訂正有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/07/08 10:36
【資料】
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【項目】
148項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度のダイヘングループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により厳しい状況となりましたが、半導体関連投資が堅調に推移したことに加え、年度後半には自動車関連の設備投資も回復傾向となりました。その結果、売上高は1,451億4千4百万円(前連結会計年度比0.1%増)と前連結会計年度に比べ微増となり、利益面におきましては、「ロスカット活動」による材料費低減や生産性向上の成果拡大により、営業利益は121億8千3百万円(前連結会計年度比31億1千7百万円増)となりました。また、経常利益は、持分法適用会社での土地売却益の計上もあり137億6千2百万円(前連結会計年度比44億6百万円増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、94億1千1百万円(前連結会計年度比27億3千9百万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a 電力機器事業
国内での配電機器の更新需要は底堅く推移しましたが、コロナ禍の影響による東南アジアでの大形変圧器の据付工事先送りなどにより、売上高は658億4千2百万円(前連結会計年度比4.3%減)となりました。営業利益につきましては、コスト削減などにより67億4千9百万円(前連結会計年度比5億1千5百万円増)となり、営業利益率は10.3%(前連結会計年度比1.2ポイント増)となりました。
b 溶接メカトロ事業
中国では経済の正常化がいち早く進み産業用ロボットの需要が増加いたしました。また、その他の地域でも期末にかけて自動車関連投資が回復傾向となりました。しかしながら、年度前半での設備投資停滞の影響が大きく、売上高は421億7百万円(前連結会計年度比7.1%減)となり、営業利益は38億1千2百万円(前連結会計年度比1億9千8百万円減)、営業利益率は9.1%(前連結会計年度比0.3ポイント増)となりました。
c 半導体関連機器事業
次世代通信規格5Gのインフラ整備に伴い様々な半導体関連投資が堅調に推移いたしました結果、売上高は370億2千7百万円(前連結会計年度比20.3%増)となり、営業利益は61億8千1百万円(前連結会計年度比29億9百万円増)、営業利益率は16.7%(前連結会計年度比6.1ポイント増)となりました。
d その他
売上高は1億9千7百万円、営業利益は6千8百万円となり、前連結会計年度からの大きな変動はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。翌連結会計年度以降における各事業セグメントに与える影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 新型コロナウイルス感染症の事業への影響について」に記載のとおりであります。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
電力機器事業57,13294.1
溶接メカトロ事業28,600101.0
半導体関連機器事業18,974116.4
その他--
合計104,70699.4

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
電力機器事業66,45097.533,676101.8
溶接メカトロ事業43,07397.14,852125.9
半導体関連機器事業37,927112.011,173108.8
その他19798.4--
合計147,650100.749,702105.3

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
電力機器事業65,84295.7
溶接メカトロ事業42,10792.9
半導体関連機器事業37,027120.3
その他19798.4
小計145,175100.0
消去△30
合計145,144100.1

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、関西電力㈱については、同一企業集団に属する関西電力送配電㈱への販売高を集約して記載しております。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
東京エレクトロン宮城㈱20,24314.025,84017.8
関西電力㈱15,72210.817,81012.3

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金の増加に加え、株式相場の上昇に伴う投資有価証券の増加もあり、1,751億3千2百万円(前連結会計年度末比128億4百万円増)となりました。
負債合計は、借入金が減少する一方、支払手形及び買掛金や繰延税金負債の増加などにより782億1千1百万円(前連結会計年度末比12億2千8百万円増)となりました。
純資産合計は、利益剰余金の増加に加え、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の増加もあり、969億2千1百万円(前連結会計年度末比115億7千6百万円増)となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末の49.3%から2.8ポイント増加して52.1%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
a 電力機器事業
売上債権の増加などにより、電力機器事業の資産は667億2千1百万円(前連結会計年度末比23億7千6百万円増)となりました。
b 溶接メカトロ事業
売上債権の増加に加え、関連会社株式の増加もあり、溶接メカトロ事業の資産は536億1千3百万円(前連結会計年度末比35億2千6百万円増)となりました。
c 半導体関連機器事業
売上債権の減少などにより、半導体関連機器事業の資産は251億7千5百万円(前連結会計年度末比3千3百万円減)となりました。
d その他
その他の事業の総資産は12億8千万円となり、前連結会計年度末からの大きな変動はありません。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、42億4千万円増加し、190億7千1百万円となりました。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益等により、139億3千7百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べると、売上債権の増加やたな卸資産の減少額の縮小等により、31億1千9百万円の減少となりました。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得等により、38億9千9百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、子会社出資金の払込による支出の減少等により、4億1千8百万円の増加となりました。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入金の返済による支出等により、55億7千6百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、短期借入金の減少額の縮小等により、51億2千6百万円の増加となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費や製造費用、販売費及び一般管理費、設備投資資金などであります。これらの必要資金は、継続的な利益の蓄積などによる内部資金により賄うことを基本としております。
資金の流動性確保のため、コミットメントライン契約を締結するなど安定的な資金の確保に努める一方、当社及び国内連結子会社においてはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより各社の余剰資金を当社へ集中し、資金効率の向上を図っております。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の資金繰りへの影響は軽微でした。引き続き業績への影響や資金調達環境の変化に対して注視してまいります。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2020年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による経済活動の停滞や米中関係の悪化などの環境変化により、中期計画の基本目標のうち売上高は未達となりましたが、その他の項目に関しましては「ロスカット活動」による生産性向上・コスト水準の引き下げにより目標を達成いたしました。引き続き「ロスカット活動」を推進し、社会課題の解決に資する開発投資に重点的に振り向けていくことにより、各事業の強化、業績の向上に努めてまいる所存でございます。
2020年度中期計画の目標と実績
2020年度
中計目標
2020年度
実 績
売 上 高1,800億円以上1,451億円
営業利益率8%以上8.4%
R O E10%以上11.0%
開発費率 (注)5%以上5%
連結配当性向
(3年平均利益)
30%30%

(注) 連結売上高に対する開発費の比率。開発費は研究開発費だけでなく
特許料などの開発関連費用を含む。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末現在で入手可能な情報をもとに見積りを行っております。
a 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
c たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の評価において原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、たな卸資産について過去の滞留期間ごとの在庫の販売実績や廃却実績をもとに簿価切下げを行っております。実際の将来需要又は市場状況が当社グループによる見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。