訂正有価証券報告書-第158期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2022/06/27 9:04
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146項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の国内外の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による各国における都市封鎖や日本国内における緊急事態宣言による感染拡大防止対策の影響等により大きな減速を余儀なくされました。ワクチン接種の普及による感染拡大の鎮静化や経済活動の回復期待が高まる一方、変異株ウイルスの流行などによる感染の再拡大が懸念されるなど、依然として先の見通せない状況が続いています。
このような状況の中ではありましたが、当社グループに関係の深い建設関連業界は、これまでのところ国内においては、あまり直接的な影響を受けることはなく、堅調に推移しました。今後についても、国内建設関連業界においては影響度合いは小さいものと予想をしております。
3ヶ年の中期経営計画の2年目を迎えた今期、目標売上高365億円に対し実績378億円と売上高の目標は達成できましたが、利益面では目標営業利益26億円に対し実績は23億円にとどまりました。最終年度の目標である売上高380億円、営業利益30億円に対し、業績予想は売上高390億円、営業利益23億円となっており、利益率の面で課題が残りました。中でも主力事業であるアスファルトプラント関連事業は、国内シェア7割と高いものの、同関連事業の今期の営業利益率は、ほぼ前年度並みの6.4%にとどまり、全セグメントの中で利益率が最も低くなっています。一方で売上高が目標値を上回って推移していますのは、モバイルプラント事業と、防水板事業といった新規事業領域が目標以上に進展していることに加え、国内のメンテナンスサービス事業の売上が伸びているためです。また、前年度に策定しました5つの長期基本方針である①『国内収益基盤の強化による国内売上高営業利益率10%の確保』、②『ASEANに拠点を構築し海外売上を現状の45億円から倍増』、③『新規事業を推進し、産業機械・建設機械分野で新たな製品の柱を構築し新規事業で売上高100億円を創出』、④『事務集中化、IoT・AIの活用による働き方改革を通じ労働生産性の大幅な向上』、⑤『ROEをKPIとし、ROE8%以上の達成、同時に株主還元を強化』につきましては、その目標達成に向けて着実に施策を講じていっております。
当期の経営成績ですが、国内では、当社の主力事業であるアスファルトプラント関連事業の売上高が対前期比で増加しました。これは、大手道路舗装各社の業績が好調で設備投資意欲が高い状況が続いたことによります。また、コンクリートプラント関連事業の売上高も、対前期比で増加しました。これは生コン市場価格の上昇により設備の更新需要が増えたことによります。
海外は、中国以外の海外市場において営業活動が大幅に抑制されたため売上高は減少しました。なお、中国でのアスファルトプラント関連事業の売上高は新型コロナウイルスの感染が早期に終息したため微減にとどまりました。
こうした事業活動の結果としての当社グループの連結経営成績は以下のとおりであります。
売上高につきましては、アスファルトプラント関連事業、コンクリートプラント関連事業、その他事業において前期を上回りましたが、環境及び搬送関連事業が前期を下回った結果、前期比7.7%増の378億66百万円となりました。
損益面につきましては、売上高増加により、連結営業利益は前期比12.1%増の23億2百万円となりました。また、連結経常利益は前期比38.8%増の29億73百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比31.1%増の20億82百万円となりました。
なお部門別の概況は以下のとおりであります。
<アスファルトプラント関連事業>国内のアスファルトプラント関連事業の売上高は、製品、メンテナンス事業の売上高ともに前期比増加し、この結果、当事業の売上高は、前期比19.8%増の157億90百万円となりました。一方、海外の売上高は中国、及び輸出ともに前期比減少し、前期比15.2%減となりました。この結果、当事業の売上高は、前期比11.1%増の194億67百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は前期比増加しました。
<コンクリートプラント関連事業>コンクリートプラント関連事業の売上高は、製品の売上高は前期比減少しましたが、メンテナンス事業の売上高が増加し、前期比0.6%増の92億12百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は前期比増加しました。
<環境及び搬送関連事業>環境製品の売上高は、前期比24.6%減となりました。搬送製品の売上高は、前期比7.3%減となりました。この結果、当事業の売上高は、前期比9.3%減の23億90百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は前期比増加しました。
<その他事業>仮設機材製品の売上高は、前期比2.6%増となりました。土農工具製品の売上高は、前期比2.9%増となりました。破砕機製品の売上高は前期比23.5%減となりました。その他事業のその他はモバイル事業及び防水板事業が大きく伸長したことで前期比33.0%増となりました。この結果、当事業の売上高は、前期比16.4%増の67億96百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は124億44百万円(前期125億75百万円)となり、前連結会計年度に比べ1億31百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、27億84百万円の収入となりました。(前期38億9百万円の収入)
これは、税金等調整前当期純利益が30億45百万円、減価償却費6億77百万円、前受金の増加が12億81百万円あったものの、投資有価証券売却及び評価益72百万円の計上、たな卸資産の増加による支出が3億59百万円、仕入債務の減少による支出が6億27百万円、法人税等の支払額が11億5百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、18億67百万円の支出となりました。(前期6億9百万円の支出)
これは、投資有価証券の売却及び償還による収入が5億79百万円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が24億14百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、11億29百万円の支出となりました。(前期8億68百万円の支出)
これは、主に配当金の支払額が13億45百万円あったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
アスファルトプラント関連事業(百万円)15,87085.89
コンクリートプラント関連事業(百万円)9,742112.90
環境及び搬送関連事業(百万円)2,37693.68
報告セグメント計(百万円)27,98994.42
その他(百万円)4,850106.62
合計(百万円)32,83996.04

(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
アスファルトプラント関連事業20,279125.708,235110.93
コンクリートプラント関連事業9,961105.104,508119.92
環境及び搬送関連事業2,875119.71636418.57
報告セグメント計33,115118.2113,380118.04
その他6,894116.80981111.11
合計40,009117.9714,361117.54

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
アスファルトプラント関連事業(百万円)19,467111.13
コンクリートプラント関連事業(百万円)9,212100.59
環境及び搬送関連事業(百万円)2,39090.73
報告セグメント計(百万円)31,070106.00
その他(百万円)6,796116.37
合計(百万円)37,866107.73

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績
2019年度実績、2020年度計画・実績値は次のとおりであります。
0102010_005.png ※AP=アスファルトプラント、BP=バッチャープラント(コンクリートプラント)
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ7.7%増の378億66百万円となりました。
国内のアスファルトプラント関連事業につきましては、ユーザーの高い設備更新意欲により、製品、メンテナンスの売上高ともに前期比増加しました。海外においては新型コロナウイルス感染症の影響により、輸出が大幅に落ち込み売上高は前期比72.0%の減少となりました。中国においては第1四半期の落ち込みがあったものの、その後新型コロナウイルスの影響も収まり、通期では3.5%の売上高の減少となりました。また、中国では環境意識の高まりにより今期初めてリサイクルプラントの出荷台数が新材プラントの出荷台数と並びました。
この結果、当事業の売上高は前期比11.1%増の194億67百万円となり、計画値の190億円を上回りました。
コンクリートプラント関連事業につきましては、製品は前年比2.8%の減少となったもののメンテナンス事業が前年比6.5%の増加となりました。この結果、当事業の売上高は前期比0.6%増加の92億12百万円となりました。製品に関しては、目標としている単年度シェア40%以上に対し35.1%のシェアとなりました。メンテナンス事業はマージン率の高い部品販売や、計画修理の売上高がほぼ計画通りに達成でき、計画値に近い結果となりました。
環境製品・搬送製品につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりユーザーの設備稼働率の減少、代理店の営業活動の減少により売上高は前期比減少しました。
この結果、当事業の売上高は、前期比9.3%減少し23億90百万円となり、計画値を下回りました。
その他の事業と致しまして、防水板製品につきましては、売上高が前期比6.2%増加しました。
破砕機(モバイルプラント)製品につきましては、顧客層が拡大し、前期より倍増しました。
この結果、当事業の売上高は、前期比16.4%増加し67億96百万円となり、計画値を上回る結果となりました。

(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度と比べ21億63百万円増加し276億75百万円となりましたが、売上原価率は0.5%上昇しました。これは主として、外注加工費及び材料費の増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ3億3百万円増加し78億89百万円となりました。これは主として、新規事業開拓のための支払手数料の増加、開発部門強化による試験研究費の増加、売上高増加による運賃の増加によるものであります。
(営業利益)
連結営業利益は、前期比12.1%増の23億2百万円となりました。これは主として、売上高が大幅に増加したことによるものであります。売上高営業利益率は、前期比0.3%増加し6.1%となりました。これは主に、販管比率の低減によるものであります。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前連結会計年度と比べ5億63百万円増加し8億円となりました。これは主として、受取配当金の増加等によるものであります。営業外費用は、前連結会計年度と比べ18百万円減少し1億29百万円となりました。これは主として、為替差損の減少等によるものであります。
(特別利益、特別損失)
特別利益は、前連結会計年度と比べ3億93百万円減少し1億52百万円となりました。これは投資有価証券売却益が減少したことによるものです。特別損失は、前連結会計年度と比べ1億67百万円減少し79百万円となりました。これは主として、投資有価証券売却損計上によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の結果、前連結会計年度に比べ4億93百万円増加し20億82百万円となりました。
(ROE)
当社はROEをKPIとしております。当連結会計年度におけるROEは、前連結会計年度に比べ1.6%増加し6.8%となり計画値の5.8%を上回りました。これは、国内アスファルトプラント関連事業の営業利益が計画比未達に終わったことと販売費及び一般管理費が計画以上に増加したため営業利益が計画未達となるも、受取配当金の増加により当期純利益が増加したことによるものです。対処すべき課題にも挙げていますが、アスファルトプラントにおける高い国内シェアを活かしたメンテナンスサービス事業での新たな商品開発、事後的メンテナンスから予防保全的メンテナンスへのビジネスモデルの変革、カーボンニュートラル・CO2削減に貢献できる新製品開発、機能向上と現地工程短縮化に寄与するユニット製品の拡販などによる収益性向上と製造原価低減に取組んでまいります。
ロ.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、323億81百万円となり、前連結会計年度末314億26百万円に比べ9億54百万円増加いたしました。主な要因は、受取手形及び売掛金の6億28百万円、たな卸資産の5億55百万円のそれぞれ増加、現金及び預金の1億31百万円、電子記録債権の2億32百万円のそれぞれ減少によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、163億15百万円となり、前連結会計年度末142億50百万円に比べ20億65百万円増加いたしました。主な要因は、建物及び構築物の3億43百万円、機械装置及び運搬具の2億61百万円、土地の7億33百万円、建設仮勘定の4億66百万円それぞれ増加、繰延税金資産の1億61百万円減少によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、144億18百万円となり、前連結会計年度末125億45百万円に比べ18億73百万円増加しました。主な要因は、短期借入金の6億39百万円、未払金の2億26百万円、前受金の13億49百万円それぞれ増加、電子記録債務の1億61百万円、ファクタリング未払金の6億21百万円それぞれ減少によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、28億27百万円となり、前連結会計年度末28億38百万円に比べ11百万円減少しました。主な要因としては、退職給付に係る負債の93百万円減少したこと等があげられます。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、314億51百万円となり、前連結会計年度末302億93百万円に比べ11億58百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の20億82百万円の計上による増加、その他有価証券評価差額金の4億73百万円増加、配当金13億48百万円の支払いによる減少、自己株式の取得4億円の支払による減少等であります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べ1億31百万円減少し、124億44百万円となりました。なお、詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社の主な資金需要は、原材料等の購入費用等の製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用のための運転資金及び設備投資資金であります。資本の財源は、主として営業活動により得られた資金であります。
今後の財務戦略としましては、貸借対照表に眠っている資産をさらに現金化します。具体的には、政策投資株の売却と、CCC(キャッシュ・コンバージェンス・サイクル)の改善を推進してまいります。
政策投資株の売却につきましては、事業上の繋がりが強くない取引先の株式は原則すべて売却の方針で進めてまいります。株主還元については、2019年3月期までは配当性向30%を基準にしてまいりましたが、2022年3月期までの中期経営計画期間においては同60%以上といたします。
CCCの改善は、プラントの受注時に前受金を原則受領することとして、また手形サイトも120日を超えるものを無くすことで達成可能と考えております。
引き続き、将来にむけての成長投資は積極的に進めますが、現在の利益剰余金の水準も高い水準にあることから、成長投資と株主還元の強化を共に進めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の数値、報告期間における収益・費用の数値に与える要因は色々ありますが、継続した会計基準で評価を行っております。見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる基準に基づき作成しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
また、当連結会計年度で行った見積り及び判断・評価については、新型コロナウイルス感染拡大の影響はございません。