有価証券報告書-第57期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/26 9:04
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当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
① 事業全体の状況
(資産の状況)
当連結会計年度末の流動資産は電子記録債権等の売上債権及び棚卸資産の増加などにより33,350百万円(前連結会計年度末に比べ 3,311百万円の増加)となりました。固定資産は機械装置及び運搬具及び投資有価証券の増加などにより 22,216百万円(前連結会計年度末に比べ 1,244百万円の増加)となりました。その結果、資産合計では 55,567百万円(前連結会計年度末に比べ 4,555百万円の増加)となりました。
(負債の状況)
当連結会計年度末の流動負債は短期借入金の増加などにより 10,607百万円(前連結会計年度末に比べ 293百万円の増加)となりました。固定負債は長期借入金の減少などにより 4,750百万円(前連結会計年度末に比べ 368百万円の減少)となりました。その結果、負債合計では 15,358百万円(前連結会計年度末に比べ 74百万円の減少)となりました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産合計は利益剰余金の増加などにより 40,209百万円(前連結会計年度末に比べ 4,630百万円の増加)となりました。自己資本比率は 60.5%となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(分析機器事業)
分析機器事業におきましては、当連結会計年度末の流動資産は電子記録債権等の売上債権及び棚卸資産の増加などにより 15,683百万円(前連結会計年度末に比べ 1,168百万円の増加)となりました。固定資産は投資有価証券の増加などにより 12,464百万円(前連結会計年度末に比べ 989百万円の増加)となりました。その結果、資産合計では 28,147百万円(前連結会計年度末に比べ 2,158百万円の増加)となりました。
当連結会計年度末の流動負債は電子記録債務等の仕入債務の増加などにより 5,568百万円(前連結会計年度末に比べ 330百万円の増加)となりました。固定負債は長期借入金の減少などにより 2,327百万円(前連結会計年度末に比べ 134百万円の減少)となりました。その結果、負債合計では 7,896百万円(前連結会計年度末に比べ 196百万円の増加)となりました。
(半導体事業)
半導体事業におきましては、当連結会計年度末の流動資産は電子記録債権等の売上債権及び棚卸資産の増加などにより 16,078百万円(前連結会計年度末に比べ 1,732百万円の増加)となりました。固定資産は機械装置及び運搬具の増加などにより 9,675百万円(前連結会計年度末に比べ 226百万円の増加)となりました。その結果、資産合計では 25,753百万円(前連結会計年度末に比べ 1,958百万円の増加)となりました。
当連結会計年度末の流動負債は買掛金等の仕入債務の減少などにより 4,185百万円(前連結会計年度末に比べ 375百万円の減少)となりました。固定負債は長期借入金の減少などにより 2,413百万円(前連結会計年度末に比べ 229百万円の減少)となりました。その結果、負債合計では 6,599百万円(前連結会計年度末に比べ 605百万円の減少)となりました。
(自動認識事業)
自動認識事業におきましては、当連結会計年度末の流動資産は原材料の増加などにより 1,602百万円(前連結会計年度末に比べ 404百万円の増加)となりました。固定資産は退職給付に係る資産の増加などにより 82百万円(前連結会計年度末に比べ 28百万円の増加)となりました。その結果、資産合計では1,684百万円(前連結会計年度末に比べ 432百万円の増加)となりました。
当連結会計年度末の流動負債は買掛金等の仕入債務の増加などにより 867百万円(前連結会計年度末に比べ 332百万円の増加)となりました。固定負債は役員退職慰労引当金の減少により 9百万円(前連結会計年度末に比べ 4百万円の減少)となりました。その結果、負債合計では 876百万円(前連結会計年度末に比べ 328百万円の増加)となりました。
(2) 経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い経済活動の正常化が進み、緩やかな回復の動きが見られました。しかし、長期化するウクライナ情勢に加え、中東情勢が緊迫化するなどの地政学的リスクの影響により、原油等をはじめとするエネルギー資源や原材料価格の高騰及び為替相場の円安基調の継続による物価高の影響が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経済環境下におきまして、当社グループは、中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の達成に向けて、分析機器事業は「挑戦」のスローガンのもとクロマトグラフィー事業の持続的拡大、経営基盤の強化等に取り組んでまいりました。また、半導体事業は石英ガラス・シリコン加工における世界有数の「半導体関連精密パーツ総合メーカー」としての地位確立を目指して生産能力増強や営業力強化等に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高につきましては、37,148百万円(前連結会計年度比 4.0%減)となりました。損益につきましては、営業利益は 5,714百万円(前連結会計年度比 5.3%減)、経常利益は 6,108百万円(前連結会計年度比 5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 3,430百万円(前連結会計年度比 2.0%減)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
売上高(百万円)営業利益(百万円)
前連結会計年度当連結会計年度前期比(%)前連結会計年度当連結会計年度前期比(%)
分析機器事業17,16318,2816.51,8881,9623.9
半導体事業20,00317,029△14.94,0683,615△11.1
自動認識事業1,5131,83621.36713498.5
小 計38,67937,148△4.06,0245,712△5.2
消去又は全社---91△87.8
合 計38,67937,148△4.06,0345,714△5.3

(分析機器事業)
分析機器事業におきましては、これまで生産に影響を受けてきた半導体及び部材の世界的な供給不足の緩和にともない、売上高は前連結会計年度を上回ることができました。
国内売上高は、消耗品が食品、環境、受託分析、無機化学など、多くの分野で増収となりました。特に液体クロマトグラフィー用カラムや部品類、標準試薬、アフターサービスが好調でした。装置類においては納入先の設備工事遅延等もありましたが、その影響は限定的であり、売上は前連結会計年度を上回りました。水質分析、受託分析における自社及び他社の高速液体クロマトグラフ関連装置、カーボンニュートラル分野における特注装置を含むガスクロマトグラフ関連装置及び他社装置などが好調で、装置全体でも増収となりました。
海外売上高は、ウクライナや中東情勢の影響もありましたが、アジアや北米などを中心に幅広い地域で前連結会計年度の売上を上回りました。品目別では、製薬企業向けを中心とした液体クロマトグラフ用カラム、環境分析用の消耗品、及びOEM製品も引き続き好調を維持しており、増収となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は 18,281百万円(前連結会計年度比 6.5%増)、営業利益は 1,962百万円(前連結会計年度比 3.9%増)となりました。
(半導体事業)
半導体業界におきましては、パソコンやスマートフォン向け需要の減退によるメモリー在庫の滞留が続いておりましたが、足元ではやや緩和している状況です。また、生成AI分野の需要拡大を受け、国内外で先端半導体の製造工場の新設や増設といった、今後を見据えた積極的な設備投資が相次いで計画・実行されており、引き続き着実な成長が見込まれております。
以上のような環境の中、当事業では、今後に向けた新規需要の掘り起こし、国内の増産体制構築のための準備、その他の業務改善活動を推進しながら、効率的な生産活動を展開してまいります。また、足元の受注高及び売上高は回復基調にあり、受注残高は引き続き高水準を持続しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は 17,029百万円(前連結会計年度比 14.9%減)、営業利益は 3,615百万円(前連結会計年度比 11.1%減)となりました。
(自動認識事業)
自動認識事業におきましては、バイタルチェックシステム装置を含む医療関連装置向け機器組込製品、入退室システム関連装置向けとしたセキュアマイコン搭載機器組込製品、住居関連施設向け自動認識用その他製品が堅調に出荷できたことから売上高が前連結会計年度を上回りました。
製品分類毎の売上高は「機器組込製品」「完成系製品」「自動認識用その他」全てのセグメントにおいて前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は 1,836百万円(前連結会計年度比 21.3%増)、営業利益は 134百万円(前連結会計年度比98.5%増)となりました。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度末における当社グループの数値目標及び実績は次のとおりであります。
指標計画(百万円)実績(百万円)計画比(%)
売上高38,16037,148△2.7
営業利益5,4205,714+5.4
経常利益5,6606,108+7.9
親会社株主に帰属する
当期純利益
3,2003,430+7.2

② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
分析機器事業13,719+2.8
半導体事業17,040△15.1
自動認識事業1,912+36.5
合計32,672△6.1

(注) 金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
分析機器事業18,561+6.73,170+9.7
半導体事業15,994△24.56,133△14.4
自動認識事業1,749+1.3421△17.1
合計36,305△9.99,725△8.0

c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
分析機器事業18,281+6.5
半導体事業17,029△14.9
自動認識事業1,836+21.3
合計37,148△4.0

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
Applied Materials,Inc.6,20316.05,20114.0


(3) キャッシュ・フローの状況
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ819百万円増加し 6,866百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な増減要因は、以下のとおりであります。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは 3,526百万円(前連結会計年度は 1,986百万円)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益 6,245百万円の計上、法人税等の支払額 2,133百万円、減価償却費 1,698百万円、棚卸資産の増加額 1,154百万円などによります。
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは △1,685百万円(前連結会計年度は △3,596百万円)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出 1,458百万円などによります。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは △1,188百万円(前連結会計年度は 1,891百万円)となりました。
これは主に長期借入金の返済による支出 1,074百万円、配当金の支払額 665百万円、短期借入金の純増加額 495百万円などによります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金、設備投資や長期運転資金は自己資金及び金融機関からの長期借入金を資金調達の基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は 6,910百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は 6,866百万円となっております。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
自己資本比率(%)64.661.762.458.660.5
時価ベースの
自己資本比率(%)
30.566.160.546.450.8
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
1.31.71.13.62.0
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
98.999.6116.956.268.1

自己資本比率:自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い
(注1) 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
(注2) 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
(注3) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
棚卸資産の評価
当社グループは、過去の出庫実績やその時点で入手可能な情報等を基に合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で、一定年数が経過した棚卸資産や生産見込みあるいは出荷見込みがないと判断した棚卸資産について、当連結会計年度に評価損として原価に計上しております。また、評価損の見積りにあたっては、その時点での入手可能な情報等を基に合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、見積り金額が実際の結果と異なる可能性があります。