四半期報告書-第79期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/13 9:39
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善は見られるものの、生産・出荷は低下し、在庫は横ばいと鉱工業指数は弱含みとなっています。また、米中通商摩擦の長期化による中国経済の成長鈍化や欧州の政治不安など、国際経済の不確実性が高まり、国内経済の先行きも不透明な状況が続いています。
このような事業環境のなか、主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、当第2四半期連結累計期間における新設住宅着工戸数が46.6万戸(前年同期間比5.0%減)と、特に利用関係区分での貸家(賃貸住宅)の下落幅が15.7 %減と大きく、また賃貸住宅の施工不良の発覚や台風・長雨による工事遅れなどの影響もあり、新設住宅着工は減少しています。一方、電気・輸送機器向ネジは、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要は、引き続き堅調に推移しています。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、2,613百万円(前年同四半期2,601百万円、0.5%増)、その内訳は建設・梱包向は14百万円増(0.7%増)、電気・輸送機器向は2百万円減(0.5%減)となりました。売上総利益は446百万円と前年同四半期に比べ8百万円増(1.8%増)となり、これは、主に建設・梱包向の輸入商品コスト等の低減効果によるものであります。営業利益は、販売費及び一般管理費の低減に努めたことにより、前年同四半期に比べ12百万円減少し、18百万円(前年同四半期は1百万円の損失)となりました。経常利益は12百万円(前年同四半期は4百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益として、投資有価証券の一部を売却したことに伴う投資有価証券売却益6百万円を計上し、法人税、住民税及び事業税等が1百万円であったことにより14百万円(前年同四半期17百万円の損失)となりました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造住宅の着工戸数は前年同四半期に比べ、施工不良問題や台風・長雨による工事の遅れなどにより需要は伸びなかったものの、消費増税前の駆け込み需要もあり、売上高は前年同四半期と比べ0.7%増となりました。利益面では、生産性の向上により製造コストの低減に努めたものの、その効果は軽微であり、輸入商品コストの低減等により増益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、2,053百万円(前年同四半期2,038百万円、0.7%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ26百万円増の103百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、弱電・OA機器向等は一部に国内回帰の動きがありましたが、全体的には海外での現地調達化が定着しました。一方、内需ニーズとして、品質重視の傾向にあり、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向の付加価値の高いライセンス製品の需要は堅調に推移しており、自動車のEV化により、ネジの需要は増加が見込まれます。この結果、当セグメントの売上高は、560百万円(前年同四半期563百万円、0.5%減)となりました。一方、利益面では、外注加工費等の製造コストの増加があり、セグメント利益は前年同四半期に比べ10百万円減の14百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は5,225百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比123百万円減)となりました。流動資産は、前年度末に比べ117百万円減少し3,259百万円となりました。これは、商品及び製品が77百万円増加したものの、現金及び預金が184百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ6百万円減少し1,965百万円となりました。これは、有形・無形固定資産の設備投資88百万円に対して、減価償却費が79百万円であり、投資有価証券が一部株式の売却や当第2四半期連結会計期間末の株価が下がったことにより31百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は、前年度末に比べ111百万円減少し4,004百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ39百万円増加し2,789百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金は27百万円減少しましたが、その他が63百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ150百万円減少し1,214百万円となりました。これは、長期借入金が前年度末に比べ145百万円減少したこと等によるものであります。
有利子負債(短期借入金、長期借入金)は2,636百万円(前年度末比142百万円減)となりました。これは、短期借入金の純増が28百万円であり、また長期借入金の返済300百万円に対して、長期資金の借入れを130百万円実行したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、1,221百万円となり、前年度末に比べ12百万円減少しました。これは、当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益が14百万円に対して、配当金の支払いが11百万円であり、その他有価証券評価差額金が、当第2四半期連結会計期間末の株価の下落により、前年度末に比べ16百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は、前年度末の22.3%から22.6%となり、1株当たり純資産額は101.42円から100.22円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により10百万円の支出、投資活動により20百万円の支出、財務活動により153百万円の支出となり、資金は前年度末に比べ184百万円減少し、405百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
たな卸資産の増加により105百万円減少し、税金等調整前四半期純利益17百万円、減価償却費79百万円等により、営業活動に使用した資金は10百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は19百万円の支出)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出24百万円、無形固定資産の取得による支出8百万円及び補助金収入6百万円等により、投資活動に使用した資金は20百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は25百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純増が28百万円であり、長期借入金は、130百万円を借入れ、返済による支出が300百万円であった等により、財務活動に使用した資金は153百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は23百万円の収入)
(4) 経営方針・経営戦略等
(建設・梱包向)
釘は国内総需要の約8割が輸入商品で賄われている品種であり、当社の場合は、ここ数年国内生産品が海外委託生産品(OEM)を販売量において、上回っているのが現状です。長年の経験に培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力は、高付加価値品の製造においては圧倒的な優位性を保っています。またOEM商品の品質安定にも大きく寄与しています。汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる企業として勝ち残っていくため、生産効率のアップによるコスト削減と売上高の拡大を実現し、ROEの向上に取り組んでまいります。
具体的施策は以下のとおりであります。
①売上高・収益の拡大
1.営業力強化により販路を拡大し、製販一体で、顧客ニーズに基づく新製品開発等の開発営業を展開し、売
上高・収益の増大を図る。また、顧客満足度の向上を図るとともに、高付加価値製品を生産・販売する。
2.製造コストや輸入商品価格の動向により、自社製品と輸入商品の生産、仕入、販売の最適バランスを図
る。
②販売価格の適正化
鋼材や輸入商品価格、運賃コスト等諸々のコスト上昇分を転嫁し、適正価格での販売を行う。
③コスト削減
1.国内生産の無人化・省人化を推進し、生産性を高める。
2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの拡大により仕入コストの削減を図る。
3.物流を合理化・再構築することにより物流コストの低減を図る。
4.販管費の低減を図る。
(電気・輸送機器向)
かつての主力製品であった弱電・家電向のネジは、円高局面で需要家が生産拠点の海外シフトを加速させ、その結果、日本国内の需要は減少しました。今後は、特に品質が重視される電気自動車やハイブリッド車によるバッテリーやセンサー類の需要が増大すると予想されることから、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向高付加価値品を主なターゲットとする、高付加価値機能部品への製造・販売に移行していく必要があります。
高付加価値機能部品の受注・販売対応のため、既に着手した岩手工場内の第3工場の建設や2020年にかけての生産設備の増強を積極的に取り組み、生産能力の増強と更なる受注・販売の拡大に取り組んでまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更や新たに生じた課題はありません。
(7)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間の業績見込みに対して、当第2四半期連結会計期間の業績は、建設・梱包向は、売上高は、賃貸住宅の施工不良問題や台風・長雨による工事の遅れ等により伸びず、利益面では、鋼材や副資材価格等の高止まりのなか、製造コストの低減に努めましたが効果はまだ限定的であり、輸入商品価格のコスト低減により幾分利益が改善いたしました。第3四半期連結会計期間以降において、売上高は、ハウスメーカーが需要期に入ることから例年並みとなる見込みであり、2019年下半期から進める予定の生産性の向上に向けた製造機械の自動無人化運転及び梱包設備のロボット化による省人化により、製造コストが低減され、利益は改善する見込みであります。一方、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要を確保できるため、計画した利益は達成する見込みであります。
第3四半期連結会計期間以降のセグメント別の見通しは、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
新設住宅着工のなかで、木造住宅のうち貸家(賃貸住宅)の着工は、2017年4月以降、前年度割れの状況が続いております。第3四半期連結会計期間以降の新設住宅着工戸数は、幾分持ち直すものと考えますが、2019年度通年では、前年度の95.3万戸を3~5%程度下回るものと見込んでおります。利益面では、生産の効率化により、製造コストを削減させるとともに、更なる輸入商品や輸入鋼材コストの低減を図ってまいります。しかしながら、今後、新設住宅着工が低下することが予想されることから、利益の下振れに対して、製造設備の自動無人化運転や梱包設備のロボット化に伴う省人化により、更に製造コストの削減を図り、販売面では、営業開発の徹底と販路の拡大を図ってまいります。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向事業は、各ユーザーのニーズとして引続き“品質第一”を掲げ、実績のあるメーカーとの競業化が進むものと考えています。特に自動車関連では、中国を始めとして電気自動車やハイブリッド車によるバッテリー関連や自動運転に必要な軽薄短小化される部品のライセンス製品の需要が増加してくるものと考えられます。当第2四半期連結会計期間より2020年にかけて、岩手工場内での第3工場の建設と機械設備の増強を行い、主として輸送機器向に導入した多段冷間圧造設備による高付加価値部品の量産体制化を進めてまいります。また、引続き生産性の向上と売上の拡大を図ってまいります。