有価証券報告書-第125期(2023/04/01-2024/03/31)
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、欧州では高インフレによる金融引き締めの影響から景気は弱含みの状態にありましたが、米国では良好な雇用情勢により個人消費が堅調に推移し景気の拡大が続きました。一方、わが国では、企業収益や雇用情勢に改善の動きがみられたものの、世界的な金融引き締めや中国経済の持ち直しの動きに足踏みがみられたことなどから、景気は依然として不安定な状況で推移しました。
農業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした農産物需要の拡大から、農業生産は引き続き伸長しました。世界の農薬市場は、米州などの需要増加からここ数年拡大基調にありましたが、2023年は、多くの地域で天候不順の影響を受けたことや、汎用的に使用される非選択性除草剤など一部品目の流通在庫増加に伴い主要地域で価格が大幅に下落したことなどから、成長が鈍化しました。
当社グループの主な販売地域に目を転じますと、国内では、猛暑など天候不順による病害虫の少発生や過年度の流通在庫の影響などから、農薬需要は弱含みで推移しました。
北米では、カリフォルニア州など一部地域で寒冷な気候が続き、例年よりも害虫の発生が少なかったことに加え、流通在庫の影響などから農薬需要は弱含みで推移しました。中南米では、ブラジルで流通在庫の影響から非選択性除草剤等の販売が減少し、価格も大幅に下落しました。また、アジアでは、インドでの大規模な干ばつをはじめとした天候不順の影響から農薬需要は弱含みで推移しました。一方、欧州では、一昨年の干ばつの影響からの回復もあり農薬需要は堅調に推移しました。
このような状況下、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global2(EGG2)」に取り組み、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指しました。
当連結会計年度における主な取り組みとして、2023年4月には、化学合成農薬以外の事業ポートフォリオ拡充を目的として、連結子会社のNichino Europe Co., Ltd.が、英国のアジュバント等の添加剤やバイオスティミュラントの製造・販売会社であるInteragro (UK) Ltd.の全発行株式を取得しました。また、当社が得意とする果樹・園芸分野向け農薬の需要が高いチリでの事業活動強化・拡大を目的として、2023年10月、同国に現地法人を設立しました。さらに、インドでは連結子会社のNichino India Pvt. Ltd.において、新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンの新たな混合剤を登録し、2023年12月より販売を開始したほか、複数の農薬原体を製造できるマルチパーパスプラントが竣工し、稼働を開始しました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、中核事業である農薬事業でインドにおける自社開発品目の販売拡大などにより、1,030億33百万円(前期比9億42百万円増、同0.9%増)となりました。海外売上高は738億85百万円、海外売上高比率は71.7%となりました。利益面では、ブラジルでの一部ジェネリック品目の価格下落の影響などから、営業利益は74億38百万円(前期比13億円減、同14.9%減)、経常利益は59億32百万円(前期比18億47百万円減、同23.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、ブラジルでの法人税額の減少などにより、47億77百万円(前期比2億88百万円増、同6.4%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
① 農薬事業
農薬事業の売上高は975億52百万円(前期比9億99百万円増、同1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は71億60百万円(前期比12億49百万円減、同14.9%減)となりました。
② 農薬以外の化学品事業
農薬以外の化学品事業の売上高は37億56百万円(前期比9百万円減、同0.3%減)、セグメント利益(営業利益)は8億89百万円(前期比58百万円減、同6.2%減)となりました。
③ その他
その他の売上高は17億23百万円(前期比47百万円減、同2.7%減)、セグメント利益(営業利益)は3億31百万円(前期比1百万円増、同0.3%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度に比べ、213億31百万円増の1,579億83百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、140億60百万円増の775億87百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ、72億70百万円増の803億96百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ48億97百万円増加し、当連結会計年度末は192億64百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、3億44百万円となりました。これは税金等調整前当期純利益を58億58百万円計上したものの、売上債権の増加額66億56百万円による資金の減少があったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、48億8百万円となりました。これは関係会社株式の取得による支出26億21百万円、有形固定資産の取得による支出15億95百万円があったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、98億35百万円となりました。これは長期借入金の返済による支出40億62百万円があったものの、長期借入れによる収入93億43百万円、短期借入金の純増額61億52百万円があったことが主な要因であります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は、製品製造原価によっています。
(2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は、仕入価格によっています。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの中核事業である農薬事業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化、後継者不足の深刻化、耕作放棄や転用などによる農地面積の減少、政府による農業資材費低減方針などを背景に、農薬市場は漸減傾向が継続するものと考えられます。また、創薬難度の高まりと農薬登録要件の増加により、新規薬剤開発コストが増大し、開発期間も長期化しております。さらに、各国の農薬登録制度における要件の厳格化、ジェネリック農薬との価格競争、ロシアのウクライナ侵攻に伴う電力高騰や鉱物資源の供給不足による原材料費や委託製造費の高騰、異常気象による農作物への影響など当社グループを取り巻く事業環境は一層厳しさを増しております。
なお、今後の見通しにつきましては、中東情勢の緊迫化やロシアのウクライナ侵攻の長期化、中国経済の減速など、地政学リスクの顕在化による世界経済への影響や気候変動による影響等、不安定で不透明な状況が続くと想定しております。当社グループの中核事業である農薬事業は、食料安定供給を支える農業生産の根幹に関わるビジネスであるため、他の業種に比し影響は限定的であると考えられますが、生産、調達などへの直接的な影響や農業を取り巻く環境変化による間接的な影響が想定されます。
このような事業環境下、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」のもと、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指して活動しました。当連結会計年度における当社グループの売上高は1,030億33百万円(前期比9億42百万円増、同0.9%増)となりました。利益面では、営業利益は74億38百万円(前期比13億円減、同14.9%減)、経常利益は59億32百万円(前期比18億47百万円減、同23.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は47億77百万円(前期比2億88百万円増、同6.4%増)となりました。
なお、セグメント別の業績は以下のとおりです。
(農薬事業)
国内農薬販売では、天候不順による病害虫の少発生や過年度流通在庫の影響を受けたものの、前連結会計年度における価格改定の効果が通年にわたり寄与したほか、ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)をはじめとする主力自社開発品目の普及拡販に努めた結果、国内農薬販売全体の売上高は前期を上回りました。
海外農薬販売では、世界最大の農薬市場であるブラジルで、競争激化に伴う一部ジェネリック品目の価格下落の影響などから、販売が低迷しました。北米では、寒冷な気候が続いた影響に伴う害虫の少発生により、上期は販売が低迷しましたが、下期は当用期に向けた需要が高まったことから、販売は総じて堅調に推移しました。欧州では、南欧地域でダニが多発生した影響により殺ダニ剤フェンピロキシメートの販売が好調だったことなどから、販売が堅調に推移しました。アジアでは、インドで雨季の到来遅延など天候不順の影響はあったものの、園芸用殺虫剤ピリフルキナゾンなど自社開発品目の普及を進める販売戦略が奏功し、販売が堅調に推移しました。さらに、為替が円安基調で推移したこともあり、海外農薬販売全体の売上高は前期を上回りました。
以上の結果、農薬事業の売上高は975億52百万円(前期比9億99百万円増、同1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は、ブラジルにおける収益性悪化の影響から71億60百万円(前期比12億49百万円減、同14.9%減)となりました。
(農薬以外の化学品事業)
化学品事業では、シロアリ薬剤分野の販売が好調に推移しました。医薬品事業では、外用抗真菌剤ルリコナゾールの中国販売終了により売上高が伸び悩みました。
以上の結果、農薬以外の化学品事業の売上高は37億56百万円(前期比9百万円減、同0.3%減)、セグメント利益(営業利益)は8億89百万円(前期比58百万円減、同6.2%減)となりました。
(その他)
緑化造園工事事業では、造園工事で前期まで計上されていた大型工事の欠落等により売上高が減少しました。
分析事業では、食品分野等の受注が伸長した結果、売上高が増加しました。
以上の結果、その他の売上高は17億23百万円(前期比47百万円減、同2.7%減)、セグメント利益(営業利益)は3億31百万円(前期比1百万円増、同0.3%増)となりました。
(2) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、当社の将来のありたい姿としてグルーブビジョン「Nichino Group-Growing Global」を策定し、新規農薬、医・動物薬など、顧客ニーズに適う先進技術を提供し農業生産や健康的な生活を支えること、ならびに低環境負荷製品、省力化技術など、SDGsに資する製品、サービスを拡大し持続可能な社会に貢献することを目指しております。このグループビジョン達成に向けた将来のありたい姿として、当社グループは事業規模として営業利益率15%以上、売上高2,000億円を目指しております。その達成に向けた数値目標として、2030年度に営業利益率10%以上、売上高1,250億円を実現し、魅力ある新製品技術、CSR(SDGs)経営を通じてグローバルで“ニチノーブランド、ニチノー品質”が浸透している企業を目指すことを定めております。
2022年3月期を初年度とする中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」においては、最終年度となる2024年3月期の目標売上高1,000億円、計画数値として営業利益64億円、売上高890億円を設定し、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を図る計画としております。
最終年度となる当連結会計年度においては、ターゲット市場における重点剤の登録取得や開発推進、次世代事業の開発推進、スマート農業の海外展開拡大や外部事業者との提携、国内農薬販売の強化、業務改革・働き方改革の推進など、事業基盤の強化に一定の成果を挙げることができました。また、株式会社ADEKAとの資本業務提携によるシナジーを早期に創出し発揮するべく活動を推進してきました。
当連結会計年度においては、上記計画値の達成に向け業績向上に努めてまいりました。その結果、海外農薬販売でインドでの自社開発品目の販売が拡大したほか、為替が円安基調で推移したことなどにより、売上高、営業利益とも中期経営計画の計画値を上回りました。さらに、最終年度の目標売上高1,000億円についても2期連続で達成することができました。
(3) 財政状態の状況
①事業全体の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ、213億31百万円増の1,579億83百万円となりました。
負債につきましては、短期借入金及び長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ、140億60百万円増の775億87百万円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比べ、72億70百万円増の803億96百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ、2.5%減の49.4%になりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ168億52百万円増加し、1,454億35百万円となりました。
(農薬事業)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ170億26百万円増加し、1,402億95百万円となりました。
(農薬以外の化学品事業)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ1億17百万円減少し、30億50百万円となりました。
(その他)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ55百万円減少し、20億89百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④資本の財源および資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等にかかる研究開発費や開発途中の剤の生産設備の設置及び既存剤の生産効率化にかかる設備投資であり、これらを主に自己資金並びに金融機関からの借入金により調達しています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は192億64百万円であり、十分な手元流動性を確保しています。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、欧州では高インフレによる金融引き締めの影響から景気は弱含みの状態にありましたが、米国では良好な雇用情勢により個人消費が堅調に推移し景気の拡大が続きました。一方、わが国では、企業収益や雇用情勢に改善の動きがみられたものの、世界的な金融引き締めや中国経済の持ち直しの動きに足踏みがみられたことなどから、景気は依然として不安定な状況で推移しました。
農業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした農産物需要の拡大から、農業生産は引き続き伸長しました。世界の農薬市場は、米州などの需要増加からここ数年拡大基調にありましたが、2023年は、多くの地域で天候不順の影響を受けたことや、汎用的に使用される非選択性除草剤など一部品目の流通在庫増加に伴い主要地域で価格が大幅に下落したことなどから、成長が鈍化しました。
当社グループの主な販売地域に目を転じますと、国内では、猛暑など天候不順による病害虫の少発生や過年度の流通在庫の影響などから、農薬需要は弱含みで推移しました。
北米では、カリフォルニア州など一部地域で寒冷な気候が続き、例年よりも害虫の発生が少なかったことに加え、流通在庫の影響などから農薬需要は弱含みで推移しました。中南米では、ブラジルで流通在庫の影響から非選択性除草剤等の販売が減少し、価格も大幅に下落しました。また、アジアでは、インドでの大規模な干ばつをはじめとした天候不順の影響から農薬需要は弱含みで推移しました。一方、欧州では、一昨年の干ばつの影響からの回復もあり農薬需要は堅調に推移しました。
このような状況下、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global2(EGG2)」に取り組み、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指しました。
当連結会計年度における主な取り組みとして、2023年4月には、化学合成農薬以外の事業ポートフォリオ拡充を目的として、連結子会社のNichino Europe Co., Ltd.が、英国のアジュバント等の添加剤やバイオスティミュラントの製造・販売会社であるInteragro (UK) Ltd.の全発行株式を取得しました。また、当社が得意とする果樹・園芸分野向け農薬の需要が高いチリでの事業活動強化・拡大を目的として、2023年10月、同国に現地法人を設立しました。さらに、インドでは連結子会社のNichino India Pvt. Ltd.において、新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンの新たな混合剤を登録し、2023年12月より販売を開始したほか、複数の農薬原体を製造できるマルチパーパスプラントが竣工し、稼働を開始しました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、中核事業である農薬事業でインドにおける自社開発品目の販売拡大などにより、1,030億33百万円(前期比9億42百万円増、同0.9%増)となりました。海外売上高は738億85百万円、海外売上高比率は71.7%となりました。利益面では、ブラジルでの一部ジェネリック品目の価格下落の影響などから、営業利益は74億38百万円(前期比13億円減、同14.9%減)、経常利益は59億32百万円(前期比18億47百万円減、同23.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、ブラジルでの法人税額の減少などにより、47億77百万円(前期比2億88百万円増、同6.4%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
① 農薬事業
農薬事業の売上高は975億52百万円(前期比9億99百万円増、同1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は71億60百万円(前期比12億49百万円減、同14.9%減)となりました。
② 農薬以外の化学品事業
農薬以外の化学品事業の売上高は37億56百万円(前期比9百万円減、同0.3%減)、セグメント利益(営業利益)は8億89百万円(前期比58百万円減、同6.2%減)となりました。
③ その他
その他の売上高は17億23百万円(前期比47百万円減、同2.7%減)、セグメント利益(営業利益)は3億31百万円(前期比1百万円増、同0.3%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度に比べ、213億31百万円増の1,579億83百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、140億60百万円増の775億87百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ、72億70百万円増の803億96百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ48億97百万円増加し、当連結会計年度末は192億64百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、3億44百万円となりました。これは税金等調整前当期純利益を58億58百万円計上したものの、売上債権の増加額66億56百万円による資金の減少があったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、48億8百万円となりました。これは関係会社株式の取得による支出26億21百万円、有形固定資産の取得による支出15億95百万円があったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、98億35百万円となりました。これは長期借入金の返済による支出40億62百万円があったものの、長期借入れによる収入93億43百万円、短期借入金の純増額61億52百万円があったことが主な要因であります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 農薬事業 | 60,995 | 96.4 |
| 農薬以外の化学品事業 | 831 | 115.9 |
| その他 | 404 | 61.8 |
| 合計 | 62,232 | 96.3 |
(注) 金額は、製品製造原価によっています。
(2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 農薬事業 | 18,769 | 92.9 |
| 農薬以外の化学品事業 | 1,302 | 102.0 |
| その他 | 54 | 47.0 |
| 合計 | 20,126 | 93.2 |
(注) 金額は、仕入価格によっています。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 農薬事業 | - | - | - | - |
| 農薬以外の化学品事業 | - | - | - | - |
| その他 | 555 | 90.9 | 228 | 192.8 |
| 合計 | 555 | 90.9 | 228 | 192.8 |
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 農薬事業 | 97,552 | 101.0 |
| 農薬以外の化学品事業 | 3,756 | 99.7 |
| その他 | 1,723 | 97.3 |
| 合計 | 103,033 | 100.9 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの中核事業である農薬事業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化、後継者不足の深刻化、耕作放棄や転用などによる農地面積の減少、政府による農業資材費低減方針などを背景に、農薬市場は漸減傾向が継続するものと考えられます。また、創薬難度の高まりと農薬登録要件の増加により、新規薬剤開発コストが増大し、開発期間も長期化しております。さらに、各国の農薬登録制度における要件の厳格化、ジェネリック農薬との価格競争、ロシアのウクライナ侵攻に伴う電力高騰や鉱物資源の供給不足による原材料費や委託製造費の高騰、異常気象による農作物への影響など当社グループを取り巻く事業環境は一層厳しさを増しております。
なお、今後の見通しにつきましては、中東情勢の緊迫化やロシアのウクライナ侵攻の長期化、中国経済の減速など、地政学リスクの顕在化による世界経済への影響や気候変動による影響等、不安定で不透明な状況が続くと想定しております。当社グループの中核事業である農薬事業は、食料安定供給を支える農業生産の根幹に関わるビジネスであるため、他の業種に比し影響は限定的であると考えられますが、生産、調達などへの直接的な影響や農業を取り巻く環境変化による間接的な影響が想定されます。
このような事業環境下、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」のもと、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指して活動しました。当連結会計年度における当社グループの売上高は1,030億33百万円(前期比9億42百万円増、同0.9%増)となりました。利益面では、営業利益は74億38百万円(前期比13億円減、同14.9%減)、経常利益は59億32百万円(前期比18億47百万円減、同23.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は47億77百万円(前期比2億88百万円増、同6.4%増)となりました。
なお、セグメント別の業績は以下のとおりです。
(農薬事業)
国内農薬販売では、天候不順による病害虫の少発生や過年度流通在庫の影響を受けたものの、前連結会計年度における価格改定の効果が通年にわたり寄与したほか、ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)をはじめとする主力自社開発品目の普及拡販に努めた結果、国内農薬販売全体の売上高は前期を上回りました。
海外農薬販売では、世界最大の農薬市場であるブラジルで、競争激化に伴う一部ジェネリック品目の価格下落の影響などから、販売が低迷しました。北米では、寒冷な気候が続いた影響に伴う害虫の少発生により、上期は販売が低迷しましたが、下期は当用期に向けた需要が高まったことから、販売は総じて堅調に推移しました。欧州では、南欧地域でダニが多発生した影響により殺ダニ剤フェンピロキシメートの販売が好調だったことなどから、販売が堅調に推移しました。アジアでは、インドで雨季の到来遅延など天候不順の影響はあったものの、園芸用殺虫剤ピリフルキナゾンなど自社開発品目の普及を進める販売戦略が奏功し、販売が堅調に推移しました。さらに、為替が円安基調で推移したこともあり、海外農薬販売全体の売上高は前期を上回りました。
以上の結果、農薬事業の売上高は975億52百万円(前期比9億99百万円増、同1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は、ブラジルにおける収益性悪化の影響から71億60百万円(前期比12億49百万円減、同14.9%減)となりました。
(農薬以外の化学品事業)
化学品事業では、シロアリ薬剤分野の販売が好調に推移しました。医薬品事業では、外用抗真菌剤ルリコナゾールの中国販売終了により売上高が伸び悩みました。
以上の結果、農薬以外の化学品事業の売上高は37億56百万円(前期比9百万円減、同0.3%減)、セグメント利益(営業利益)は8億89百万円(前期比58百万円減、同6.2%減)となりました。
(その他)
緑化造園工事事業では、造園工事で前期まで計上されていた大型工事の欠落等により売上高が減少しました。
分析事業では、食品分野等の受注が伸長した結果、売上高が増加しました。
以上の結果、その他の売上高は17億23百万円(前期比47百万円減、同2.7%減)、セグメント利益(営業利益)は3億31百万円(前期比1百万円増、同0.3%増)となりました。
(2) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、当社の将来のありたい姿としてグルーブビジョン「Nichino Group-Growing Global」を策定し、新規農薬、医・動物薬など、顧客ニーズに適う先進技術を提供し農業生産や健康的な生活を支えること、ならびに低環境負荷製品、省力化技術など、SDGsに資する製品、サービスを拡大し持続可能な社会に貢献することを目指しております。このグループビジョン達成に向けた将来のありたい姿として、当社グループは事業規模として営業利益率15%以上、売上高2,000億円を目指しております。その達成に向けた数値目標として、2030年度に営業利益率10%以上、売上高1,250億円を実現し、魅力ある新製品技術、CSR(SDGs)経営を通じてグローバルで“ニチノーブランド、ニチノー品質”が浸透している企業を目指すことを定めております。
2022年3月期を初年度とする中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」においては、最終年度となる2024年3月期の目標売上高1,000億円、計画数値として営業利益64億円、売上高890億円を設定し、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を図る計画としております。
最終年度となる当連結会計年度においては、ターゲット市場における重点剤の登録取得や開発推進、次世代事業の開発推進、スマート農業の海外展開拡大や外部事業者との提携、国内農薬販売の強化、業務改革・働き方改革の推進など、事業基盤の強化に一定の成果を挙げることができました。また、株式会社ADEKAとの資本業務提携によるシナジーを早期に創出し発揮するべく活動を推進してきました。
当連結会計年度においては、上記計画値の達成に向け業績向上に努めてまいりました。その結果、海外農薬販売でインドでの自社開発品目の販売が拡大したほか、為替が円安基調で推移したことなどにより、売上高、営業利益とも中期経営計画の計画値を上回りました。さらに、最終年度の目標売上高1,000億円についても2期連続で達成することができました。
(3) 財政状態の状況
①事業全体の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ、213億31百万円増の1,579億83百万円となりました。
負債につきましては、短期借入金及び長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ、140億60百万円増の775億87百万円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比べ、72億70百万円増の803億96百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ、2.5%減の49.4%になりました。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ168億52百万円増加し、1,454億35百万円となりました。
(農薬事業)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ170億26百万円増加し、1,402億95百万円となりました。
(農薬以外の化学品事業)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ1億17百万円減少し、30億50百万円となりました。
(その他)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前期末に比べ55百万円減少し、20億89百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④資本の財源および資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等にかかる研究開発費や開発途中の剤の生産設備の設置及び既存剤の生産効率化にかかる設備投資であり、これらを主に自己資金並びに金融機関からの借入金により調達しています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は192億64百万円であり、十分な手元流動性を確保しています。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。