四半期報告書-第80期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/11/12 9:14
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡散により、国内外の経済活動が大きな影響を受け、企業収益が減少し景気は急速に落ち込みました。緊急事態宣言解除以降、個人消費や輸出等経済活動は徐々に持ち直しつつありますが、依然景気の先行きは不透明な状況が続いています。
このような事業環境のなか、主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、当第2四半期連結累計期間における新設住宅着工戸数が41.4万戸(前年同期間比11.3%減)と、利用関係区分全般にわたり新設住宅着工は大きく減少し、今年度中の住宅需要動向の先行きは不透明な状況が続くものと考えます。一方、電気・輸送機器向ネジは、2020年4月以降、自動車メーカーの操業停止や輸出の大幅な落ち込みにより、ネジの需要は大幅に減少しましたが、2020年8月を底として、幾分の回復の兆しは9月以降見え始めました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、2,195百万円(前年同四半期2,613百万円、16.0%減)、その内訳は建設・梱包向は375百万円減、電気・輸送機器向は42百万円減となりました。売上総利益は381百万円(前年同四半期446百万円、14.6%減)となり、雇用調整助成金を活用し、生産を減産し、製造コストの削減を図ったものの、大幅な減益となりました。営業利益は、販売量の減少による運賃コストや営業活動費の低減により、販売費及び一般管理費が前年同四半期に比べ54百万円減少(12.7%減)したため、7百万円(前年同四半期は18百万円)となりました。経常損益は△0百万円(前年同四半期は12百万円の利益)となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、法人税、住民税及び事業税が6百万円、法人税等調整額が1百万円であったことにより△11百万円(前年同四半期14百万円の利益)となりました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造住宅の着工戸数は前年同四半期に比べ、消費増税による住宅需要の縮小に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に減少し、売上高は前年同四半期と比べ、375百万円減となりました。利益面では、売上高の減少に伴い、生産を減産し、変動コストを含む製造コストを徹底的に削減し、また販管費の圧縮に努めたものの、大きな減益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、1,677百万円(前年同四半期2,053百万円、18.3%減)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ29百万円減の74百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、第2四半期(2020年4月1日~2020年6月30日)から状況は一変し、2020年5月以降自動車メーカーの稼働停止や自動車・家電等の輸出入の大幅な落ち込みにより、売上高は大きく減少しました。利益面は、建設・梱包向同様、売上高の減少に伴い、雇用調整助成金を活用し、生産を大幅に減産し、製造コストを徹底的に圧縮したため、利益は確保いたしました。この結果、当セグメントの売上高は、517百万円(前年同四半期560百万円、7.6%減)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ9百万円増の23百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は5,447百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比9百万円減)となりました。流動資産は、前年度末に比べ28百万円減少し3,358百万円となりました。これは、商品及び製品が、中でも輸入商品が増大したため228百万円、その他が44百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が367百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ19百万円増加し、2,088百万円となりました。これは、有形・無形固定資産の設備投資102百万円に対して、減価償却費が82百万円であったこと等によるものであります。
負債合計は、前年度末に比べ9百万円増加し4,268百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ207百万円減少し2,756百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が80百万円、未払消費税等が40百万円、その他が56百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ216百万円増加し1,512百万円となりました。これは、長期借入金が前年度末に比べ229百万円増加したこと等によるものであります。電気・輸送機器向において、岩手工場の建設資金及び新型コロナウイルス感染症による売上高の減少を補完する資金を借入れたことによるものであります。
有利子負債(短期借入金、長期借入金)は、前年度末に比べ229百万円増加し、3,045百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、1,178百万円となり、前年度末に比べ19百万円減少しました。これは、当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失が11百万円であり、配当金の支払いが11百万円であったこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前年度末の21.2%から20.8%となり、1株当たり純資産額は98.09円から96.25円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により35百万円の収入、投資活動により129百万円の支出、財務活動により217百万円の収入となり、資金は前年度末に比べ123百万円増加し、738百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権が398百万円の減少、たな卸資産が204百万円の増加、仕入債務が96百万円減少し、また、税金等調整前四半期純損失1百万円、減価償却費82百万円等であったため、営業活動で得られた資金は35百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は10百万円の支出)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出130百万円等により、投資活動に使用した資金は129百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は20百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減が73百万円であり、長期借入金は、622百万円を借入れ、返済による支出が319百万円であった等により、財務活動で得られた資金は217百万円となりました。(前第2四半期連結累計期間は153百万円の支出)
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
(建設・梱包向)
2020年1月に発生した新型コロナウイルスは、国内でも2020年3月以降感染拡大し、緊急事態宣言以降、エンド
ユーザ―であるハウスメーカーでの新規住宅建設がストップし、当第2四半期連結会計期間末時点においても収束
の時期が見通せず、不透明な状況が続いています。
釘は国内総需要の約8割が輸入商品で賄われている品種でありますが、当社の場合は、ここ数年国内生産品が海外委託生産品(OEM)を販売量において、上回っているのが現状です。長年の経験に培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力は、高付加価値品の製造においては圧倒的な優位性を保っています。またOEM商品の品質安定にも大きく寄与しています。汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる企業として勝ち残っていくため、生産効率のアップによるコスト削減と売上高の拡大を実現し、ROEの向上に取り組んでまいります。
具体的施策は以下のとおりであります。
①売上高・収益の拡大
1.営業力強化により販路を拡大し、製販一体で、顧客ニーズに基づく新製品開発等の開発営業を展開し、売
上高・収益の増大を図る。また、顧客満足度の向上を図るとともに、高付加価値製品を生産・販売する。
2.製造コストや輸入商品価格の動向により、自社製品と輸入商品の生産、仕入、販売の最適バランスを図
る。
②販売価格の適正化
鋼材や輸入商品価格、運賃コスト等諸々のコスト上昇分を転嫁し、適正価格での販売を行う。
③コスト削減
1.国内生産の無人化・省人化を推進し、生産性の向上を図る。
2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの拡大により仕入コストの削減を図る。
3.物流を合理化・再構築することにより物流コストの低減を図る。
4.販管費の低減を図る。
(電気・輸送機器向)
新型コロナウイルス感染症の影響は、2020年5月以降顕著に出始め、特に自動車メーカーでの稼働停止や輸出入
の大幅な落ち込みにより、電気・輸送機器向ネジの需要は大幅に減少しています。
中長期的には、輸送機器関連については、引き続き需要は堅調であり、樹脂化による軽量化が進み、新たな締結部品用ネジや樹脂連結専用スクリューネジの需要も増加すると見込まれています。さらに、国内での設計に強みがある自動化運転技術や事故防止アシスト・センター関連、また特殊ネジ関連の締結品の需要が見込まれます。
今後も引き続き、特に品質が重視される電気自動車やハイブリッド車化によるバッテリーやセンサー類の需要に対応し、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向高付加価値品を主なターゲットとする、高付加価値機能部品への製造・販売に移行していく見通しであります。
高付加価値機能部品の受注・販売対応のため、完工した岩手工場内の第3工場や生産設備の増強、自動運転化設備の付設により、生産性の向上、受注・販売の拡大に取り組んでまいります。
(6) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(8) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により需要の減少が建設・梱包向及び電気・輸送機器向共止まらず、収束時期が不透明な状況にあるため、当第1四半期連結会計期間末の時点においては、通期連結会計期間の業績見込みにつきましては公表していませんでしたが、第2四半期連結会計期間の業績や経済活動再開の動きが見えてきたことを踏まえ、現時点で入手可能な情報に基づき、公表することといたしました。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、建設・梱包向は、新設住宅着工戸数の漸減傾向に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年同期比18.3%減であり、この傾向は2020年内は続くものと考えられます。一方、電気・輸送機器向は、新型コロナウイルス感染症の影響は、2020年5月以降顕著となり、売上高は前年同期比7.6%減と落ち込みましたが、2020年8月を底に回復の兆しが見え始めました。
第3四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
新設住宅着工の中で、木造住宅のうち、貸家(賃貸住宅)の着工は、2017年6月以降、前年割れの状況が続いており、また新型コロナウイルス感染症の影響により、第3四半期連結会計期間以降も新設着工戸数は減少し、2019年度の88.4万戸から80万戸を下回るものと予想しています。利益面では、第3四半期連結会計期間以降も、売上高の減少に伴い、雇用調整助成金制度を活用し生産調整を行い、製造コストや販管費の低減を図るものの、固定費を吸収するには至らず、厳しい状況が続くものと思われます。今後、製造設備の無人化運転による省人化により製造コストをさらに圧縮するとともに、原材料及び輸入商品の仕入コストの低減努力を行ってまいります。また、営業活動の再開に伴い、開発営業の徹底と販路の拡大を図ってまいります。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向事業の需要は、第2四半期連結会計期間以降、自動車メーカーの操業停止・縮小などにより大幅に落ち込みましたが、2020年9月以降、徐々にではありますが回復の兆しが見え始めました。利益面では、建設・梱包向同様、雇用調整助成金制度を活用し生産調整を行い、製造コストの削減を図りましたが、売上高の減少が大きく、固定費を十分に吸収することが出来ない状況であります。今後、各ユーザーのニーズとして引き続き“品質第一"を掲げ、実績のあるメーカーとの協業化が進むものと考えています。特に自動車関連では、中国をはじめとして電気自動車やハイブリッド車によるバッテリー関連や自動運転に必要な軽薄短小化される部品のライセンス製品の需要が増加してくるものと考えられます。
今後、自動車関連の需要の増加に対応するため、新設した岩手工場内での第3工場のフル活用及び今後の機械設備の増強により、収束後の需要ニーズに対応してまいります。