有価証券報告書-第99期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 11:44
【資料】
PDFをみる
【項目】
147項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は薬価改定の影響等により、94,165百万円(対前年同期比4.3%減)となりました。
利益面では、売上原価率は前年並みであったものの、売上高の減少と販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は24,592百万円(対前年同期比10.6%減)となりました。販売費及び一般管理費が増加した主たる要因は、研究開発費が10,261百万円(対前年同期比25.9%増)となったためであります。経常利益は24,972百万円(対前年同期比10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17,775百万円(対前年同期比6.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬業
医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は増加しましたが、関節機能改善剤「アルツ」、高脂血症治療剤「リピディル」の売上減少などにより減収となりました。
その背景としましては、薬価改定による影響が大きく、また、国の後発医薬品使用促進策の影響も継続していることなどがあげられます。
農業薬品につきましては売上が前年並みとなりました。
この結果、売上高は91,804百万円(対前年同期比4.4%減)、セグメント利益(営業利益)は23,116百万円(対前年同期比10.5%減)となりました。
なお、海外売上高は9,016百万円となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,360百万円(対前年同期比1.9%減)、セグメント利益(営業利益)は1,476百万円(対前年同期比10.8%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前期末比3,567百万円増加し、155,985百万円となりました。これは主に、有価証券の増加によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比3,688百万円減少し、34,854百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少によるものであります。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、76,151百万円であり、流動比率は376.1%で財務の健全性は保たれております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比7,256百万円増加し、121,131百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
自己資本比率は、77.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5,860百万円増加し、58,555百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比ベ573百万円収入が減少し、21,129百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ2,498百万円支出が増加し、5,744百万円の支出となりました。これは主に、長期前払費用の取得額の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ5百万円支出が減少し、9,524百万円の支出となりました。これは主に、配当金の支払額の減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
薬業45,967+ 20.2
不動産事業
合計45,967+ 20.2

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
薬業25,873△ 13.4
不動産事業
合計25,873△ 13.4

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、主として販売計画に基づく生産計画によって生産を行っており、受注生産は行っておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
薬業91,804△ 4.4
不動産事業2,360△ 1.9
合計94,165△ 4.3

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
アルフレッサ㈱17,06917.317,00718.1
㈱スズケン15,77916.014,39715.3
㈱メディセオ14,57314.813,01813.8

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。
a. 経営成績等の状況
中期的な重点課題として、パイプラインの充実やクレナフィン及び新製品の価値最大化などに取り組んできました。
パイプラインの充実については、資源投入の集中と研究開発の効率化により、最優先課題として活動しております。当連結会計年度においては、原発性腋窩多汗症治療剤(BBI-4000)及び熱傷焼痂除去剤(KMW-1)はフェーズⅢ試験を実施中、爪白癬治療剤(KP-607)はフェーズⅠ試験を実施中であり、既存のテーマについては順調に推移いたしました。
また、アーバー社からアタマジラミ症治療剤イベルメクチン0.5%外用剤(KAR)、コーバス社から全身性強皮症及び皮膚筋炎治療剤レナバサムを導入いたしました。
クレナフィンの価値最大化については、国内では競合環境が厳しくなる中、営業基盤の強化と効率化に取り組むとともに、海外展開を推進しております。当連結会計年度においては、中国の萬聯行社及び天津泰普滬亜医薬知識産権流転儲備中心社へ導出いたしました。
中期的な数値目標につきましては、連結売上高1,100億円を最終年度の2019年3月期は連結売上高948億円に修正しておりましたが、941億円という結果でありました。薬価改定の影響があり、また、後発医薬品を含めた他社製品との競合関係が激化していることが主な要因であります。2019年を起点とする3か年の中期経営計画では、将来の成長基盤の確立のため、引き続きパイプラインの充実等に取り組んでまいります。
経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は94,165百万円(対前年同期比4.3%減)、営業利益は24,592百万円(対前年同期比10.6%減)、経常利益は24,972百万円(対前年同期比10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17,775百万円(対前年同期比6.7%減)となりました。
主要科目の状況は、次のとおりであります。
(売上高)
薬業
医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は増加しましたが、関節機能改善剤「アルツ」、高脂血症治療剤「リピディル」の売上減少などにより減収となりました。
減収の主な要因としては、国内においては、薬価改定による影響が大きく、また、長期収載品が国の後発医薬品使用促進策の影響を受けていることなどがあげられます。国内のクレナフィン、医薬品輸出は堅調でしたが、それらの減収分を補うには至りませんでした。
農業薬品につきましては売上が前年並みとなりました。
この結果、売上高は91,804百万円(対前年同期比4.4%減)となりました。
なお、海外売上高は9,016百万円となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,360百万円(対前年同期比1.9%減)となりました。
(売上原価)
当社グループの売上原価は、主に工場の製造原価、仕入商品原価、不動産事業の役務収益原価から構成されます。売上原価は40,366百万円であり、売上高に対する売上原価の比率は、当連結会計年度42.9%、前連結会計年度43.1%とほぼ前年並みとなりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費については、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費や販売促進費などの営業活動費用であり、当連結会計年度は29,209百万円と前連結会計年度比2.4%増加いたしました。主たる要因は、研究開発費がパイプラインの充実、研究開発の進展に伴い、前連結会計年度比25.9%増加し10,261百万円となったためであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源
当社グループの主要な資金需要は、製品製造費用、商品仕入、販売費及び一般管理費、設備投資であります。特に、販売費及び一般管理費の研究開発費は会社の将来に繋がる重要な投資であり、パイプライン充実に向け、導入も含め積極的に進めていく方針であります。
資金需要への対応は、基本的には自己資金で賄う予定であります。もし不足が生じる場合には、銀行等金融機関からの借入、社債発行及び増資等、外部から様々な資金調達に対応できる体制を整えております。
資金の流動性
事業リスクの高い業界であるため、自己資本の充実に配慮しております。当連結会計年度末の自己資本比率は77.7%とほぼ前年並みを維持しており、良好な水準と考えております。
また、キャッシュ・フローも重視しており、その結果、現金及び現金同等物の期末残高は58,555百万円と増加いたしました。重要度の高い研究開発投資には機動的に対応できるよう、高い流動性を保つことにつとめております。