有価証券報告書-第57期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/27 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
143項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の復調など、景気は緩やかな回復基調で推移する中で、不安定な国際情勢や円安の長期化等の影響による物価の上昇が生じており、先行き不透明な景気動向が続いております。当社が属する中食・外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束以降、インバウンド需要の高まりと共に来店客数が回復しておりますが、物価上昇を背景とした消費マインドの減退や労働者不足が解消していない問題も含め、依然として厳しい状況が続いております。物価上昇の側面においては、円安による輸入食材の価格高騰、2023年、2024年の記録的な猛暑による米や生鮮食品の価格高騰は、当社グループの購買に大きな影響を与えております。
このような環境下において、当社グループは「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3軸の事業の収益改善、海外事業の拡大を軸とした中期経営計画を推進し、当社グループの基本方針である「多様な食を、多様な形で、多様な顧客へ」のもと、食と顧客を繋ぐ「トータル・フード・プロバイダー」として、各事業セグメントの取組みを進める一方で、各事業セグメント間のクロスオーバーによる新たな事業の創出、既存事業の収益改善への取組みを進めております。
現時点における当社グループの取組みは下記となります。
[ 小売事業 ]
当セグメントの中核事業会社である株式会社小僧寿し(以下「小僧寿し」といいます。)において、持ち帰り寿し店「小僧寿し」の収益改善に向けて、収益性の減退する店舗の撤退、及び地方圏におけるドミナント出店を事業戦略の骨子としております。この事業戦略に基づき、2024年10月4日付「当社連結子会社による事業譲受に関するお知らせ」のとおり、2024年11月1日付で、「兵庫県」「徳島県」「香川県」において18店舗のFC事業を譲受け、直営化しました。これにより、西日本エリアの直営店との仕入・流通網を形成し、コスト効率の高い事業体制の構築を図ります。また、同社の更なる収益改善を目指し、直営店95店舗のうち、不採算となっていた12店舗の撤退を決定しました。これにより、当連結会計年度からの大幅な収益改善と2025年度の黒字化を目指します。
[ 飲食事業 ]
当セグメントの中核事業会社であるアスラポート株式会社(以下「アスラポート」といいます。)においては、来店客数の回復に伴う堅調な事業推進のもと、鶏料理の居酒屋「とり鉄」、本格四川中華料理を提供する「陳麻家」の新店出店により、収益拡大へ向けた取組みを進めております。また、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」を運営する株式会社TBJ(以下「TBJ」といいます。)においては、「中目黒」「有明」「幕張」といった首都圏に集中して新店を出店し、運営店舗数を拡大すると共に、同ブランドの主要顧客層に認知度の高いインフルエンサーやYouTuberとのコラボレーションの実施により、ターゲット層へのブランド認知、ファンの獲得へ向けたマーケティング活動を強化しております。
[ 流通事業 ]
流通事業の中核事業会社である東洋商事株式会社(以下「東洋商事」といいます。)においては、同社が行う食材の卸売事業の強化の一環として、新たに一般貨物自動車運送業の認可を取得し、また配送車の増車も同時並行して実施することで、当社グループの物流インフラとしての機能強化を図っております。一方、フード・デリバリーサービスを展開する株式会社デリズ(以下「デリズ」といいます。)においては、フード・デリバリー業界の競争激化に伴い、収益性の減退した不採算店舗11店舗(一部の休業店を含む)の撤退を決定しました。これにより、当連結会計年度からの大幅な収益改善を図ります。
[ 海外事業の拡充 ]
飲食事業セグメントの中核事業会社であるアスラポートにおいて、2024年5月に、北米圏にイートイン型の飲食店・持ち帰り寿し店を8店舗展開するSUSHI BOY,INC.を子会社とするASRAPPORT DINING USA,INC.を連結子会社といたしました。また、2024年6月には、英国の日本食品会社であるJapan Centre Group Limited(以下「Japan Centre」といいます。)及び当社グループの英国における事業展開を企図して設立された英国法人Kozosushi UK Limited(以下「Kozosushi UK」といいます。)との間で、3社間の資本業務提携を締結し、両社を持分法適用関連会社といたしました。Japan Centreにおいては、1976年の設立以来、英国における「小売事業」「飲食事業」を介した「日本の食と文化の発信源」として、スーパーマーケット「JAPAN CENTRE」、日本食の飲食・物販・デモンストレーション・プロモーションが一体となった日本食ホール「Ichiba」、ロンドンのへドン・ストリートに出店するラーメンBar「ラーメン横丁」など、多角的に事業を展開しております。当社グループは、Japan Centreとの協業を主体として、当社グループの小売・飲食事業のブランド展開や、日本食材の輸入、海外において販売する商品の企画・販売・製造の協業などによる、新たな事業展開を企図するなど、欧米における事業領域の拡大へ向けて推進しております。
[ 持株会社化による組織再編 ]
上記に記載する事業の取組みを進める一方で、「小売事業」「飲食事業」「流通事業」の3事業セグメント及び海外事業、18の事業ブランドを展開する当社グループの事業ポートフォリオの最適な運営体制を構築するため、2024年7月1日付で、当社は「KOZOホールディングス株式会社」に商号を変更し、持株会社に移行しました。この持株会社化に伴い、当社は、事業領域が拡大する当社グループの中枢機能として、
1)本部機能の統合を図り、グループ各社の事業生産性と本部コストの最適化を図る。
2)持続可能な社会の実現に向けて、SDGsへの積極的な取組みを進め、社会・経済発展のバランスを保ち、次代へ向けた成長を続ける。
3)事業価値並びに株式価値を高めると共に、株主還元策を重要な指針とする。
といった方針を掲げ、この取組みを進めております。
上記の事業推進による取組み、及び2023年5月付で連結子会社とした東洋商事等の流通事業の拡充、並びに2024年6月付で連結子会社とした海外事業のSUSHI BOY,INC.の収益連結の影響により、当連結会計年度における売上高は、181億9百万円(前期比38.7%増加)となりました。
営業利益及び経常利益に関しましては、各事業セグメントの概況を含めてご説明いたします。
セグメント別の状況
1)小売事業
小売事業は、小僧寿し及び株式会社だいまる(以下「だいまる」といいます。)によって構成されており、「小僧寿し」等の持ち帰り寿し店の店舗数は、152店舗(直営92店舗、FC60店舗)(前期は直営74店舗、FC89店舗)、だいまるにおいては、スーパーマーケット「だいまるストアー」を1店舗(同前期)展開しており、小売事業の店舗数は153店舗(前期比9店舗減少)となりました。
同事業セグメントの中核事業会社である小僧寿しにおいては、店舗収益性の改善、並びに2024年11月に18店舗のFC店を直営化した影響に伴い、前期と比較して売上高が増加しております。一方で、人材不足に伴う採用コストの増加、主力仕入商材である米及び海産物の高騰による仕入価格の増加、不採算店舗の閉鎖に時間を要したことなどが収益を圧迫したことから、小売事業のセグメント損失は2億6百万円(前期は1億56百万円のセグメント損失)となりました。
2)飲食事業
飲食事業は、アスラポート及び4社の海外事業会社、TBJ、株式会社スパイシークリエイトにおいて、外食・居酒屋業態のチェーン展開を行っております。(直営26店舗、FC239店舗)(前期は直営35店舗、FC270店舗)また、北米においてイートイン型の飲食店・持ち帰り寿し店を展開するSUSHI BOY,INC.が8店舗、欧州においては、ラーメン店等を展開するASRAPPORT FRANCE等において2店舗を展開しております。(海外10店舗)
アスラポートにおきましては、新型コロナウイルス感染症の収束以降、インバウンド需要や消費活動の活発化を背景とした来店客数の増加により、売上高は堅調に推移いたしました。一方で、「TacoBell」を運営するTBJにおきましては、当連結会計年度に「TacoBell」を3店舗新規出店いたしましたが、長期に渡る円安の影響に伴う輸入食材の仕入コストが増加しております。
これらの影響に伴い、飲食事業のセグメント損失は87百万円(前期は4百万円のセグメント利益)となりました。
3)流通事業
流通事業は、業務用食材の卸売事業を主業とする東洋商事、和惣菜の製造販売を主業とするモリヨシ、フード・デリバリー店「DELIS」を運営するデリズによって構成しております。(総拠点数91店舗)(前年同期は90拠点)
東洋商事におきましては、消費活動の活発化を背景とした飲食店の来店客数の増加に伴い、飲食店への卸売食材の販売が増加し、売上高は堅調に推移しております。一方で、モリヨシ及びデリズにおきましては、原材料価格の高騰の影響、並びにフード・デリバリー事業の競争激化に伴う不採算店舗の損失が拡大しております。
これらの影響が生じたことから、流通事業のセグメント損失は、1億33百万円(前期は85百万円のセグメント損失)となりました。
4)海外事業
当社グループの海外事業は、飲食事業セグメントの中核事業会社であるアスラポートを主体として、欧米に合計15店舗(うち5店舗がハワイ州における持ち帰り寿し店)の飲食店を展開しております。また、2024年6月には、英国の日本食品会社であるJapan Centre Group Limited及び当社グループの英国における事業展開を企図して設立された英国法人Kozosushi UK Limitedとの間で資本業務提携を締結し、持分法適用関連会社とするなど、年々事業領域を拡大しております。同海外事業におきましては、SUSHI BOY,INC.が北米において展開する飲食店が堅調に推移する一方で、欧州において展開する飲食店2店舗においては、未だ収益改善の途上にあり、当連結会計年度の同事業は損失を計上しております。
5)本部(KOZOホールディングス株式会社)
2024年7月1日付にて、当社はKOZOホールディングス株式会社に商号を変更し、持株会社体制に移行しました。この持株会社体制への移行に伴う手続き費用の発生、及び持株会社体制への移行記念株主優待の実施等によるコストが当連結会計年度において発生しております。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は4億27百万円(前期は2億37百万円の営業損失)となりました。また、営業外費用として、持分法関連会社に対する金銭債権の回収可能性を鑑み一部債権の引当金として5百万円を計上した点、海外事業会社に対する金銭債権において為替差損を9百万円計上した点、2024年度内に実施したファイナンス関連の支払手数料を8百万円計上した点などが影響したため、経常損失は4億59百万円(前期は2億13百万円の経常損失)となりました。
当連結会計年度の業績を踏まえ、各事業会社において回収可能性が低下した資産の減損損失の計上、及び不採算店の閉鎖決定に伴う店舗閉鎖損失引当金の計上等を店舗閉鎖損失として特別損失に計上しております。各事業セグメント単位の特別損失計上額は下記となります。
① 小売事業
減損損失 5百万円
店舗閉鎖損失 26百万円
② 飲食事業(海外事業を含む)
減損損失 73百万円
店舗閉鎖損失 13百万円
③ 流通事業
減損損失 92百万円
店舗閉鎖損失 23百万円
その他特別損失 8百万円
④ 本部(KOZOホールディングス株式会社)
その他特別損失 20百万円
上記に記載する特別損失2億62百万円を特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は7億82百万円(前期は3億38百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

(2)当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、税金等調整前純損益が7億21百万円の損失でありますが、現預金が前連結会計年度末に比べ1億28百万円増加し、11億23百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は49百万円(前期は2億3百万円の増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が7億21百万円の損失を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1億69百万円(前期は3億2百万円の増加)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出2億7百万円が生じたことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は3億59百万円(前期は50百万円の増加)となりました。これは主として、長期借入金の支出2億14百万円が生じた一方で、株式の発行による収入5億91百万円が生じたことによるものです。

生産、受注及び販売の実績
(1)商品仕入実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は「生産」を行っておりませんので、「生産実績」に代えて「商品仕入実績」を記載いたします。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
小売事業持ち帰り寿し2,395,85042.2
流通事業卸売・デリバリー8,253,64893.7
飲食事業飲食店運営2,644,54839.4
合計13,294,047

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
小売事業商品販売3,547,3558.0
食材販売471,436△21.9
ロイヤリティ収入等61,878△33.6
流通事業商品販売8,681,17280.1
ロイヤリティ収入等3,898142.8
飲食事業商品販売5,344,03525.8
合計18,109,777

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、過去の実績や状況に応じてその時点で合理的と考えられる要因を考慮したうえで継続的な評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項] 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末からの3億69百万円増加し、60億円となりました。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末より91百万円増加し、34億92百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1億27百万円、売掛債権が1億29百万円増加した一方で、短期貸付金その他の債権が1億88百万円減少したことなどによるものです。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末より2億77百万円増加し、25億7百万円となりました。これは主に、海外事業会社の株式取得に伴いのれんが2億60百万円増加したことによるものです。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末より、4億15百万円増加し、39億88百万円となりました。これは主に、仕入価格の増加により、支払手形及び買掛金が1億84百万円、未払金が1億86百万円増加したことなどによるものです。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度より、1億16百万円増加し、18億82百万円となりました。これは主に、新規出店等に伴い店舗の将来解体費用を見積ったことによる長期資産除去債務が1億95百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末より1億62百万円減少し、1億29百万円となりました。
(3)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、181億9百万円(前期比50億55百万円増加)となりました。これは主に連結子会社とした東洋商事等の流通事業の拡充、並びに海外事業のSUSHI BOY,INC.の売上が起因しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は68億9百万円(前期比16億35万円増加)となりました。これは主に上記売上増加に起因しております。
(営業損益)
当連結会計年度における営業損失は4億27百万円(前期は2億37百万円の営業損失)となりました。これは主に、小売事業及び流通事業の不振が起因しております。
(経常損益)
当連結会計年度における経常損失は4億59百万円(前期は2億13百万円の経常損失)となりました。これは主に、営業外費用として、持分法関連会社に対する金銭債権の回収可能性を鑑み一部債権の引当金の計上、海外事業会社に対する金銭債権において為替差損の計上、2024年度内に実施したファイナンス関連の支払手数料の計上が起因しております。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は7億82百万円(前期は3億38百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは主に、各事業会社において回収可能性が低下した資産の有形減損損失の計上、及び不採算店の閉鎖決定に伴う店舗閉鎖損失引当金の計上等を特別損失の発生に起因しております。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、税金等調整前純損益が7億21百万円の損失でありますが、現預金が前連結会計年度末に比べ1億28百万円増加し、11億23百万円となりました。
キャッシュ・フローの増減要因の分析は、「第2 事業の状況 3 業績等の概要」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、食材等仕入高、給与手当を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店や店舗改装等に係る設備投資などであります。財務を目的とした資金需要は、主に有利子負債の返済であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する事を基本方針としております。現状、事業運営上必要な運転資金は、主に自己資金及び第三者割当による新株発行等のエクイティファイナンスにより賄っております。
今後も、引き続き、安定した資金確保を努めてまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。