有価証券報告書-第153期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)業績等の概要
(単位:百万円)
当連結会計年度において、年度の後半にかけて欧州及び北米の自動車市場が軟調となったものの、多くの市場は安定あるいは成長しました。
欧州では、建築用ガラス市場は高水準の需要により価格が堅調に推移しました。しかし自動車用ガラス市場は年度後半にかけて、域内需要の弱含みと主要輸出市場の需要低調により、市場環境が厳しくなりました。アジアでは、建築用ガラス市場は前年度並みでしたが、太陽電池パネル用ガラスの需要は対前年度で増加しました。また自動車用ガラス市場は前年度並みでした。米州では、北米の建築用ガラス需要は堅調でしたが、自動車市場は徐々に軟化しました。南米では、ブラジルの乗用車販売の回復が続いたものの、アルゼンチンでは低水準にとどまりました。高機能ガラス市場は、複数の事業において需要拡大が続き好調でした。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は2,473億円(前連結会計年度(修正再表示後)は2,380億円)、個別開示項目前営業利益は258億円(前連結会計年度(修正再表示後)は262億円)となりました。
建築用ガラス事業の売上高は、多くの地域で建築市場向けガラスの販売数量が高いレベルにあったことや太陽電池パネル用ガラスの出荷数量が増えたことにより、前年度より増加しました。事業環境が好調であった一方で、フロート窯の定期修繕や原燃料等の投入コスト上昇等の影響を受け、営業利益は前年度を下回りました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の39%を占めております。第1四半期に実施したドイツのフロート窯の定期修繕や、投入コスト上昇等の影響を受けたものの、好調な市場需要を背景に設備稼働率・価格が堅調であったため、営業利益は前年度より若干の増加となりました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の37%を占めております。同地域は前年度比で売上高は増加した一方、営業利益は前年度並みとなりました。東南アジアにおいては競合他社の生産能力増強により競争が激化しているものの、建築市場向けガラスの需要は概して強く、また、太陽電池パネル用ガラスの売上も増加しました。日本では、投入コスト上昇の影響を受けましたが、売上数量増及び値上げの効果により業績が改善しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の24%を占めております。売上高は増加しましたが、アルゼンチンにおいて超インフレ会計を適用したことが影響し、営業利益は前年度より若干の減少となりました。超インフレ会計の概要については、後述の第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]⑤連結財務諸表注記5会計方針の変更をご参照ください。超インフレ会計の影響を除くとアルゼンチンは計画に沿った業績となりました。北米では、年度後半において一部高付加価値(VA)製品の低歩留まりの影響と、ガラスの域内生産及び輸入増加で価格への影響がありましたが、オタワ工場が今年度はフル稼働に戻っていることにより、好調な建築用ガラス市場の恩恵を受けました。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業の売上高は3,146億円(前連結会計年度(修正再表示後)は3,114億円)、個別開示項目前営業利益は151億円(前連結会計年度(修正再表示後)は142億円)となりました。
当連結会計年度における自動車用ガラス事業は、主に年度前半の好調な欧州の業績により、売上高は前年度を若干上回り、営業利益も増加しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の45%を占めております。新車用ガラス(OE)部門は、第3四半期から域内での乗用車販売と域外への高級車輸出が減少したことにより需要にブレーキがかかったものの、通期では業績は改善しました。補修用ガラス(AGR)部門も、販売数量の増加と高付加価値(VA)製品比率の向上により業績は改善しました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の22%を占めております。売上高、営業利益ともに前年度より増加しました。日本では、第2四半期に発生した自然災害により自動車産業のサプライチェーンに影響が出たものの、自動車の販売台数は前年度水準を維持し、新車用ガラスの売上は前年度を上回りました。また補修用ガラスは販売数量の増加により増益となりました。
米州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の33%を占めており、売上高と収益性は前年度より若干の改善となりました。北米では、通年で乗用車販売が徐々に軟化していったことの影響を受けました。南米においては、ブラジルでは販売数量の一層の回復により収益性が改善しました。アルゼンチンでは前述の超インフレ会計の適用による影響を受けました。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は491億円(前連結会計年度(修正再表示後)は484億円)、個別開示項目前営業利益は81億円(前連結会計年度(修正再表示後)は54億円)となりました。
ファインガラス事業では、売上の改善とコスト削減による事業基盤の強化に伴い、更に利益改善が進みました。情報通信デバイス事業では、プリンターやスキャナーに使用されるガラス部品の需要は若干減少しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードの需要は、特に欧州と中国で、年度末に向けて自動車市場と歩調を合わせるように軟化しました。メタシャイン®は、自動車用塗料や化粧品等の分野での堅調な需要により、販売が増加しました。電池用セパレーターは、日本でのアイドリング・ストップ・スタートシステム向け需要が好調を維持しました。
その他
当連結会計年度におけるその他の売上高は17億円(前連結会計年度(修正再表示後)は11億円)、個別開示項目前営業損失は121億円(前連結会計年度(修正再表示後)は102億円)となりました。
このセグメントには、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれております。当連結会計年度のその他における営業損失は、新設のビジネス・イノベーション・センター(新規事業開発加速のため新設した組織)をこのセグメントに含めた影響も一部あり、前年度より増加しました。
参考までに、所在地別の業績は以下の通りとなっております。
当連結会計年度(2019年3月期)より、当社グループの内部管理体制との一貫性確保のため、業績開示の地域区分を変更致しました。日本、中国、東南アジア、インドはアジアとして一括して表示しております。前連結会計年度までは、中国、東南アジア、インドはその他地域に含めて表示しておりました。北米及び南米は米州として一括して表示しております。前連結会計年度まで、南米はその他地域に含めて表示していた一方で、北米は個別に表示しておりました。欧州についてはこれまでと変更はありません。
欧州
欧州では、当連結会計年度の売上高は27億円増加し2,450億円となりました。主に建築用ガラス事業の販売数量の増加によるものです。個別開示項目前営業利益は、自動車用ガラス事業の利益改善が連結調整を含むその他のコストにより減殺され、また建築用ガラス事業はほぼ前年度並みの利益水準であったため、前年同期より4億円減少の144億円となりました。
アジア
アジアでは、当連結会計年度の売上高は103億円増加し2,039億円となりました。個別開示項目前営業利益は、主に高機能ガラス事業の収益性の大幅な改善が寄与し、前年同期より17億円増加の132億円となりました。
米州
米州では、当連結会計年度の売上高は9億円増加し1,639億円となりました。アルゼンチンの建築用ガラス事業における販売価格の改善、及びブラジルの自動車用ガラス事業における販売数量の改善が見られた一方で、アルゼンチンにおける事業に対し、超インフレ会計を適用し、財務諸表を期末日のレートを用いて換算して連結した影響を受けました。期末日のアルゼンチン・ペソから日本円への換算レートは、当期平均と比べ著しく低いものでした。またこの影響により、個別開示項目前営業利益についても1億円減少し、93億円となりました。
(2)会計方針
連結財務諸表において採用している重要な会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、2006年6月のピルキントン社買収以降、借入金の削減に取り組んでまいりました。収益性の着実な改善が、設備投資と運転資本の厳格管理並びに非中核資産売却を補うことでプラスのフリー・キャッシュ・フローを継続して創出し、更なる安定的な財政基盤の構築を目指してまいります。
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しております。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としております。将来の借入条件に関する金融機関との交渉において、当社グループが受諾可能な条件での融資が不可能と想起させるような事実は発生しておりません。こうした状況を検討し、当社取締役会は、当社グループが予測可能な将来において継続事業として存続するのに十分な経営資源を引き続き有するという、合理的な見通しを持っております。従って、当社グループは、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しております。
1)総資産
当連結会計年度末の総資産は7,619億円となり、前連結会計年度末より267億円減少しました。
2)ネット借入残高
当連結会計年度末時点のネット借入残高は、前連結会計年度末より112億円増加し、3,177億円となりました。また、総借入残高は3,715億円となりました。当社グループは、当連結会計年度末時点において未使用の融資枠746億円を保有しております。
3)資本
当連結会計年度末時点の資本合計は、前連結会計年度末時点より112億円減少し、1,325億円となりました。当期利益の大幅改善とアルゼンチンにおける超インフレ会計の適用による資産価値の上昇効果を、円高による為替換算差額等がそれを上回り、資本合計の減少につながりました。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度より139億円増加し、6,128億円になりました。為替換算の影響を除くと、売上高は前連結会計年度より概ね2%の増加となりました。
2)個別開示項目前営業利益
当連結会計年度の個別開示項目前営業利益は369億円となり、前連結会計年度より12億円増加しました。個別開示項目(費用)を反映した後の営業利益は298億円となりました。個別開示項目の主なものとしては、リストラクチャリング費用、有形固定資産等の減損損失、退職給付に係る負債の過去勤務費用、過年度の有形固定資産等の減損損失の戻入益が含まれております。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は前連結会計年度より6億円改善し、227億円となりました。
前述の個別開示項目(費用)の増加が、金融費用の減少と持分法による投資利益の増加により相殺された結果、税引前利益の改善につながりました。借入金の平均残高減少による金融費用の減少が、アルゼンチンの超インフレ会計の適用による金融費用の増加により一部相殺された結果、金融費用全体としては減少しました。また、当社グループのブラジル所在のジョイント・ベンチャーであるCebrace社の業績が好調で、また同社は過年度に納付した売上高課税基準の税金の計算方法に対する異議申し立ての結果、第2四半期において23億円の一過性の利益を認識したこともあり、持分法による投資利益が増加しました。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は133億円となり、前連結会計年度(修正再表示後)の62億円から改善しました。前連結会計年度においては、米国における税制改革法の成立に伴い、米国の連邦法人税率が35%から21%に引き下げられたことを受けて、繰延税金資産の取り崩しによる一過性の税金費用96億円を認識しました。
5)1株当たり指標
当連結会計年度の基本的1株当たり当期利益は115.16円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期利益48.27円より改善しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式に係る配当金及び金銭償還プレミアムを控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しております。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当21億円(前連結会計年度は18億円)及び金銭償還プレミアム8億円(前連結会計年度は-億円)がこの計算に含まれています。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、290億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による281億円の支出があり、281億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは9億円のプラスとなりました。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて125億円減少し、503億円となりました。
(6)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
連結財務諸表の主要項目における国際会計基準(IFRS)と日本基準との間の主な差異は以下の通りです。なお、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算により記載しております。
1)のれん及び無形資産
IFRSでは、買収により発生したのれん及び耐用年数を特定できない無形資産は資産計上され、償却はせず定期的に減損テストが行われます。日本基準では、合理的に見積もられたのれん及び無形資産の効果が及ぶ期間(20年以内)にわたって定額法により償却されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される償却費が、当連結会計年度(2019年3月期)において10,104百万円(前連結会計年度(2018年3月期)において10,173百万円)減少しております。
2)従業員給付
当社グループは確定給付年金制度、退職補償制度、退職後医療給付、生命保険給付、段階的退職給付制度(ドイツにおける制度)及び長期サービス給付についてはIAS第19号「従業員給付」(以下、IAS第19号)に基づいて会計処理をしております。債務は割引後現在価値で測定し、制度資産(主としてイギリス、アメリカ及び日本等で設定している積立型制度に関する資産)は公正価値で計上されております。
IFRSでは、営業費用及び金融費用は連結損益計算書で別々に認識されます。営業費用は主として勤務費用から成り、その勤務費用はその期間に従業員からの役務提供によってもたらされる退職給付債務の増加です。金融費用は、該当地域毎に確定給付負債(資産)の純額に対して個別の割引率を適用した利息純額として算定されます。数理計算の仮定の変化によって発生する数理差異は制度資産の損益と共にその他の包括利益として認識されます。
日本基準では、退職給付債務に係る勤務費用と金融費用は共に営業費用に計上されます。数理差異は、発生時の従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数(5年)による定額法により按分した額にて、発生の翌事業年度より費用処理されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される退職給付費用が、当連結会計年度(2019年3月期)において3,325百万円(前連結会計年度(2018年3月期)において684百万円)減少しております。
3)表示の組替
日本基準では、営業外損益と特別損益項目は営業損益に含まれませんが、IFRSでは、これらの項目も持分法による投資損益と金融収益・費用を除いて営業損益に含まれております。
(7)生産・受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注実績
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載しておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | |
| 当連結会計年度 | 612,789 | 36,855 | 22,730 | 14,378 | 13,287 |
| 前連結会計年度 | 598,897 | 35,632 | 22,146 | 7,907 | 6,164 |
| 増減率 | 2.3% | 3.4% | 2.6% | 81.8% | 115.6% |
当連結会計年度において、年度の後半にかけて欧州及び北米の自動車市場が軟調となったものの、多くの市場は安定あるいは成長しました。
欧州では、建築用ガラス市場は高水準の需要により価格が堅調に推移しました。しかし自動車用ガラス市場は年度後半にかけて、域内需要の弱含みと主要輸出市場の需要低調により、市場環境が厳しくなりました。アジアでは、建築用ガラス市場は前年度並みでしたが、太陽電池パネル用ガラスの需要は対前年度で増加しました。また自動車用ガラス市場は前年度並みでした。米州では、北米の建築用ガラス需要は堅調でしたが、自動車市場は徐々に軟化しました。南米では、ブラジルの乗用車販売の回復が続いたものの、アルゼンチンでは低水準にとどまりました。高機能ガラス市場は、複数の事業において需要拡大が続き好調でした。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前営業利益 | |||
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | |
| 建築用ガラス事業 | 247,348 | 237,966 | 25,811 | 26,246 |
| 自動車用ガラス事業 | 314,645 | 311,428 | 15,118 | 14,209 |
| 高機能ガラス事業 | 49,106 | 48,429 | 8,062 | 5,403 |
| その他 | 1,690 | 1,074 | △12,136 | △10,226 |
| 合計 | 612,789 | 598,897 | 36,855 | 35,632 |
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は2,473億円(前連結会計年度(修正再表示後)は2,380億円)、個別開示項目前営業利益は258億円(前連結会計年度(修正再表示後)は262億円)となりました。
建築用ガラス事業の売上高は、多くの地域で建築市場向けガラスの販売数量が高いレベルにあったことや太陽電池パネル用ガラスの出荷数量が増えたことにより、前年度より増加しました。事業環境が好調であった一方で、フロート窯の定期修繕や原燃料等の投入コスト上昇等の影響を受け、営業利益は前年度を下回りました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の39%を占めております。第1四半期に実施したドイツのフロート窯の定期修繕や、投入コスト上昇等の影響を受けたものの、好調な市場需要を背景に設備稼働率・価格が堅調であったため、営業利益は前年度より若干の増加となりました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の37%を占めております。同地域は前年度比で売上高は増加した一方、営業利益は前年度並みとなりました。東南アジアにおいては競合他社の生産能力増強により競争が激化しているものの、建築市場向けガラスの需要は概して強く、また、太陽電池パネル用ガラスの売上も増加しました。日本では、投入コスト上昇の影響を受けましたが、売上数量増及び値上げの効果により業績が改善しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の24%を占めております。売上高は増加しましたが、アルゼンチンにおいて超インフレ会計を適用したことが影響し、営業利益は前年度より若干の減少となりました。超インフレ会計の概要については、後述の第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]⑤連結財務諸表注記5会計方針の変更をご参照ください。超インフレ会計の影響を除くとアルゼンチンは計画に沿った業績となりました。北米では、年度後半において一部高付加価値(VA)製品の低歩留まりの影響と、ガラスの域内生産及び輸入増加で価格への影響がありましたが、オタワ工場が今年度はフル稼働に戻っていることにより、好調な建築用ガラス市場の恩恵を受けました。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業の売上高は3,146億円(前連結会計年度(修正再表示後)は3,114億円)、個別開示項目前営業利益は151億円(前連結会計年度(修正再表示後)は142億円)となりました。
当連結会計年度における自動車用ガラス事業は、主に年度前半の好調な欧州の業績により、売上高は前年度を若干上回り、営業利益も増加しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の45%を占めております。新車用ガラス(OE)部門は、第3四半期から域内での乗用車販売と域外への高級車輸出が減少したことにより需要にブレーキがかかったものの、通期では業績は改善しました。補修用ガラス(AGR)部門も、販売数量の増加と高付加価値(VA)製品比率の向上により業績は改善しました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の22%を占めております。売上高、営業利益ともに前年度より増加しました。日本では、第2四半期に発生した自然災害により自動車産業のサプライチェーンに影響が出たものの、自動車の販売台数は前年度水準を維持し、新車用ガラスの売上は前年度を上回りました。また補修用ガラスは販売数量の増加により増益となりました。
米州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の33%を占めており、売上高と収益性は前年度より若干の改善となりました。北米では、通年で乗用車販売が徐々に軟化していったことの影響を受けました。南米においては、ブラジルでは販売数量の一層の回復により収益性が改善しました。アルゼンチンでは前述の超インフレ会計の適用による影響を受けました。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は491億円(前連結会計年度(修正再表示後)は484億円)、個別開示項目前営業利益は81億円(前連結会計年度(修正再表示後)は54億円)となりました。
ファインガラス事業では、売上の改善とコスト削減による事業基盤の強化に伴い、更に利益改善が進みました。情報通信デバイス事業では、プリンターやスキャナーに使用されるガラス部品の需要は若干減少しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードの需要は、特に欧州と中国で、年度末に向けて自動車市場と歩調を合わせるように軟化しました。メタシャイン®は、自動車用塗料や化粧品等の分野での堅調な需要により、販売が増加しました。電池用セパレーターは、日本でのアイドリング・ストップ・スタートシステム向け需要が好調を維持しました。
その他
当連結会計年度におけるその他の売上高は17億円(前連結会計年度(修正再表示後)は11億円)、個別開示項目前営業損失は121億円(前連結会計年度(修正再表示後)は102億円)となりました。
このセグメントには、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれております。当連結会計年度のその他における営業損失は、新設のビジネス・イノベーション・センター(新規事業開発加速のため新設した組織)をこのセグメントに含めた影響も一部あり、前年度より増加しました。
参考までに、所在地別の業績は以下の通りとなっております。
当連結会計年度(2019年3月期)より、当社グループの内部管理体制との一貫性確保のため、業績開示の地域区分を変更致しました。日本、中国、東南アジア、インドはアジアとして一括して表示しております。前連結会計年度までは、中国、東南アジア、インドはその他地域に含めて表示しておりました。北米及び南米は米州として一括して表示しております。前連結会計年度まで、南米はその他地域に含めて表示していた一方で、北米は個別に表示しておりました。欧州についてはこれまでと変更はありません。
欧州
欧州では、当連結会計年度の売上高は27億円増加し2,450億円となりました。主に建築用ガラス事業の販売数量の増加によるものです。個別開示項目前営業利益は、自動車用ガラス事業の利益改善が連結調整を含むその他のコストにより減殺され、また建築用ガラス事業はほぼ前年度並みの利益水準であったため、前年同期より4億円減少の144億円となりました。
アジア
アジアでは、当連結会計年度の売上高は103億円増加し2,039億円となりました。個別開示項目前営業利益は、主に高機能ガラス事業の収益性の大幅な改善が寄与し、前年同期より17億円増加の132億円となりました。
米州
米州では、当連結会計年度の売上高は9億円増加し1,639億円となりました。アルゼンチンの建築用ガラス事業における販売価格の改善、及びブラジルの自動車用ガラス事業における販売数量の改善が見られた一方で、アルゼンチンにおける事業に対し、超インフレ会計を適用し、財務諸表を期末日のレートを用いて換算して連結した影響を受けました。期末日のアルゼンチン・ペソから日本円への換算レートは、当期平均と比べ著しく低いものでした。またこの影響により、個別開示項目前営業利益についても1億円減少し、93億円となりました。
(2)会計方針
連結財務諸表において採用している重要な会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、2006年6月のピルキントン社買収以降、借入金の削減に取り組んでまいりました。収益性の着実な改善が、設備投資と運転資本の厳格管理並びに非中核資産売却を補うことでプラスのフリー・キャッシュ・フローを継続して創出し、更なる安定的な財政基盤の構築を目指してまいります。
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しております。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としております。将来の借入条件に関する金融機関との交渉において、当社グループが受諾可能な条件での融資が不可能と想起させるような事実は発生しておりません。こうした状況を検討し、当社取締役会は、当社グループが予測可能な将来において継続事業として存続するのに十分な経営資源を引き続き有するという、合理的な見通しを持っております。従って、当社グループは、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しております。
1)総資産
当連結会計年度末の総資産は7,619億円となり、前連結会計年度末より267億円減少しました。
2)ネット借入残高
当連結会計年度末時点のネット借入残高は、前連結会計年度末より112億円増加し、3,177億円となりました。また、総借入残高は3,715億円となりました。当社グループは、当連結会計年度末時点において未使用の融資枠746億円を保有しております。
3)資本
当連結会計年度末時点の資本合計は、前連結会計年度末時点より112億円減少し、1,325億円となりました。当期利益の大幅改善とアルゼンチンにおける超インフレ会計の適用による資産価値の上昇効果を、円高による為替換算差額等がそれを上回り、資本合計の減少につながりました。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度より139億円増加し、6,128億円になりました。為替換算の影響を除くと、売上高は前連結会計年度より概ね2%の増加となりました。
2)個別開示項目前営業利益
当連結会計年度の個別開示項目前営業利益は369億円となり、前連結会計年度より12億円増加しました。個別開示項目(費用)を反映した後の営業利益は298億円となりました。個別開示項目の主なものとしては、リストラクチャリング費用、有形固定資産等の減損損失、退職給付に係る負債の過去勤務費用、過年度の有形固定資産等の減損損失の戻入益が含まれております。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は前連結会計年度より6億円改善し、227億円となりました。
前述の個別開示項目(費用)の増加が、金融費用の減少と持分法による投資利益の増加により相殺された結果、税引前利益の改善につながりました。借入金の平均残高減少による金融費用の減少が、アルゼンチンの超インフレ会計の適用による金融費用の増加により一部相殺された結果、金融費用全体としては減少しました。また、当社グループのブラジル所在のジョイント・ベンチャーであるCebrace社の業績が好調で、また同社は過年度に納付した売上高課税基準の税金の計算方法に対する異議申し立ての結果、第2四半期において23億円の一過性の利益を認識したこともあり、持分法による投資利益が増加しました。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は133億円となり、前連結会計年度(修正再表示後)の62億円から改善しました。前連結会計年度においては、米国における税制改革法の成立に伴い、米国の連邦法人税率が35%から21%に引き下げられたことを受けて、繰延税金資産の取り崩しによる一過性の税金費用96億円を認識しました。
5)1株当たり指標
当連結会計年度の基本的1株当たり当期利益は115.16円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期利益48.27円より改善しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式に係る配当金及び金銭償還プレミアムを控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しております。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当21億円(前連結会計年度は18億円)及び金銭償還プレミアム8億円(前連結会計年度は-億円)がこの計算に含まれています。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、290億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による281億円の支出があり、281億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは9億円のプラスとなりました。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて125億円減少し、503億円となりました。
(6)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
連結財務諸表の主要項目における国際会計基準(IFRS)と日本基準との間の主な差異は以下の通りです。なお、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算により記載しております。
1)のれん及び無形資産
IFRSでは、買収により発生したのれん及び耐用年数を特定できない無形資産は資産計上され、償却はせず定期的に減損テストが行われます。日本基準では、合理的に見積もられたのれん及び無形資産の効果が及ぶ期間(20年以内)にわたって定額法により償却されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される償却費が、当連結会計年度(2019年3月期)において10,104百万円(前連結会計年度(2018年3月期)において10,173百万円)減少しております。
2)従業員給付
当社グループは確定給付年金制度、退職補償制度、退職後医療給付、生命保険給付、段階的退職給付制度(ドイツにおける制度)及び長期サービス給付についてはIAS第19号「従業員給付」(以下、IAS第19号)に基づいて会計処理をしております。債務は割引後現在価値で測定し、制度資産(主としてイギリス、アメリカ及び日本等で設定している積立型制度に関する資産)は公正価値で計上されております。
IFRSでは、営業費用及び金融費用は連結損益計算書で別々に認識されます。営業費用は主として勤務費用から成り、その勤務費用はその期間に従業員からの役務提供によってもたらされる退職給付債務の増加です。金融費用は、該当地域毎に確定給付負債(資産)の純額に対して個別の割引率を適用した利息純額として算定されます。数理計算の仮定の変化によって発生する数理差異は制度資産の損益と共にその他の包括利益として認識されます。
日本基準では、退職給付債務に係る勤務費用と金融費用は共に営業費用に計上されます。数理差異は、発生時の従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数(5年)による定額法により按分した額にて、発生の翌事業年度より費用処理されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される退職給付費用が、当連結会計年度(2019年3月期)において3,325百万円(前連結会計年度(2018年3月期)において684百万円)減少しております。
3)表示の組替
日本基準では、営業外損益と特別損益項目は営業損益に含まれませんが、IFRSでは、これらの項目も持分法による投資損益と金融収益・費用を除いて営業損益に含まれております。
(7)生産・受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 251,966 | 103.8 |
| 自動車用ガラス事業 | 315,057 | 100.7 |
| 高機能ガラス事業 | 48,653 | 97.4 |
| 報告セグメント計 | 615,676 | 101.6 |
| その他 | 1,682 | 157.9 |
| 合計 | 617,358 | 101.7 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注実績
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載しておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 247,348 | 103.9 |
| 自動車用ガラス事業 | 314,645 | 101.0 |
| 高機能ガラス事業 | 49,106 | 101.4 |
| 報告セグメント計 | 611,099 | 102.2 |
| その他 | 1,690 | 157.4 |
| 合計 | 612,789 | 102.3 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。