有価証券報告書-第115期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 9:07
【資料】
PDFをみる
【項目】
153項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度前半は内需が寄与して緩やかな回復基調が続きましたが、米中貿易摩擦による中国景気減速などの外部環境の悪化により、製造業を中心に景況が悪化し、2020年2月以降の世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大とその拡大防止対策による景気の押し下げで、先行きの不透明感が一層強まる状況となりました。
このようなもとで当社グループは、2019年度を初年度とする第6次3カ年計画を策定し、既存事業の収益構造の改革や新たな分野の開拓、新しい製品の開発、財務体質の更なる強化などの取組みを全社一丸となって進めまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、267億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ18億4千2百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は、142億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億5千4百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は、124億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億8千8百万円減少いたしました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、中国景気減速などの外部環境悪化の影響を受け、中国国内で自動車用プレス金型鋳物の製造販売を手がける天津虹岡鋳鋼有限公司及び南通虹岡鋳鋼有限公司の業績が低迷し、国内においても連続鋳造鋳鉄棒のデンスバーの売上が回復せず、加えて第4四半期において投資有価証券評価損による特別損失の計上もあり、売上高 212億5千9百万円(前期 240億1千3百万円)、営業利益 5億3千9百万円(前期 12億8千4百万円)、経常利益 3億7千2百万円(前期 13億円)、親会社株主に帰属する当期純利益 1億2百万円(前期 7億3千4百万円)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
鋳物関連事業は、売上高は174億8百万円(前期 197億2千5百万円)、セグメント利益は、2億6千9百万円(前期 10億2千4百万円)となりました。
環境関連事業は、売上高は、16億5千万円(前期 19億8千7百万円)、セグメント利益は、2億2千1百万円(前期 2億5千2百万円)となりました。
その他は、売上高は、22億1百万円(前期 23億円)、セグメント利益は 1億9千6百万円(前期 2億1千5百万円)となりました。
また新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、鋳物関連事業では、当連結会計年度で、中国での連結子会社である天津虹岡鋳鋼有限公司及び南通虹岡鋳鋼有限公司において、2月に中国当局より生産活動の制限を受け、事業活動に影響を受けました。当社では、当連結会計年度での影響は小さいものの、今後は、主要取引先である鉄鋼、自動車、工作機械メーカー等がサプライチェーンの途絶等により事業活動の縮小が予想されており、各業界の動向分析に注力しております。
環境関連事業につきましては、地方公共団体からの案件が大半を占めるため、当連結会計年度の影響は、軽微なものとなっております。今後につきましては、直接的な影響はないものの各認可手続等の遅れによる工期の遅延、混乱も予想され、それらに柔軟かつ的確に対応すべく事業体制を整えてまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べて2億2千5百万円増加し、21億8百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、21億7千3百万円の増加(前連結会計年度 21億7千9百万円 増加)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益9千4百万円、減価償却費13億6千6百万円、売上債権の減少13億7百万円による資金の増加と仕入債務の減少7億4千3百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、13億9千5百万円の減少(前連結会計年度 14億6千1百万円 減少)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出14億4千1百万円による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、5億4千7百万円の減少(前連結会計年度 6億8千3百万円 減少)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増加額18億2千4百万円、長期借入金による収入33億1千6百万円による資金の増加と長期借入金の返済による支出53億6千5百万円、配当金の支払1億6千5百万円による資金の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
鋳物関連事業17,948△9.7
環境関連事業1,650△16.7
その他2,262△2.6
合計21,861△9.6

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
鋳物関連事業のうち一部鋳物製品については見込み生産を行っているため、受注高及び受注残高の金額には含まれておりません。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比
(%)
受注残高(百万円)前年同期比
(%)
鋳物関連事業14,090△16.53,334△11.3
環境関連事業1,984282.91,75524.0
その他2,210△11.67841.2
合計18,286△8.15,873△1.3

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
鋳物関連事業17,408△11.7
環境関連事業1,650△17.0
その他2,201△4.3
合計21,259△11.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、153億3千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億6千4百万円減少いたしました。これは、主として現金及び預金が2億2千5百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が8億9千8百万円、電子記録債権が5億3千5百万円減少したことなどによります。
固定資産は、113億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億7千8百万円減少いたしました。これは、主として投資有価証券が5億1千8百万円、有形固定資産が1億1千万円減少したことなどによります。
この結果、総資産は、267億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ18億4千2百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、107億7千万円となり、前連結会計年度末に比べ5億5千4百万円減少いたしました。これは、主として短期借入金が6億4千万円増加した一方、支払手形及び買掛金が7億8千9百万円、未払法人税等が2億4千1百万円減少したことなどによります。
固定負債は、34億8千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億9千9百万円減少いたしました。これは、主として長期借入金が9億3千6百万円減少したことなどによります。
この結果、負債合計は、142億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億5千4百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、124億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億8千8百万円減少いたしました。これは、主として非支配株主持分、その他有価証券評価差額金が減少したことなどによります。
この結果、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べ91円98銭減少し3,047円91銭となり、総資産が減少したことにより、自己資本比率は、前連結会計年度末の36.4%から37.8%となりました。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、212億5千9百万円(前年同期比 11.5%減)となりました。そのうち国内売上高は161億5百万円(前年同期比 5.8%減)、海外売上高は51億5千4百万円(前年同期比 25.5%増)となりました。
(営業利益)
売上原価は、179億9千8百万円(前年同期比 9.7%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、27億2千2百万円(前年同期比 2.4%減)となりました。
これらの結果、営業利益は、5億3千9百万円(前年同期比 58.0%減)となりました。
(経常利益)
営業外損益は、前期の1千5百万円(純額)から△1億6千6百万円(純額)となりました。
そのうち営業外収益は、前期の2億9千5百万円から1億1千万円に減少し、営業外費用は、前期の2億7千9百万円から2億7千6百万円に減少いたしました。
これらの結果、経常利益は、3億7千2百万円(前年同期比 71.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、投資有価証券評価損が前期の3千6百万円から3億1千2百万円に増加したことなどにより、9千4百万円(前年同期比 92.6%減)となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失は、前期の1億4千7百万円から△1億8百万円に減少したため、親会社株主に帰属する当期純利益は、1億2百万円(前年同期比 86.1%減)となりました。
また、1株当たり当期純利益は30円79銭(前連結会計年度 221円52銭)に減少いたしました。
ロ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりと認識しており、これらのリスクについては発生の回避に、また発生した場合の対応に万全を期すべく努力してまいります。
ハ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、継続的な利益計上と安定的な配当を可能とする企業体質の構築が重要であると考え、株主価値の拡大を図るという観点から、売上高経常利益率、総資産経常利益率及び自己資本比率を重要な経営指標
として位置付けております。
当連結会計年度における売上高経常利益率は1.8%(前期 5.4%)、総資産経常利益率は1.3%(前期4.5%)であり、自己資本比率37.8%(前期 36.4%)となりました。
これらの要因については、売上高経常利益率及び総資産経常利益率は、海外子会社天津虹岡鋳鋼有限公司及び南通虹岡鋳鋼有限公司の業績が低迷したことなどにより経常利益が減少したことなどで低下しております。
自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ当連結会計年度末の総資産が減少したことで増加しております。
当連結会計年度の状況を認識した上で、引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
ニ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)鋳物関連事業
鋳型は、エネルギー関連、造船関連、自動車関連などの外部環境の悪化により、鍛造鋼塊用鋳型、特殊鋼用鋳型ともに需要が低調で、売上高は、前期を下回りました。ロールは、H形鋼用水平ロールの新規受注や特殊鋼棒線用ロール、パイプ用ロールの受注増により、売上高は、前期を上回りました。自動車用プレス金型鋳物は、新車開発の計画見直しや凍結が相次ぎ、売上高は、前期を下回りました。大型産業機械用鋳物は、工作機械業界が減産傾向にある中、電気自動車の部品用プレス機向け鋳物の受注増により、売上高は、前期を上回りました。小型鋳物は、下水道鉄蓋の新規開拓や電線共同溝用鉄蓋の受注拡大により、売上高は、前期を上回りました。デンスバーは、建設機械関連向けの減速を受け、売上高は、前期を下回りました。海外事業の天津虹岡鋳鋼有限公司、南通虹岡鋳鋼有限公司は、中国経済の減速や競合の激化、原材料のスクラップ価格の高止まりなどにより、売上高、損益とも前期を下回りました。
この結果、当事業の売上高は、174億8百万円(前期 197億2千5百万円)、セグメント利益は、2億6千9百万円(前期 10億2千4百万円)となりました。
2)環境関連事業
環境装置事業は、大口案件やメンテナンス工事の受注件数が減少し、売上高は、前期を下回り、当事業の売上高は、16億5千万円(前期 19億8千7百万円)、セグメント利益は、2億2千1百万円(前期 2億5千2百万円)となりました。
3)その他
送風機は、環境関連の大口案件があり、売上高は、前期を上回りました。環境・省エネ商品のトランスベクターは、鉄鋼業界の落ち込みによる鉄鋼関連向け大口案件の減少や、半導体市場の悪化による半導体関連向けの需要減により、売上高は、前期を下回りました。KCカーボンセラミックスは、半導体市場の悪化により液晶パネル設備向けのベアリング関連需要が低迷し、売上高は、前期を下回りました。KCメタルファイバーは、自動車産業の低迷により自動車用摩擦材の需要が減少し、売上高は、前期を下回りました。
この結果、当事業の売上高は、22億1百万円(前期 23億円)、セグメント利益は、1億9千6百万円(前期 2億1千5百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況
当社グループは、営業活動によって得られた資金を、市場環境や資本効率等を総合的に勘案し、更新投資及び成長投資、手許資金、株主還元に適切なバランスで配分し、また必要に応じて追加の資金を財務活動によって調達することをキャッシュ・フローの基本方針としております。なお、更新投資は生産設備の更新及び合理化設備に、成長投資は人材獲得及び育成、研究開発及びそれに伴う設備投資等に、手許資金は運転資金、財務基盤の強化等に、株主還元は配当金の支払等に充当しております。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
同期間における営業活動によるキャッシュ・フローは21億7千3百万円の収入であり、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得等により13億9千5百万円の支出及び財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入金、短期借入金の収入や返済等により5億4千7百万円支出となったことから、当連結会計年度における連結ベースの資金は、前連結会計年度から2億2千5百万円増加し、21億8百万円となっており、企業運営に必要となる十分な水準の資金を確保していると評価しております。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資資金については、長期借入金で調達しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は76億5千3百万円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は21億8百万円となっております。
当社は、将来の資金需要に対して安定的、機動的かつ効率的な資金調達を可能にするため金融機関11社と総額65億円の特定融資枠契約を締結しております(借入実行残高30億6千万円、借入未実行残高34億4千万円)。
新型コロナウイルスの感染拡大により急激な景気変動が起これば、資金面でも影響を懸念されますが、この特定融資枠契約によりリスクヘッジをしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間の収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。ただし、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますので、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当該純損益額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループでは、2021年3月期の一定期間にわたり継続するものと想定し、当該連結会計年度の会計上の見積りを行っております。