四半期報告書-第78期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

【提出】
2018/11/13 9:16
【資料】
PDFをみる
【項目】
28項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善が見られる等、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、近畿地方を中心に各地で被害をもらたした大型台風や豪雨、大阪・北海道での地震の影響、また米国の保護主義政策による米中の通商政策に基づく貿易摩擦による世界経済の下振れ、北朝鮮・中東等の地政学リスク等により、国内外の経済は不確実性が高まっており、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような事業環境のなか、主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、当第2四半期連結累計期間における新設住宅着工戸数が49万1千戸(前年同期間比1.1%減)と全体として住宅着工は弱含みであり、特に利用関係区分で、持家・貸家は低調に推移しました。また、鋼材等の資材価格が高騰していますが販売価格の値上げは十分でなく、一方で価格競争が更に激しさを増しました。一方、電気・輸送機器向ネジは、OA機器関連等で海外での現地調達が、一部国内回帰し、また自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要は、引き続き堅調に推移しています。しかし、建設・梱包向同様、価格競争が激しく、事業環境は厳しい状況が続いています。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、2,601百万円と前年同四半期と比べ32百万円(1.3%増)増加となりました。営業損益は、電気・輸送機器向は、需要の増加により増益となりましたが、建設・梱包向は、鋼材等の資材価格の高騰分や輸入商品価格・運賃等の値上がりがあり、値上がり分を販売価格に転嫁を図ったものの、十分な転嫁はできず、また生産性の向上による製造コストの低減等を図ったものの固定費を吸収することができなかったため、1百万円の損失(前年同四半期85百万円の利益)となりました。経常損益は4百万円の損失(前年同四半期81百万円の利益)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損益は、台風21号の暴風雨災害による損失を9百万円特別損失として計上し、法人税、住民税及び事業税が1百万円等により17百万円の損失(前年同四半期66百万円の利益)となりました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造住宅の着工戸数は前四半期累計期間と比べ減り、釘の需要は伸びず減少しました。利益面では、鋼材等の資材価格や輸入商品価格・運賃等の高騰により、製造コストや輸入商品の仕入コストが増大したため、販売価格への転嫁を図ったものの、部分的な値上げに留まりました。また、8月・9月の豪雨や台風による暴風雨や長雨により住宅着工の遅れが発生し、釘の需要は落ち込みました。この結果、当セグメントの売上高は、2,038百万円(前年同四半期2,035百万円、0.1%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ89百万円減の77百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、弱電・OA機器向等は海外での現地調達化が定着しましたが、内需ニーズとして、品質重視の傾向のなか、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機器向の付加価値の高いライセンス製品の需要は順調に推移しました。この結果、当セグメントの売上高は、563百万円(前年同四半期533百万円、5.6%%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ6百万円増の25百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は5,195百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比51百万円増)となりました。流動資産は、前年度末に比べ110百万円増加し3,169百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が58百万円、商品及び製品が65百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ59百万円減少し2,025百万円となりました。これは、有形・無形固定資産の設備投資34百万円に対して、減価償却費が85百万円であり、投資有価証券が第2四半期連結会計期間末の株価が下がったことにより14百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は、前年度末に比べ98百万円増加し4,021百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ118百万円増加し2,749百万円となりました。これは主に短期借入金が69百万円、その他が40百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ20百万円減少しました。これは、長期借入金が前年度末に比べ22百万円減少したこと等によるものであります。
有利子負債(短期借入金、長期借入金)は2,652百万円(前年度末比46百万円増)となりました。これは、短期借入金の純増が54百万円あり、また長期借入金の返済277百万円に対して、長期資金の借入れを270百万円実行したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、1,173百万円となり、前年度末に比べ46百万円減少しました。これは、当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失が17百万円、配当金の支払いが23百万円であり、その他有価証券評価差額金が、株価の下落により、前年度末に比べ9百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前年度末の23.1%から21.9%となり、1株当たり純資産額は100.84円から96.55円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により19百万円の支出、投資活動により25百万円の支出、財務活動により23百万円の収入となり、資金は前年度末に比べ22百万円減少し、563百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の増加により78百万円、たな卸資産の増加により55百万円減少し、税金等調整前四半期純損失14百万円、減価償却費85百万円等により、営業活動に使用した資金は19百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は60百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出19百万円及び無形固定資産の取得による支出3百万円であったこと等により、投資活動に使用した資金は25百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は113百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純増が54百万円であり、長期借入金は、270百万円を借入れ、返済による支出が277百万円であった等により、財務活動で得られた資金は23百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は128百万円の収入)
(4) 経営方針・経営戦略等
(建設・梱包向)
釘は国内総需要の7割以上が輸入商品で賄われている品種であり、当社の販売量は、国内生産を増やしたこともあり、国内生産品が海外委託生産品(OEM)を上回る状況にあります。一方、釘の市場価格は多く輸入されている商品に引きずられる傾向にあり、競争力が低下しているという現実があります。長年の経験に培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力は、高付加価値品の製造においては圧倒的な優位性を保っています。またOEM商品の品質安定にも大きく寄与していることを生かし、販売量の増大と付加価値製品の拡大を図り、最大限の生産量を確保してまいります。汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる企業として勝ち残っていくため、売上高の拡大とコスト削減を実現し、収益力のレベルアップを図ってまいります。
具体的施策は以下の通りです。
①売上高の拡大
1.組織営業力を強化し、綿密な営業戦略により新たなる販路を拡大し、売上げの増大を図ります。
2.開発営業を展開し、顧客のニーズに基づく新製品開発により売上げの増大を図ります。
3.自社製品と輸入商品との販売上の最適バランス化を図ります。
②コスト削減
1.国内生産品のなかで付加価値の高い品種を生産し、生産性を高めます。
2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの拡大により仕入コストの削減を図ります。
3.物流を合理化・再構築することにより物流コストを低減します。
4.販管費の低減を図ります。
5. 省エネ対策と新電力の活用によりエネルギーコストを削減します。
(電気・輸送機器向)
かつての主力製品であった弱電・家電向のネジは、2010年以降の円高局面で需要家が生産拠点の海外シフトを加速させ、その結果、日本国内の需要は急激に減少し、円高修正局面においても、これら需要の回帰は限定的になっています。このため、自動車関連部品や産業機器向等を主なターゲットとして、高付加価値機能部品の製造を行う多段冷間圧造設備を2014年に導入し、2015年より本格的な量産体制に移行しつつあります。
高付加価値機能部品の製造・販売は、従来主力のネジ類拡販にも相乗効果が期待できるため、この投資効果の 極大化に注力して営業活動を推進してまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更や新たに生じた課題はありません。
(7)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間の業績見込みに対して、当第2四半期連結会計期間の業績は、建設・梱包向は、売上高は、販売量は伸びたものの、一方、鋼材価格、輸入商品等の高騰や運賃の値上がりがあり、値上がり分の販売価格への転嫁を図ったものの、計画どおりには進まず減収となりました。利益面は、生産性の向上効果による製造コストの低減を図ったものの、販売価格への転嫁が十分できなかった影響は大きく、損失計上となりました。第3四半期連結会計期間以降においては、需要は例年並みか幾分下回る見込みであり、更なる価格転嫁が進まないようであれば、さらに収益力が低下する可能性があります。一方、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要を確保できるため、計画した利益を上回る見込みであります。
第3四半期連結会計期間以降のセグメント別の見通しは、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
新設住宅着工のなかで、持家、貸家及び一戸建て等の木造住宅の着工は、2017年4月以降、前年度割れの状況が続いております。2018年度の新設住宅着工戸数は、前年度の94万6千戸を幾分下回る93~94万戸を予想しており、釘の需要は微減傾向にあります。利益面では、鋼材等の資材価格の値上がりにより製造コストが増大し、また輸入商品価格が値上がりしていることに対して、より安い鋼材等の資材調達や輸入商品の仕入ソースの開拓が必要となっています。また主原料である線材の高騰により、増産による製造コストの低減効果が薄らいでおり、国内生産と輸入商品割合の見直しも必要となります。今後は、販売価格の値上げを行っていくとともに、得意先との連携を図り、開発営業の徹底と販路の拡大により売上高の増大を図ってまいります。また、製造コストや物流コスト、販管費の低減に努めてまいります。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向事業は、弱電・OA機器向及びゲーム機器の海外での現地調達化の動きが進み、国内での需要は依然低迷しております。今後、輸送機器関連部品や産業機器向等にライセンス製品の販売ウエートを高めるとともに、主に輸送機器向に導入した多段冷間圧造設備による高付加価値部品の量産体制への取り組みを継続的に進め、当該設備の本格稼動による生産性の向上と売上の拡大を図ってまいります。