価は36,879百万円であり、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度37.8%、当連結会計年度48.0%と増加いたしました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、主に人件費、研究開発費、営業活動費用であり、当連結会計年度は40,891百万円と前連結会計年度比9.1%増加いたしました。
c.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、50,705百万円であり、事業運営上適切な水準であるとともに、外部環境の急激な変化にも一定程度耐えうる流動性を確保できていると考えております。
当社グループの主要な資金需要は、開発パイプライン拡充のための研究開発費用及びM&A・導入費用、当社製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、商品仕入費用、研究・生産・営業効率を向上させるための設備投資費用であります。持続的な成長のための資金需要には、財務健全性を考慮したうえで積極的に対応していく方針であります。これら資金需要への対応は、営業キャッシュ・フローにより積み上げられた自己資金によることを基本としておりますが、追加的に資金が必要な場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施できる体制も整えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。