有価証券報告書-第121期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当企業集団(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦問題による世界経済の減速の影響を受けて製造業を中心に国内景況感が悪化するなど不透明な状況が続く中、本年に入り新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国内外の経済は急激に落ち込み、先行きについても極めて厳しい状況が続くと見込まれます。
日本造船工業会によりますと、2019年暦年における世界新造船竣工量は前年同期比14.4%増の6,614万総トン、新造船受注量は前年同期比17.7%減の4,149万総トンとなりました。竣工量については2020年7月以降の竣工船が対象となるIMO(国際海事機関)の調和共通構造規則(H-CSR)の適用を回避するために駆け込み建造があった影響もあり前年同期よりも大幅に増加しましたが、その反動もあって受注量が前年同期よりも大幅に減少し、世界の新造船手持工事量は16年ぶりの低水準となりました。本年度後半から新造船需要には回復の兆しが見え、2020年春節明けの商談の活発化が期待されておりましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により世界経済の減速と海運・造船市況の低迷はしばらく続くと予想されることから、船主の新造船発注意欲は大きく減退しました。一方、新型コロナウイルスによる急速な景気悪化に対して各国政府が積極的な景気刺激策を打ち出すものと予測され、感染の沈静化とともに世界貿易を担う海上輸送が正常化し、新造船需要も回復することが期待されます。
当企業集団におきましては、当連結会計年度の最重要課題として、中核事業である新造船事業の積年の問題であった佐世保重工業株式会社における工程混乱の後遺症である後続船の納期遅延などの抜本的解決に取り組み、完工・引渡船が2017年は2隻、2018年は4隻にとどまった両年度からのずれ込み船を含め同社は本年度に9隻を完工・引渡し、納期問題をほぼ解決させました。
当連結会計年度の売上高は、中核である新造船事業において、佐世保重工業株式会社が前年度竣工予定船が本年度にずれ込み前年より増収となったものの、当社および函館どつく株式会社は需要環境に合わせて操業度を低下させたことに加え、何れも船価の低い新造船が売上対象となったことで売上総額は減少し、修繕船事業においては佐世保重工業株式会社の国内艦艇の大型定期検査工事が端境期であったこと、前第2四半期連結累計期間まで鉄構・機械事業の主要子会社でありましたオリイメック株式会社が当連結会計年度には連結対象外となったこと等により111,887百万円(前年同期比10.2%減)となりました。損益面では、新造船事業において、売上対象船が総じて低船価であった上に佐世保重工業株式会社の当期売上ずれ込み船の原価が大幅に悪化したこと、鋼材など資材価格の高止まりや佐世保重工業株式会社の納期問題解決を最優先させたこともあってグループを挙げて取り組んでおりますコスト合理化計画の進捗が遅れていること、当連結会計年度末の米ドル為替レートが前年末と比較して円高になったことにより工事損失引当金の実質的な繰入額が増加したことなどにより、営業損失は16,022百万円(前年同期は4,114百万円の営業損失)、経常損失は16,284百万円(前年同期は3,872百万円の経常損失)となり、特別損失として投資有価証券評価損1,913百万円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は17,958百万円(前年同期は1,006百万円の純利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は18,030百万円(前年同期は621百万円の純利益)となりました。なお、当社は、保有する連結子会社である佐世保重工業株式会社の株式について8,205百万円の減損処理を行いましたが、連結決算上は消去されるため、連結業績への影響はありません。
当期末の連結自己資本比率は40.2%、当社単体の自己資本比率は51.2%であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、「機械事業」につきまして、オリイメック株式会社が連結子会社から外れたことにより事業内容の類似性および関連性の観点からセグメント区分の見直しを行い、佐世保重工業株式会社における舶用機械事業を第1四半期連結会計期間より従来の「鉄構陸機事業」と統合し、セグメントの名称を「鉄構・機械事業」に変更しております。これにより報告セグメントを従来の「新造船事業」、「修繕船事業」、「機械事業」、「鉄構陸機事業」および「その他事業」から、「新造船事業」、「修繕船事業」、「鉄構・機械事業」および「その他事業」の区分に変更しております。
以下の前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
新造船事業
受注から完工まで1年を超える新造船事業では工事進行基準を採用しております。
当連結会計年度の売上高は、佐世保重工業株式会社において工程混乱による納期遅延の解決を最優先させたことにより完工が前期から当期にずれ込んだことから、当社グループとして過去最高の竣工量となりましたものの、売上対象船が何れも低船価であったことから、90,174百万円(前年同期比5.6%減)となりました。一方、損益面につきましては、低船価であったことに加えて佐世保重工業株式会社の当期ずれ込み船の原価が予想以上に悪化したこと、グループのコスト合理化計画の進捗の遅れと当連結会計年度末の米ドル為替レートが前年末と比較して円高になったことにより工事損失引当金の実質的な繰入額が予想より増加したことなどの影響により営業損失は15,617百万円(前年同期は4,273百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度におきましては、超大型油送船(VLCC)3隻、大型鉱石運搬船(VLOC)3隻、大型撒積運搬船2隻、中型油送船4隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船6隻の合計24隻を完工し、超大型油送船(VLCC)2隻、大型撒積運搬船1隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船1隻、小型内航船1隻の合計11隻を受注し、受注残高は138,801百万円(前年同期比 34.1%減)となりました。
グループのコスト合理化計画の一環として検討しておりました当社伊万里工場における佐世保重工業株式会社向け大型ブロックの製作は、本年4月1日より本格的に始まりました。船殻重量の50%に相当する平行部ブロックの大部分を伊万里の平行部ブロック専用設備で製作することにより製作費が削減されることに加えて、佐世保重工業株式会社の社外工を操業量に見合った人数に削減することにより製造現場の本社工比率が従来に比べて2倍に改善され、技能のレベルアップと管理密度の改善によるコストダウンや新造船需要減少に弾力的な対応を図ります。
環境規制が国際的に強化される中、次世代を見据えた環境負荷の低い船舶の研究開発に取り組み、LNGを燃料とする世界初の大型石炭専用船の受注が内定しています。本船は環境負荷の低減に向けた有効な手段の一つであるLNGを主燃料として使用することにより、二酸化炭素や硫黄酸化物等の排出量を大幅に削減しており、低炭素社会の実現に寄与できるものと考えております。
なお、当連結会計年度における売上計上の米ドル額は830百万米ドルで、その平均レートは1米ドル当たり108円57銭であります。
修繕船事業
佐世保重工業株式会社および函館どつく株式会社が担う修繕船事業におきましては、艦艇工事を主力としつつ、立地特性を生かした官庁船、一般商船、特殊船、漁船の修繕工事に積極的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、函館どつく株式会社は順調に推移したものの佐世保重工業株式会社において国内艦艇の大型定期検査工事等が端境期であったことから期中の完工が減少し10,142百万円(前年同期比19.1%減)、営業利益は359百万円(前年同期比34.9%減)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は4,094百万円(前年同期比7.3%増)であります。
鉄構・機械事業
当連結会計年度の売上高は、鉄構部門においては九州地方整備局ご発注の大川高架橋P31-P34(548トン)などを予定通り完工し、舶用クランク軸などの舶用機器部門においては売上を伸ばしましたが、主要子会社でありましたオリイメック株式会社が当連結会計年度には連結対象外となったことにより減少し、6,476百万円(前年同期比45.4%減)、営業利益は582百万円(前年同期比47.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は5,063百万円(前年同期比8.1%減)であります。
その他事業
当連結会計年度の売上高は5,095百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益は1,284百万円(前年同期比90.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は627百万円(前年同期比17.6%減)であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く前年同期増減率は21.6%です
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く受注高の前年同期増減率は△23.3%です。
また、前期末の受注残高にはオリイメック株式会社による受注残高は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く前年同期増減率は△12.8%です。
(3)財政状態
流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金が減少したこと、新造船事業において前期末までに計上済みの売掛金が工事完成に伴って減少したこと等により、前連結会計年度末比36,140百万円減少し、84,818百万円となりました。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、投資有価証券の時価下落による減少等により、前連結会計年度末比555百万円減少し、53,304百万円となりました。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、主に前受金および工事損失引当金が減少したこと等により、前連結会計年度末比15,983百万円減少し、61,721百万円となりました。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、主に長期借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末比1,795百万円減少し、20,353百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等に伴い、利益剰余金が減少したこと等により、前連結会計年度末比18,917百万円減少し、56,048百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物につきましては、前連結会計年度末に比べ21,933百万円減少し、44,256百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、11,639百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ3,974百万円増加しており、これは主に税金等調整前当期純損失となりましたものの、工事損失引当金が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,983百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ12,578百万円減少しており、これは主に前連結会計年度は連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が多額に計上されていたこと、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,297百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ2,018百万円減少しており、これは主に借入れによる収入が減少したことなどによるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財務政策
当社グループの事業活動にかかる運転資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、必要に応じて不足分について銀行借入による調達を実施しております。設備投資資金等の長期的資金については、設備投資計画や事業投資計画に基づき、金利動向や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案した上で長期借入金(や社債)等により調達することを基本方針としております。
主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また国内金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、今回の新型コロナウイルス感染症などの不測の事態に対応できる体制を整えています。
② 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、鋼材や資機材などの原材料費および外注加工費、人件費のほか、技術力強化や新船型開発、品質向上のための研究開発費が主な内容となっております。投資活動については、生産効率の改善や競争力強化のための設備投資・更新等の費用があります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 工事進行基準適用売上高の工事進捗率
収益計上基準として工事進行基準を適用する工事について、決算日における工事進捗度は原価比例法を用いており、工事進捗度は期末日までに発生した実績原価を工事原価総額で除して算定されます。特に新造船事業においては、受注から竣工引渡しまで通常およそ2~3年の期間を要することから、工事原価総額を構成する各原価要素について不確実性があります。
工事原価総額は材料費、労務費及び経費で構成されますが、材料費は原材料価格等の変動の影響を受け、労務費及び経費は将来の原価低減施策の効果の発現や工程管理の良否に依存することから、一定の仮定をおいて見積もっております。
材料費は期末日における原材料価格等の水準が一定期間継続するとの仮定をおいており、また労務費及び経費の見積りについては、直近の実績を基礎として今後の生産計画等を加味して合理的に見積もっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において売上高の金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 工事損失引当金
決算日時点の手持受注工事のうち、工事原価総額が受注金額を超過することが確実視される工事について、損失額を見積り、工事損失引当金を計上するとともにその繰入額を売上原価に含めて処理しております。
工事原価総額の見積りについて、①で記載のとおり、材料費は期末日における原材料価格等の水準が一定期間継続するとの仮定をおいており、また労務費及び経費の見積りについては、直近の実績を基礎として今後の生産計画等を加味して合理的に見積もっております。
また、受注金額はほぼ米ドル建てであるため為替レート変動の影響を受けます。将来の為替レートについて期末日における水準から大きく変動しないとの仮定をおいて見積もっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する工事損失引当金及び工事損失引当金繰入額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ 退職給付債務の算定
当社グループでは主として確定給付型の退職金制度を採用しております。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フロー
固定資産の減損損失認識判定を実施するにあたり、資産グループの継続的使用によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローは、承認された中期経営計画を基礎とし、新造船の船価は市場の景気サイクルを反映するため現在及び過去の状況を考慮して合理的に見積もっています。また、原材料価格や為替相場の変動などの情報を整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値に、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえ、将来戦略を織り込んだ生産・受注計画を用いて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において固定資産の減損損失を計上する可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦問題による世界経済の減速の影響を受けて製造業を中心に国内景況感が悪化するなど不透明な状況が続く中、本年に入り新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国内外の経済は急激に落ち込み、先行きについても極めて厳しい状況が続くと見込まれます。
日本造船工業会によりますと、2019年暦年における世界新造船竣工量は前年同期比14.4%増の6,614万総トン、新造船受注量は前年同期比17.7%減の4,149万総トンとなりました。竣工量については2020年7月以降の竣工船が対象となるIMO(国際海事機関)の調和共通構造規則(H-CSR)の適用を回避するために駆け込み建造があった影響もあり前年同期よりも大幅に増加しましたが、その反動もあって受注量が前年同期よりも大幅に減少し、世界の新造船手持工事量は16年ぶりの低水準となりました。本年度後半から新造船需要には回復の兆しが見え、2020年春節明けの商談の活発化が期待されておりましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により世界経済の減速と海運・造船市況の低迷はしばらく続くと予想されることから、船主の新造船発注意欲は大きく減退しました。一方、新型コロナウイルスによる急速な景気悪化に対して各国政府が積極的な景気刺激策を打ち出すものと予測され、感染の沈静化とともに世界貿易を担う海上輸送が正常化し、新造船需要も回復することが期待されます。
当企業集団におきましては、当連結会計年度の最重要課題として、中核事業である新造船事業の積年の問題であった佐世保重工業株式会社における工程混乱の後遺症である後続船の納期遅延などの抜本的解決に取り組み、完工・引渡船が2017年は2隻、2018年は4隻にとどまった両年度からのずれ込み船を含め同社は本年度に9隻を完工・引渡し、納期問題をほぼ解決させました。
当連結会計年度の売上高は、中核である新造船事業において、佐世保重工業株式会社が前年度竣工予定船が本年度にずれ込み前年より増収となったものの、当社および函館どつく株式会社は需要環境に合わせて操業度を低下させたことに加え、何れも船価の低い新造船が売上対象となったことで売上総額は減少し、修繕船事業においては佐世保重工業株式会社の国内艦艇の大型定期検査工事が端境期であったこと、前第2四半期連結累計期間まで鉄構・機械事業の主要子会社でありましたオリイメック株式会社が当連結会計年度には連結対象外となったこと等により111,887百万円(前年同期比10.2%減)となりました。損益面では、新造船事業において、売上対象船が総じて低船価であった上に佐世保重工業株式会社の当期売上ずれ込み船の原価が大幅に悪化したこと、鋼材など資材価格の高止まりや佐世保重工業株式会社の納期問題解決を最優先させたこともあってグループを挙げて取り組んでおりますコスト合理化計画の進捗が遅れていること、当連結会計年度末の米ドル為替レートが前年末と比較して円高になったことにより工事損失引当金の実質的な繰入額が増加したことなどにより、営業損失は16,022百万円(前年同期は4,114百万円の営業損失)、経常損失は16,284百万円(前年同期は3,872百万円の経常損失)となり、特別損失として投資有価証券評価損1,913百万円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は17,958百万円(前年同期は1,006百万円の純利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は18,030百万円(前年同期は621百万円の純利益)となりました。なお、当社は、保有する連結子会社である佐世保重工業株式会社の株式について8,205百万円の減損処理を行いましたが、連結決算上は消去されるため、連結業績への影響はありません。
当期末の連結自己資本比率は40.2%、当社単体の自己資本比率は51.2%であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、「機械事業」につきまして、オリイメック株式会社が連結子会社から外れたことにより事業内容の類似性および関連性の観点からセグメント区分の見直しを行い、佐世保重工業株式会社における舶用機械事業を第1四半期連結会計期間より従来の「鉄構陸機事業」と統合し、セグメントの名称を「鉄構・機械事業」に変更しております。これにより報告セグメントを従来の「新造船事業」、「修繕船事業」、「機械事業」、「鉄構陸機事業」および「その他事業」から、「新造船事業」、「修繕船事業」、「鉄構・機械事業」および「その他事業」の区分に変更しております。
以下の前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
新造船事業
受注から完工まで1年を超える新造船事業では工事進行基準を採用しております。
当連結会計年度の売上高は、佐世保重工業株式会社において工程混乱による納期遅延の解決を最優先させたことにより完工が前期から当期にずれ込んだことから、当社グループとして過去最高の竣工量となりましたものの、売上対象船が何れも低船価であったことから、90,174百万円(前年同期比5.6%減)となりました。一方、損益面につきましては、低船価であったことに加えて佐世保重工業株式会社の当期ずれ込み船の原価が予想以上に悪化したこと、グループのコスト合理化計画の進捗の遅れと当連結会計年度末の米ドル為替レートが前年末と比較して円高になったことにより工事損失引当金の実質的な繰入額が予想より増加したことなどの影響により営業損失は15,617百万円(前年同期は4,273百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度におきましては、超大型油送船(VLCC)3隻、大型鉱石運搬船(VLOC)3隻、大型撒積運搬船2隻、中型油送船4隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船6隻の合計24隻を完工し、超大型油送船(VLCC)2隻、大型撒積運搬船1隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船1隻、小型内航船1隻の合計11隻を受注し、受注残高は138,801百万円(前年同期比 34.1%減)となりました。
グループのコスト合理化計画の一環として検討しておりました当社伊万里工場における佐世保重工業株式会社向け大型ブロックの製作は、本年4月1日より本格的に始まりました。船殻重量の50%に相当する平行部ブロックの大部分を伊万里の平行部ブロック専用設備で製作することにより製作費が削減されることに加えて、佐世保重工業株式会社の社外工を操業量に見合った人数に削減することにより製造現場の本社工比率が従来に比べて2倍に改善され、技能のレベルアップと管理密度の改善によるコストダウンや新造船需要減少に弾力的な対応を図ります。
環境規制が国際的に強化される中、次世代を見据えた環境負荷の低い船舶の研究開発に取り組み、LNGを燃料とする世界初の大型石炭専用船の受注が内定しています。本船は環境負荷の低減に向けた有効な手段の一つであるLNGを主燃料として使用することにより、二酸化炭素や硫黄酸化物等の排出量を大幅に削減しており、低炭素社会の実現に寄与できるものと考えております。
なお、当連結会計年度における売上計上の米ドル額は830百万米ドルで、その平均レートは1米ドル当たり108円57銭であります。
修繕船事業
佐世保重工業株式会社および函館どつく株式会社が担う修繕船事業におきましては、艦艇工事を主力としつつ、立地特性を生かした官庁船、一般商船、特殊船、漁船の修繕工事に積極的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、函館どつく株式会社は順調に推移したものの佐世保重工業株式会社において国内艦艇の大型定期検査工事等が端境期であったことから期中の完工が減少し10,142百万円(前年同期比19.1%減)、営業利益は359百万円(前年同期比34.9%減)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は4,094百万円(前年同期比7.3%増)であります。
鉄構・機械事業
当連結会計年度の売上高は、鉄構部門においては九州地方整備局ご発注の大川高架橋P31-P34(548トン)などを予定通り完工し、舶用クランク軸などの舶用機器部門においては売上を伸ばしましたが、主要子会社でありましたオリイメック株式会社が当連結会計年度には連結対象外となったことにより減少し、6,476百万円(前年同期比45.4%減)、営業利益は582百万円(前年同期比47.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は5,063百万円(前年同期比8.1%減)であります。
その他事業
当連結会計年度の売上高は5,095百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益は1,284百万円(前年同期比90.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は627百万円(前年同期比17.6%減)であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期増減率(%) |
| 新造船事業 | 109,338 | 2.9 |
| 修繕船事業 | 9,828 | △4.8 |
| 鉄構・機械事業 | 6,845 | △24.3 |
| その他事業 | 8,124 | 48.1 |
| 合計 | 134,135 | 2.3 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く前年同期増減率は21.6%です
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期 増減率(%) | 受注残高(百万円) | 前期末増減率(%) |
| 新造船事業 | 51,271 | △21.0 | 138,801 | △34.1 |
| 修繕船事業 | 10,422 | △12.1 | 4,094 | 7.3 |
| 鉄構・機械事業 | 6,029 | △56.4 | 5,063 | △8.1 |
| その他事業 | 4,960 | 1.6 | 627 | △17.6 |
| 合計 | 72,682 | △23.9 | 148,585 | △32.6 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く受注高の前年同期増減率は△23.3%です。
また、前期末の受注残高にはオリイメック株式会社による受注残高は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期増減率(%) |
| 新造船事業 | 115,915 | 20.9 |
| 修繕船事業 | 10,142 | △19.1 |
| 鉄構・機械事業 | 6,476 | △48.8 |
| その他事業 | 5,095 | 9.5 |
| 合計 | 137,628 | 9.5 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く前年同期増減率は△12.8%です。
(3)財政状態
流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金が減少したこと、新造船事業において前期末までに計上済みの売掛金が工事完成に伴って減少したこと等により、前連結会計年度末比36,140百万円減少し、84,818百万円となりました。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、投資有価証券の時価下落による減少等により、前連結会計年度末比555百万円減少し、53,304百万円となりました。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、主に前受金および工事損失引当金が減少したこと等により、前連結会計年度末比15,983百万円減少し、61,721百万円となりました。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、主に長期借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末比1,795百万円減少し、20,353百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等に伴い、利益剰余金が減少したこと等により、前連結会計年度末比18,917百万円減少し、56,048百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物につきましては、前連結会計年度末に比べ21,933百万円減少し、44,256百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、11,639百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ3,974百万円増加しており、これは主に税金等調整前当期純損失となりましたものの、工事損失引当金が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,983百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ12,578百万円減少しており、これは主に前連結会計年度は連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が多額に計上されていたこと、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,297百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ2,018百万円減少しており、これは主に借入れによる収入が減少したことなどによるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財務政策
当社グループの事業活動にかかる運転資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、必要に応じて不足分について銀行借入による調達を実施しております。設備投資資金等の長期的資金については、設備投資計画や事業投資計画に基づき、金利動向や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案した上で長期借入金(や社債)等により調達することを基本方針としております。
主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また国内金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、今回の新型コロナウイルス感染症などの不測の事態に対応できる体制を整えています。
② 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、鋼材や資機材などの原材料費および外注加工費、人件費のほか、技術力強化や新船型開発、品質向上のための研究開発費が主な内容となっております。投資活動については、生産効率の改善や競争力強化のための設備投資・更新等の費用があります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 工事進行基準適用売上高の工事進捗率
収益計上基準として工事進行基準を適用する工事について、決算日における工事進捗度は原価比例法を用いており、工事進捗度は期末日までに発生した実績原価を工事原価総額で除して算定されます。特に新造船事業においては、受注から竣工引渡しまで通常およそ2~3年の期間を要することから、工事原価総額を構成する各原価要素について不確実性があります。
工事原価総額は材料費、労務費及び経費で構成されますが、材料費は原材料価格等の変動の影響を受け、労務費及び経費は将来の原価低減施策の効果の発現や工程管理の良否に依存することから、一定の仮定をおいて見積もっております。
材料費は期末日における原材料価格等の水準が一定期間継続するとの仮定をおいており、また労務費及び経費の見積りについては、直近の実績を基礎として今後の生産計画等を加味して合理的に見積もっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において売上高の金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 工事損失引当金
決算日時点の手持受注工事のうち、工事原価総額が受注金額を超過することが確実視される工事について、損失額を見積り、工事損失引当金を計上するとともにその繰入額を売上原価に含めて処理しております。
工事原価総額の見積りについて、①で記載のとおり、材料費は期末日における原材料価格等の水準が一定期間継続するとの仮定をおいており、また労務費及び経費の見積りについては、直近の実績を基礎として今後の生産計画等を加味して合理的に見積もっております。
また、受注金額はほぼ米ドル建てであるため為替レート変動の影響を受けます。将来の為替レートについて期末日における水準から大きく変動しないとの仮定をおいて見積もっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する工事損失引当金及び工事損失引当金繰入額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ 退職給付債務の算定
当社グループでは主として確定給付型の退職金制度を採用しております。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フロー
固定資産の減損損失認識判定を実施するにあたり、資産グループの継続的使用によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローは、承認された中期経営計画を基礎とし、新造船の船価は市場の景気サイクルを反映するため現在及び過去の状況を考慮して合理的に見積もっています。また、原材料価格や為替相場の変動などの情報を整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値に、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえ、将来戦略を織り込んだ生産・受注計画を用いて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において固定資産の減損損失を計上する可能性があります。