有価証券報告書-第81期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/29 9:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により、内需は緩やかな回復を維持しましたが、前年度に引き続き自然災害が多発し、中国景気の減速などにより輸出関連産業が停滞したほか、消費増税による個人消費への影響もあり、景気後退感が強まりました。また、米中貿易問題や英国のEU離脱に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大などが相まって、景気の先行きが一段と不透明になっております。
当社グループの主な事業分野である建設・土木業界におきましては、公共投資は堅調に推移しましたが、民間設備投資や住宅建設投資は慎重な動きが見られたことから、当社製品の市場環境としては力強さに欠ける状況が続きました。
このような環境において、当社グループは、建設投資全般における鉄筋需要にやや伸びを欠いたものの、顧客のニーズに沿った商品供給、きめ細かなサービスの向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1億32百万円減少し、151億円となりました。 主な要因としましては、現金及び預金が6億91百万円、電子記録債権が1億88百万円それぞれ増加しましたが、受取手形及び売掛金が3億18百万円、商品及び製品が84百万円、原材料及び貯蔵品が4億45百万円、投資有価証券が80百万円、関係会社出資金が87百万円それぞれ減少したことによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末比2億5百万円減少の45億5百万円となりました。主な要因としましては、未払法人税等が65百万円増加しましたが、支払手形及び買掛金が2億77百万円、短期借入金が80百万円減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末比73百万円増加の105億95百万円となりました。主な要因としましては、利益剰余金が1億22百万円増加しましたが、その他有価証券評価差額金が54百万円減少したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の当社グループの売上高は、130億79百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
損益面におきましては、物流費の高騰などのマイナス要因はあったものの、販売価格の改善及び比較的安定して推移した国内外の原材料価格がスプレッドの改善に寄与したことから、営業利益は2億91百万円(前年同期は営業損失28百万円)となり、ベトナム国内のワイヤーメッシュ市況低迷の影響により、持分法適用関連会社の業績が悪化し、持分法による投資損失99百万円、当該関連会社への貸付金に対する貸倒引当金繰入額33百万円を計上しましたが、為替差益等を計上したことにより経常利益は2億47百万円(前年同期比528.1%増)となりました。また、土地収用による特別利益等を計上し、法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2億15百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失72百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億91百万円増加し、当連結会計年度末には28億26百万円となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は11億20百万円(前年同期比9億47百万円の増加)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益3億5百万円、減価償却費1億66百万円、売上債権の減少1億29百万円、たな卸資産の減少5億68百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は2億38百万円(前年同期比1億13百万円の減少)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出2億22百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は1億90百万円(前年同期比1億65百万円の増加)となりました。
これは主に短期借入金の減少80百万円、配当金の支払額92百万円を計上したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
土木建築用資材(千円)9,275,76696.8
合計(千円)9,275,76696.8

(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当社グループの当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
土木建築用資材(千円)1,410,827107.7
合計(千円)1,410,827107.7

(注)1.金額は仕入価額によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループの当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
土木建築用資材(千円)13,079,664103.0
合計(千円)13,079,664103.0

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1百万円減少して94億4百万円となりました。
主たる要因は、現金及び預金が6億91百万円、電子記録債権が1億88百万円それぞれ増加しましたが、受取手形及び売掛金が3億18百万円、商品及び製品が84百万円、仕掛品が38百万円、原材料及び貯蔵品が4億45百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(固定資産)
有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ99百万円増加して51億51百万円となりました。
主たる要因は、機械装置及び運搬具が46百万円、建設仮勘定が63百万円それぞれ増加したことによるものであります。
無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ3百万円減少して42百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ2億25百万円減少して5億円となりました。
主たる要因は、投資有価証券が80百万円、関係会社出資金が87百万円、退職給付に係る資産が21百万円それぞれ減少したことによるものであります。
以上の結果、固定資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億30百万円減少して56億95百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1億60百万円減少して38億25百万円となりました。
主たる要因は、支払手形及び買掛金が2億77百万円、その他流動負債が1億26百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ44百万円減少して6億79百万円となりました。
主たる要因は、リース債務が17百万円、繰延税金負債が13百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産の部)
資本剰余金は、12億11百万円となりました。
利益剰余金は、前連結会計年度末に比べ1億22百万円増加して82億18百万円となりました。
主たる要因は、剰余金の配当92百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2億15百万円によるものです。
自己株式は、8百万円減少しました。
その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金54百万円の減少などにより△37百万円となりました。
以上の結果、純資産の部の合計は、前連結会計年度末に比べ73百万円増加して 105億95百万円となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
建設投資全般における鉄筋需要にやや伸びを欠いたものの、顧客のニーズに沿った商品供給、きめ細かなサービスの向上に努めました結果、当社グループの連結会計年度の売上高は、130億79百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ86百万円減少して106億74百万円となりました。
売上高は、フープは数量、金額とも前連結会計年度に比べて増加しましたが、ワイヤーメッシュの数量面での落ち込みを選別受注により販売単価を維持しつつ、材料価格も比較的安定に推移したことにより、売上原価が減少して、前連結会計年度に比べ売上原価率においては 3.2ポイント改善しております。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億50百万円増加して21億13百万円となりました。
主たる要因は、運搬費が1億11百万円増加したことによるものであります。
(営業損益)
前連結会計年度は28百万円の営業損失でしたが、当連結会計年度は2億91百万円の営業利益となりました。
(営業外収益・費用)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ9百万円減少して97百万円となりました。
主たる要因は、為替差益が3百万円、受取賃貸料が2百万円減少したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ1億1百万円増加して1億42百万円となりました。
主たる要因は、持分法による投資損失99百万円、貸倒引当金繰入額33百万円の発生によるものであります。
(経常損益)
経常利益は、前連結会計年度に比べ2億7百万円増加し、2億47百万円となりました。
(特別利益・損失)
特別利益は、前連結会計年度に比べ63百万円増加し、69百万円となりました。
主たる要因は、収用補償金66百万円を計上したことによるものであります。
特別損失は、前連結会計年度に比べ1百万円増加し、10百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
前連結会計年度は、72百万円の親会社株主に帰属する当期純損失でしたが、当連結会計年度は、2億15百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、将来的に国内の少子高齢化及び人口減少などが進行することにより、建設業界全体における建築需要が鈍化し、ある程度のスクラップ・アンド・ビルドは進行するものの、建設現場における人手不足はさらに顕著となり、建築工法の経済性や工期の短縮、労務費の抑制がより重視されることにより、耐震性に優れた高層建築物の強度確保にも適合する鉄筋コンクリートの建築物から、工期の短い鉄骨構造の建築物へのシフトが予想され、ワイヤーメッシュ及び鉄筋加工製品の販売量が減少し、それに伴う価格競争の激化により適正利潤の確保がさらに困難になる状況も懸念され、さらに、近年の急激な輸送コストの上昇も当業界及び当社グループにおける課題となっております。
また、ベトナム国内でのワイヤーメッシュ事業進出のために設立した持分法適用関連会社につきましては、同国内でのインフラ整備や建設需要は旺盛であるものの、本来建設工事の効率化及び品質向上が使用目的であるワイヤーメッシュが、国内の安価で潤沢な労働力のために、本格的な需要期に至っていない事情もあり、今後については、鉄筋の加工分野への進出も含め、利益確保に向けた新たな製品及び市場の開拓を事業戦略に掲げ展開を図ってまいります。
当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症による影響は徐々に軽減していくもの予想しておりますが、今後の新規の建設工事計画の進行状況等を注視しながら、万全の対応を図ってまいります。
今後における当社グループの経営への対応としましては、「第2 事業の概況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、(5)対処すべき課題」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況についての分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、材料及び商品仕入のほか、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。近年の資金投資の状況は、生産性及び効率性向上ための機械設備の購入及び労務管理の合理化のためのシステム投資であり、その他は、主として諸設備の更新及び改良によるものであります。これらは、基本的に自己資金を主な充当原資としており、不足が生じる場合のみ金融機関からの短期融資にて賄ってまいります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、設備投資等などにより投資活動によるキャッシュ・フローは減少したものの、農業用資材に係る現金回収の増加により売上債権が減少し、さらに材料の調達量の調整等によりたな卸資産も減少したことから、営業キャッシュ・フローにより獲得した資金は大きく増加しております。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は28億26百万円と前年同期比増加し、取引金融機関との良好な取引関係も維持されていることから、当社グループに必要な事業資金の流動性は、十分に確保されているものと考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績やその時点での情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りそのものに不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。
・関係会社長期貸付金、関係会社出資金
関連会社であるSMC TOAMI LIMITED LIABILITYについて、同社の将来の収益性をふまえ、その財務諸表を必要に応じて修正したうえで持分法を適用しております。
・退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。
・繰延税金資産、繰延税金負債
当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。