有価証券報告書-第152期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)業績等の概要
(単位:百万円)
当連結会計年度において、当社グループのビジネスに関わる市場の多くは良好な状態が続いており、これに加えて高付加価値製品の販売増加の恩恵を受けました。欧州の建築用ガラス市場は、十分な需要が価格の安定をもたらし好調でした。自動車用ガラス市場は、世界経済危機前である2007年のピークレベルには至らないものの、好調を持続しました。日本では、建築用ガラス市場が低調であった一方で、自動車用ガラス市場は、第4四半期は販売が若干下向いたものの、通年では改善しました。北米では、建築用ガラス市場は好調で、自動車用ガラス市場は前年度をやや下回るものの、好調を維持しました。南米では、累計自動車販売が過去最高であった時期に比べればなお下回っているものの、自動車ガラス市場は改善が続きました。高機能ガラス市場は、当社グループの多くの製品分野において需要が増加しました。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は、欧州における売上高の増加や円安に伴う為替換算の影響により、前年度より増加しました。営業利益は、欧州の業績改善の効果や円安に伴う為替換算影響が、欧州以外の地域における販売数量の減少影響を打ち消しており、前年度並みとなりました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の39%を占めています。好調な需要により市場は改善が続いており、価格も安定的に推移しました。また、ベニス工場(イタリア)のフロート窯を第3四半期に再稼働させました。
日本における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の27%を占めています。住宅着工戸数の減少等を反映し、売上高は前年度を下回りました。市場数量の減少や、第1四半期に発生した一過性の費用の影響により、業績は低調に推移しました。
北米における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の13%を占めています。売上高及び営業利益は、前年度を下回りました。2017年5月12日付けで公表の通りオタワ工場(米国イリノイ州)においてフロート窯の修繕(冷修)が行われたため、北米における当社グループの生産能力は一時的に減少しましたが、第3四半期末から再稼働しております。既存の建築用ガラス製品の出荷は安定していた一方で、太陽電池用ガラスの売上は、主要顧客における設備切り替えの影響で低調でした。
その他の地域では、太陽電池用ガラスの売上高が主要顧客における設備切り替えの影響を受けたものの、各国の国内向け市場は前年度から概ね改善しました。
以上より、建築用ガラス事業では、売上高は2,417億円(前連結会計年度は2,377億円)、個別開示項目前営業利益は262億円(前連結会計年度は270億円)となりました。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業は、欧州での堅調な業績と円安ユーロ高による為替の影響もあり、売上高および営業利益は前年度を上回りました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の45%を占めています。新車向けガラス(OE)部門では、販売数量が市場の需要の改善に合わせて堅調に推移しました。また、高付加価値製品の販売数量増加や、拠点を横断したコスト削減が一層進展したことにより、営業利益も改善しました。補修用ガラス(AGR)部門の営業利益も安定的に推移しました。
日本における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の18%を占めています。自動車販売の増加傾向を反映し、売上高は前年度より増加しました。OE部門の営業利益は前年度を下回りましたが、AGR部門の営業利益は前年度より増加しました。
北米における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の26%を占めています。市場数量がわずかに減少したため、現地通貨ベースの売上高及び営業利益は前年度より減少しました。
その他の地域では、南米市場の改善が継続しました。
以上より、自動車用ガラス事業では、売上高は3,127億円(前連結会計年度は2,966億円)、個別開示項目前営業利益は143億円(前連結会計年度は127億円)となりました。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は、前年度を上回りました。営業利益も、複数の事業分野において販売数量が増加したことに加え、コスト削減の継続や有形固定資産の売却による効果もあり、前年度より改善しました。
ディスプレイ事業では、販売価格と製造コストの改善により業績が好転しました。多機能プリンター向け部材の需要は、年間を通して堅調に推移しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードや、乗用車の塗装をはじめ、様々な用途で使われるガラスフレークの販売数量は改善しました。電池用セパレーターの販売数量も、当社グループのアジア市場の成長に伴い増加しました。
以上より、高機能ガラス事業では、売上高は484億円(前連結会計年度は461億円)、個別開示項目前営業利益は54億円(前連結会計年度は18億円)となりました。
その他
この分野には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。当連結会計年度のその他における営業損失は、主に前述の無形資産の償却費が減少したため、前年度より縮小しました。
以上より、その他では、売上高は11億円(前連結会計年度は4億円)、個別開示項目前営業損失は102億円(前連結会計年度は116億円)となりました。
参考までに、所在地別の業績は以下の通りとなっております。
欧州
当連結会計年度の売上高は2,425億円となり、主として建築用ガラスの販売数量増加と円安による為替換算の影響により、前年度に比べて222億円(10.1%)増加しました。個別開示項目前営業利益は148億円となり、前年度から77億円増加しました。
日本
当連結会計年度の売上高は1,473億円となり、前年度に比べて3億円(0.2%)減少しました。個別開示項目前営業利益は23億円となり、前年度から1億円減少しました。
北米
当連結会計年度の売上高は1,132億円となり、主として当社グループのオタワ工場が当年度の大部分を修繕に費やしたことによる建築ガラス事業部門の販売減少により、前年度に比べて32億円(2.7%)減少しました。個別開示項目前営業利益は72億円となり、前年度から15億円減少しました。
その他
当連結会計年度の売上高は1,008億円となり、主として南米における自動車ガラス事業の販売改善の影響により、前年度に比べて44億円(4.6%)増加しました。個別開示項目前営業利益は113億円となり、前年度から3億円減少しました。
(2)会計方針
連結財務諸表において採用している重要な会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、2006年6月のピルキントン社買収以降、借入金の削減に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、収益性の着実な改善が、設備投資と運転資本の厳格管理並びに非中核資産売却を補うことでプラスのフリー・キャッシュ・フローを継続でき、安定した財政基盤の構築へ向けて大きく前進することができました。
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しております。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としています。将来の借入条件に関する金融機関との交渉において、当社グループが受諾可能な条件での融資が不可能と想起させるような事実は発生しておりません。こうした状況を検討し、当社取締役会は、当社グループが予測可能な将来において継続事業として存続するのに十分な経営資源を引き続き有するという、合理的な見通しを持っております。従って、当社グループは、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しております。
1)総資産
当連結会計年度末の総資産は7,919億円となり、前連結会計年度末より17億円増加しました。
2)ネット借入残高
当連結会計年度末時点のネット借入残高は、前連結会計年度末より68億円減少し、3,065億円となりました。このネット借入の減少は、円安による為替の影響で一部相殺されたものの、主としてプラスのキャッシュ・フローによるものです。為替換算の影響は79億円あり、ネット借入の増加につながりました。なお当連結会計年度末時点の総借入残高は、3,727億円となりました。
3)資本
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より91億円増加し、1,429億円となりました。当期利益と円安による為替換算差益は、その他の包括利益を通じて公正価値を測定する金融資産の価値の減少によって一部相殺されました。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は6,039億円となり、前連結会計年度より231億円(4.0%)増加しました。為替換算の影響を除くと、売上高は前年度より0.5%の増加となりました。
2)個別開示項目前営業利益
当連結会計年度の個別開示項目前営業利益は357億円となり、前連結会計年度より58億円(19.4%)増加しました。個別開示項目13億円(費用)を反映した後の営業利益は、344億円となりました。個別開示項目の詳細については第5[経理の状況]1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載しております。主なものとして、過年度における減損損失の戻し入れや投資を含む非流動資産の売却による収益、及びリストラクチャリング費用や北米の設備休止に係る費用が含まれております。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は222億円となり、前連結会計年度より74億円改善しました。これは主として、当社グループの各事業の業績が改善していることに加えて、金融費用の削減と持分法による投資利益が改善したことによるものです。ネットの金融費用は146億円となり、借入金の平均残高の低下とそれに伴う借入コストの低下により、前連結会計年度より46億円減少しました。また持分法による投資利益は24億円となり、前連結会計年度の11億円から増加しました。これは、主に当社グループのブラジル所在のジョイント・ベンチャーであるCebrace社の利益が、市場環境の改善により前年度を上回ったことによるものです。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は61億円となり、前連結会計年度の56億円から改善しました。営業利益の改善と金融費用の削減効果が部分的に相殺されたのは、第3四半期に米国における税制改革法が成立したことに伴い、米国の連邦法人税率が2018年に35%から21%へ引き下げられたことを受けて、繰延税金資産の取り崩しにより一時的な法人所得税費用96億円が発生したことによるものです。法人所得税の増加は一時的な会計処理であり、キャッシュとしての税金支払い義務が増加するものではありません。今般の米国の連邦法人税率の引き下げにより、将来の当社グループの税金費用が削減されるものと考えております。
5)1株当たり指標
当連結会計年度の基本的1株当たり当期利益は47.90円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期利益62.04円より低下しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式にかかる配当金を控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しております。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当金18億円(前連結会計年度は配当無し)がこの計算に含まれております。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、372億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、204億円のマイナスで、この中には有形固定資産の取得による支出として316億円が含まれております。以上より、フリー・キャッシュ・フローは、168億円のプラスとなりましました(前連結会計年度は203億円のプラス)。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて170億円減少し、628億円となりました。
(6)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
連結財務諸表の主要項目における国際会計基準(IFRS)と日本基準との間の主な差異は以下の通りです。なお、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算により記載しております。
1)のれん及び無形資産
IFRSでは、買収により発生したのれん及び耐用年数を特定できない無形資産は資産計上され、償却はせず定期的に減損テストが行われます。日本基準では、合理的に見積もられたのれん及び無形資産の効果が及ぶ期間(20年以内)にわたって定額法により償却されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される償却費が、当連結会計年度(2018年3月期)において10,173百万円(前連結会計年度(2017年3月期)において9,827百万円)減少しております。
2)従業員給付
当社グループは確定給付年金制度、退職補償制度、退職後医療給付、生命保険給付、段階的退職給付制度(ドイツにおける制度)及び長期サービス給付についてはIAS第19号「従業員給付」(以下、IAS第19号)に基づいて会計処理をしています。債務は割引後現在価値で測定し、制度資産(主としてイギリス、アメリカ及び日本等で設定している積立型制度に関する資産)は公正価値で計上されています。
IFRSでは、営業費用及び金融費用は連結損益計算書で別々に認識されます。営業費用は主として勤務費用から成り、その勤務費用はその期間に従業員からの役務提供によってもたらされる退職給付債務の増加です。金融費用は、該当地域毎に確定給付負債(資産)の純額に対して個別の割引率を適用した利息純額として算定されます。数理計算の仮定の変化によって発生する数理差異は制度資産の損益と共にその他の包括利益として認識されます。
日本基準では、退職給付債務に係る勤務費用と金融費用は共に営業費用に計上されます。数理差異は、発生時の従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数(5年)による定額法により按分した額にて、発生の翌事業年度より費用処理されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される退職給付費用が、当連結会計年度(2018年3月期)において684百万円(前連結会計年度(2017年3月期)において5,770百万円)減少しております。
3)表示の組替
日本基準では、営業外損益と特別損益項目は営業損益に含まれませんが、IFRSでは、これらの項目も持分法による投資損益と金融収益・費用を除いて営業損益に含まれております。
(7)生産・受注及び販売の状況
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注状況
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載しておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | |
| 当連結会計年度 | 603,852 | 35,663 | 22,177 | 7,873 | 6,130 |
| 前連結会計年度 | 580,795 | 29,862 | 14,751 | 7,292 | 5,605 |
| 増減率 | 4.0% | 19.4% | 50.3% | 8.0% | 9.4% |
当連結会計年度において、当社グループのビジネスに関わる市場の多くは良好な状態が続いており、これに加えて高付加価値製品の販売増加の恩恵を受けました。欧州の建築用ガラス市場は、十分な需要が価格の安定をもたらし好調でした。自動車用ガラス市場は、世界経済危機前である2007年のピークレベルには至らないものの、好調を持続しました。日本では、建築用ガラス市場が低調であった一方で、自動車用ガラス市場は、第4四半期は販売が若干下向いたものの、通年では改善しました。北米では、建築用ガラス市場は好調で、自動車用ガラス市場は前年度をやや下回るものの、好調を維持しました。南米では、累計自動車販売が過去最高であった時期に比べればなお下回っているものの、自動車ガラス市場は改善が続きました。高機能ガラス市場は、当社グループの多くの製品分野において需要が増加しました。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前営業利益 | |||
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | |
| 建築用ガラス事業 | 241,678 | 237,722 | 26,246 | 27,044 |
| 自動車用ガラス事業 | 312,681 | 296,560 | 14,250 | 12,654 |
| 高機能ガラス事業 | 48,420 | 46,088 | 5,394 | 1,756 |
| その他 | 1,073 | 425 | △10,227 | △11,592 |
| 合計 | 603,852 | 580,795 | 35,663 | 29,862 |
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は、欧州における売上高の増加や円安に伴う為替換算の影響により、前年度より増加しました。営業利益は、欧州の業績改善の効果や円安に伴う為替換算影響が、欧州以外の地域における販売数量の減少影響を打ち消しており、前年度並みとなりました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の39%を占めています。好調な需要により市場は改善が続いており、価格も安定的に推移しました。また、ベニス工場(イタリア)のフロート窯を第3四半期に再稼働させました。
日本における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の27%を占めています。住宅着工戸数の減少等を反映し、売上高は前年度を下回りました。市場数量の減少や、第1四半期に発生した一過性の費用の影響により、業績は低調に推移しました。
北米における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の13%を占めています。売上高及び営業利益は、前年度を下回りました。2017年5月12日付けで公表の通りオタワ工場(米国イリノイ州)においてフロート窯の修繕(冷修)が行われたため、北米における当社グループの生産能力は一時的に減少しましたが、第3四半期末から再稼働しております。既存の建築用ガラス製品の出荷は安定していた一方で、太陽電池用ガラスの売上は、主要顧客における設備切り替えの影響で低調でした。
その他の地域では、太陽電池用ガラスの売上高が主要顧客における設備切り替えの影響を受けたものの、各国の国内向け市場は前年度から概ね改善しました。
以上より、建築用ガラス事業では、売上高は2,417億円(前連結会計年度は2,377億円)、個別開示項目前営業利益は262億円(前連結会計年度は270億円)となりました。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業は、欧州での堅調な業績と円安ユーロ高による為替の影響もあり、売上高および営業利益は前年度を上回りました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の45%を占めています。新車向けガラス(OE)部門では、販売数量が市場の需要の改善に合わせて堅調に推移しました。また、高付加価値製品の販売数量増加や、拠点を横断したコスト削減が一層進展したことにより、営業利益も改善しました。補修用ガラス(AGR)部門の営業利益も安定的に推移しました。
日本における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の18%を占めています。自動車販売の増加傾向を反映し、売上高は前年度より増加しました。OE部門の営業利益は前年度を下回りましたが、AGR部門の営業利益は前年度より増加しました。
北米における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の26%を占めています。市場数量がわずかに減少したため、現地通貨ベースの売上高及び営業利益は前年度より減少しました。
その他の地域では、南米市場の改善が継続しました。
以上より、自動車用ガラス事業では、売上高は3,127億円(前連結会計年度は2,966億円)、個別開示項目前営業利益は143億円(前連結会計年度は127億円)となりました。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は、前年度を上回りました。営業利益も、複数の事業分野において販売数量が増加したことに加え、コスト削減の継続や有形固定資産の売却による効果もあり、前年度より改善しました。
ディスプレイ事業では、販売価格と製造コストの改善により業績が好転しました。多機能プリンター向け部材の需要は、年間を通して堅調に推移しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードや、乗用車の塗装をはじめ、様々な用途で使われるガラスフレークの販売数量は改善しました。電池用セパレーターの販売数量も、当社グループのアジア市場の成長に伴い増加しました。
以上より、高機能ガラス事業では、売上高は484億円(前連結会計年度は461億円)、個別開示項目前営業利益は54億円(前連結会計年度は18億円)となりました。
その他
この分野には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。当連結会計年度のその他における営業損失は、主に前述の無形資産の償却費が減少したため、前年度より縮小しました。
以上より、その他では、売上高は11億円(前連結会計年度は4億円)、個別開示項目前営業損失は102億円(前連結会計年度は116億円)となりました。
参考までに、所在地別の業績は以下の通りとなっております。
欧州
当連結会計年度の売上高は2,425億円となり、主として建築用ガラスの販売数量増加と円安による為替換算の影響により、前年度に比べて222億円(10.1%)増加しました。個別開示項目前営業利益は148億円となり、前年度から77億円増加しました。
日本
当連結会計年度の売上高は1,473億円となり、前年度に比べて3億円(0.2%)減少しました。個別開示項目前営業利益は23億円となり、前年度から1億円減少しました。
北米
当連結会計年度の売上高は1,132億円となり、主として当社グループのオタワ工場が当年度の大部分を修繕に費やしたことによる建築ガラス事業部門の販売減少により、前年度に比べて32億円(2.7%)減少しました。個別開示項目前営業利益は72億円となり、前年度から15億円減少しました。
その他
当連結会計年度の売上高は1,008億円となり、主として南米における自動車ガラス事業の販売改善の影響により、前年度に比べて44億円(4.6%)増加しました。個別開示項目前営業利益は113億円となり、前年度から3億円減少しました。
(2)会計方針
連結財務諸表において採用している重要な会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、2006年6月のピルキントン社買収以降、借入金の削減に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、収益性の着実な改善が、設備投資と運転資本の厳格管理並びに非中核資産売却を補うことでプラスのフリー・キャッシュ・フローを継続でき、安定した財政基盤の構築へ向けて大きく前進することができました。
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しております。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としています。将来の借入条件に関する金融機関との交渉において、当社グループが受諾可能な条件での融資が不可能と想起させるような事実は発生しておりません。こうした状況を検討し、当社取締役会は、当社グループが予測可能な将来において継続事業として存続するのに十分な経営資源を引き続き有するという、合理的な見通しを持っております。従って、当社グループは、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しております。
1)総資産
当連結会計年度末の総資産は7,919億円となり、前連結会計年度末より17億円増加しました。
2)ネット借入残高
当連結会計年度末時点のネット借入残高は、前連結会計年度末より68億円減少し、3,065億円となりました。このネット借入の減少は、円安による為替の影響で一部相殺されたものの、主としてプラスのキャッシュ・フローによるものです。為替換算の影響は79億円あり、ネット借入の増加につながりました。なお当連結会計年度末時点の総借入残高は、3,727億円となりました。
3)資本
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より91億円増加し、1,429億円となりました。当期利益と円安による為替換算差益は、その他の包括利益を通じて公正価値を測定する金融資産の価値の減少によって一部相殺されました。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は6,039億円となり、前連結会計年度より231億円(4.0%)増加しました。為替換算の影響を除くと、売上高は前年度より0.5%の増加となりました。
2)個別開示項目前営業利益
当連結会計年度の個別開示項目前営業利益は357億円となり、前連結会計年度より58億円(19.4%)増加しました。個別開示項目13億円(費用)を反映した後の営業利益は、344億円となりました。個別開示項目の詳細については第5[経理の状況]1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載しております。主なものとして、過年度における減損損失の戻し入れや投資を含む非流動資産の売却による収益、及びリストラクチャリング費用や北米の設備休止に係る費用が含まれております。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は222億円となり、前連結会計年度より74億円改善しました。これは主として、当社グループの各事業の業績が改善していることに加えて、金融費用の削減と持分法による投資利益が改善したことによるものです。ネットの金融費用は146億円となり、借入金の平均残高の低下とそれに伴う借入コストの低下により、前連結会計年度より46億円減少しました。また持分法による投資利益は24億円となり、前連結会計年度の11億円から増加しました。これは、主に当社グループのブラジル所在のジョイント・ベンチャーであるCebrace社の利益が、市場環境の改善により前年度を上回ったことによるものです。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は61億円となり、前連結会計年度の56億円から改善しました。営業利益の改善と金融費用の削減効果が部分的に相殺されたのは、第3四半期に米国における税制改革法が成立したことに伴い、米国の連邦法人税率が2018年に35%から21%へ引き下げられたことを受けて、繰延税金資産の取り崩しにより一時的な法人所得税費用96億円が発生したことによるものです。法人所得税の増加は一時的な会計処理であり、キャッシュとしての税金支払い義務が増加するものではありません。今般の米国の連邦法人税率の引き下げにより、将来の当社グループの税金費用が削減されるものと考えております。
5)1株当たり指標
当連結会計年度の基本的1株当たり当期利益は47.90円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期利益62.04円より低下しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式にかかる配当金を控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しております。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当金18億円(前連結会計年度は配当無し)がこの計算に含まれております。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、372億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、204億円のマイナスで、この中には有形固定資産の取得による支出として316億円が含まれております。以上より、フリー・キャッシュ・フローは、168億円のプラスとなりましました(前連結会計年度は203億円のプラス)。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて170億円減少し、628億円となりました。
(6)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
連結財務諸表の主要項目における国際会計基準(IFRS)と日本基準との間の主な差異は以下の通りです。なお、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算により記載しております。
1)のれん及び無形資産
IFRSでは、買収により発生したのれん及び耐用年数を特定できない無形資産は資産計上され、償却はせず定期的に減損テストが行われます。日本基準では、合理的に見積もられたのれん及び無形資産の効果が及ぶ期間(20年以内)にわたって定額法により償却されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される償却費が、当連結会計年度(2018年3月期)において10,173百万円(前連結会計年度(2017年3月期)において9,827百万円)減少しております。
2)従業員給付
当社グループは確定給付年金制度、退職補償制度、退職後医療給付、生命保険給付、段階的退職給付制度(ドイツにおける制度)及び長期サービス給付についてはIAS第19号「従業員給付」(以下、IAS第19号)に基づいて会計処理をしています。債務は割引後現在価値で測定し、制度資産(主としてイギリス、アメリカ及び日本等で設定している積立型制度に関する資産)は公正価値で計上されています。
IFRSでは、営業費用及び金融費用は連結損益計算書で別々に認識されます。営業費用は主として勤務費用から成り、その勤務費用はその期間に従業員からの役務提供によってもたらされる退職給付債務の増加です。金融費用は、該当地域毎に確定給付負債(資産)の純額に対して個別の割引率を適用した利息純額として算定されます。数理計算の仮定の変化によって発生する数理差異は制度資産の損益と共にその他の包括利益として認識されます。
日本基準では、退職給付債務に係る勤務費用と金融費用は共に営業費用に計上されます。数理差異は、発生時の従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数(5年)による定額法により按分した額にて、発生の翌事業年度より費用処理されます。
以上により、IFRSでは、日本基準に比べ連結損益計算書で認識される退職給付費用が、当連結会計年度(2018年3月期)において684百万円(前連結会計年度(2017年3月期)において5,770百万円)減少しております。
3)表示の組替
日本基準では、営業外損益と特別損益項目は営業損益に含まれませんが、IFRSでは、これらの項目も持分法による投資損益と金融収益・費用を除いて営業損益に含まれております。
(7)生産・受注及び販売の状況
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 242,755 | 102.1 |
| 自動車用ガラス事業 | 313,010 | 105.4 |
| 高機能ガラス事業 | 49,932 | 115.8 |
| 報告セグメント計 | 605,697 | 104.8 |
| その他 | 1,065 | 256.6 |
| 合計 | 606,762 | 104.9 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注状況
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載しておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 241,678 | 101.7 |
| 自動車用ガラス事業 | 312,681 | 105.4 |
| 高機能ガラス事業 | 48,420 | 105.1 |
| 報告セグメント計 | 602,779 | 103.9 |
| その他 | 1,073 | 252.5 |
| 合計 | 603,852 | 104.0 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。