四半期報告書-第15期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/06 15:22
【資料】
PDFをみる
【項目】
19項目
(1) 業績の状況
当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期比540億円(7.7%)増収の7,570億円となりました。エドキサバン等の主力品の伸長に加え、アストラゼネカ社とのトラスツズマブ デルクステカン(抗HER2 ADC、開発コード:DS-8201)のグローバル開発及び商業化に係る契約一時金並びに開発マイルストンの収益計上(当第3四半期連結累計期間の期間対応額:80億円)等により、増収となりました。売上収益に係る為替の減収影響は122億円であります。
営業利益は、前年同四半期比585億円(60.3%)増益の1,556億円となりました。売上総利益は、売上収益の増収に加え、販売製品の構成比の変化及び高槻工場の譲渡に伴い子会社売却益(188億円)を計上したこと等により、売上原価が減少したため、前年同四半期比626億円(14.3%)増益の5,008億円となりました。販売費及び一般管理費は、米国におけるがん事業体制構築に伴う費用増加等により、前年同四半期比97億円(4.9%)増加の2,082億円となりました。研究開発費は、アストラゼネカ社とのトラスツズマブ デルクステカンに係るコストシェア等により、前年同四半期比56億円(4.0%)減少の1,369億円となりました。営業利益に係る為替の減益影響は31億円であります。
税引前四半期利益は、前年同四半期比620億円(63.3%)増益の1,600億円となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同四半期比555億円(70.4%)増益の1,343億円となりました。連結納税制度の導入等に伴い法人税等が減少したことにより、税引前四半期利益を上回る増益率となりました。
四半期包括利益合計額は、前年同四半期比220億円(14.9%)減益の1,256億円となりました。前年同四半期に、過年度の当社グループの事業再編に係る税金負債を取崩して、その他の包括利益を計上していたこと等から、減益となりました。
当社グループの主な地域別売上状況は次のとおりであります。
① 日本
日本の売上収益は、前年同四半期比265億円(5.9%)増収の4,751億円となりました。
[国内医薬事業]
国内医薬事業では、リクシアナ、イナビル、タリージェ等の主力品の伸長及びオーソライズド・ジェネリック(注1)製品の寄与により、売上収益は266億円(6.7%)増収の4,223億円となりました。なお、この売上収益には、ワクチン事業の売上収益及び第一三共エスファ㈱が取り扱うジェネリック事業の売上収益が含まれております。
2019年4月にタリージェ(一般名:ミロガバリンベシル酸塩)を末梢性神経障害性疼痛の適応症で、新発売いたしました。
2019年5月にミネブロ(一般名:エサキセレノン)を高血圧症の適応症で、新発売いたしました。
2019年10月にヴァンフリタ(一般名:キザルチニブ塩酸塩)を再発または難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病の適応症で、新発売いたしました。
造影剤4製品(オムニパーク、オムニスキャン、ビジパーク、ソナゾイド)の独占的開発及び販売権を米国GEヘルスケア社に返還し、製造販売承認を同社の日本法人であるGEヘルスケアファーマ㈱に承継することを、2019年6月に決定いたしました。
(注)1.オーソライズド・ジェネリック:先発医薬品メーカーからの許諾を受けて製造される後発医薬品
[ヘルスケア事業]
ヘルスケア事業の売上収益は、前年同四半期並みの529億円(前年同四半期比0.1%減)となりました。
<日本の主な売上構成>(単位:億円)
区分前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
国内医薬事業(注)23,9574,223266
6.7%
ヘルスケア事業529529△1
△0.1%

(注)2.ジェネリック事業、ワクチン事業を含む
<国内医薬主力品売上収益>(単位:億円)
製品名前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
リクシアナ抗凝固剤493656163
33.1%
ネキシウム
抗潰瘍剤
61062313
2.2%
メマリーアルツハイマー型認知症治療剤3954027
1.7%
プラリア
骨粗鬆症治療剤・関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制剤
21024333
15.6%
テネリア
2型糖尿病治療剤
199197△2
△1.1%
ロキソニン
消炎鎮痛剤
243227△16
△6.4%
イナビル
抗インフルエンザウイルス剤
4511571
157.9%
ランマーク
がん骨転移による骨病変治療剤
12714013
10.5%
エフィエント
抗血小板剤
1091112
2.0%
レザルタス
高血圧症治療剤
122116△6
△4.5%
カナリア
2型糖尿病治療剤
699830
43.3%
ビムパット
抗てんかん剤
488537
77.0%
オムニパーク
造影剤
9584△11
△11.9%
オルメテック
高血圧症治療剤
11994△25
△21.0%

② 北米
北米の売上収益は、前年同四半期比48億円(4.1%)増収の1,236億円、現地通貨ベースでは、6千9百万米ドル(6.4%)増収の11億3千7百万米ドルとなりました。なお、この売上収益には、第一三共Inc.とアメリカン・リージェントInc.の売上収益が含まれております。
第一三共Inc.では、ウェルコールが減収となりました。
第一三共Inc.は、2019年8月にTURALIO(一般名:ペキシダルチニブ)を腱滑膜巨細胞腫の適応症で、新発売いたしました。
アメリカン・リージェントInc.では、インジェクタファーが増収となりました。
<第一三共Inc.主力品売上収益>(単位:百万米ドル)
製品名前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
オルメサルタン(注)3
高血圧症治療剤
71720
0.5%
ウェルコール
高コレステロール血症治療剤
・2型糖尿病治療剤
9979△20
△19.9%

(注)3.ベニカー/ベニカーHCT、エイゾール、トライベンゾール及びオルメサルタンのオーソライズド・ジェネリック
<アメリカン・リージェントInc.主力品売上収益>(単位:百万米ドル)
製品名前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
インジェクタファー
鉄欠乏性貧血治療剤
30336259
19.5%
ヴェノファー
鉄欠乏性貧血治療剤
217215△2
△1.1%

③ 欧州
欧州の売上収益は、前年同四半期比17億円(2.6%)増収の677億円、現地通貨ベースでは5千万ユーロ(9.7%)増収の5億5千9百万ユーロとなりました。オルメサルタン及び配合剤、エフィエントが減収となったものの、リクシアナが伸長いたしました。
<第一三共ヨーロッパGmbH主力品売上収益>(単位:百万ユーロ)
製品名前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
リクシアナ
抗凝固剤
258362105
40.7%
オルメサルタン(注)4
高血圧症治療剤
162140△22
△13.7%
エフィエント
抗血小板剤
3616△20
△55.1%

(注)4.オルメテック/オルメテックプラス、セビカー及びセビカーHCT
④ アジア・中南米
アジア・中南米の売上収益は、前年同四半期比104億円(16.5%)増収の735億円となりました。なお、この売上収益には、海外ライセンシーへの売上収益等が含まれております。中国では、合成抗菌剤クラビット並びにオルメサルタン及び配合剤等の主力品が増収となりました。また、中国で、2019年8月にリクシアナを新発売いたしました。
(2) 財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は2兆898億円となりました。営業債権及びその他の債権が減少した一方で、現金及び現金同等物の増加等により、前連結会計年度末より17億円の増加となりました。
負債合計は7,595億円となりました。その他の金融負債(非流動負債)が増加した一方で、営業債務及びその他の債務、並びに社債及び借入金(非流動負債)の減少等により、前連結会計年度末より789億円の減少となりました。
資本合計は1兆3,303億円となりました。配当金の支払による減少があった一方で、四半期利益の計上等により、前連結会計年度末より806億円の増加となりました。
親会社所有者帰属持分比率は63.6%となり、前連結会計年度末より3.8ポイント増加しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、期首に比べ832億円増加し、3,264億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益1,600億円に加え、営業債権及びその他の債権の減少(主にDS-8201に係るアストラゼネカ社からの契約一時金の収入:745億円)による資金の増加等により、1,408億円の収入(前年同四半期は207億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出があった一方で、定期預金の払戻による収入や子会社の売却による収入等により、334億円の収入(前年同四半期は754億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や社債の償還等により、890億円の支出(前年同四半期は661億円の支出)となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は1,369億円(前年同四半期比4.0%減)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は18.1%となりました。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありま
せん。