有価証券報告書-第80期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 11:50
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当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、国内外の経済活動は停滞し、企業収益が減少し景気に大きな影響を受けました。新型コロナウイルスの一次感染が下火になると一時的に個人消費が上向き、輸出等経済活動は持ち直したものの、第二・三波の感染により、再び景気回復は鈍化し、感染力の強いと言われる変異種の拡大などで、先行き不透明な状況が依然として続いております。
このような事業環境のなか、当社グループ(当社及び連結子会社)の主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、2020年度の新設住宅着工戸数は81.2万戸(前年度88.4万戸、8.1%減)と利用関係区分で、貸家(賃貸住宅)や一戸建てが、賃貸住宅の施工不良問題、消費増税および少子化等による慢性的需要減少に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、大幅な需要の減少となりました。一方、電気・輸送機器向は、自動車メーカーの操業停止や輸出の落ち込みにより、ネジの需要も大幅に減少しましたが、秋口以降緩やかに回復いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、4,401百万円(前年度5,438百万円、19.1%減)となりました。その内訳は、建設・梱包向は846百万円減(19.9%減)、電気・輸送機器向は191百万円減(16.0%減)であります。売上総利益は、売上高の大幅な減収により160百万円の減益となりましたが、売上総利益率は17.3%と前連結会計年度と比べ、雇用調整助成金を活用し、生産量を減産し、製造コストを圧縮したため、0.4%改善しました。営業利益は、販売量の減少による運賃コストや営業活動費の低減等により、販管費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ141百万円(16.3%減)減少したものの30百万円(前年度48百万円、37.9%減)となりました。経常利益は、17百万円(前年度36百万円、51.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益6百万円を特別利益として計上し、税金費用として、法人税、住民税及び事業税が11百万円、法人税等調整額が3百万円であったことにより、4百万円(前年度23百万円の損失)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別業績は次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造の住宅着工は、少子化等による漸減傾向に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により大幅に減少し、売上高は前年度と比べ、846百万円の大幅な減収となりました。利益面では、売上高の減少に伴い、雇用調整助成金を活用し、生産量を減産し、製造コストを下げ、販管費の圧縮に努めたものの、減益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、3,399百万円(前年度4,245百万円、19.9%減)となりました。セグメント利益は前年度に比べ33百万円減少し、168百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年5月以降自動車メーカーをはじめ全業種において、操業停止や生産調整などにより売上高は半減近くまで減少しましたが、8月を底に自動車向けのバッテリー関連部品・モーター関連部品や軽量化目的のライセンス製品の需要が回復してまいりました。利益面では、建設・梱包向け同様、売上高の減少に伴い、雇用調整助成金を活用し、生産量を減産し、外注加工費等の製造コストを下げましたが、減益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、1,002百万円(前年度1,193百万円、16.0%減)となり、セグメント利益は前年度に比べ4百万円減少し、38百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当社グループは、適切な流動性の維持、設備投資を含む事業活動のための資金の確保、総資産及び有利子負債 の圧縮を前提とした健全なバランスシートの維持、また自己資本比率を高めていくことを財務方針としていま す。
当連結会計年度末の総資産は5,305百万円「前年度末」比151百万円減)となりました。負債は4,099百万円(前年度比159百万円減)となり、純資産は1,206百万円(前年度末比7百万円増)となりました。
(流動資産・固定資産)
流動資産は、売上高の大幅減により受取手形及び売掛金が318百万円、電子記録債権が25百万円減少し、商品及び製品が125百万円、その他が34百万円増加したこと等により、前年度末に比べ186百万円減の3,201百万円となりました。固定資産は、前年度末に比べ34百万円増加し、2,103百万円となりました。これは有形・無形固定資産の設備投資額が208百万円に対して、減価償却費が165百万円であり、繰延税金資産が5百万円減少したしたこと等によるものであります。
(流動負債・固定負債)
流動負債は、支払手形及び買掛金が71百万円、電子記録債務が53百万円、短期借入金が46百万円及びその他が50百万円減少したこと等により、前年度末に比べ283百万円減少し、2,679百万円となりました。固定負債は、長期借入金が127百万円増加したこと等により、前年度末に比べ124百万円増加し、1,419百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前年度末に比べ7百万円増加し、1,206百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益が4百万円であるのに対して、配当金の支払いが11百万円あり、その他有価証券評価差額金が、前年度末に比べて11百万円増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は前年度末の21.2%から21.8%となり、1株当たり純資産は98.09円から98.42円となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により175百万円の収入があり、投資活動により223百万円の支出、財務活動により68百万円の収入により、資金は前連結会計年度末に比べ20百万円増加し、636百万円となりました。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
売上債権が344百万円減少し、たな卸資産が103百万円増加しました。また、税金等調整前当期純利益が22百万円、減価償却費が165百万円であった等のため、営業活動で得られた資金は、175百万円となりました(前連結会計年度は193百万円の収入)。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出が245百万円、投資有価証券の売却による収入が21百万円等であったため、投資活動に使用した資金は223百万円となりました(前連結会計年度は194百万円の支出)。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入金を848百万円借入れ、返済による支出が680百万円であり、短期借入金の返済による支出が借入による収入を87百万円上回り、また配当金の支払額が11百万円であったため、財務活動で得られた資金は68百万円となりました(前連結会計年度は26百万円の収入)。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、多額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やRОEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しています。
(5) 経営指標に対する経営者視点による分析・検討
(経営成績)
売上高に対する指標は、両セグメントとも鋼材価格の値上がりや為替変動に即応した販売価格の是正に努め、建設・梱包向は、既存事業とのシナジー効果の見込める分野への参入、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の販売拡大により、売上高の増大を図ってまいります。営業利益に対する指標は、売上高の拡大、高付加価値品への特化及び生産の自動化による効率化等による製造コストの圧縮や運賃をはじめとする販管費の低減により達成してまいります。
(財政状態)
自己資本比率25%超は、ROE8%以上を基本に、総資産及び有利子負債の圧縮を前提とした健全なバランスシートを維持するなかで、安定的利益を確保することにより達成してまいります。
(資本の財源と資金の流動性)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要のうち主なものは営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資によるものであります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については金融機関からの長期借入を基本としています。前述の経営指標に向け、省人化、省力化の為の設備投資を優先的に実施し、長期運転資金の借入金は圧縮してまいります。
(6) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績及び仕入実績
当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高及び仕入実績(千円)前年同期比(%)
建設・梱包向2,954,542△13.3
電気・輸送機器向815,871△19.1
合計3,770,414△14.6

(注) 1 金額は、生産高は製造原価、仕入実績は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
建設・梱包向3,371,571△21.9289,654△25.0
電気・輸送機器向1,023,594△13.2141,14234.3
合計4,395,165△20.0430,797△12.3

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
建設・梱包向3,399,037△19.9
電気・輸送機器向1,002,294△16.0
合計4,401,331△19.1

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
大東スチール株式会社1,135,25220.9821,27518.7

3 上記金額には、消費税等は含まれていません。