四半期報告書-第80期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/12 10:09
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡散の影響により、極めて厳しい状況で推移しました。緊急事態宣言解除後は国内経済も再開し、幾分の持ち直し期待があったものの、現実には下振れリスクを包含したまま、景気の先行きは極めて不透明な状況が続いています。
このような事業環境のなか、当社グループの主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、第1四半期における新設住宅着工戸数が、20.4万戸(前年同期間比12.7%減)であり、殆どの利用関係区分において、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、新設着工戸数は大きく減少しています。
一方、電気・輸送機器向ネジは、連結子会社㈱ナテックの当第1四半期(2020年1月1日~2020年3月31日)においては、新型コロナウイルス感染症による影響は出ていないものの、第2四半期以降、自動車向においては大幅な需要の減少が見込まれます。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,187百万円(前年同四半期1,296百万円、8.4%減)、その内訳は建設・梱包向は139百万円減(13.8%減)、電気・輸送機器向は30百万円増(10.8%増)となりました。売上総利益は212百万円と前年同四半期に比べ13百万円(5.9%減)の減益となり、これは、建設・梱包向が、製造コストの削減に努めたものの、売上高が大幅に減少したことにより、製造に係る固定費を吸収できないことによるものであります。営業利益は、販売費及び一般管理費の低減に努めたものの、8百万円(前年同四半期8百万円)となりました。経常利益は、雇用調整助成金の活用等収支対策もあり、0百万円(前年同四半期は6百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損益は、法人税、住民税及び事業税5百万円等を差し引き、7百万円の損失(前年同四半期は2百万円の利益)となりました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、新型コロナウイルス感染症の影響により、釘を多く使用する2×4等の木造の住宅着工戸数は、前年同四半期に比べ、大幅に減少し、需要環境は極めて厳しい状況が続いています。利益面は、売上高の減少に伴い、生産高を調整し、変動コストの低減に努めましたが、固定費を吸収するまでには至らず、この結果、当セグメント売上高は、869百万円(前年同四半期1,008百万円、13.8%減)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ16百万円減の34百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、連結子会社㈱ナテックの当第1四半期(2020年1月1日~2020年3月31日)は、メインユーザーの自動車業界は、HVやEV関連のバッテリーや自動化に伴うモーター関連について、国内外共にライセンス品や特殊ボルトの需要は好調に推移しました。利益面では、製造コストの低減に努めたことにより増益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、318百万円(前年同四半期比10.8%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ13百万円増の24百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は5,417百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比39百万円減)となりました。流動資産は、前年度末に比べ9百万円減少し、3,378百万円となりました。これは、商品及び製品が142百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が151百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ30百万円減少し、2,038百万円となりました。これは主に、有形・無形固定資産の設備投資9百万円に対して減価償却費が40百万円であったこと等によるものであります。
負債合計は、前年度末に比べ24百万円減少し、4,234百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ52百万円増加し、3,016百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が前年度末に比べ66百万円及び短期借入金が前年度末に比べ92百万円増加しましたが、その他が58百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ77百万円減少し、1,218百万円となりました。これは、長期借入金が前年度末に比べ68百万円減少したこと等によるものであります。
有利子負債(短期借入金、長期借入金)は前年度末と比べ23百万円増加し、2,840百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ15百万円減少し、1,183百万円となりました。これは、当第1四半期連結会計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失が7百万円であり、剰余金配当が11百万円あったこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前年度末の21.2%から21.0%となり、1株当たり純資産は98.09円から96.55円となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分
析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
(建設・梱包向)
2020年1月に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大により、エンドユーザーであるハウスメーカーでの建築工事の遅れや新規注文がストップする等、収束の時期を含め極めて不透明な状況が続いています。
中長期的には、釘の国内総需要の約8割が輸入商品で賄われている品種でありますが、当社の場合は、ここ数年国内生産品が海外委託生産品(OEM)を販売量において、上回っているのが現状です。長年の経験に培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力は、高付加価値品の製造においては圧倒的な優位性を保っています。またOEM商品の品質安定にも大きく寄与しています。汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる企業として勝ち残っていくため、生産効率のアップによるコスト削減と売上高拡大を実現し、ROEの向上に取り組んでまいります。
具体的施策は以下のとおりであります。
①売上高・収益の拡大
1.営業力強化により販路を拡大し、製販一体で、顧客ニーズに基づく新製品開発等の開発営業を展開し、売上 高・収益の増大を図る。また、顧客満足度の向上を図るととともに、高付加価値製品を生産・販売する。
2.製造コストや輸入商品価格の動向により、自社製品と輸入商品の生産、仕入、販売の最適バランスを図る。
②販売価格の適正化
鋼材や輸入商品価格、運賃コスト等諸々のコスト上昇分を転嫁し、適正価格での販売を行う。
③コスト削減
1.国内生産の無人化・省人化を推進し、生産性を高める。
2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの拡大により仕入コストの削減を図る。
3.物流を合理化・再構築することにより物流コストの低減を図る。
4.販管費の低減を図る。
(電気・輸送機器向)
新型コロナウイルス感染症の影響は、2020年4月以降出はじめ、特に、自動車メーカーでの稼働停止や輸出入の大幅な落ち込みにより、電気・輸送機器向ネジの需要は大幅に減少しています。収束時期を含め不透明な状況が続いています。
中長期的には、輸送機器関連については、引き続き需要は旺盛であるなかで、樹脂化による軽量化が進み、新たな締結部品用ネジや樹脂締結専用スクリュウネジの需要も増加すると見込まれています。さらに、国内での設計に強みがある自動運転技術や事故防止アシスト・センサー関連の需要、また特殊ネジ関連の締結ニーズも見込まれます。
今後も引き続き、特に品質が重視される電気自動車やハイブリッド車化によるバッテリーやセンサー類等の需要に対応し、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向高付加価値品を主なターゲットとする、高付加価値機能部品への製造・販売に移行していく必要があります。
将来的な高付加価値機能部品の受注・販売対応のため、2019年から2020年にかけて工場新築や生産設備の増強、自動運転化設備の付設を行い、計画的な受注・販売・生産活動に取り組んでいます。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要減少が建設・梱包向及び電気・輸送機器向共、収束時期が不透明な状況にあるため、第2四半期連結累計期間及び通期連結会計期間の業績見込みにつきましては公表していません。第1四半期連結会計期間の売上高は、建設・梱包向は、新設住宅着工戸数の漸減傾向に加え、新型コロナウイルスの影響により、前年同期比13.8%減であり、この傾向は少なくとも上半期中は続くものと考えられます。一方、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要は順調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響は、第2四半期以降顕著になってまいりました。
第2四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
新設住宅着工の中で、木造住宅のうち、貸家(賃貸住宅)の着工は、2017年6月以降、前年割れの状況が続いており、また新型コロナウイルス感染症の影響により、第2四半期連結会計期間以降の新設着工戸数も大きく減少し、2019年度の88.4万戸から80万戸を大きく下回るものと予想しています。利益面では、第2四半期連結会計期間以降も、売上高の減少に伴い、雇用調整助成金制度を活用し生産調整を行い、製造コストの低減に努め、また仕入コストの低減を図るものの、固定費を吸収するには至らず、厳しい状況が続くものと思われます。今後、製造設備の無人化運転による省人化により製造コストを圧縮するとともに、原材料及び輸入商品の仕入コストを低減してまいります。また、開発営業の徹底と販路の拡大とによる国内シェアアップを図ってまいります。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向事業の需要は、第2四半期連結会計期間以降、自動車メーカーの操業停止・縮小などにより大幅に落ち込む見込みであり、需要の回復は長期化するものと考えています。利益面では、建設・梱包向同様、雇用調整助成金制度を活用し生産調整を行い、製造コストの低減に努めましたが、売上高の減少幅が大きく、利益を確保することが難しい状況であります。今後、各ユーザーのニーズとして引き続き“品質第一"を掲げ、実績のあるメーカーとの協業化が進むものと考えています。特に自動車関連では、中国をはじめとして電気自動車やハイブリッド車によるバッテリー関連や自動運転に必要な軽薄短小化される部品のライセンス製品の需要が増加してくるものと考えられます。今後の自動車関連の需要の増加に対応するため、岩手工場内で新工場が竣工し、今後機械設備の増強を行い、収束後の需要ニーズに対応してまいります。