有価証券報告書-第80期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 9:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しなど、内需は緩やかな回復を維持する一方、米中の貿易摩擦や中国経済の減速の影響から輸出や生産については弱さが見られ、基調としては足踏み状態が続きました。海外経済については、米国が着実な成長を維持する中、英国のEU離脱問題などによる欧州の混乱や中国経済の停滞が予想されるなど楽観視できない状況で推移いたしました。
当社グループの主な事業分野である建設・土木業界におきましては、企業の設備投資が堅調に推移したことにより、工場や倉庫等の民間非住宅建設投資は緩やかな増加基調を辿りましたが、建築構造別に見ると鉄筋コンクリート造に比べ、人件費抑制や工期短縮に有利な鉄骨造の建築の伸びが大きく、当社製品の市場環境としては厳しい状況が続きました。
このような環境において、当社グループは、あらゆる顧客の様々なニーズに対して高い品質と安定した供給で応える一方、材料価格の高止まりに対する販売価格の適正化に取り組みました。
この結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比3億46百万円増加の152億32百万円となりました。主な要因としましては、受取手形及び売掛金が2億18百万円、電子記録債権が2億84百万円、機械装置及び運搬具が2億36百万円それぞれ増加しましたが、現金及び預金が2億4百万円、建設仮勘定が84百万円、関係会社出資金が95百万円それぞれ減少したことによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末比5億83百万円増加の47億10百万円となりました。主な要因としましては、支払手形及び買掛金が5億円、リース債務が1億47百万円それぞれ増加しましたが、短期借入金が60百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末比2億36百万円減少の105億22百万円となりました。主な要因としましては、利益剰余金が2億5百万円減少したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の当社グループの売上高は、126億96百万円(前年同期比 7.5%増)となりました。
損益面におきましては、販売価格の改善は進んだものの、昨年から続く材料価格の上昇を全て転嫁するには至らず、営業損失は28百万円(前年同期は営業損失1億63百万円)となりました。また、為替差益等を計上したことにより、経常利益は39百万円(前年同期は経常損失31百万円)となりました。また繰延税金資産の取崩し等による法人税等調整額を89百万円計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失は72百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失61百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比2億4百万円減少の
21億34百万円となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は1億72百万円(前年同期は3億50百万円の支出)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益36百万円、減価償却費1億98百万円、仕入債務の増加5億円、売上債権の増加5億3百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は3億52百万円(前年同期は76百万円の獲得)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出3億61百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は24百万円(前年同期は45百万円の獲得)となりました。
これは主にセール・アンド・リースバックによる収入1億34百万円ありましたが、短期借入金の減少60百万円、配当金の支払額92百万円を計上したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
土木建築用資材(千円)9,587,275110.7
合計(千円)9,587,275110.7

(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当社グループの当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
土木建築用資材(千円)1,309,38292.0
合計(千円)1,309,38292.0

(注)1.金額は仕入価額によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループの当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
土木建築用資材(千円)12,696,687107.5
合計(千円)12,696,687107.5

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
これらの見積りについては過去の実績やその時点での情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りそのものに不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ4億13百万円増加して94億6百万円となりました。
主たる要因は、受取手形及び売掛金が2億18百万円、電子記録債権が2億84百万円、商品及び製品が88百万円それぞれ増加しましたが、現金及び預金が2億4百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億18百万円増加して50億52百万円となりました。
主たる要因は、機械装置及び運搬具が2億36百万円増加しましたが、建物及び構築物が32百万円、建設仮勘定が84百万円それぞれ減少したことによるものであります。
無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ12百万円減少して46百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ1億73百万円減少して7億26百万円となりました。
主たる要因は、投資有価証券が39百万円、関係会社出資金が95百万円、繰延税金資産が34百万円それぞれ減少したことによるものであります。
以上の結果、固定資産合計は、前連結会計年度末に比べ67百万円減少して58億25百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ4億14百万円増加して39億85百万円となりました。
主たる要因は、支払手形及び買掛金が5億円増加しましたが、短期借入金が60百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1億68百万円増加して7億24百万円となりました。
主たる要因は、リース債務が1億31百万円、繰延税金負債が48百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産の部)
資本剰余金は、自己株式処分差益により1百万円増加して12億11百万円となりました。
利益剰余金は、前連結会計年度末に比べ2億5百万円減少して80億96百万円となりました。
主たる要因は、剰余金の配当92百万円、持分法適用範囲の変更による利益剰余金減少高40百万円、親会社株主に帰属する当期純損失72百万円によるものです。
自己株式の控除額は、7百万円減少しました。
その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金28百万円の減少などにより20百万円となりました。
以上の結果、純資産の部の合計は、前連結会計年度末に比べ2億36百万円減少して 105億22百万円となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
あらゆる顧客の様々なニーズに対して高い品質と安定した供給で応える一方、材料価格の高止まりに対する販売価格の適正化に取り組みました結果、当社グループの連結会計年度の売上高は、126億96百万円(前年同期比7.5%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ8億38百万円増加して107億61百万円となりました。
売上高は、選別受注により単価の改善は進んだものの、昨年から続く材料価格の上昇を全て転嫁するには至らず、売上原価が増加して、前連結会計年度に比べ売上原価率においては 0.7ポイント悪化しております。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ85百万円減少して19億63百万円となりました。
主たる要因は、運搬費が55百万円、役員報酬が11百万円、法定福利及び厚生費が8百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(営業損益)
営業損失は、前連結会計年度に比べ1億35百万円改善し、28百万円となりました。
(営業外収益・費用)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ34百万円減少して1億7百万円となりました。
主たる要因は、為替差益が40百万円減少したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ29百万円増加して40百万円となりました。
主たる要因は、持分法による投資損失28百万円の発生によるものであります。
(経常損益)
前連結会計年度は31百万円の経常損失でしたが、当連結会計年度は39百万円の経常利益となりました。
(特別利益・損失)
特別利益は、前連結会計年度に比べ2億28百万円減少しました。
主たる要因は、前連結会計年度に投資有価証券売却益2億29百万円を計上したことによるものであります。
特別損失は、前連結会計年度に比べ1億89百万円減少し、9百万円となりました。
主たる要因は、前連結会計年度に減損損失1億96百万円を計上したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ10百万円増加し、72百万円となりました。
当社グループの営業基盤である民間非住宅建設投資におきましては、将来的にも少子高齢化等による人口減少の要因を抱え、建設事業全体としましても必ずしも順調な成長分野とは言えない状況です。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与えた要因としましては、本来耐震性など強度の確保が強みである鉄筋構造物から、人件費の抑制や工期短縮などの経済的効果が見込める鉄骨構造物へのシフトが進み、そのためワイヤーメッシュ需要の減少が当業界の受注及び価格競争を長引かせ、足下の適正利潤の確保に支障を来たしつつあります。そのため、新たな需要開拓を行うべく、今後の成長と発展が見込めるベトナムへの進出を果たしましたが、ワイヤーメッシュの本格的な需要到来にはまだ時間を要する段階にあります。
当連結会計年度におきましては、材料価格の上昇を全て価格転嫁するには至らず、赤字計上の大きな要因となったことから、今後業界全体としての適正利潤の確保が重要な課題と考えております。
今後における当社グループの経営への対応としましては、生産の効率化及びコスト構造の変革が急務と考えており、2019年度には、生産性の向上のための新たな機械設備への投資も実施し、高品質を維持しつつコスト競争力の強化を図り、製品供給体制の再構築とサービスの向上に努めてまいります。
また、IT化も推し進めながら業務の効率化とともに経営成績管理の強化・向上も図ってまいります。
c.キャッシュ・フローの状況についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、材料及び商品仕入資金としての運転資金並びに労務費、製造経費、人件費、その他の経費であります。
近年の資金投資の状況は、生産性の向上のための機械設備の購入及び労務管理の効率化を図る目的でのソフトウエア購入費であり、その他は、主として設備の更新及び改良によるものであります。
これらは、基本的に自己資金を主な充当原資としており、不足が生じる場合のみ金融機関からの短期融資にて賄っている状況です。
当連結会計年度のキャッシュ・フローにおいても、営業キャッシュ・フローにおいて獲得した資金は、売上金額の増加によるものであり、材料価格の上昇により支出額も膨らんだものの、材料の調達管理、製品価格の値上げも着実に実施しており、また取引金融機関とも良好な関係が維持できていることから、当社グループの事業展開に必要な資金の流動性は十分に確保されているものと考えております。