有価証券報告書-第100期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高が89,232百万円(対前年同期比5.2%減)となりました。
利益面では、売上高は減少したものの、販売費及び一般管理費の減少により、営業利益は26,512百万円(対前年同期比7.8%増)となりました。販売費及び一般管理費が減少した主たる要因は、研究開発費が6,418百万円(対前年同期比37.5%減)となったためであります。経常利益は26,946百万円(対前年同期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19,370百万円(対前年同期比9.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬業
医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は概ね前年並みでありましたが、関節機能改善剤「アルツ」、高脂血症治療剤「リピディル」の売上減少及び海外売上高の減少などにより減収となりました。
その背景としましては、ジェネリック医薬品を含む競合品や薬価改定の影響などがあげられます。
農業薬品につきましては減収となりました。
この結果、売上高は86,853百万円(対前年同期比5.4%減)、セグメント利益(営業利益)は25,048百万円(対前年同期比8.4%増)となりました。
なお、海外売上高は8,012百万円(対前年同期比11.1%減)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,378百万円(対前年同期比0.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,463百万円(対前年同期比0.8%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前期末比1,889百万円増加し、157,875百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比5,447百万円減少し、29,406百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少によるものであります。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、86,680百万円であり、流動比率は500.3%で財務の健全性は保たれております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比7,337百万円増加し、128,468百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
自己資本比率は、81.4%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ14,766百万円増加し、73,322百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比ベ6,339百万円収入が増加し、27,468百万円の収入となりました。これは主に、売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ3,215百万円支出が減少し、2,528百万円の支出となりました。これは主に、長期前払費用の取得額の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ649百万円支出が増加し、10,173百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得額の増加によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
薬業 | 40,279 | △ 12.4 |
不動産事業 | ― | ― |
合計 | 40,279 | △ 12.4 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
薬業 | 25,034 | △ 3.2 |
不動産事業 | ― | ― |
合計 | 25,034 | △ 3.2 |
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、主として販売計画に基づく生産計画によって生産を行っており、受注生産は行っておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
薬業 | 86,853 | △ 5.4 |
不動産事業 | 2,378 | + 0.8 |
合計 | 89,232 | △ 5.2 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
アルフレッサ㈱ | 17,007 | 18.1 | 15,890 | 17.8 |
㈱スズケン | 14,397 | 15.3 | 13,776 | 15.4 |
㈱メディセオ | 13,018 | 13.8 | 12,611 | 14.1 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a. 経営成績の状況
中期的な重点課題として、パイプラインの充実やクレナフィン及び新製品の価値最大化などに取り組んできました。
パイプラインの充実につきましては、資源投入の集中と研究開発の効率化により、最優先課題として活動しております。当連結会計年度においては、原発性腋窩多汗症治療剤(BBI-4000)は国内において製造販売承認申請中であり、熱傷焼痂除去剤(KMW-1)はフェーズⅢを実施中であります。爪白癬治療剤(KP-607)はフェーズⅡを実施中であり、アタマジラミ症治療剤イベルメクチン0.5%外用剤(KAR)は、フェーズⅠを終了し、次相について検討中であります。また、コーバス社より導入した全身性強皮症及び皮膚筋炎治療剤レナバサムは、フェーズⅢ段階でコーバス社が日本を含めたグローバル試験を実施中であります。既存のテーマについては順調に推移いたしました。
クレナフィンの価値最大化につきましては、国内では競合環境が厳しくなる中、営業基盤の強化と効率化に取り組むとともに、海外展開を推進しております。当連結会計年度においては、香港において導出先の萬聯行社による販売が開始されました。
中期的な数値目標につきましては、2019年を起点とする3か年の中期経営計画において、2021年度に、連結売上高945億円、連結営業利益250億円、連結ROE12%以上をめざしております。目標達成のために、将来の成長基盤の確立を重要課題と位置付け、引き続きパイプラインの充実等に取り組んでまいります。
b.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は89,232百万円(対前年同期比5.2%減)、営業利益は26,512百万円(対前年同期比7.8%増)、経常利益は26,946百万円(対前年同期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19,370百万円(対前年同期比9.0%増)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による業績への重大な影響はありませんでした。
主要科目の状況は、次のとおりであります。
(売上高)
薬業
医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は概ね前年並みでありましたが、関節機能改善剤「アルツ」、高脂血症治療剤「リピディル」の売上減少及び海外売上高の減少などにより減収となりました。
減収の主な要因としては、ジェネリック医薬品を含む競合品や薬価改定の影響などがあげられます。
農業薬品につきましては減収となりました。
この結果、売上高は86,853百万円(対前年同期比5.4%減)となりました。
なお、海外売上高は8,012百万円(対前年同期比11.1%減)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,378百万円(対前年同期比0.8%増)となりました。
(売上原価)
当社グループの売上原価は、主に工場の製造原価、仕入商品原価、不動産事業の役務収益原価から構成されます。売上原価は38,753百万円であり、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度42.9%、当連結会計年度43.4%と微増しました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費や販売促進費などの営業活動費用であり、当連結会計年度は23,969百万円と前連結会計年度比17.9%減少いたしました。主たる要因は、研究開発費の減少とその他費用の節減によるものであり、研究開発費は、前連結会計年度比37.5%減少し6,418百万円となりました。
c.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、73,322百万円であり、事業運営上適切な水準であるとともに、経済環境の急激な変化にも一定程度耐えうる流動性を確保できていると考えております。また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響は、この認識の修正を要する程度には至っておりません。
当社グループの主要な資金需要は、開発パイプライン拡充のための研究開発費用及び導入費用、当社製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、商品仕入費用、研究・生産・営業効率を向上させるための設備投資費用であります。持続的な成長のための資金需要には、財務健全性を考慮したうえで積極的に対応していく方針であります。これら資金需要への対応は、営業キャッシュ・フローにより積み上げられた自己資金によることを基本としておりますが、追加的に資金が必要な場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施できる体制も整えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定につきましては、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。