有価証券報告書-第68期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
(2019年3月期におけるハイライト)
(経営成績に関する分析)
<セグメント別業績の概況>
<日本>(単位:百万円)
2019年に60周年を迎えた定番商品「プラレール」は、テレビアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」関連商品を本格展開し、販売が好調に推移いたしました。本年2月には、「両国 プラレール駅」を期間限定で開設し、3月からは京都鉄道博物館とのコラボレーションイベントがはじまるなど様々な60周年企画をスタートさせ、話題を呼びました。また、「リカちゃん」は、ヘアアレンジが楽しめるドール「アクアカールみさきちゃん」などのビューティーシリーズや着せ替えドレスの販売が好調に推移するなど、50周年企画を終えた今期も引き続き人気を集めました。「トミカ」はリアルなエンジン音とアイドリング振動を体感できる新しいギミックを取り入れた「トミカ4D」が話題になるとともに、赤外線通信で基地がオート変形する「変形ファイヤーステーション」が好評を博すなど、堅調に推移いたしました。
次世代ベーゴマ「ベイブレードバースト」は、昨年11月にフランスで世界大会を開催するなど海外でも人気を博しており、日本からの輸出を大きく伸ばしました。また、トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」は、カード内容を見直すなど商品力を強化したことに加え、本年3月に日本一決定戦を実施するなど日本全国で様々な大会を開催したことも奏功し好評を博しました。さらに、恐竜や動物をモチーフにした自社コンテンツ「ゾイドワイルド」においては昨年6月に関連商品を発売し、7月にテレビアニメ放送をスタートさせるとともに、本年1月にはアミューズメント筐体を展開、2月にはゲームソフトを販売するなど、コンテンツ展開を積極的に進めました。
ガールズ商品では、フォトジェニックなサプライズドール「L.O.L. サプライズ!」が昨年7月の発売以来、続々とシリーズ商品を展開し、サプライズトイカテゴリーの大ヒット商品となりました。女児向け特撮テレビシリーズでは、第2弾となる「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」を展開し、テレビ放送などによるキャラクター浸透度の上昇により、関連商品の販売が好調に推移いたしました。また、キャラクター人気の高い「すみっコぐらし」においては、小学生女児を中心に関連商品が好評を得ました。
㈱タカラトミーアーツにおいては、アミューズメントマシン「ポケモンガオーレ」に加えて、「新幹線変形ロボ シンカリオン」「キラッとプリ☆チャン」「イナズマイレブン」「ゾイドワイルド」それぞれのアミューズメントマシン展開がはじまりラインナップが拡充するとともに、OEM製品の出荷が伸長いたしました。
以上により、売上高は148,732百万円(前期比2.0%増)となり、営業利益は16,734百万円(同17.4%増)と大幅な増加となりました。
<アメリカズ>(単位:百万円)
農耕車両玩具は、モデルとなるトラクターの100周年記念商品などコレクション商品の投入もあり、販売が堅調に推移いたしました。また、スマホの写真を手軽にプリントできるプリンターとして人気の日本開発商品「Printoss(プリントス)、 海外商品名:KiiPix」をアメリカ・カナダ・メキシコなどで展開し好評を得ました。売上高は、キャラクター玩具の販売が減少したことに加え一部ベビー商品の不振により、17,998百万円(前期比23.1%減)、営業損失は81百万円(前期営業利益236百万円)となりました。
<欧州>(単位:百万円)
農耕車両玩具やベビー用品が堅調に推移するとともに、「Printoss(プリントス)、海外商品名:KiiPix」は、イギリス・フランス・ドイツをはじめ8か国で商品展開し人気を集めました。一方、キャラクター玩具の販売が減少したことにより、売上高は5,325百万円(前期比27.3%減)となりました。また、一部商品の値引き販売による売上総利益の減少などにより、営業損失は659百万円(前期営業損失239百万円)となりました。
<オセアニア>(単位:百万円)
オセアニアにおいては、100周年記念商品の投入もあり、農耕車両玩具の販売が好調に推移いたしました。「Printoss(プリントス) 、海外商品名:KiiPix」を展開し評価を得たものの、キャラクター玩具の販売が減少したことから、売上高1,783百万円(前期比13.8%減)となりました。営業損失は在庫評価減の減少により、21百万円(前期営業損失240百万円)となりました。
<アジア>(単位:百万円)
次世代ベーゴマ「ベイブレードバースト」は、アジア10の国と地域でテレビアニメが放送されており、昨年9月にはアジア限定商品を新たに発売いたしました。また、韓国では学習塾を展開する企業とのイベントタイアップ、香港では小学校とのコラボレーションなど、様々なマーケティング施策に取り組み、販売が伸長いたしました。「トミカ」では、10月より台湾、香港、シンガポールにおいて、リアルなエンジン音とアイドリング振動ギミックが付いた「トミカ4D」の販売告知イベントを実施するとともに、11月には韓国のモーターショーに出展するなど、ブランド力の強化に努めました。「プラレール」においては韓国を中心に「トーマス」関連商品を販売し評価を得ました。台湾、香港、タイ、ベトナムで展開中の「リカちゃん」は、昨年9月に中国での販売を開始いたしました。また、欧米でも展開している「Printoss(プリントス) 、海外商品名:KiiPix」を中国、韓国などにおいて販売を開始いたしました。
また、アジアにおいては自社コンテンツの展開を積極的に推進し、女児向け特撮シリーズ「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」、テレビアニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」をテレビ放送いたしました。さらに、これらに加えて「ゾイドワイルド」を昨年10月から韓国、11月香港およびタイ、12月台湾、そして本年3月にはフィリピンおよびベトナムにてテレビアニメ放送をスタートさせるとともに、映像展開と前後して玩具も市場投入いたしました。また、「新幹線変形ロボ シンカリオン」においては昨年11月に香港にてテレビアニメ放送と玩具販売も開始し、好評を博しております。売上高は、生産子会社であるTOMY (Hong Kong) Ltd.における欧米向け出荷が減少したものの、54,033百万円(前期比0.9%増)、営業利益は903百万円(同13.0%増)となりました。
②財政状態の状況
<資産>流動資産は、前連結会計年度末に比較して6,084百万円増加し、94,115百万円となりました。これは主として、受取手形及び売掛金が減少した一方で、現金及び預金が増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比較して2,162百万円減少し、49,249百万円となりました。これは主として、建設仮勘定、のれん、繰延税金資産が減少したことによるものです。
<負債>流動負債は、前連結会計年度末に比較して5,981百万円増加し、59,319百万円となりました。これは主として、1年内償還予定の社債が減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等が増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比較して13,065百万円減少し、16,730百万円となりました。これは主として、長期借入金が減少したことによるものです。
<純資産>純資産は、前連結会計年度末に比較して10,992百万円増加し、67,315百万円となりました。これは主として、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、21,492百万円の収入(前年度は16,346百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益13,784百万円、減価償却費6,930百万円、売上債権の減少3,381百万円等があった一方で、法人税等の支払額3,036百万円等があったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、4,038百万円の支出(前年度は3,692百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出2,835百万円、無形固定資産の取得による支出1,397百万円等があったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、10,057百万円の支出(前年度は24,670百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入10,000百万円等があった一方で、社債の償還による支出10,000百万円、長期借入金の返済による支出6,946百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出3,317百万円等があったことによるものです。
以上の増減額に現金及び現金同等物に係る換算差額などを調整した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ7,611百万円増加して53,817百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらず見込み生産によっております。金額も僅少な為、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため販売の実績については、「第2 事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、①経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月24日)において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は我が国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し、合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 当連結会計年度の当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの概況
「第2 事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
(b) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況、1経営方針、経営環境及び対応すべき課題等、[中長期的な会社の経営戦略、会社の対応すべき課題と対応方針]」をご確認ください。
(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、金型及び筐体の購入費用のほか、仕入代金の支払、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主として新製品の開発・製造のために必要な設備投資及び物流設備投資等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保し、グループ内で効率的に活用することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を中心に賄い、一部金融機関からの短期借入金として資金調達を行うことを基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入等を基本としており、一部リースによる設備投資を行っております。
(d) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2018年5月に2019年3月期から2021年3月期までの将来3年間を対象とした中期経営計画を公表しました。
中期経営計画において、以下の中期事業戦略を掲げております。
① 自社オリジナルグローバルブランド戦略の推進
「ベイブレード」および「トランスフォーマー」に加え、「ゾイド」を自社オリジナルグローバルブランドの第3の柱として育成するために、日本のみならず海外において、アニメ放映をし、また、玩具、ゲームソフト、筺体、雑貨、アパレル等の幅広い商品の販売により、コンテンツとしての展開を拡大推進いたしました。
② 日本、アジア オリジナルブランドの創出
「ドライブヘッド」、「シンカリオン」、「ミラクルちゅーんず!」、「マジマジョピュアーズ!」等のコンテンツを日本のみならず日本と親和性の高いアジアにおいても展開しております。
③ カテゴリーNo.1戦略
各玩具カテゴリ-においてシェアNo.1になる商品を開発し、加えて、各玩具カテゴリ-においてシェアNo.1になる商品を作り出すための、営業戦略、商品販売、店頭サポ-トの営業三位一体の体制を構築いたしました。カテゴリーNo.1商品として、トミカ、プラレ-ル、リカちゃん等の定番商品に加えて、男児ホビーカテゴリーのベイブレード、TCGカテゴリーのデュエルマズターズを生み出して成長させてきており、さらに、次世代の商品として、男児ホビーカテゴリーの「爆丸」、女児ホビーカテゴリーの「L.O.Lサプライズ」についても、カテゴリ-No.1を目指してまいります。
④ ハイターゲットおよび高齢者向けビジネスの拡大
デジタル、ガチャ、バラエティ雑貨、トイホビ-、鉄道模型、トレ-ディングカードゲーム等のラインナップを取り揃えタカラトミーグループ横断での展開を実施しております。
⑤ アジア市場の拡大
トミカ、プラレ-ル、リカちゃん等の定番商品に加え、自社オリジナルグローバルブランドである「ベイブレード」、「ゾイド」など積極展開しております。
⑥ 欧米の完全立て直し
「John Deere」および「The First Years」等のコアブランドの強化に加え、日本開発のグローバル商品の展開及び欧米独自の新規商品ラインの導入により、欧米事業の再建を図っております。
また、当該中期経営計画においては下記の指標を経営目標として設定しております。
① 事業の拡大を目指す指標として売上高及び営業利益
② 稼ぐ力を図るための指標としてEBITDA
③ 資本の健全性を高めるための指標として自己資本比率
上記指標の定量的な目標として2021年3月期において「売上高1,900億円、営業利益140億円、EBITDA 230億、自己資本比率50%」の達成を目指しておりましたが、中期経営計画をスタートさせた初年度2019年3月期において日本およびアジア事業が順調に進捗したことに加え、2020年3月期内には収益性の高いデジタル事業の本格展開なども見込んでいることから、2019年5月に2021年3月期の目標を「売上高1,900億円、営業利益160億円、EBITDA 250億、自己資本比率55%」に上方修正いたしました。
また、各指標の過去5年間の推移は以下のとおりです。
各指標はいずれも当社連結ベ-スの財務数値を用いて算出しております。
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
(2019年3月期におけるハイライト)
・売上高は、国内の定番商品や今期市場投入した新規商品ラインなどの販売が好調に推移するとともに、「ベイブレードバースト」の海外向け輸出などが増加したものの、海外におけるキャラクター商品の販売が減少したことから、前期並みの176,853百万円(前期比0.3%減)となりました。 ・利益面については、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益ともに、過去最高益となりました。 営業利益は、売上高が前期並みに推移したことや、プロダクトミックスの改善による売上総利益の増加により、14,407百万円(前期比9.2%増)となりました。 経常利益は、営業利益の増加および為替差損が減少したことにより、14,303百万円(前期比15.2%増)を計上することができました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加したことにより、9,302百万円(前期比16.8%増)となりました。 ・国内市場では、定番商品の「プラレール」においてテレビアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」関連商品を本格展開し好調に販売が推移するとともに、「リカちゃん」では「アクアカールみさきちゃん」などのビューティーシリーズや着せ替えドレスの販売が伸長するなど、50周年企画を終えた今期も引き続き好評を博しました。また、トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」は商品力を強化した効果もあり好調に販売が推移いたしました。さらに、昨年夏に発売した「L.O.L. サプライズ!」はその後シリーズ商品を拡大し、“サプライズトイ”の中心商品として人気を集めました。 ・TOMY Internationalグループにおいては、農耕車両玩具のコレクターズ商品などが堅調に推移するとともに、日本開発商品である「Printoss(プリントス)、海外商品名:KiiPix」を欧米豪で展開し好評を得ました。一方、キャラクター玩具の販売が減少したことなどから、売上高および利益は減少いたしました。 |
(経営成績に関する分析)
<セグメント別業績の概況>
(単位:百万円) |
前期 | 当期 | 増減 | 増減率(%) | ||
売上高 | 177,366 | 176,853 | △512 | △0.3 | |
日本 | 145,854 | 148,732 | 2,877 | 2.0 | |
アメリカズ | 23,415 | 17,998 | △5,417 | △23.1 | |
欧州 | 7,322 | 5,325 | △1,996 | △27.3 | |
オセアニア | 2,067 | 1,783 | △284 | △13.8 | |
アジア | 53,542 | 54,033 | 490 | 0.9 | |
消去又は全社 | △54,836 | △51,018 | 3,817 | - | |
営業利益又は営業損失(△) | 13,199 | 14,407 | 1,207 | 9.2 | |
日本 | 14,255 | 16,734 | 2,478 | 17.4 | |
アメリカズ | 236 | △81 | △317 | - | |
欧州 | △239 | △659 | △419 | - | |
オセアニア | △240 | △21 | 218 | - | |
アジア | 800 | 903 | 103 | 13.0 | |
消去又は全社 | △1,612 | △2,468 | △855 | - |
<日本>(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | |
売上高 | 145,854 | 148,732 | 2,877 |
営業利益 | 14,255 | 16,734 | 2,478 |
2019年に60周年を迎えた定番商品「プラレール」は、テレビアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」関連商品を本格展開し、販売が好調に推移いたしました。本年2月には、「両国 プラレール駅」を期間限定で開設し、3月からは京都鉄道博物館とのコラボレーションイベントがはじまるなど様々な60周年企画をスタートさせ、話題を呼びました。また、「リカちゃん」は、ヘアアレンジが楽しめるドール「アクアカールみさきちゃん」などのビューティーシリーズや着せ替えドレスの販売が好調に推移するなど、50周年企画を終えた今期も引き続き人気を集めました。「トミカ」はリアルなエンジン音とアイドリング振動を体感できる新しいギミックを取り入れた「トミカ4D」が話題になるとともに、赤外線通信で基地がオート変形する「変形ファイヤーステーション」が好評を博すなど、堅調に推移いたしました。
次世代ベーゴマ「ベイブレードバースト」は、昨年11月にフランスで世界大会を開催するなど海外でも人気を博しており、日本からの輸出を大きく伸ばしました。また、トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」は、カード内容を見直すなど商品力を強化したことに加え、本年3月に日本一決定戦を実施するなど日本全国で様々な大会を開催したことも奏功し好評を博しました。さらに、恐竜や動物をモチーフにした自社コンテンツ「ゾイドワイルド」においては昨年6月に関連商品を発売し、7月にテレビアニメ放送をスタートさせるとともに、本年1月にはアミューズメント筐体を展開、2月にはゲームソフトを販売するなど、コンテンツ展開を積極的に進めました。
ガールズ商品では、フォトジェニックなサプライズドール「L.O.L. サプライズ!」が昨年7月の発売以来、続々とシリーズ商品を展開し、サプライズトイカテゴリーの大ヒット商品となりました。女児向け特撮テレビシリーズでは、第2弾となる「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」を展開し、テレビ放送などによるキャラクター浸透度の上昇により、関連商品の販売が好調に推移いたしました。また、キャラクター人気の高い「すみっコぐらし」においては、小学生女児を中心に関連商品が好評を得ました。
㈱タカラトミーアーツにおいては、アミューズメントマシン「ポケモンガオーレ」に加えて、「新幹線変形ロボ シンカリオン」「キラッとプリ☆チャン」「イナズマイレブン」「ゾイドワイルド」それぞれのアミューズメントマシン展開がはじまりラインナップが拡充するとともに、OEM製品の出荷が伸長いたしました。
以上により、売上高は148,732百万円(前期比2.0%増)となり、営業利益は16,734百万円(同17.4%増)と大幅な増加となりました。
<アメリカズ>(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | |
売上高 | 23,415 | 17,998 | △5,417 |
営業利益又は営業損失(△) | 236 | △81 | △317 |
農耕車両玩具は、モデルとなるトラクターの100周年記念商品などコレクション商品の投入もあり、販売が堅調に推移いたしました。また、スマホの写真を手軽にプリントできるプリンターとして人気の日本開発商品「Printoss(プリントス)、 海外商品名:KiiPix」をアメリカ・カナダ・メキシコなどで展開し好評を得ました。売上高は、キャラクター玩具の販売が減少したことに加え一部ベビー商品の不振により、17,998百万円(前期比23.1%減)、営業損失は81百万円(前期営業利益236百万円)となりました。
<欧州>(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | |
売上高 | 7,322 | 5,325 | △1,996 |
営業損失(△) | △239 | △659 | △419 |
農耕車両玩具やベビー用品が堅調に推移するとともに、「Printoss(プリントス)、海外商品名:KiiPix」は、イギリス・フランス・ドイツをはじめ8か国で商品展開し人気を集めました。一方、キャラクター玩具の販売が減少したことにより、売上高は5,325百万円(前期比27.3%減)となりました。また、一部商品の値引き販売による売上総利益の減少などにより、営業損失は659百万円(前期営業損失239百万円)となりました。
<オセアニア>(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | |
売上高 | 2,067 | 1,783 | △284 |
営業損失(△) | △240 | △21 | 218 |
オセアニアにおいては、100周年記念商品の投入もあり、農耕車両玩具の販売が好調に推移いたしました。「Printoss(プリントス) 、海外商品名:KiiPix」を展開し評価を得たものの、キャラクター玩具の販売が減少したことから、売上高1,783百万円(前期比13.8%減)となりました。営業損失は在庫評価減の減少により、21百万円(前期営業損失240百万円)となりました。
<アジア>(単位:百万円)
前期 | 当期 | 増減 | |
売上高 | 53,542 | 54,033 | 490 |
営業利益 | 800 | 903 | 103 |
次世代ベーゴマ「ベイブレードバースト」は、アジア10の国と地域でテレビアニメが放送されており、昨年9月にはアジア限定商品を新たに発売いたしました。また、韓国では学習塾を展開する企業とのイベントタイアップ、香港では小学校とのコラボレーションなど、様々なマーケティング施策に取り組み、販売が伸長いたしました。「トミカ」では、10月より台湾、香港、シンガポールにおいて、リアルなエンジン音とアイドリング振動ギミックが付いた「トミカ4D」の販売告知イベントを実施するとともに、11月には韓国のモーターショーに出展するなど、ブランド力の強化に努めました。「プラレール」においては韓国を中心に「トーマス」関連商品を販売し評価を得ました。台湾、香港、タイ、ベトナムで展開中の「リカちゃん」は、昨年9月に中国での販売を開始いたしました。また、欧米でも展開している「Printoss(プリントス) 、海外商品名:KiiPix」を中国、韓国などにおいて販売を開始いたしました。
また、アジアにおいては自社コンテンツの展開を積極的に推進し、女児向け特撮シリーズ「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」、テレビアニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」をテレビ放送いたしました。さらに、これらに加えて「ゾイドワイルド」を昨年10月から韓国、11月香港およびタイ、12月台湾、そして本年3月にはフィリピンおよびベトナムにてテレビアニメ放送をスタートさせるとともに、映像展開と前後して玩具も市場投入いたしました。また、「新幹線変形ロボ シンカリオン」においては昨年11月に香港にてテレビアニメ放送と玩具販売も開始し、好評を博しております。売上高は、生産子会社であるTOMY (Hong Kong) Ltd.における欧米向け出荷が減少したものの、54,033百万円(前期比0.9%増)、営業利益は903百万円(同13.0%増)となりました。
②財政状態の状況
<資産>流動資産は、前連結会計年度末に比較して6,084百万円増加し、94,115百万円となりました。これは主として、受取手形及び売掛金が減少した一方で、現金及び預金が増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比較して2,162百万円減少し、49,249百万円となりました。これは主として、建設仮勘定、のれん、繰延税金資産が減少したことによるものです。
<負債>流動負債は、前連結会計年度末に比較して5,981百万円増加し、59,319百万円となりました。これは主として、1年内償還予定の社債が減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等が増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比較して13,065百万円減少し、16,730百万円となりました。これは主として、長期借入金が減少したことによるものです。
<純資産>純資産は、前連結会計年度末に比較して10,992百万円増加し、67,315百万円となりました。これは主として、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2019年3月期 | 増減額 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 16,346 | 21,492 | 5,145 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △3,692 | △4,038 | △346 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △24,670 | △10,057 | 14,612 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 46,206 | 53,817 | 7,611 |
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、21,492百万円の収入(前年度は16,346百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益13,784百万円、減価償却費6,930百万円、売上債権の減少3,381百万円等があった一方で、法人税等の支払額3,036百万円等があったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、4,038百万円の支出(前年度は3,692百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出2,835百万円、無形固定資産の取得による支出1,397百万円等があったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、10,057百万円の支出(前年度は24,670百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入10,000百万円等があった一方で、社債の償還による支出10,000百万円、長期借入金の返済による支出6,946百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出3,317百万円等があったことによるものです。
以上の増減額に現金及び現金同等物に係る換算差額などを調整した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ7,611百万円増加して53,817百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらず見込み生産によっております。金額も僅少な為、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため販売の実績については、「第2 事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、①経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月24日)において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は我が国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し、合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 当連結会計年度の当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの概況
「第2 事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
(b) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況、1経営方針、経営環境及び対応すべき課題等、[中長期的な会社の経営戦略、会社の対応すべき課題と対応方針]」をご確認ください。
(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、金型及び筐体の購入費用のほか、仕入代金の支払、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主として新製品の開発・製造のために必要な設備投資及び物流設備投資等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保し、グループ内で効率的に活用することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を中心に賄い、一部金融機関からの短期借入金として資金調達を行うことを基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入等を基本としており、一部リースによる設備投資を行っております。
(d) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2018年5月に2019年3月期から2021年3月期までの将来3年間を対象とした中期経営計画を公表しました。
中期経営計画において、以下の中期事業戦略を掲げております。
① 自社オリジナルグローバルブランド戦略の推進
「ベイブレード」および「トランスフォーマー」に加え、「ゾイド」を自社オリジナルグローバルブランドの第3の柱として育成するために、日本のみならず海外において、アニメ放映をし、また、玩具、ゲームソフト、筺体、雑貨、アパレル等の幅広い商品の販売により、コンテンツとしての展開を拡大推進いたしました。
② 日本、アジア オリジナルブランドの創出
「ドライブヘッド」、「シンカリオン」、「ミラクルちゅーんず!」、「マジマジョピュアーズ!」等のコンテンツを日本のみならず日本と親和性の高いアジアにおいても展開しております。
③ カテゴリーNo.1戦略
各玩具カテゴリ-においてシェアNo.1になる商品を開発し、加えて、各玩具カテゴリ-においてシェアNo.1になる商品を作り出すための、営業戦略、商品販売、店頭サポ-トの営業三位一体の体制を構築いたしました。カテゴリーNo.1商品として、トミカ、プラレ-ル、リカちゃん等の定番商品に加えて、男児ホビーカテゴリーのベイブレード、TCGカテゴリーのデュエルマズターズを生み出して成長させてきており、さらに、次世代の商品として、男児ホビーカテゴリーの「爆丸」、女児ホビーカテゴリーの「L.O.Lサプライズ」についても、カテゴリ-No.1を目指してまいります。
④ ハイターゲットおよび高齢者向けビジネスの拡大
デジタル、ガチャ、バラエティ雑貨、トイホビ-、鉄道模型、トレ-ディングカードゲーム等のラインナップを取り揃えタカラトミーグループ横断での展開を実施しております。
⑤ アジア市場の拡大
トミカ、プラレ-ル、リカちゃん等の定番商品に加え、自社オリジナルグローバルブランドである「ベイブレード」、「ゾイド」など積極展開しております。
⑥ 欧米の完全立て直し
「John Deere」および「The First Years」等のコアブランドの強化に加え、日本開発のグローバル商品の展開及び欧米独自の新規商品ラインの導入により、欧米事業の再建を図っております。
また、当該中期経営計画においては下記の指標を経営目標として設定しております。
① 事業の拡大を目指す指標として売上高及び営業利益
② 稼ぐ力を図るための指標としてEBITDA
③ 資本の健全性を高めるための指標として自己資本比率
上記指標の定量的な目標として2021年3月期において「売上高1,900億円、営業利益140億円、EBITDA 230億、自己資本比率50%」の達成を目指しておりましたが、中期経営計画をスタートさせた初年度2019年3月期において日本およびアジア事業が順調に進捗したことに加え、2020年3月期内には収益性の高いデジタル事業の本格展開なども見込んでいることから、2019年5月に2021年3月期の目標を「売上高1,900億円、営業利益160億円、EBITDA 250億、自己資本比率55%」に上方修正いたしました。
また、各指標の過去5年間の推移は以下のとおりです。
回次 | 64期 | 65期 | 66期 | 67期 | 68期 |
決算年月 | 2015年3月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 |
売上高 (億円) | 1,499 | 1,630 | 1,676 | 1,773 | 1,768 |
営業利益 (億円) | 24 | 26 | 77 | 131 | 144 |
EBITDA (億円) | 111 | 116 | 162 | 223 | 224 |
自己資本比率 (%) | 30.2 | 25.5 | 32.4 | 40.0 | 46.5 |
各指標はいずれも当社連結ベ-スの財務数値を用いて算出しております。
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費