四半期報告書-第79期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/13 9:31
【資料】
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【項目】
30項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善が見られるものの、製造業における生産については、鉱工業生産指数が横ばいとなるなど、弱含みの状態となっています。また、米中通商摩擦の長期化による中国経済の成長鈍化や欧米の政治動向など、海外経済の不確実性が高まり、国内経済の先行きも不透明な状況が続いています。
このような事業環境のなか、当社グループの主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、第1四半期における新設住宅着工戸数が、23.4万戸(前年同期間比4.7%減)であり、利用関係区分で、貸家(賃貸住宅)の下落幅が14.9%減と大きく、賃貸住宅の施工不良の発覚や金融機関の融資厳格化に伴い、新設着工戸数は減少しています。また、鋼材等の資材価格や運賃等の高騰に対するエンドユーザーへの適正価格での販売は継続課題であります。
一方、電気・輸送機器向ネジは、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の需要は引き続き堅調に推移しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,296百万円(前年同四半期1,310百万円、1.1%減)、その内訳は建設・梱包向は24百万円減(2.4%減)、電気・輸送機器向は10百万円増(3.8%増)となりました。売上総利益は225百万円と前年同四半期に比5百万円(2.4%増)の増益となり、これは、主に建設・梱包向の輸入商品コスト等の低減効果によるものであります。営業利益は、販売費及び一般管理費の低減に努め、前年同四半期に比べ6百万円減少したこともあり、8百万円(前年同四半期は3百万円の損失)となりました。経常利益は、6百万円(前年同四半期は3百万円の損失)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、法人税、住民税及び事業税等を差し引いた結果、2百万円(前年同四半期は5百万円の損失)となりました。
当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造の住宅着工は、前年同四半期に比べ、施工不良問題の影響もあり、大きく減少し、需要環境は厳しい状況が続いています。利益面は、鋼材価格、副資材価格等は高止っており、生産性の向上による製造コストの低減に努めましたが、その効果はまだ軽微であります。この結果、当セグメント売上高は、1,008百万円(前年同四半期1,033百万円、2.4%減)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ10百万円増の50百万円となりました。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向セグメントは、弱電・OA機器向等は一部に国内回帰の動きも見られますが、全体的には海外現地調達化が定着しました。一方、内需ニーズとして、品質重視の傾向にあり、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向の付加価値の高いライセンス製品の需要は順調に推移しており、自動車のEV化により、ネジの需要は更なる増加が見込まれます。この結果、当セグメントの売上高は、287百万円(前年同四半期比3.8%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ0百万円減の10百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は5,212百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比136百万円減)となりました。流動資産は、前年度末に比べ113百万円減少し、3,263百万円となりました。これは、商品及び製品が66百万円増加しましたが、現金及び預金が141百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ22百万円減少し、1,949百万円となりました。これは主に、有形・無形固定資産の設備投資25百万円に対して減価償却費が40百万円であり、投資有価証券が当第1四半期連結会計期間末の株価の下落により、前年度末に比べ11百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は、前年度末に比べ120百万円減少し、3,994百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ9百万円増加し、2,758百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が前年度末に比べ79百万円減少しましたが、短期借入金が前年度末に比べ34百万円、その他が未払賞与と役員未払賞与を計上したこと等により54百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ130百万円減少し、1,235百万円となりました。これは、長期借入金が前年度末に比べ128百万円減少したこと等によるものであります。
有利子負債(短期借入金、長期借入金)は前年度末と比べ93百万円減少し、2,684百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ15百万円減少し、1,217百万円となりました。これは、当第1四半期連結会計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益2百万円に対して、剰余金配当が11百万円あり、その他有価証券評価差額金が、保有株式の株価の下落により、前年度末に比べ8百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前年度末の22.3%から22.6%となり、1株当たり純資産は101.42円から99.96円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
(建設・梱包向)
釘は国内総需要の約8割が輸入商品で賄われている品種でありますが、当社の場合は、ここ数年国内生産品が海外委託生産品(OEM)を販売量において、上回っているのが現状です。長年の経験に培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力は、高付加価値品の製造においては圧倒的な優位性を保っています。またOEM商品の品質安定にも大きく寄与しています。汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる企業として勝ち残っていくため、生産効率のアップによるコスト削減と売上高拡大を実現し、ROEの向上に取り組んでまいります。
具体的施策は以下のとおりであります。
①売上高・収益の拡大
1.営業力強化により販路を拡大し、製販一体で、顧客ニーズに基づく新製品開発等の開発営業を展開し、売上 高・収益の増大を図る。また、顧客満足度の向上を図るととともに、高付加価値製品を生産・販売する。
2.製造コストや輸入商品価格の動向により、自社製品と輸入商品の生産、仕入、販売の最適バランスを図る。
②販売価格の適正化
鋼材や輸入商品価格、運賃コスト等諸々のコスト上昇分を転嫁し、適正価格での販売を行う。
③コスト削減
1.国内生産の無人化・省人化を推進し、生産性を高める。
2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの拡大により仕入コストの削減を図る。
3.物流を合理化・再構築することにより物流コストの低減を図る。
4.販管費の低減を図る。
(電気・輸送機器向)
かつての主力製品であった弱電・家電向けのネジは、円高局面で需要家が生産拠点の海外シフトを加速させ、結果日本国内の需要は減少しました。今後は、特に品質が重視される電気自動車やハイブリッド車によるバッテリーやセンサー類等の需要が増大すると予想されることから、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向高付加価値品を主なターゲットとする、高付加価値機能部品への製造・販売に移行していく必要があります。
高付加価値機能部品の受注・販売対応のため、2019年から2020年にかけて工場新築や生産設備の増強を積極的に行い、生産能力の増強と更なる受注・販売の拡大に取り組んでまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更や新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因
第2四半期連結累計期間の業績見込みに対して、第1四半期連結会計期間の業績は、建設・梱包向は、売上高が賃貸住宅をはじめとして新設住宅着工の遅れや施工不良問題等が影響し減少しました。利益面では、鋼材価格や輸入商品等の高騰や運賃の値上がりに対して、流通系への一部価格転嫁を行い、また、製造コストや輸入商品コストの低減を行ったことから、改善が見られました。第2四半期連結会計期間以降は、需要は前年並に持ち直し、製造コストの低減効果も出始める見込みであります。一方、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の売上高を確保できるため、予想どおりの利益となる見込みであります。
第2四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(建設・梱包向)
新設住宅着工の中で、木造住宅のうち、貸家(賃貸住宅)の着工は、2017年6月以降、前年割れの状況が続いております。第2四半期連結会計期間以降の新設着工戸数は、幾分持ち直すものと考えますが、2019年度は、前年度の95.3万戸を幾分下回る93~94万戸を予想しています。利益面では、第2四半期連結会計期間以降、多種の資材価格の値上がりに対し、製造設備の無人化運転による省人化により製造コストを圧縮するとともに、輸入商品の仕入コストを低減してまいります。しかしながら、新設住宅着工のなかで、木造住宅が伸び悩むことにより、利益が下振れする可能性もあります。今後、コストアップ分の販売価格への転嫁は継続して行い、開発営業の徹底と販路の拡大とによる売上高の増大を図るとともに、製造コストや輸入商品コスト及び物流費等の削減を徹底して行ってまいります。
(電気・輸送機器向)
電気・輸送機器向事業は、各ユーザーのニーズとして引き続き“品質第一"を掲げ、実績のあるメーカーとの協業化が進むものと考えています。特に自動車関連では、中国をはじめとして電気自動車やハイブリッド車によるバッテリー関連や自動運転に必要な軽薄短小化される部品のライセンス製品の需要が増加してくるものと考えられます。第1四半期連結会計期間より自動車関連の需要の増加に対応するため、岩手工場内での新設工場の建設と機械設備の増強を行い、主として輸送機器向に導入した多段冷間圧造設備による高付加価値製品の量産体制化を進めてまいります。引き続き生産性の向上と売上の拡大を図ってまいります。