有価証券報告書-第50期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/27 15:00
【資料】
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【項目】
138項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、欧米においては個人消費が底堅く推移し、インフレも徐々に減速したことで利下げ局面に移行するなど景気は持ち直しの動きが見られたものの、中国経済は不動産不況の影響などにより足踏み状態となり、今後についても中東やウクライナ情勢をはじめとした地政学的リスクの高まりや、米中対立の激化、米国におけるインフレの再燃リスクなど、予断を許さない状況が続いております。
わが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が堅調に推移したものの、海外経済の失速や米国新政権の政策動向、不安定な為替相場など、景気の下押しリスクに注意する必要があります。
この様な状況の中で当社グループでは、家電向け製品や照明向け製品が顧客の在庫調整や住宅市場の低迷などの影響で出荷が減少したほか、環境対応車向け製品が中国市場における収益性確保を優先したことで減収したものの、ADAS向け車載安全製品やセキュリティ向け製品が受注の拡大などにより、堅調に推移したこと、為替が円安に進行したことなどから、前期比で増収となりました。また、生産工程の合理化・自動化や、配送手段の見直しなどによるコスト削減に取り組むと共に、生産管理や部材発注の精度向上による在庫の削減をはじめとした資本効率の改善に注力してまいりました。
この様な状況、活動の結果、売上高は25,037百万円(前期比2.4%増)となりました。利益面では、売上高の増加や原価改善などにより営業利益は4,961百万円(前期比8.5%増)、経常利益は為替差益の増加などにより5,844百万円(前期比10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,162百万円(前期比12.7%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ153百万円減少し45,772百万円となりました。その主な要因は、棚卸資産が788百万円減少したことなどによります。固定資産は、前連結会計年度に比べ579百万円増加し12,574百万円となりました。これらにより資産合計は、前連結会計年度末に比べ426百万円増加し58,347百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ810百万円増加し6,099百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ384百万円減少し52,247百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益5,902百万円、減価償却費1,370百万円、棚卸資産の減少による892百万円などのキャッシュ増加要因がありましたが、売上債権の増加による552百万円や、法人税等の支払額1,456百万円などのキャッシュ減少要因により全体で6,545百万円の収入(前連結会計年度は5,192百万円の収入)となりました。前連結会計年度と比べて1,353百万円の収入増となりましたが、その主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加632百万円や、法人税等の支払額が1,043百万円減少したことなどであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、定期預金の払戻などによる純額10,211百万円の収入、有形固定資産の取得による1,557百万円の支出などにより全体で8,649百万円の収入(前連結会計年度は154百万円の支出)となりました。前連結会計年度末と比較して8,804百万円の収入増加となりましたが、その主な要因は定期預金の払戻による収入が純額で8,953百万円増加したことなどであります。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、自己株式の取得による3,953百万円の支出、配当金の支払いによる2,358百万円などにより全体で6,425百万円の支出(前連結会計年度は3,082百万円の支出)となりました。支出額が前連結会計年度末に比べ3,343百万円増加しましたが、その主な要因は自己株式の取得による支出が3,923百万円増加したことなどによります。
以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は9,069百万円増加し残高は24,806百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電子部品並びにその関連製品の製造販売を主たる目的とした単一事業であるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
前年同期比(%)
電子部品並びに関連製品の製造販売(百万円)24,971106.0
合計(百万円)24,971106.0

(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
電子部品並びに関連製品の製造販売24,102103.84,56383.0
合計24,102103.84,56383.0

(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
前年同期比(%)
電子部品並びに関連製品の製造販売(百万円)25,037102.4
合計(百万円)25,037102.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱中外3,99816.365,67022.65

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は25,037百万円で前連結会計年度に比べ587百万円の増収となりました。売上総利益は、前連結会計年度に比べ349百万円増益の7,189百万円となりました。なお、売上原価率は71.3%で前連結会計年度に比べ0.7ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて37百万円減少し2,227百万円となりました。
経常利益は、営業利益が387百万円増加したことなどにより前連結会計年度に比べ531百万円増加し5,844百万円となりました。
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ632百万円増加し5,902百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ468百万円増加し4,162百万円となりました。
以上の結果、目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は下記のようになりました。
指標当連結会計年度目標値
自己資本比率85.5%60%以上
経常利益率23.3%20%以上
ROE(自己資本利益率)8.3%9%以上

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ153百万円減少し45,772百万円となりました。その主な要因は、棚卸資産が788百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ579百万円増加し12,574百万円となりました。その主な要因は、建設仮勘定が523百万円増加したこと、株価の上昇により投資有価証券が381百万円増加したことなどによります。
これらにより資産合計は、前連結会計年度末に比べ426百万円増加し58,347百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ810百万円増加し6,099百万円となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が323百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ384百万円減少し52,247百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の増加468百万円、剰余金の配当の減少591百万円により1,802百万円増加、自己株式が取得により3,953百万円増加、また、為替換算調整勘定が1,319百万円増加したことなどによります。
今後の経済見通しにつきましては、各国におけるインフレの鎮静化と金融緩和が景気の押し上げ材料になる一方、米国におけるインフレの再燃や新政権の政策が経済に与える影響、地政学的リスクの高まりなど依然として今後の先行きは不透明な状況ではありますが、様々な環境変化に柔軟に対応し、更なる業績向上に努めてまいります。
当社グループとしては、快適な生活環境の市場が加速している中で、サステナビリティへの取り組みについても重要な経営課題であると認識しており、当社製品を通じた環境・社会課題解決への貢献を目指しております。今後も安全、安心、省エネ、車載に関連する電子部品の需要が更に拡大が見込まれており、車載向け製品の生産能力増強を見据え、現在建設中のフィリピン拠点における新工場の増築をはじめ、今後需要が見込まれる分野へ積極的な成長投資に加え、安定的かつ機動的な株主還元及び資本政策を遂行してまいります。
また、ステークホルダーの満足度、企業価値の長期的な向上を図る上で、投下可能な資本をいかにしてリターンの高い分野に投下し、目標とする経営指標(自己資本比率:60%以上、経常利益率:20%以上、自己資本利益(ROE):9%以上)の達成を目指すと共に、株価純資産倍率(PBR)、資本コスト及びキャッシュ・フローを強く意識した経営管理を行ってまいります。
具体的には、自動化設備の導入や製造工程の合理化による生産性や品質の向上、配送方法の最適化やDX化による間接部門の業務効率改善などを通じた各作業の見直しによる継続的なコスト削減、資本効率性を踏まえた用途、案件の選択と集中などに取り組むことで、収益性の向上を目指します。
また、課題である資本効率の改善を図るべく、生産管理や部材発注の精度向上による在庫の削減並びに回転期間の適正化、さらに、企業の中長期的な企業価値向上において必須である、資本政策の最適化や多様な人材の社内研修などを通じた人材育成体制の強化に努めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び人件費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主として生産能力の拡充や効率化、新製品開発などに必要な設備投資や、研究開発に対する投資によるものであり、加えて事業の買収資金等も投資資金として位置付けております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は営業キャッシュ・フローによる自己資金によって賄うことを基本としており、大型の投資案件や長期運転資金の必要性が生じた場合は自己資金を基本としつつ市場からの調達或いは金融機関からの借入などその時の経営環境に応じて柔軟に対応していく方針です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。