四半期報告書-第130期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/11 10:10
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41項目
当社グループの財政状態及び経営成績は次の通りであります。なお、文中における将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において、判断したものです。
なお、当社グループの業績管理は、事業セグメント損益及び営業損益により行われております。事業セグメント損益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、各国の経済対策や先進国を中心としたワクチン接種率の向上により景気は緩やかな改善基調にある一方で、新型コロナウイルス感染症の再拡大、世界的な半導体等の部材不足や海上輸送の混乱をはじめとしたグローバルサプライチェーンに関連するリスクが顕在化し、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループに関連する事業環境は、プリンティング市場では、在宅勤務・在宅学習用途として、小型複合機・プリンターの需要は各地域で引き続き順調な伸びを示しました。家庭用ミシンは、手作り需要の高まりが継続し、普及機を中心に好調に推移しました。マシナリー事業の関連分野では、産業機器は中国を中心とした強い需要の継続、工業用ミシンに関しても投資意欲の回復傾向が見られました。国内におけるカラオケ市場は、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により、厳しい状況となりました。ドミノ事業の関連分野では、食品・医薬品などの生活必需品の需要の底堅さに支えられ、堅調に推移しました。
このような状況の中、当第1四半期連結累計期間における当社グループの連結業績は、P&S事業では、製品の供給制約はあるものの、在宅勤務向け製品本体への需要の強さは継続しており、消耗品の堅調な推移に加え、為替のプラス影響も寄与し増収となりました。P&H事業では、手作り需要や副業用途でのミシンの販売が引き続き好調に推移し、大幅な増収となりました。マシナリー事業では、主に中国向けの産業機器が引き続き好調だったことに加え、工業用ミシンのアパレル向け設備投資需要の回復などにより、事業全体で大幅な増収となりました。N&C事業では、店舗の休業や時間短縮営業の影響はあるものの、前年同期比では増収となりました。ドミノ事業では、売上が回復し、大幅な増収となりました。
これらの結果、売上収益は、前年同期比30.7%の増収となる174,013百万円、事業セグメント利益は、前年同期比203.5%の増益となる26,168百万円、営業利益は、前年同期比185.7%の増益となる26,461百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比181.3%の増益となる18,618百万円となりました。
*平均為替レート(連結)は次の通りであります。
当期 米ドル : 110.00円 ユーロ : 131.78円
前年同期 米ドル : 107.74円 ユーロ : 118.94円
セグメント別の業績は、次の通りであります。
1)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業
売上収益 99,063百万円(前年同期比+19.5%)
〇通信・プリンティング機器 84,704百万円(前年同期比+14.7%)
インクジェット複合機においては、供給制約の改善により、製品本体の販売数量は大幅に増加しました。一方で、レーザー複合機・プリンターでは、2020年度第4四半期に工場の操業が一時停止したことによる供給制約が影響し、製品本体の販売数量は大きく落ち込みました。製品により供給状況には差が出ているものの、在宅勤務向けの製品本体への需要は引き続き強く、消耗品の堅調な推移と為替のプラス影響も加わり、事業全体で増収となりました。
〇電子文具 14,359百万円(前年同期比+58.7%)
ラベルライター・ラベルプリンター、モバイルプリンターを中心とするソリューション分野とも、需要回復により、大幅な増収となりました。
事業セグメント利益 16,405百万円(前年同期比+75.3%)
営業利益 16,335百万円(前年同期比+61.9%)
部材・物流コストは増加したものの、為替のプラス影響、消耗品全般の堅調な推移により大幅な増益となりました。
2)パーソナル・アンド・ホーム事業
売上収益 14,111百万円(前年同期比+29.9%)
家庭用ミシンは、手作り需要により普及機を中心に販売が引き続き好調に推移したことに加え、欧米を中心に副業用途での中高級刺しゅう機の需要が継続し、大幅な増収となりました。
事業セグメント利益 3,112百万円(前年同期比+124.7%)
営業利益 3,072百万円(前年同期比+122.1%)
増収効果により、大幅な増益となりました。
3)マシナリー事業
売上収益 30,401百万円(前年同期比+102.0%)
〇工業用ミシン 8,776百万円(前年同期比+94.9%)
工業用ミシンは、アジア・中国向けでのアパレル設備投資需要の回復により、好調に推移しました。加えてガーメントプリンターは、欧米を中心に販売が堅調に推移し、事業全体で大幅な増収となりました。
〇産業機器 16,583百万円(前年同期比+140.3%)
中国の自動車関連市場向けが好調に推移したことに加え、IT関連顧客向けのスポット受注の効果により、大幅な増収となりました。
〇工業用部品 5,041百万円(前年同期比+38.3%)
米州・アジアを中心とした需要の回復により、大幅な増収となりました。
事業セグメント利益 5,167百万円(前年同期 事業セグメント損失 149百万円)
営業利益 5,120百万円(前年同期 営業損失 369百万円)
増収効果により、大幅な増益となりました。
4)ネットワーク・アンド・コンテンツ事業
売上収益 6,952百万円(前年同期比+12.9%)
新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により厳しい状況が続きましたが、店舗事業、カラオケ事業ともに低迷した前年同期から売上は改善し、増収となりました。
事業セグメント損失 770百万円(前年同期 事業セグメント損失 2,264百万円)
営業損失 341百万円(前年同期 営業損失 2,266百万円)
増収効果や費用削減の効果により、赤字幅は縮小しました。
5)ドミノ事業
売上収益 19,969百万円(前年同期比+29.9%)
コーディング・マーキング機器及び市況が回復しつつあるデジタル印刷機も堅調に推移しました。消耗品が
コーディング・マーキング機器、デジタル印刷機ともに堅調に推移したことに加え、為替のプラス影響もあり、大幅な増収となりました。
事業セグメント利益 2,069百万円(前年同期比+477.2%)
営業利益 2,081百万円(前年同期比+785.4%)
増収効果により、大幅な増益となりました。
(2)財政状態の状況
資産合計は、現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、棚卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ15,333百万円増加し、759,230百万円となりました。
負債合計は、営業債務及びその他の債務が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,915百万円増加し、247,105百万円となりました。
資本合計は、親会社の所有者に帰属する四半期利益による利益剰余金の増加、在外営業活動体の換算差額の影響などにより、前連結会計年度末に比べ12,417百万円増加し、512,125百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により21,200百万円増加、投資活動により8,713百万円減少、財務活動により11,174百万円減少等の結果、当第1四半期連結会計期間末は前連結会計年度末と比べ2,802百万円増加し、193,805百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次の通りであります。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前四半期利益は26,734百万円で、減価償却費及び償却費9,482百万円など、非資金損益の調整などによる資金の増加、営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加8,326百万円、営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少2,355百万円、棚卸資産の増加による資金の減少8,790百万円などがあり、法人所得税の支払額8,455百万円などを差し引いた結果、21,200百万円の資金の増加となりました。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出6,623百万円、無形資産の取得による支出1,460百万円などにより、8,713百万円の資金の減少となりました。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
リース負債の返済による支出2,472百万円、配当金の支払額8,589百万円などによる資金の減少があり、11,174百万円の資金の減少となりました。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更は
ありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変
更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、10,172百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、柔軟で効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。この方針に従って、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するキャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。資金の偏在をならし、グループ全体で借入を極力削減する体制を整えております。
流動性管理
当社グループは、現金及び現金同等物を手元流動性として位置付けております。当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループは、売上収益の約3ヶ月分に相当する現金及び現金同等物193,805百万円を保有しております。
当社グループは、当社及び金融子会社などの資金調達拠点を通じたキャッシュマネジメントシステムの活用により、資金の効率化を図り、流動性を確保しております。
これにより、季節的な資金需要の変動、1年以内に期限の到来する借入、新型コロナウイルス感染症などによる事業環境リスク等を考慮の上、通年に亘り十分な手元流動性を確保していると考えております。
資金調達
運転資金等の短期資金は、原則として期限が1年以内の短期借入金を現地通貨で調達することとし、生産設備等の長期資金は、内部留保資金の他、固定金利の長期借入金及び社債等で調達することを基本方針としております。当第1四半期連結会計期間末現在、1年内返済予定の長期借入金の残高は18,971百万円で、通貨は米ドル、日本円であります。長期借入金の残高は38,497百万円であり、通貨は米ドル、日本円であります。
当社は、株式会社格付投資情報センターから格付けを取得しています。当第1四半期連結会計期間末現在、長期債及び発行体格付けがA、コマーシャルペーパーがa-1であります。金融・資本市場へのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持は重要と考えております。
当社グループでは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加えて、手元流動性、健全な財務体質により、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資・研究開発資金等を確保することが可能と考えております。
資金の需要動向
中期計画「CS B2021」では、成長のための投資枠として、50,000百万円を設定しており、産業用領域の更なる拡大、新規事業の創出、育成、インクジェット関連の設備補強やM&Aを含めた成長投資を加速します。
次なる成長に向けた成長基盤の構築のための投資を行う一方で、基本方針に基づき、株主利益還元を実施してまいります。
これらの資金需要に対応するため、営業キャッシュ・フローの獲得、また、必要に応じて、成長投資のための資金調達を機動的に実施する方針であります。