有価証券報告書-第126期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
当社グループの業績等の概要は次の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社グループの業績管理は、事業セグメント損益及び営業損益により行われております。事業セグメント損益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当期における世界経済を振り返りますと、米国においては、雇用や所得環境の回復を背景に、個人消費が底堅く推移したことに加え、内外需要の拡大により企業収益も改善するなど、景気は回復基調が続きました。欧州においては、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和策や、世界経済の回復などが下支えとなり、製造業を中心に、景気は緩やかな回復が続きました。中国においては、世界経済の回復による輸出の拡大や、堅調な個人消費に支えられ、安定的な経済成長が続きました。また、日本においては、底堅い企業収益に支えられ、個人消費も緩やかな回復が続くなど、景気は回復基調が持続しました。
このような状況の中、当社グループの連結業績は、円安による為替のプラス影響に加え、レーザー複合機やインクジェット複合機などの通信・プリンティング機器の製品本体の販売がグローバルで好調に推移したことや、IT関連顧客向けや自動車関連市場向けの需要拡大により産業機器が好調に推移したことなどにより、売上収益は前期比11.2%増の712,997百万円となりました。事業セグメント利益は、円安による為替のプラス影響に加え、産業機器が好調だったマシナリー事業が大幅な増益となったことなどにより、前期比27.1%増の77,229百万円となりました。営業利益は、為替予約に関する評価損を計上した影響はあるものの、事業セグメント利益が増益となった効果により、前期比16.1%増の68,672百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に実施した株式会社エクシングの完全子会社化に伴う税効果のプラス効果がなくなったことや、米国の法人税減税を受けた繰延税金資産の取り崩しによる一時的な法人所得税費用の増加の影響はあるものの、前期比5.9%増の50,020百万円となりました。
*平均為替レート(連結)は次の通りであります。
当期 米ドル : 110.81円 ユーロ : 129.45円
前期 米ドル : 109.03円 ユーロ : 119.37円
セグメント別の業績は、次の通りであります。
1) プリンティング・アンド・ソリューションズ事業
売上収益 412,165百万円(前期比+7.4%)
○通信・プリンティング機器 364,903百万円(前期比+7.8%)
主にSOHO市場向けのモノクロレーザー製品がグローバルで好調に推移したことに加え、重点強化分野であるSMB市場向けも、欧州を中心に堅調に推移しました。カラーレーザー製品も、高耐久モデルにおいて新製品を投入した効果もあり、グローバルで堅調に推移しました。インクジェット製品は、市場全体は前年を下回る水準が続いているものの、新興国向けのインクタンクモデルの販売は計画を上回るペースで推移しました。加えて、円安による為替のプラス影響もあり、全体では増収となりました。
○電子文具 47,262百万円(前期比+4.9%)
「ピータッチ」ブランドで展開するラベルライター・ラベルプリンターは、スマホアプリでラベル編集をする「P-TOUCH CUBE」が日本で好調に推移するなど、グローバルで堅調に推移したことに加え、円安による為替のプラス影響もあり、増収となりました。
事業セグメント利益 52,890百万円(前期比+15.9%)
営業利益 47,353百万円(前期比+ 4.0%)
グローバルで製品販売が堅調に推移したことに加え、主にユーロ高に伴う為替のプラス影響もあり、増益となりました。
2) パーソナル・アンド・ホーム事業
売上収益 44,466百万円(前期比+0.1%)
欧州での需要は堅調だったものの、米州やアジア地域において需要が低迷した影響などにより、全体ではほぼ前期並みの水準となりました。
事業セグメント利益 1,981百万円(前期比△ 2.8%)
営業利益 1,051百万円(前期比△44.1%)
研究開発費など、先行投資の増加の影響もあり、事業セグメント利益は若干の減益となりました。営業利益は、期末レートが円安となったことに伴い、為替予約に関する評価損を計上したこともあり、大幅な減益となりました。
3) マシナリー事業
売上収益 127,299百万円(前期比+40.0%)
○工業用ミシン 31,094百万円(前期比+16.0%)
工業用ミシンは、アジア地域の需要が弱含んだものの、中国・欧州の需要が改善したことにより、全体では堅調に推移しました。加えて、ガーメントプリンターの新製品「GTX」の販売が米欧を中心に好調に推移したこともあり、事業全体では増収となりました。
○産業機器 76,018百万円(前期比+67.6%)
IT関連顧客向けの大口受注の効果に加え、注力している自動車関連市場向けも堅調に推移したことなどにより、大幅な増収となりました。
○工業用部品 20,186百万円(前期比+7.4%)
工場の自動化に向けた設備投資の増加などを受け、減速機・歯車とも需要が拡大し、増収となりました。
事業セグメント利益 14,426百万円(前期比+133.5%)
営業利益 14,131百万円(前期比+136.3%)
主に産業機器やガーメントプリンターが好調に推移したことに伴い、大幅な増益となりました。
4) ネットワーク・アンド・コンテンツ事業
売上収益 49,052百万円(前期比△1.4%)
カラオケ事業、カラオケ店舗事業とも概ね堅調に推移し、ほぼ前期並みの水準となりました。
事業セグメント利益 2,663百万円(前期比+20.3%)
営業利益 1,343百万円(前期比+57.2%)
通信カラオケ機器の新モデルの販売が堅調に推移したことに加え、経費削減などの取り組みの効果もあり、事業セグメント利益は増益となりました。営業利益については、前期に計上した収益力強化のための構造改革に伴う一時費用がなくなったことにより、大幅な増益となりました。
5) ドミノ事業
売上収益 68,390百万円(前期比+15.2%)
コーディング・マーキング機器、デジタル印刷機とも、グローバルで堅調に推移し、増収となりました。
事業セグメント利益 4,640百万円(前期比+11.1%)
営業利益 3,998百万円(前期比△ 8.4%)
研究開発費など、成長に向けた先行投資の増加の影響はあるものの、増収に伴い事業セグメント利益は増益となりました。営業利益は、為替差損を計上したことにより減益となりました。
②財政状態の状況
資産合計は、現金及び現金同等物の増加、その他の金融資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ34,171百万円増加し、708,278百万円となりました。
負債合計は、社債及び借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ16,614百万円減少し、295,783百万円となりました。
資本合計は、当期利益による利益剰余金の増加、円安による為替換算調整勘定の影響などにより、前連結会計年度末に比べ50,785百万円増加し、412,494百万円となりました。
*当期における期末為替レートは、次の通りです。
米ドル : 106.24円 ユーロ : 130.52円
③キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により81,817百万円増加、投資活動により37,090百万円減少、財務活動により34,551百万円減少等の結果、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ9,351百万円増加し、121,384百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次の通りです。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前利益は69,669百万円で、減価償却費及び償却費34,141百万円など、非資金損益の調整による資金の増加があり、法人所得税の支払18,300百万円、営業債権及びその他の債権の増加額8,756百万円などを差し引いた結果、81,817百万円の資金の増加となりました。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出22,727百万円、負債性金融商品の取得による支出10,689百万円、無形資産の取得による支出9,144百万円、負債性金融商品の売却又は償還による収入6,337百万円などにより、37,090百万円の資金の減少となりました。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入金の返済による支出20,299百万円、配当金の支払額12,480百万円などにより、34,551百万円の資金の減少となりました。
④生産、受注及び販売の状況
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
プリンティング・アンド・ソリューションズ (百万円) | 484,630 | 1.7% |
パーソナル・アンド・ホーム (百万円) | 48,416 | △5.0% |
マシナリー (百万円) | 131,921 | 44.1% |
ネットワーク・アンド・コンテンツ (百万円) | 33,790 | △13.7% |
ドミノ (百万円) | 71,976 | 14.1% |
その他 (百万円) | 5,586 | △13.5% |
合計 (百万円) | 776,322 | 6.7% |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注実績
当社グループの生産活動は、その多くを見込生産で行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
プリンティング・アンド・ソリューションズ (百万円) | 412,165 | 7.4% |
パーソナル・アンド・ホーム (百万円) | 44,466 | 0.1% |
マシナリー (百万円) | 127,299 | 40.0% |
ネットワーク・アンド・コンテンツ (百万円) | 49,052 | △1.4% |
ドミノ (百万円) | 68,390 | 15.2% |
その他 (百万円) | 11,623 | △11.4% |
合計 (百万円) | 712,997 | 11.2% |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成されております。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。当社グループの判断、見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)当連結会計年度の経営成績
当社グループの連結業績は、円安による為替のプラス影響に加え、レーザー複合機やインクジェット複合機などの通信・プリンティング機器の製品本体の販売がグローバルで好調に推移したことや、IT関連顧客向けや自動車関連市場向けの需要拡大により産業機器が好調に推移したことなどにより、売上収益は前期比11.2%増の712,997百万円となりました。事業セグメント利益は、円安による為替のプラス影響に加え、産業機器が好調だったマシナリー事業が大幅な増益となったことなどにより、前期比27.1%増の77,229百万円となりました。営業利益は、為替予約に関する評価損を計上した影響はあるものの、事業セグメント利益が増益となった効果により、前期比16.1%増の68,672百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年に計上した株式会社エクシングの完全子会社化に伴う税効果のプラス効果がなくなったことや、米国の法人税減税を受けた繰延税金資産の取り崩しによる一時的な法人所得税費用の増加の影響はあるものの、前期比5.9%増の50,020百万円となりました。
2)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、製品・サービスの販売、製品の製造など、事業活動の大半を海外で展開しております。よって、グループの業績は、各国の市場動向、為替動向、海外工場におけるモノづくり力の維持・強化など、様々な要因により影響を受ける可能性があると認識しております。
まず為替リスクに対する対応としては、利益への影響が大きいユーロについては、一定の基準に基づき為替予約を行うことで、急激な為替レートの変動が業績に与える影響をコントロールしております。
製造面に関しては、コストダウンや様々なリスクヘッジを目的に、各事業とも中国を中心とした体制から、ベトナムやフィリピンといったアジア地域を中心とした体制へとシフトを進めております。製造拠点を分散化させることで、災害や事故などのリスクを低減し、安定した製品供給を実現してまいります。
また、事業別に見ると、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業が占める割合は売上収益の57.8%、事業セグメント利益の68.5%を占めており、P&S事業の業績動向が経営成績に重要な影響を与える最大の要因となっております。当社グループは、SOHO向けのレーザー複合機・プリンターにおいて、米国や西欧などの先進国地域を筆頭にグローバルで高いシェアを保持しているだけでなく、収益性についても、事業セグメント利益率12.8%と、高い収益性を実現しております。この分野においては、競合企業間の事業再編の影響などもあり、競争環境は比較的穏やかな状況が継続していることから、今後もグループ全体の収益を支える事業として、持続的な成長を実現してまいります。一方でこの分野は、デジタルデバイスの普及や、インターネットを中心としたテクノロジーの進化、オフィスにおける働き方の変化、顧客の購買方法の変化など、ビジネス環境が刻々と変化していることから、持続的な成長の実現に向けて、変化への対応力が求められております。
ブラザーグループは、このような状況に対応するため、2018年度を最終年度とする中期戦略「CS B2018」(2016年度~2018年度)を策定し、「変革への挑戦」を進めております。
「CS B2018」では、“Transform for the Future ~変革への挑戦~”をテーマに掲げ、グループ全体で「事業・業務・人財」の3つの変革に取り組んでおります。
3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
中期戦略「CS B2018」では、2018年度の業績目標を以下に設定しております。なお、事業セグメント利益、営業利益については、2017年度に1年前倒しで達成しております。
CS B2018業績目標 | 2017年度実績 | 2018年度予想 | |
売上収益 | 6,850億円 | 7,130億円 | 6,900億円 |
事業セグメント利益 | 650億円 | 772億円 | 710億円 |
営業利益 | 630億円 | 687億円 | 700億円 |
4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
事業セグメントごとの経営成績の状況については、(1)経営成績等の状況の概要 に記載しております。中期戦略「CS B2018」では、各事業を「収益力強化事業」と「成長領域事業及び新規事業」に分類し、事業のポートフォリオ強化に向けて人員や投資の再配分を行っております。
収益力強化事業
a)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業/通信・プリンティング機器(SOHO向け)
プリンティング市場の成熟化が進む中、強みであるSOHO市場向けの製品群の競争力を磨き、全社を収益面で支える事業として、開発・製造・販売など、徹底的な効率化を推進してまいります。
b)ネットワーク・アンド・コンテンツ事業
カラオケ事業のキャッシュカウ化に向けた構造改革の完遂を方針に定め、最終年度に営業利益率5%を達成することを目標とし、商品力の高いモデルの拡販を軸に、楽曲提供から、カラオケ店舗運営までグループで事業シナジーを創出してまいります。
成長領域事業及び新規事業
c)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業/通信・プリンティング機器(SMB向け)
顧客のオフィスにおける最適製品最適配置の提案や契約型ビジネスなどのソリューションビジネスを強化し、SMB市場における小型複合機の販売拡大をプリンティング事業の成長分野として進めてまいります。
d)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業/電子文具
中心であったホーム・オフィス市場の成熟化を受け、今後は小売り・物流など業務用途向けの販売を強化してまいります。
e)パーソナル・アンド・ホーム事業/家庭用ミシン・カッティングマシン
家庭用ミシン市場において、高級機から普及機までの圧倒的なグローバルNo.1を維持するとともに、クラフト分野を事業の2本目の柱として育成することで、収益力の強化と事業の成長を目指します。
f)マシナリー事業/工業用ミシン・産業機器・工業用部品
工業用ミシン分野においては、アジアでの販売力とソリューション提案力の強化を進め、顧客基盤の拡大を目指します。産業機器分野においても、ソリューション力の強化により、自動車関連市場向けの売上の拡大を目指します。工業用部品分野においては、ロボット市場向けを含めた製品開発・提案による販売拡大に加え、他のマシナリー事業とのシナジーの追求を推進してまいります。これらの取り組みにより、お客様の生産活動の効率化を実現するとともに、事業の成長を目指してまいります。
g)ドミノ事業
グループを牽引する新たな事業として、既存技術とのシナジーを最大化し、コーディング・マーキング及びデジタル印刷でのビジネス拡大を図り、ブラザーグループの次世代の成長の柱とするべく、高い成長を目指してまいります。今後は当社がこれまでに培ってきた様々な印字技術や、グローバルな開発・製造・販売体制を活用し、ドミノのグローバルなビジネス展開を加速させるとともに、新たな顧客価値の創出に取り組んでまいります。
5)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、柔軟で効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。この方針に従って、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するキャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。また、手元流動性の補完として複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。これらの結果、資金の偏在をならし、グループ全体で借入を極力削減する体制を整えております。
流動性管理
当社グループは、現金及び現金同等物と未使用のコミットメントラインを合わせた金額を手元流動性と位置付けております。当連結会計年度末現在、当社グループは現金及び現金同等物121,384百万円を保有しております。
また、複数の金融機関と合計10,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、未使用額は10,000百万円です。これらを合わせると、当社グループは手元流動性を131,384百万円確保しております。これにより、季節的な資金需要の変動、1年以内に期限の到来する借入及び償還予定の社債、事業環境リスク等を考慮の上、通年に渡り十分な手元流動性を確保していると考えております。
資金調達
運転資金等の短期資金は、原則として期限が1年以内の短期借入金を現地通貨で調達することとし、生産設備等の長期資金は、内部留保資金の他、固定金利の長期借入金及び社債等で調達することを基本方針としております。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は1,176百万円で、通貨は主にユーロであります。1年内返済予定の長期借入金の残高は、271百万円で、通貨は日本円であります。長期借入金の残高は74,530百万円であり、通貨は米ドル、日本円であります。また、1年内償還予定の社債の残高は20,446百万円で、通貨は主に日本円であります。社債の残高は20,021百万円で、通貨は日本円であります。
当社は、株式会社格付投資情報センターから格付けを取得しています。当連結会計年度末現在、長期債及び発行体格付けがA、コマーシャルペーパーがa-1であります。金融・資本市場へのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持は重要と考えております。
当社グループでは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加えて、コミットメントライン契約を含めた手元流動性、健全な財務体質により、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資・研究開発資金等を確保することが可能と考えております。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りであります。
(のれん及び無形資産)
日本基準において、のれんはその効果の及ぶ年数にて均等償却を行っておりましたが、IFRSでは、のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無に関わらず毎期減損テストを実施しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて営業利益が56億円増加し、親会社の所有者に帰属する当期利益が59億円増加しております。