有価証券報告書-第158期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)業績等の概要
(単位:百万円)
1)全体の状況
当第4四半期において、当社グループが事業を行う市場環境は一部の主要市場でさらに減速しました。特に建築用ガラス事業最大の市場である欧州において、市場が一段と厳しくなりました。自動車用ガラス事業の市場は引き続き徐々に回復し、長く続いた取引先におけるサプライチェーンの問題による制約も正常な状態への回復が進み販売数量が増加しました。高機能ガラス事業においては、改善の兆しが見られた市場もありましたが、多くの市場で需要はやや低調でした。
2)セグメント別の状況
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当連結会計年度における当社グループの売上高のうち45%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち50%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち5%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター用レンズ及び光ガイド、並びにエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は3,718億円(前連結会計年度は3,659億円)、個別開示項目前営業利益は291億円(前連結会計年度は336億円)となりました。欧州と北米市場では減速し、日本、南米市場及び太陽電池パネル用ガラスでの好調により一部相殺したものの、売上高は前年度と同水準で営業利益は下回りました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の38%を占めています。売上高・営業利益は下半期における経済活動の減速による販売数量と販売価格の低下を受けたため前年度を下回りました。市場環境の悪化による影響は、投入コストの減少により一部軽減されました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の30%を占めています。売上高・営業利益ともに前年度比で増加しました。日本では販売価格の上昇により業績が改善しましたが、その他の東南アジア地域では引き続き市場が停滞しました。太陽電池パネル用ガラスの販売数量は堅調に推移しました。第3四半期には、マレーシアのフロートガラス生産設備について一般建築用から太陽電池パネル用への転換が完了しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の32%を占めています。売上高は前年度から増加しましたが、営業利益は同様の水準でした。北米では、域内建築市場は厳しい環境が続きましたが太陽電池パネル用ガラスの販売数量増加により相殺しました。南米における販売数量は、アルゼンチンの新フロート窯稼働に伴い増加しました。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業の売上高は4,176億円(前連結会計年度は3,547億円)、個別開示項目前営業利益は113億円(前連結会計年度は41億円)となりました。販売数量は、サプライチェーンの問題による制約が解消した結果、取引先における生産が回復し、多くの地域で増加しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の42%を占めています。売上高は増加した投入コストの一部を取引先に転嫁することができたため、増加しました。販売数量は取引先におけるサプライチェーンの問題による自動車生産制約の解消が続いたことに伴い、自動車販売台数が改善するとともに取引先及び販売網における在庫積み上げの動きもあったため増加しました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の19%を占めています。売上高・営業利益ともに前年度比で改善しました。日本の販売数量は自動車販売台数の改善により増加し、営業利益も依然高水準が続く投入コストの影響を緩和するための価格改善交渉が進展したため改善しました。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の39%を占めています。売上高・営業利益ともに前年度比で増加しました。需要は、自動車販売台数の回復と取引先におけるサプライチェーンの問題による生産制約の緩和により改善しました。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は399億円(前連結会計年度は388億円)、個別開示項目前営業利益は71億円(前連結会計年度は87億円)となりました。需要は事業によって濃淡がありましたが、全体の売上高はわずかに改善しました。営業利益は、一部の事業で市場環境が悪化し投入コストの増加を販売価格に転嫁できず、減少しました。
ファインガラス事業では、販売構成が悪化したため売上高と営業利益が前年度比で減少しました。情報通信デバイス事業では、消費者需要の後退と取引先での在庫削減の影響によりプリンター用レンズの需要が減少しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードは自動車関連市場の改善に伴い回復しており、メタシャイン®の売上高は自動車塗料及び化粧品向けで増加しました。
その他
当連結会計年度におけるその他の売上高は33億円(前連結会計年度は41億円)、個別開示項目前営業損失は117億円(前連結会計年度は115億円)となりました。
このセグメントには、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
持分法適用会社
持分法で会計処理される投資に係る利益には、持分法による投資利益及び持分法投資に関するその他の利益(損失)が含まれており、当連結会計年度においては、純額で61億円(前連結会計年度は58億円)となりました。
持分法で会計処理される投資に係る利益の増加は、ロシアに子会社を保有していたジョイント・ベンチャーであるSP Glass Holdings B.V.に対する投資について、過去に計上した減損損失の戻入益を認識したためです。SP Glass Holding B.V.によるロシア子会社の売却に伴い、投資の一部について過去に計上した減損損失の戻入益11億円を認識し、持分法投資に関するその他の利益に計上しています。
さらに、同じく売却の結果として、当社グループは過去に計上した持分法適用会社に対する金融債権の減損損失の戻入益37億円を計上しました。
SP Glass Holdings B.V.に伴う損益を除いた、持分法で会計処理される投資に係る損益は前年度をわずかに下回りました。
(2)会計方針並びに重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表において採用している重要性のある会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
当連結会計年度末に実施したのれんの減損テストについては、⑤連結財務諸表注記 16.「のれん」をご参照ください。また、貸付を含むジョイント・ベンチャーへの長期的な投資の回収可能性については、注記 21.「持分法で会計処理される投資」をご参照ください。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しています。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としています。将来の借入条件に関する金融機関との交渉において、当社グループが受諾可能な条件での融資が不可能と想起させるような事実は発生していません。こうした状況を検討し、当社取締役会は、当社グループが予測可能な将来において継続事業として存続するのに十分な経営資源を引き続き有するという、合理的な見通しを持っています。従って、当社グループは、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しています。
1)総資産
2024年3月末時点の総資産は1兆76億円となり、2023年3月末時点から562億円増加しました。
2)ネット借入残高
2024年3月末時点のネット借入残高は、2023年3月末時点から396億円増加して4,475億円となりました。ネット借入の増加は、主に為替影響とエネルギー価格の下落に伴うデリバティブ金融資産の減少によるものです。為替影響によるネット借入の増加は259億円でした。また、総借入残高は5,065億円となりました。
3)資本
2024年3月末時点の資本合計は1,538億円となり、2023年3月末時点の1,249億円から290億円増加しました。資本合計の増加は、主に純利益の計上と円安に伴う為替影響によるものです。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は、前年度比9%増の8,325億円(前連結会計年度は7,635億円)となりました。増収は、主に自動車用ガラス事業によるものです。
2)個別開示項目前営業利益
個別開示項目前営業利益は359億円(前連結会計年度は348億円)となりました。こちらも自動車用ガラス事業が改善したことにより増益となりました。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は176億円となりました(前連結会計年度は219億円の損失)。
税引前損益の改善は、前連結会計年度でのれん及び無形資産の減損損失488億円を含む一過性の個別開示項目費用(純額)452億円を計上したことが主な要因です。また、当社グループのジョイント・ベンチャーであるSP Glass Holdings B.V.が保有していたロシアの子会社を売却した結果、当社グループは過年度に計上した持分法適用会社に対する金融債権の減損損失の戻入益37億円を計上し、また過年度に認識した同社への投資に対する減損損失の戻入益11億円を持分法投資に関するその他の利益として認識しました。これらによる損益の改善は、主に期中の市場金利上昇により前連結会計年度から増加した金融費用(純額)282億円(前連結会計年度は174億円)により一部が相殺されました。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、個別開示項目前営業利益の改善、個別開示項目収益(純額)、及び持分法投資に関する利益を認識した結果、106億円(前連結会計年度は338億円の損失)となりました。
5)1株当たり指標
連結会計年度の基本的1株当たり当期利益は95.40円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期損失393.06円から改善しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式に係る配当金を控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しています。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当20億円(前連結会計年度は20億円)がこの計算に含まれています。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、588億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による549億円の支出等により435億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは153億円のプラス(前年度は139億円のプラス)となりました。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて242億円減少し、443億円となりました。
(6)生産・受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2)受注実績
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載していません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれていません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っていません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しています。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 親会社の所有者に帰属する 当期利益 | |
| 当連結会計年度 | 832,537 | 35,860 | 17,597 | 10,930 | 10,633 |
| 前連結会計年度 | 763,521 | 34,812 | △21,933 | △31,017 | △33,761 |
| 増減率 | 9.0% | 3.0% | -% | -% | -% |
1)全体の状況
当第4四半期において、当社グループが事業を行う市場環境は一部の主要市場でさらに減速しました。特に建築用ガラス事業最大の市場である欧州において、市場が一段と厳しくなりました。自動車用ガラス事業の市場は引き続き徐々に回復し、長く続いた取引先におけるサプライチェーンの問題による制約も正常な状態への回復が進み販売数量が増加しました。高機能ガラス事業においては、改善の兆しが見られた市場もありましたが、多くの市場で需要はやや低調でした。
2)セグメント別の状況
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当連結会計年度における当社グループの売上高のうち45%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち50%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち5%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター用レンズ及び光ガイド、並びにエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前営業利益(△は損失) | |||
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | |
| 建築用ガラス事業 | 371,777 | 365,947 | 29,087 | 33,557 |
| 自動車用ガラス事業 | 417,558 | 354,693 | 11,343 | 4,052 |
| 高機能ガラス事業 | 39,945 | 38,754 | 7,146 | 8,733 |
| その他 | 3,257 | 4,127 | △11,716 | △11,530 |
| 合計 | 832,537 | 763,521 | 35,860 | 34,812 |
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は3,718億円(前連結会計年度は3,659億円)、個別開示項目前営業利益は291億円(前連結会計年度は336億円)となりました。欧州と北米市場では減速し、日本、南米市場及び太陽電池パネル用ガラスでの好調により一部相殺したものの、売上高は前年度と同水準で営業利益は下回りました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の38%を占めています。売上高・営業利益は下半期における経済活動の減速による販売数量と販売価格の低下を受けたため前年度を下回りました。市場環境の悪化による影響は、投入コストの減少により一部軽減されました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の30%を占めています。売上高・営業利益ともに前年度比で増加しました。日本では販売価格の上昇により業績が改善しましたが、その他の東南アジア地域では引き続き市場が停滞しました。太陽電池パネル用ガラスの販売数量は堅調に推移しました。第3四半期には、マレーシアのフロートガラス生産設備について一般建築用から太陽電池パネル用への転換が完了しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の32%を占めています。売上高は前年度から増加しましたが、営業利益は同様の水準でした。北米では、域内建築市場は厳しい環境が続きましたが太陽電池パネル用ガラスの販売数量増加により相殺しました。南米における販売数量は、アルゼンチンの新フロート窯稼働に伴い増加しました。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業の売上高は4,176億円(前連結会計年度は3,547億円)、個別開示項目前営業利益は113億円(前連結会計年度は41億円)となりました。販売数量は、サプライチェーンの問題による制約が解消した結果、取引先における生産が回復し、多くの地域で増加しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の42%を占めています。売上高は増加した投入コストの一部を取引先に転嫁することができたため、増加しました。販売数量は取引先におけるサプライチェーンの問題による自動車生産制約の解消が続いたことに伴い、自動車販売台数が改善するとともに取引先及び販売網における在庫積み上げの動きもあったため増加しました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の19%を占めています。売上高・営業利益ともに前年度比で改善しました。日本の販売数量は自動車販売台数の改善により増加し、営業利益も依然高水準が続く投入コストの影響を緩和するための価格改善交渉が進展したため改善しました。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の39%を占めています。売上高・営業利益ともに前年度比で増加しました。需要は、自動車販売台数の回復と取引先におけるサプライチェーンの問題による生産制約の緩和により改善しました。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は399億円(前連結会計年度は388億円)、個別開示項目前営業利益は71億円(前連結会計年度は87億円)となりました。需要は事業によって濃淡がありましたが、全体の売上高はわずかに改善しました。営業利益は、一部の事業で市場環境が悪化し投入コストの増加を販売価格に転嫁できず、減少しました。
ファインガラス事業では、販売構成が悪化したため売上高と営業利益が前年度比で減少しました。情報通信デバイス事業では、消費者需要の後退と取引先での在庫削減の影響によりプリンター用レンズの需要が減少しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードは自動車関連市場の改善に伴い回復しており、メタシャイン®の売上高は自動車塗料及び化粧品向けで増加しました。
その他
当連結会計年度におけるその他の売上高は33億円(前連結会計年度は41億円)、個別開示項目前営業損失は117億円(前連結会計年度は115億円)となりました。
このセグメントには、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
持分法適用会社
持分法で会計処理される投資に係る利益には、持分法による投資利益及び持分法投資に関するその他の利益(損失)が含まれており、当連結会計年度においては、純額で61億円(前連結会計年度は58億円)となりました。
持分法で会計処理される投資に係る利益の増加は、ロシアに子会社を保有していたジョイント・ベンチャーであるSP Glass Holdings B.V.に対する投資について、過去に計上した減損損失の戻入益を認識したためです。SP Glass Holding B.V.によるロシア子会社の売却に伴い、投資の一部について過去に計上した減損損失の戻入益11億円を認識し、持分法投資に関するその他の利益に計上しています。
さらに、同じく売却の結果として、当社グループは過去に計上した持分法適用会社に対する金融債権の減損損失の戻入益37億円を計上しました。
SP Glass Holdings B.V.に伴う損益を除いた、持分法で会計処理される投資に係る損益は前年度をわずかに下回りました。
(2)会計方針並びに重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表において採用している重要性のある会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
当連結会計年度末に実施したのれんの減損テストについては、⑤連結財務諸表注記 16.「のれん」をご参照ください。また、貸付を含むジョイント・ベンチャーへの長期的な投資の回収可能性については、注記 21.「持分法で会計処理される投資」をご参照ください。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しています。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としています。将来の借入条件に関する金融機関との交渉において、当社グループが受諾可能な条件での融資が不可能と想起させるような事実は発生していません。こうした状況を検討し、当社取締役会は、当社グループが予測可能な将来において継続事業として存続するのに十分な経営資源を引き続き有するという、合理的な見通しを持っています。従って、当社グループは、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しています。
1)総資産
2024年3月末時点の総資産は1兆76億円となり、2023年3月末時点から562億円増加しました。
2)ネット借入残高
2024年3月末時点のネット借入残高は、2023年3月末時点から396億円増加して4,475億円となりました。ネット借入の増加は、主に為替影響とエネルギー価格の下落に伴うデリバティブ金融資産の減少によるものです。為替影響によるネット借入の増加は259億円でした。また、総借入残高は5,065億円となりました。
3)資本
2024年3月末時点の資本合計は1,538億円となり、2023年3月末時点の1,249億円から290億円増加しました。資本合計の増加は、主に純利益の計上と円安に伴う為替影響によるものです。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は、前年度比9%増の8,325億円(前連結会計年度は7,635億円)となりました。増収は、主に自動車用ガラス事業によるものです。
2)個別開示項目前営業利益
個別開示項目前営業利益は359億円(前連結会計年度は348億円)となりました。こちらも自動車用ガラス事業が改善したことにより増益となりました。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は176億円となりました(前連結会計年度は219億円の損失)。
税引前損益の改善は、前連結会計年度でのれん及び無形資産の減損損失488億円を含む一過性の個別開示項目費用(純額)452億円を計上したことが主な要因です。また、当社グループのジョイント・ベンチャーであるSP Glass Holdings B.V.が保有していたロシアの子会社を売却した結果、当社グループは過年度に計上した持分法適用会社に対する金融債権の減損損失の戻入益37億円を計上し、また過年度に認識した同社への投資に対する減損損失の戻入益11億円を持分法投資に関するその他の利益として認識しました。これらによる損益の改善は、主に期中の市場金利上昇により前連結会計年度から増加した金融費用(純額)282億円(前連結会計年度は174億円)により一部が相殺されました。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、個別開示項目前営業利益の改善、個別開示項目収益(純額)、及び持分法投資に関する利益を認識した結果、106億円(前連結会計年度は338億円の損失)となりました。
5)1株当たり指標
連結会計年度の基本的1株当たり当期利益は95.40円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期損失393.06円から改善しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式に係る配当金を控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しています。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当20億円(前連結会計年度は20億円)がこの計算に含まれています。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、588億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による549億円の支出等により435億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは153億円のプラス(前年度は139億円のプラス)となりました。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて242億円減少し、443億円となりました。
(6)生産・受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 372,521 | 97.9 |
| 自動車用ガラス事業 | 429,013 | 120.2 |
| 高機能ガラス事業 | 39,811 | 89.8 |
| 報告セグメント計 | 841,345 | 107.6 |
| その他 | 3,315 | 109.3 |
| 合計 | 844,660 | 107.6 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2)受注実績
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載していません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 371,777 | 101.6 |
| 自動車用ガラス事業 | 417,558 | 117.7 |
| 高機能ガラス事業 | 39,945 | 103.1 |
| 報告セグメント計 | 829,280 | 109.2 |
| その他 | 3,257 | 78.9 |
| 合計 | 832,537 | 109.0 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれていません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っていません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しています。