有価証券報告書-第134期(2025/04/01-2026/03/31)
当社グループの財政状態及び経営成績は次の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、判断したものであります。
なお、当社グループの業績管理は、事業セグメント損益及び営業損益により行われております。事業セグメント損益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
加えて、当連結会計年度より、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業を非継続事業に分類しております。これにより、売上収益、事業セグメント利益、営業利益、税引前利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しております。なお、前連結会計年度についても同様に組み替えて表示しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国通商政策の動向や中国経済の低迷に加え、中東情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりなど、先行きは不透明な状況が続きました。
当社グループに関連する事業環境は、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業の関連分野では、欧州・中国において市況が軟調に推移しましたが、それ以外の地域は堅調に推移しました。インダストリアル・プリンティング事業のドミノの関連分野は、欧州主要国を中心に設備投資需要が軟調に推移し、産業用プリンターの関連分野は欧米において競争環境が悪化しました。マシナリー事業の関連分野では、産業機器は中国を中心としたアジアが堅調に推移しましたが、工業用ミシンは米国関税政策の影響を受けアパレル向け設備投資が低調に推移しました。ニッセイ事業の関連分野においては、年度後半にかけて設備投資需要の回復が一部で見られました。家庭用ミシンは、インフレや米国関税政策などの影響を受け高級機の市況が軟調なものの、普及機・中級機は堅調に推移しました。
このような状況の中、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業では、通信・プリンティング機器、ラベリングともに、価格対応の効果も含め本体・消耗品の販売が堅調に推移したことに加え、為替のプラス影響もあり、増収となりました。インダストリアル・プリンティング事業では、産業用プリンターの販売が落ち込んだものの、ドミノの消耗品の販売が堅調に推移したことに加え、為替のプラス影響もあり、増収となりました。マシナリー事業では、産業機器の中国を中心とした設備投資需要の拡大などに伴い、増収となりました。ニッセイ事業では、減速機・歯車ともに販売が堅調に推移し、増収となりました。パーソナル・アンド・ホーム事業では、各地域で販売が堅調に推移したことにより、増収となりました。
これらの結果、売上収益は、前期比5.3%の増収となる893,464百万円となりました。事業セグメント利益は、販促費・販管費が増加したものの、主にマシナリー事業の産業機器における増収効果に為替のプラス影響も加わり、前期比10.8%の増益となる83,631百万円となりました。なお、米国関税負担の増加に対しては、米国での価格対応や経費コントロールなどを実施することで影響を吸収しております。営業利益は、カラオケ店舗等を運営する株式会社スタンダードの事業譲渡益及び固定資産の売却益を計上したことなどにより、前期比15.0%の増益となる77,868百万円となりました。非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業からの当期利益における税効果調整が発生したこともあり、前期比23.5%の増益となる67,624百万円となりました。
*平均為替レート(連結)は次の通りであります。
当期 米ドル :150.97円 ユーロ :174.54円
前期 米ドル :152.48円 ユーロ :163.62円
セグメント別の業績は、次の通りです。
なお、2025年度から2027年度までの中期戦略「CS B2027」に基づき、当連結会計年度よりセグメントの区分を変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。また当連結会計年度より、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業は非継続事業に分類しているため、セグメント別の記載はありません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しております。
1)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業
売上収益 570,583百万円(前期比+4.7%)
〇通信・プリンティング機器 498,348百万円(前期比+4.8%)
製品本体については、レーザー複合機・プリンターは、上期に供給制約のあった前期と比較し、各地域で販売が増加しました。インクジェット複合機についても、概ね各地域で販売が伸長しました。消耗品については、主に価格対応の効果により、堅調に推移しました。通信・プリンティング機器全体では、為替のプラス影響もあり、増収となりました。
〇ラベリング 72,235百万円(前期比+4.2%)
欧州を除く各地域で本体・消耗品ともに販売が堅調に推移したことに加え、為替のプラス影響もあり、増収となりました。
事業セグメント利益 66,446百万円(前期比+9.0%)
営業利益 58,092百万円(前期比△1.3%)
事業セグメント利益は、米国関税負担や販促費が増加したものの、価格対応の効果や製品本体の販売増に、為替のプラス影響も加わり、増益となりました。営業利益については、為替差損などの影響がありました。
2)インダストリアル・プリンティング事業
売上収益 139,291百万円(前期比+1.5%)
〇ドミノ 125,326百万円(前期比+5.0%)
主に消耗品の販売が堅調に推移し、為替のプラス影響も加わり、増収となりました。
〇産業用プリンター 13,964百万円(前期比△22.0%)
欧米における競争環境の悪化により、大幅な減収となりました。
事業セグメント利益 2,913百万円(前期比△44.3%)
営業損失 1,670百万円(前期 営業利益 3,198百万円)
事業セグメント利益は、産業用プリンターにおける減収影響に加え、販管費や米国関税負担の増加などにより、大幅な減益となりました。営業利益は、産業用プリンターにおける一部固定資産の減損損失に加え、為替差損を計上したことにより、赤字となりました。
3)マシナリー事業
売上収益 82,969百万円(前期比+23.3%)
〇産業機器 64,296百万円(前期比+35.9%)
中国・アジアを中心に自動車・一般機械市場向けの設備投資需要が拡大したことにより、大幅な増収となりました。
〇工業用ミシン 18,673百万円(前期比△6.6%)
米国関税政策の影響を受けアジアにおけるアパレル向け設備投資需要が低調に推移したことにより、減収となりました。
事業セグメント利益 6,703百万円(前期比+529.5%)
営業利益 6,662百万円(前期比+468.2%)
産業機器の増収により、大幅な増益となりました。
4)ニッセイ事業
売上収益 21,441百万円(前期比+7.1%)
価格対応の効果も含め減速機・歯車ともに販売が堅調に推移し、増収となりました。
事業セグメント利益 957百万円(前期比+101.8%)
営業利益 1,011百万円(前期 営業損失 16百万円)
増収や価格対応の効果などにより、大幅な増益となりました。
5)パーソナル・アンド・ホーム事業
売上収益 60,973百万円(前期比+6.7%)
各地域で普及機・中級機の販売が堅調に推移したことや価格対応の効果に、為替のプラス影響も加わり、増収となりました。
事業セグメント利益 6,600百万円(前期比△9.8%)
営業利益 5,997百万円(前期比△9.9%)
増収となったものの、高級機の新製品投入効果のあった前期と比較し、減益となりました。
②財政状態の状況
資産合計は、円安による為替影響及びMUTOHホールディングス株式会社(現:MUTOH株式会社)及びその子会社等を新規連結したことにより、前連結会計年度末に比べ86,165百万円増加し、1,018,815百万円となりました。
負債合計は、円安による為替影響及びMUTOHホールディングス株式会社(現:MUTOH株式会社)及びその子会社等を新規連結したことにより、前連結会計年度末に比べ10,273百万円増加し、251,451百万円となりました。
資本合計は、2025年5月9日開催の取締役会において、自己株式の取得について決議されたことによる自己株式の増加などにより減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の増加、在外営業活動体の換算差額の影響などにより、前連結会計年度末に比べ75,891百万円増加し、767,363百万円となりました。
当期における期末為替レートは、次の通りであります。
米ドル : 159.88円 ユーロ : 183.41円
③キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により111,001百万円増加、投資活動により42,993百万円減少、財務活動により54,633百万円減少、為替変動の影響により12,433百万円増加等の結果、当連結会計年度末は前連結会計年度末と比べ24,898百万円増加し、197,674百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次の通りです。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前利益は81,973百万円で、減価償却費及び償却費51,429百万円など、非資金損益の調整などによる資金の増加、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加2,998百万円、棚卸資産の減少による資金の増加12,866百万円、営業債務及びその他の債務の減少による資金の減少5,613百万円などがあり、法人所得税の支払額26,420百万円などを差し引いた結果、111,001百万円の資金の増加となりました。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出32,468百万円、無形資産の取得による支出11,563百万円などにより、42,993百万円の資金の減少となりました。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
リース負債の返済による支出9,143百万円、自己株式の取得による支出18,456百万円、自己株式取得のための預託金の増加1,936百万円、配当金の支払額25,469百万円などにより、54,633百万円の資金の減少となりました。
④生産、受注及び販売の状況
1)生産実績
当社グループの生産実績は、販売実績と近似しておりますので、記載を省略しております。
2)受注実績
当社グループの生産活動は、その多くを見込生産で行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
3)販売実績
当社グループの販売実績は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6.セグメント情報」をご参照下さい。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
①重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第312条の規定により、IFRS会計基準に準拠して作成されております。
IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。当社グループの判断、見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)当連結会計年度の経営成績
経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。
2)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
中期戦略「CS B2027」では、最終年度である2027年度の業績目標を売上収益1兆円、営業利益1,000億円、ROE10%、産業用領域売上比率40%、TSR(対TOPIX)100%以上(配当金込み)としています。
「CS B2027」の初年度である当連結会計年度の実績は、以下の通りです。
| 当連結会計年度実績 | CS B2027業績目標 | |
| 売上収益 | 8,935億円 | 1兆円 |
| 営業利益 | 779億円 | 1,000億円 |
| ROE | 9.3% | 10% |
| 産業用領域 売上比率 | 32% | 40% |
| TSR (対TOPIX)(配当金込み) | 81.9%* | 100%以上 |
*2025年3月末を起点とした1年間
平均為替レート(連結)は次の通りであります。
当期 米ドル :150.97円 ユーロ :174.54円
CS B2027 策定時 米ドル :145.00円 ユーロ :155.00円
中期戦略「CS B2027」における、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略」をご参照下さい。
4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
事業セグメントごとの経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。
5)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、柔軟で効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。この方針に従って、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するキャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。資金の偏在をならし、グループ全体で借入を極力削減する体制を整えております。
流動性管理
当社グループは、現金及び現金同等物を手元流動性と位置付けております。当連結会計年度末現在、当社グループは、売上収益の約3ヶ月分に相当する現金及び現金同等物197,674百万円を保有しております。
当社グループは、当社及び金融子会社などの資金調達拠点を通じたキャッシュマネジメントシステムの活用により、資金の効率化を図り、流動性を確保しております。
これにより、季節的な資金需要の変動、事業環境リスク等を考慮の上、通年にわたり十分な手元流動性を確保していると考えております。
資金調達
運転資金等の短期資金は、原則として期限が1年以内の短期借入金を現地通貨で調達することとし、生産設備等の長期資金は、内部留保資金の他、固定金利の長期借入金及び社債等で調達することを基本方針としております。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は391百万円で、通貨は英ポンドであります。1年内返済予定の長期借入金の残高は200百万円で、通貨は日本円であります。長期借入金の残高は400百万円であり、通貨は日本円であります。
当社は、株式会社格付投資情報センター(R&I)から格付を取得しております。当連結会計年度末現在、発行体格付はA+(方向性「安定的」)であります。金融・資本市場へのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持は重要と考えております。
当社グループは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加えて、手元流動性、健全な財務体質により、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資・研究開発資金等を確保することが可能と考えております。
資金の需要動向
中期戦略「CS B2027」では、事業ポートフォリオ変革の加速に向けた大規模な成長投資の実行とともに、株主還元を強化する方針であります。成長投資は、規模を大きく拡大し、2,000億円を想定していますが、内訳は、M&A関連の戦略投資と成長を支える基盤投資(インクジェット開発・生産技術強化、産業用領域の販売・サービス拠点増強、お客様とつながるビジネスの基盤強化、BCPやサプライチェーンの強靭化、AI活用や人財基盤強化による組織能力の強化、延期となっていた新社屋建設など)に分けられ、戦略投資が多くを占めます。株主還元については、大幅に強化し、3年間合計で1,400億円を予定しており、内訳として、配当に800億円、自己株式取得に600億円を計画しています。
事業成長から創出される3年間の実質営業キャッシュ・フロー3,250億円に加えて、自己資金及び有利子負債を活用することで、これらの資金需要に対応してまいります。