有価証券報告書-第111期(平成30年11月1日-令和1年10月31日)

【提出】
2020/01/30 16:22
【資料】
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【項目】
158項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「常に個性的な新しい価値を創造して、強い企業を構築し、全社員の幸福と社会の繁栄に貢献する」という経営理念を制定し、グループ全体で共有するとともに、全社員の行動規範としています。
また、当社グループが今後進むべき道や未来のありたい姿を明確化すべく、以下のコーポレート・メッセージを策定しています。

(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、第112期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定しています。
本中期経営計画では、第101期に掲げた「長期ビジョン2020」の最終期間となることから「OHARA VISION 2020 & BEYOND」と題し、2020年のみならず2020年以降の“飛躍”へ向けて、更なる財務体質の改善と、次世代の成長戦略を推進する「再成長軌道への回帰」を目指し活動をしています。
しかしながら、本中期経営計画の2年目となる第111期は、デジタルカメラ市場の縮小や耐衝撃・高硬度クリアガラスセラミックス「ナノセラムTM」の商流確立の遅れなどにより、数値目標は未達となり、最終年度である第112期の目標指標も下記のとおりとしています。
目標指標(第112期)
売上高 228億円以上
営業利益 8億円以上
総資産有利子負債比率 9.0%以下
エレクトロニクス事業売上高比率 45.0%以上
(3) 会社の対処すべき課題
今後の経営環境につきましては、世界経済は、米中通商摩擦を巡る緊張や英国のEU離脱の行方などが懸念されるものの、全体としては緩やかな回復が続くものと見込まれます。アジア地域では、中国経済は、通商摩擦の影響などが懸念され、緩やかな減速が続くものと見込まれます。米国経済は、通商摩擦や政策動向などの影響が懸念されるものの、景気の回復が続くものと見込まれます。欧州では、英国のEU離脱問題の影響などが懸念されるものの、景気は緩やかな回復傾向で推移するものと見込まれます。日本経済は、輸出を中心に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復が続くものと見込まれます。
当社グループの光事業の関連市場では、デジタルカメラ市場は、コンパクトタイプ、レンズ交換式タイプともに需要の減少が続くものと見込まれます。一方、プロジェクター、監視カメラ、車載カメラなどの分野では、高精細化などの進展により、品質の高い光学ガラスに対するニーズが高まるものと見込まれます。エレクトロニクス事業の関連市場においては、露光装置は、半導体向け、FPD向けともに回復基調となる見込みです。また、第5世代移動
通信システム(5G)の環境整備に向けた設備投資や、宇宙関連産業の需要拡大が見込まれます。
事業別の主要施策は次のとおりであります。
① 光事業
デジタルカメラ市場の縮小に伴い、光学ガラス需要の大幅な伸びは期待しづらいことから、ガラスモールドレンズなど付加価値の高いレンズ加工品の販売比率を高めることで、売上規模を確保していきます。また、モバイル、モビリティ、セキュリティ、プロジェクター、メディカル、シネマなど、デジタルカメラ以外の用途に向けたマーケティング活動や拡販活動を展開するとともに、こうした用途に向けた特徴的な新製品の開発を進めていきます。
② エレクトロニクス事業
最も注力している耐衝撃・高硬度クリアガラスセラミックス「ナノセラムTM」は、顧客ニーズに対応した改良を迅速に進めることで、需要の獲得を目指します。また、露光装置、光通信関連及び宇宙・天文向けについては、需要動向を的確に捉えるとともに、アジア地域での拡販活動を強化します。リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス「LICGCTM」は、全固体電池における実用レベルの特性実現を目指すとともに、液系リチウムイオン電池の特性向上につながる添加材としての採用実績形成を進めていきます。