訂正有価証券報告書-第79期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/07/03 10:28
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138項目
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国の経済は、上半期においては、政府の経済政策や金融政策を背景に、全産業において緩やかな回復基調で推移しましたが、下半期以降、製造業を中心に景況判断は悪化傾向が見られ、米中の貿易摩擦による景気減速懸念に加えて、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、国内外経済の大幅な減速が懸念され、先行きも不透明な状況が強まっております。
このような事業環境のなか、当社グループ(当社及び連結子会社)の主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、2019年度の新設住宅着工戸数は88.4万戸(前年度95.3万戸、7.3%減)と利用関係区分で、貸家(賃貸住宅)が、賃貸住宅の施工不良問題や消費増税の影響等もあり、前年度比14.2%の大幅な減少となりました。一方、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要は、引き続き好調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、5,438百万円(前年度5,370百万円、1.3%増)となりました。その内訳は、建設・梱包向は36百万円増(0.9%増)、電気・輸送機器向は31百万円増(2.7%増)であります。売上総利益は、売上高は増収でありましたが、9百万円の増益に留まり、売上総利益率は前連結会計年度と変わらず、16.9%でありました。営業利益は、建設・梱包向は、輸入商品コスト及び製造費用、販管費の低減等により増益となり、電気・輸送機器向は、製造費用の増加により減益となり、この結果48百万円(前年度28百万円、72.3%増)となり、経常利益は、36百万円(前年度20百万円、80.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損38百万円を特別損失として計上し、税金費用として、法人税、住民税及び事業税が9百万円増加し、新型コロナウイルスによる経営環境の不透明さを考慮し、繰延税金資産を7百万円取崩したため、23百万円の損失(前年度45百万円の利益)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別業績は次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造の住宅着工は、新設着工の減少や施工不良問題により減少した反面、新型コロナウイルスによる仮需等もあり、下半期において釘の出荷は幾分増加しました。利益面では、新型コロナウイルスの影響により、中国からの輸入商品の大幅な入荷減に対して、国内生産にシフトしたことにより、製品在庫が大幅に減少し、製造コストは増えましたが、前年度に比べやや増益となりました。当セグメントの売上高は、4,245百万円(前年度4,208百万円、0.9%増)となりました。セグメント利益は前年度に比べ10百万円増加し、201百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、メインユーザーの自動車業界は、HVやEV関連のバッテリーや自動化に伴うモーター関連について、国内外共に需要は旺盛で特殊ボルトやライセンス品のニーズが顕著でありました。OA機器関連は減少傾向にあります。利益面では、外注加工費等の製造費用が嵩み、減益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、1,193百万円(前年度1,161百万円、2.7%増)となり、セグメント利益は前年度に比べ2百万円減少し、42百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当社グループは、適切な流動性の維持、設備投資を含む事業活動のための資金の確保、総資産及び有利子負債 の圧縮を前提とした健全なバランスシートの維持、また自己資本比率を高めていくことを財務方針としていま す。
当連結会計年度末の総資産は5,457百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末という」]比108百万円増)となりました。負債は4,258百万円(前年度比143百万円増)となり、純資産は1,198百万円(前年度末比35百万円減)となりました。
(流動資産・固定資産)
流動資産は、受取手形及び売掛金が56百万円、電子記録債権が20百万円増加し、商品及び製品が109百万円減少したこと等により、前年度末に比べ11百万円増の3,387百万円となりました。固定資産は、前年度末に比べ97百万円増加し、2,069百万円となりました。これは有形・無形固定資産の設備投資が312百万円に対して、減価償却費が156百万円であり、投資有価証券の評価損38百万円等によるものであります。
(流動負債・固定負債)
流動負債は、短期借入金が110百万円、その他が109百万円、未払消費税等が30百万円増加しましたが、支払手形及び買掛金が59百万円減少したこと等により、前年度末に比べ214百万円増加し、2,963百万円となりました。固定負債は、長期借入金が72百万円減少したこと等により、前年度末に比べ70百万円減少し、1,295百万円となりました。
(純資産)
当連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ35百万円減少し、1,198百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純損失が23百万円であるのに対して、配当金の支払いが11百万円あり、その他有価証券評価差額金が、株価の下落により、前年度末に比べて3百万円減少したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は前年度末の22.3%から21.2%となり、1株当たり純資産は101.42円から98.09円となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により193百万円の収入があり、投資活動により194百万円の支出、財務活動により26百万円の収入により、資金は前連結会計年度末に比べ25百万円増加し、615百万円となりました。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
売上債権が76百万円増加し、たな卸資産が80百万円減少しました。また、税金等調整前当期純利益が2百万円、減価償却費が156百万円であった等のため、営業活動で得られた資金は、193百万円となりました(前連結会計年度は38百万円の支出)。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出が210百万円、無形固定資産の取得による支出が8百万円であり、投資有価証券の売却による収入が13百万円等であったため、投資活動に使用した資金は194百万円となりました(前連結会計年度は106百万円の支出)。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入金を557百万円借入れ、返済による支出が607百万円であり、短期借入金の借入による収入が返済による支出を87百万円上回り、また配当金の支払額が11百万円等であったため、財務活動で得られた資金は26百万円となりました(前連結会計年度は149百万円の収入)。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、多額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やRОEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しています。
(5) 経営指標に対する経営者視点による分析・検討
(経営成績)
売上高に対する指標は、両セグメントとも鋼材価格の値上がりや為替変動に即応した販売価格の是正に努め、建設・梱包向は、既存事業とのシナジー効果の見込める分野への参入、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の販売拡大により、売上高の増大を図ってまいります。営業利益に対する指標は、売上高の拡大、高付加価値品への特化及び生産の自動化による効率化等による製造コストの圧縮や運賃をはじめとする販管費の低減により達成してまいります。
(財政状態)
自己資本比率25%超は、ROE8%以上を基本に、総資産及び有利子負債の圧縮を前提とした健全なバランスシートを維持するなかで、安定的利益を確保することにより達成してまいります。
(資本の財源と資金の流動性)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要のうち主なものは営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資によるものであります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については金融機関からの長期借入を基本としています。前述の経営指標に向け、省人化、省力化の為の設備投資を優先的に実施し、長期運転資金の借入金は圧縮してまいります。
(6) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績及び仕入実績
当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高及び仕入実績(千円)前年同期比(%)
建設・梱包向3,407,247△4.5
電気・輸送機器向1,008,785+4.5
合計4,416,033△2.6

(注) 1 金額は、生産高は製造原価、仕入実績は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
建設・梱包向4,314,490+2.5386,379+21.8
電気・輸送機器向1,178,824+1.8105,073△12.3
合計5,493,314+2.3491,453+12.5

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
建設・梱包向4,245,231+0.9
電気・輸送機器向1,193,592+2.7
合計5,438,824+1.3

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
大東スチール株式会社1,087,99520.31,135,25220.9

3 上記金額には、消費税等は含まれていません。