有価証券報告書-第155期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)業績等の概要
(単位:百万円)
1)全体の状況
当社グループが事業を行う主要地域の事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大影響からの回復基調が、当第4四半期においても継続しました。地域によっては、ワクチン接種の広がりやロックダウン規制の緩和によって、消費者マインドが改善しています。一方、新型コロナウイルスの感染者が依然として多い地域では、各国政府の感染防止措置が取られていますが、工場の生産活動を制限する形のロックダウンには至っておらず、当社の生産活動も継続しています。建築用ガラス市場においては、欧州や南米を中心に需要が堅調でした。太陽電池パネル用ガラスの需要は、新型コロナウイルス感染拡大の影響をほぼ受けることなく、引き続き堅調に推移しました。自動車用ガラス市場は、年度初めの落ち込みから回復し、当第4四半期において前年レベルを上回りましたが、多くの地域で自動車メーカーが半導体部品不足の影響を受けました。高機能ガラス市場は、当第4四半期は製品によって好調と不調が混在する状況でした。
2)セグメント別の状況
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当連結会計年度における当社グループの売上高のうち43%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち49%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち8%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター向けレンズ及び光ガイドの製造・販売、並びに電池用セパレーターやエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は2,155億円(前連結会計年度は2,337億円)、個別開示項目前営業利益は157億円(前連結会計年度は173億円)となりました。建築用ガラス事業は、第1四半期における新型コロナウイルス感染拡大による需要減少の影響を受け、累計では減収減益となりましたが、第2四半期以降、各四半期の営業利益は前年を上回りました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の39%を占めています。第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大により販売数量が減少し、累計の売上高は減少しました。第2四半期には販売数量が大きく改善し、第1四半期に休止していた生産設備も再開しましたが、第3、第4四半期にかけて更に改善しました。販売価格は需要の増加に合わせて改善し、また安定した操業とコスト管理の強化により、収益性も改善しました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の36%を占めています。新型コロナウイルス感染拡大により売上高は前年度より減少しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響は、建築活動においては大きかったものの、太陽電池パネル用ガラスの出荷数量への影響は比較的軽微でした。一方、千葉とマレーシアにあるフロート窯をそれぞれ1基ずつ休止したことによる固定費削減も含めたコスト削減効果等により、利益は改善しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の25%を占めています。累計の売上高と営業利益は、第1四半期における新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、前年度を下回りましたが、第2四半期以降、南米の販売数量増加もあり売上は前年度比改善しました。建設中であった米国オハイオ州(トロイ地区ラッキー)における太陽電池パネル用ガラス製造用の新フロート窯については、第3四半期に稼働を開始しています。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業の売上高は2,452億円(前連結会計年度は2,810億円)、個別開示項目前営業利益は18億円(前連結会計年度は61億円)となりました。自動車用ガラス事業は、第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大により需要が激減した影響を受け、減収減益となりました。しかし、新車用ガラスでは6月以降は徐々に需要が回復し、当第4四半期の3か月間の売上高及び営業利益は、大規模な自動車生産の停止が行われた前年度を大幅に上回りました。一方で、多くの地域で自動車生産に必要な半導体部品の供給不足の影響を受けました。補修用ガラスの需要は、ロックダウンの緩和により第2四半期以降に改善しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の42%を占めています。累計の売上高と営業利益は、第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大により、需要が激減した影響を受け、前年度を下回りました。自動車メーカーが第1四半期末にかけて生産を再開し、第2四半期以降、徐々に生産台数を増加させたことに対応して当社の生産も回復しました。当第4四半期の売上高と営業利益は、欧州の多くの地域で実施されたロックダウンや自動車メーカーでの半導体部品不足の影響を受けたものの、前年を上回りました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の25%を占めています。累計の売上高と営業利益は、新型コロナウイルス感染拡大により前年度を下回りました。生産は年度を通じて、概ね継続されていましたが、第2四半期以降は自動車生産台数増加の恩恵を受けました。一方、直近では半導体部品不足や、第4四半期に日本で発生した地震に伴う部品の供給不足が、自動車生産台数の回復を押し下げる要因となっています。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の33%を占めています。売上高は、累計では新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、前年度を下回りましたが、当第4四半期においては、売上高、営業利益は前年を上回りました。北米では、自動車の在庫水準の回復や自動車販売台数の増加により、第2四半期以降、自動車生産台数が回復しています。南米においても、比較的低い水準ではあるものの、自動車生産台数は回復基調にあります。直近では北米を中心に、自動車メーカーでの半導体部品不足の影響を受けています。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は368億円(前連結会計年度は401億円)、個別開示項目前営業利益は67億円(前連結会計年度は71億円)となりました。主に年度前半における新型コロナウイルス感染拡大の影響により、減収減益となりました。ファインガラス事業では、新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的であり、年度後半にかけて回復基調が続いています。情報通信デバイス事業では、在宅勤務やオンライン授業の需要増加によりプリンター用レンズの販売数量が続伸しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードの需要は、自動車市場環境の影響を受けて減少しましたが、年度末にかけて回復しました。化粧品向けに使用されるメタシャイン®の売上高は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け減少しました。電池用セパレーター事業の業績は安定的に推移しました。
その他
当連結会計年度におけるその他の売上高は17億円(前連結会計年度は14億円)、個別開示項目前営業損失は111億円(前連結会計年度は94億円)となりました。
このセグメントには、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
持分法適用会社
当連結会計年度における持分法による投資利益は22億円(前連結会計年度は11億円)となり、前年度を上回りました。これは特にブラジルの建築用ガラスの持分法適用会社であるCebrace社の業績が改善したことによるものです。
(2)会計方針並びに重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表において採用している重要な会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
当連結会計年度末に実施したのれんの減損テストについては、⑤連結財務諸表注記 16.「のれん」をご参照ください。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しています。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としています。当連結会計年度末時点において金融機関との借入契約に規定される財務制限条項の一部につき抵触する水準となっておりますが、すべての当該金融機関から、当連結会計年度末時点においては、当該財務制限条項に関しその抵触の判定を行わず又はその違反を構成しないものと取り扱うことについて書面による承諾を得ています。しかしながら、当社が2022年3月期において当該財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失する可能性があります。当社グループは、当連結会計年度末時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は存在しないと判断し、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しています。
1)総資産
当連結会計年度末の総資産は8,250億円となり、前連結会計年度末より598億円増加しました。総資産の増加の大部分は為替換算によるものであり、ユーロや英ポンド、米ドルなど当社グループが資産計上している通貨に対して円安となった影響によるものです。
2)ネット借入残高
当連結会計年度末時点のネット借入残高は、前連結会計年度末より216億円増加し、4,118億円となりました。ネット借入の増加は、年度初期の新型コロナウイルス感染拡大による市場環境の悪化及び戦略投資案件の設備投資によるキャッシュ・フローのマイナスによるものです。また総借入残高は4,717億円となりました。当社グループは2021年3月31日時点で未使用の融資枠を749億円保有しています。
3)資本
当連結会計年度末時点の資本合計は798億円となり、2020年3月末時点の882億円から84億円減少しました。資本合計の減少は主に、当連結会計年度の当期損失と、退職給付に係る負債の評価で用いる仮定の見直しにより、その他の包括利益で損失を認識したことによるものです。なお、これらによる資本の減少は、連結処理により生じた為替換算差額の影響による資本の増加で一部相殺されています。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は、第1四半期における急激な需要の減少により、前年度比10%減の4,992億円(前連結会計年度は5,562億円)となりました。為替の影響を除く累計の売上高は前年度比9%減となりました。
2)個別開示項目前営業利益
個別開示項目前営業利益は131億円(前連結会計年度は212億円)となりました。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前損失は前連結会計年度より36億円悪化し、172億円となりました。
当連結会計年度及び前連結会計年度では個別開示項目費用が税引前損失の大きな要因となっています。新型コロナウイルス感染症に関連するコストは、感染拡大による設備休止に伴う費用に加え、施設の消毒作業のような直接費や一時帰休している従業員の給与を含めて損益計算書で個別に開示しています。これらは新型コロナウイルスに関連して各国政府から支給される補助金と合わせて、新型コロナウイルス感染症関連の個別開示項目費用(純額)として累計で161億円計上していますが、大半は第1四半期で発生しており、当第4四半期の3か月間では21億円の計上となっています。その他の個別開示項目費用(純額)は累計で53億円でした。これには主に第3四半期および当第4四半期に計上したコスト構造改革に伴うリストラクチャリング費用147億円が含まれており、この施策により、2022年3月期において3桁億円以上のコスト改善効果の創出を目指しています。また、その他の個別開示項目収益には2021年3月30日に公表した日本国内の有形固定資産(土地)の売却に伴う譲渡益71億円が含まれています。前連結会計年度の当期損失に含まれていたのれんおよび無形資産の減損損失については、事業環境見通しが改善しつつある状況を受け、当連結会計年度では計上されていません。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期損失は169億円(前連結会計年度は189億円の損失)でした。新型コロナウイルス感染症に関連するコストのため税引前損失は前連結会計年度より悪化したものの、親会社の所有者に帰属する当期損失は、繰延税金資産計上に伴う税金費用の貸方計上が大きく影響し改善しました。
5)1株当たり指標
連結会計年度の基本的1株当たり当期損失は208.32円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期利益235.96円より改善しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式に係る配当金及び金銭償還プレミアムを控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しています。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当20億円(前連結会計年度は17億円)がこの計算に含まれています。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、211億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による160億円の収入がありましたが、有形固定資産の取得による392億円の支出等により256億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは45億円のマイナスとなりました。なお、フリー・キャッシュ・フローは運転資本の厳格管理や投資削減などの施策により、前年度(264億円のマイナス)から改善しています。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて130億円増加し、535億円となりました。
(6)生産・受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2)受注実績
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載していません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれていません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っていません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しています。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前 営業利益 | 税引前損失 | 当期損失 | 親会社の所有者に帰属する 当期損失 | |
| 当連結会計年度 | 499,224 | 13,067 | △17,171 | △16,316 | △16,930 |
| 前連結会計年度 | 556,178 | 21,177 | △13,549 | △17,518 | △18,925 |
| 増減率 | △10.2% | △38.3% | -% | -% | -% |
1)全体の状況
当社グループが事業を行う主要地域の事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大影響からの回復基調が、当第4四半期においても継続しました。地域によっては、ワクチン接種の広がりやロックダウン規制の緩和によって、消費者マインドが改善しています。一方、新型コロナウイルスの感染者が依然として多い地域では、各国政府の感染防止措置が取られていますが、工場の生産活動を制限する形のロックダウンには至っておらず、当社の生産活動も継続しています。建築用ガラス市場においては、欧州や南米を中心に需要が堅調でした。太陽電池パネル用ガラスの需要は、新型コロナウイルス感染拡大の影響をほぼ受けることなく、引き続き堅調に推移しました。自動車用ガラス市場は、年度初めの落ち込みから回復し、当第4四半期において前年レベルを上回りましたが、多くの地域で自動車メーカーが半導体部品不足の影響を受けました。高機能ガラス市場は、当第4四半期は製品によって好調と不調が混在する状況でした。
2)セグメント別の状況
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当連結会計年度における当社グループの売上高のうち43%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち49%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち8%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター向けレンズ及び光ガイドの製造・販売、並びに電池用セパレーターやエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
| 売上高 | 個別開示項目前営業利益 | |||
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | |
| 建築用ガラス事業 | 215,501 | 233,687 | 15,670 | 17,331 |
| 自動車用ガラス事業 | 245,184 | 280,977 | 1,802 | 6,100 |
| 高機能ガラス事業 | 36,818 | 40,143 | 6,707 | 7,116 |
| その他 | 1,721 | 1,371 | △11,112 | △9,370 |
| 合計 | 499,224 | 556,178 | 13,067 | 21,177 |
建築用ガラス事業
当連結会計年度における建築用ガラス事業の売上高は2,155億円(前連結会計年度は2,337億円)、個別開示項目前営業利益は157億円(前連結会計年度は173億円)となりました。建築用ガラス事業は、第1四半期における新型コロナウイルス感染拡大による需要減少の影響を受け、累計では減収減益となりましたが、第2四半期以降、各四半期の営業利益は前年を上回りました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の39%を占めています。第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大により販売数量が減少し、累計の売上高は減少しました。第2四半期には販売数量が大きく改善し、第1四半期に休止していた生産設備も再開しましたが、第3、第4四半期にかけて更に改善しました。販売価格は需要の増加に合わせて改善し、また安定した操業とコスト管理の強化により、収益性も改善しました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の36%を占めています。新型コロナウイルス感染拡大により売上高は前年度より減少しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響は、建築活動においては大きかったものの、太陽電池パネル用ガラスの出荷数量への影響は比較的軽微でした。一方、千葉とマレーシアにあるフロート窯をそれぞれ1基ずつ休止したことによる固定費削減も含めたコスト削減効果等により、利益は改善しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の25%を占めています。累計の売上高と営業利益は、第1四半期における新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、前年度を下回りましたが、第2四半期以降、南米の販売数量増加もあり売上は前年度比改善しました。建設中であった米国オハイオ州(トロイ地区ラッキー)における太陽電池パネル用ガラス製造用の新フロート窯については、第3四半期に稼働を開始しています。
自動車用ガラス事業
当連結会計年度における自動車用ガラス事業の売上高は2,452億円(前連結会計年度は2,810億円)、個別開示項目前営業利益は18億円(前連結会計年度は61億円)となりました。自動車用ガラス事業は、第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大により需要が激減した影響を受け、減収減益となりました。しかし、新車用ガラスでは6月以降は徐々に需要が回復し、当第4四半期の3か月間の売上高及び営業利益は、大規模な自動車生産の停止が行われた前年度を大幅に上回りました。一方で、多くの地域で自動車生産に必要な半導体部品の供給不足の影響を受けました。補修用ガラスの需要は、ロックダウンの緩和により第2四半期以降に改善しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の42%を占めています。累計の売上高と営業利益は、第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大により、需要が激減した影響を受け、前年度を下回りました。自動車メーカーが第1四半期末にかけて生産を再開し、第2四半期以降、徐々に生産台数を増加させたことに対応して当社の生産も回復しました。当第4四半期の売上高と営業利益は、欧州の多くの地域で実施されたロックダウンや自動車メーカーでの半導体部品不足の影響を受けたものの、前年を上回りました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の25%を占めています。累計の売上高と営業利益は、新型コロナウイルス感染拡大により前年度を下回りました。生産は年度を通じて、概ね継続されていましたが、第2四半期以降は自動車生産台数増加の恩恵を受けました。一方、直近では半導体部品不足や、第4四半期に日本で発生した地震に伴う部品の供給不足が、自動車生産台数の回復を押し下げる要因となっています。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の33%を占めています。売上高は、累計では新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、前年度を下回りましたが、当第4四半期においては、売上高、営業利益は前年を上回りました。北米では、自動車の在庫水準の回復や自動車販売台数の増加により、第2四半期以降、自動車生産台数が回復しています。南米においても、比較的低い水準ではあるものの、自動車生産台数は回復基調にあります。直近では北米を中心に、自動車メーカーでの半導体部品不足の影響を受けています。
高機能ガラス事業
当連結会計年度における高機能ガラス事業の売上高は368億円(前連結会計年度は401億円)、個別開示項目前営業利益は67億円(前連結会計年度は71億円)となりました。主に年度前半における新型コロナウイルス感染拡大の影響により、減収減益となりました。ファインガラス事業では、新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的であり、年度後半にかけて回復基調が続いています。情報通信デバイス事業では、在宅勤務やオンライン授業の需要増加によりプリンター用レンズの販売数量が続伸しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードの需要は、自動車市場環境の影響を受けて減少しましたが、年度末にかけて回復しました。化粧品向けに使用されるメタシャイン®の売上高は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け減少しました。電池用セパレーター事業の業績は安定的に推移しました。
その他
当連結会計年度におけるその他の売上高は17億円(前連結会計年度は14億円)、個別開示項目前営業損失は111億円(前連結会計年度は94億円)となりました。
このセグメントには、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
持分法適用会社
当連結会計年度における持分法による投資利益は22億円(前連結会計年度は11億円)となり、前年度を上回りました。これは特にブラジルの建築用ガラスの持分法適用会社であるCebrace社の業績が改善したことによるものです。
(2)会計方針並びに重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表において採用している重要な会計方針については、第5[経理の状況]の1(1)連結財務諸表の「⑤連結財務諸表注記」に記載されている通りです。なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債並びに収益・費用の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と思われる見積りや判断を要することがあります。
当連結会計年度末に実施したのれんの減損テストについては、⑤連結財務諸表注記 16.「のれん」をご参照ください。
(3)財政状態の分析
当社グループでは、今後の予測・見通しを踏まえて、既存の融資枠の範囲内で引き続き事業継続が可能なものと判断しています。当社グループは、既存の融資については、返済期限を迎える前にその更新を金融機関との間で交渉する方針としています。当連結会計年度末時点において金融機関との借入契約に規定される財務制限条項の一部につき抵触する水準となっておりますが、すべての当該金融機関から、当連結会計年度末時点においては、当該財務制限条項に関しその抵触の判定を行わず又はその違反を構成しないものと取り扱うことについて書面による承諾を得ています。しかしながら、当社が2022年3月期において当該財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失する可能性があります。当社グループは、当連結会計年度末時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は存在しないと判断し、引き続き継続企業の前提に基づいて、当連結会計年度の連結財務諸表を作成しています。
1)総資産
当連結会計年度末の総資産は8,250億円となり、前連結会計年度末より598億円増加しました。総資産の増加の大部分は為替換算によるものであり、ユーロや英ポンド、米ドルなど当社グループが資産計上している通貨に対して円安となった影響によるものです。
2)ネット借入残高
当連結会計年度末時点のネット借入残高は、前連結会計年度末より216億円増加し、4,118億円となりました。ネット借入の増加は、年度初期の新型コロナウイルス感染拡大による市場環境の悪化及び戦略投資案件の設備投資によるキャッシュ・フローのマイナスによるものです。また総借入残高は4,717億円となりました。当社グループは2021年3月31日時点で未使用の融資枠を749億円保有しています。
3)資本
当連結会計年度末時点の資本合計は798億円となり、2020年3月末時点の882億円から84億円減少しました。資本合計の減少は主に、当連結会計年度の当期損失と、退職給付に係る負債の評価で用いる仮定の見直しにより、その他の包括利益で損失を認識したことによるものです。なお、これらによる資本の減少は、連結処理により生じた為替換算差額の影響による資本の増加で一部相殺されています。
(4)経営成績の分析
1)売上高
当連結会計年度の売上高は、第1四半期における急激な需要の減少により、前年度比10%減の4,992億円(前連結会計年度は5,562億円)となりました。為替の影響を除く累計の売上高は前年度比9%減となりました。
2)個別開示項目前営業利益
個別開示項目前営業利益は131億円(前連結会計年度は212億円)となりました。
3)税引前利益
当連結会計年度の税引前損失は前連結会計年度より36億円悪化し、172億円となりました。
当連結会計年度及び前連結会計年度では個別開示項目費用が税引前損失の大きな要因となっています。新型コロナウイルス感染症に関連するコストは、感染拡大による設備休止に伴う費用に加え、施設の消毒作業のような直接費や一時帰休している従業員の給与を含めて損益計算書で個別に開示しています。これらは新型コロナウイルスに関連して各国政府から支給される補助金と合わせて、新型コロナウイルス感染症関連の個別開示項目費用(純額)として累計で161億円計上していますが、大半は第1四半期で発生しており、当第4四半期の3か月間では21億円の計上となっています。その他の個別開示項目費用(純額)は累計で53億円でした。これには主に第3四半期および当第4四半期に計上したコスト構造改革に伴うリストラクチャリング費用147億円が含まれており、この施策により、2022年3月期において3桁億円以上のコスト改善効果の創出を目指しています。また、その他の個別開示項目収益には2021年3月30日に公表した日本国内の有形固定資産(土地)の売却に伴う譲渡益71億円が含まれています。前連結会計年度の当期損失に含まれていたのれんおよび無形資産の減損損失については、事業環境見通しが改善しつつある状況を受け、当連結会計年度では計上されていません。
4)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期損失は169億円(前連結会計年度は189億円の損失)でした。新型コロナウイルス感染症に関連するコストのため税引前損失は前連結会計年度より悪化したものの、親会社の所有者に帰属する当期損失は、繰延税金資産計上に伴う税金費用の貸方計上が大きく影響し改善しました。
5)1株当たり指標
連結会計年度の基本的1株当たり当期損失は208.32円となり、前連結会計年度の基本的1株当たり当期利益235.96円より改善しました。基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益からA種種類株式に係る配当金及び金銭償還プレミアムを控除した金額を、発行済普通株式の加重平均数で除して算出しています。当連結会計年度において、A種種類株式に係る配当20億円(前連結会計年度は17億円)がこの計算に含まれています。
(5)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、211億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による160億円の収入がありましたが、有形固定資産の取得による392億円の支出等により256億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは45億円のマイナスとなりました。なお、フリー・キャッシュ・フローは運転資本の厳格管理や投資削減などの施策により、前年度(264億円のマイナス)から改善しています。
財務キャッシュ・フローと為替換算影響を考慮した後のベースで、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて130億円増加し、535億円となりました。
(6)生産・受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 210,928 | 91.6 |
| 自動車用ガラス事業 | 244,090 | 86.7 |
| 高機能ガラス事業 | 35,468 | 90.1 |
| 報告セグメント計 | 490,486 | 89.0 |
| その他 | 1,197 | 80.0 |
| 合計 | 491,683 | 89.0 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2)受注実績
受注生産形態をとらない製品が多く、セグメント毎に示すことは難しいため記載していません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 建築用ガラス事業 | 215,501 | 92.2 |
| 自動車用ガラス事業 | 245,184 | 87.3 |
| 高機能ガラス事業 | 36,818 | 91.7 |
| 報告セグメント計 | 497,503 | 89.7 |
| その他 | 1,721 | 125.5 |
| 合計 | 499,224 | 89.8 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれていません。
2.販売実績の「主な相手先別」は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載は行っていません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しています。