有価証券報告書-第72期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ686億76百万円増加し1兆1,776億88百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
流動資産は前連結会計年度末に比べ812億66百万円増加いたしました。これは主に当連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、買掛金の支払が翌月となった影響で現金及び預金が866億93百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ125億90百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が32億28百万円、無形固定資産が22億38百万円、投資その他の資産が保有株式の一部を売却したこと等により71億23百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ587億46百万円増加し7,712億63百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
流動負債は前連結会計年度末に比べ583億52百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が536億38百万円、未払法人税等が33億81百万円増加したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ3億94百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ99億29百万円増加し4,064億25百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
株主資本は前連結会計年度末に比べ68億26百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当により51億65百万円、自己株式の取得等により68億82百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を188億20百万円計上したことによるものであります。
その他の包括利益累計額は前連結会計年度末に比べ29億82百万円増加いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が15億78百万円、退職給付に係る調整累計額が13億46百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善や政府の経済政策の効果もあり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループは、平成32年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期成長戦略「One Suzuken 2019」の中期ビジョンであるNumber One「顧客信頼度最大化への挑戦」、Only One「唯一無二のビジネスモデル」、One Point Improvement「生産性向上による販管費率の改善」、One Group「共通の基盤、共通の価値観」の4つの「One」の実現に向けて、お得意さまの真のニーズの追求と対応、さまざまな企業との協業による新たな機能やビジネスモデルの構築、さらに、低コスト体制の実現により更なる企業価値向上を目指しております。
当連結会計年度においては、新薬剤管理システムである「キュービックス」について、東名阪を中心に導入を開始しており、高額医薬品や希少疾病薬の新たな流通モデルの構築に取組んでおります。また、同システムの管理用冷蔵庫の開発・製造・運用などを共同で行っているヤマト科学㈱と資本業務提携を行いました。両社間で更なる協業関係を深め、革新的な製品とサービスの開発を推進してまいります。
㈱三和化学研究所においては、自社が創製した新規の夜間頻尿治療薬「SK-1404」のライセンス契約を、杏林製薬㈱との間で締結いたしました。
激変する環境のなかで、業務改革による生産性向上とコスト構造改革が喫緊の課題であり、その対応として、当社およびグループ卸において、平成29年12月31日を退職日とする希望退職者の募集、㈱三和化学研究所においては平成30年1月31日を退職日とする早期退職希望者の募集を行い、特別退職金などの特別損失を計上いたしました。
さらに、保有する資産の効率化を図るため、投資有価証券の一部を売却し特別利益を計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は2兆1,239億97百万円(前期比0.1%減)、営業利益は197億35百万円(前期比5.5%増)、経常利益は290億19百万円(前期比4.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は188億20百万円(前期比11.7%減)となりました。
セグメント別の業績は次の通りであります。
(医薬品卸売事業)
医療用医薬品市場は、後発医薬品使用促進およびC型肝炎治療剤市場縮小の影響があったものの、抗悪性腫瘍剤市場の拡大により、僅かながら伸長したものと推測しております。
そのようななか、売上高は、C型肝炎治療剤の販売減少の影響があったものの、抗悪性腫瘍剤の販売増加や全社をあげて取組んでいるスマイル活動(顧客信頼度最大化への挑戦の取組み)の成果などにより微増収となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の抑制に努めたことなどにより増益となりました。
なお、流通改善の取組みとして、個々の医療用医薬品の価値に見合った価格交渉を徹底し、適正利益の確保に注力してまいりました。
また、卸物流を担う「西神物流センター」が平成29年4月より稼働し、同じ建物内にメーカー物流・輸配送ターミナルを有した業界初となる併設型複合センターとして安定稼働しております。さらに、配送実績管理システムの導入により、お得意さまへの配送の見える化を推進し、配送の効率化に取組んでまいりました。
これらの結果、売上高は2兆308億54百万円(前期比0.0%増)、営業利益は143億92百万円(前期比3.3%増)となりました。
(医薬品製造事業)
売上高は、DPP-4阻害剤「スイニー錠」、高尿酸血症・痛風治療剤「ウリアデック錠」などを中心に販売促進に努めたものの、平成29年6月に糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル錠」の後発医薬品が上市されたことやニュートリション事業譲渡の影響などにより減収となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、減収の影響により減益となりました。
これらの結果、売上高は522億64百万円(前期比18.3%減)、営業利益は9億86百万円(前期比64.3%減)となりました。
(保険薬局事業)
売上高は、M&Aおよび新規出店や、薬局のかかりつけ機能強化の取組みによる技術料収入の増加などにより増収となりました。
営業利益は、増収効果および販売費及び一般管理費の抑制に努めたことにより増益となりました。
これらの結果、売上高は995億50百万円(前期比1.8%増)、営業利益は31億95百万円(前期比109.7%増)となりました。
(医療関連サービス等事業)
売上高は、主に、メーカー支援サービス事業(医薬品メーカー物流受託・希少疾病薬流通受託)の受託が増加したことや、介護事業において利用者が増加したことにより増収となりました。
営業利益は、メーカー支援サービス事業および介護事業における増収効果により増益となりました。
これらの結果、売上高は505億94百万円(前期比15.0%増)、営業利益は8億62百万円(前期比131.2%増)となりました。
(注)セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含んでおります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ862億63百万円増加し2,006億9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は980億66百万円(前期比710億53百万円増)となりました。
この主な要因は、投資有価証券売却損益61億10百万円、法人税等の支払額83億46百万円があったものの、税金等調整前当期純利益287億66百万円、減価償却費110億42百万円、たな卸資産の減少82億8百万円、仕入債務の増加が534億66百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は8億94百万円(前期は54億97百万円の支出)となりました。
この主な要因は、定期預金の預入による支出62億60百万円、有価証券の取得による支出224億0百万円、有形固定資産の取得による支出55億2百万円、無形固定資産の取得による支出24億44百万円があったものの、有価証券の売却及び償還による収入260億円、投資有価証券の売却及び償還による収入が108億9百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は126億91百万円(前期比28億75百万円減)となりました。
この主な要因は、自己株式の取得による支出69億2百万円、配当金の支払が51億66百万円あったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価額によっており、消費税等は含まれておりません。
c.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析を行っております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、それらについて継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.収益の認識
当社グループの中心である医薬品卸売事業の売上高は、通常お得意さまからの発注に基づき、倉庫より出荷した時点で計上されます。計上される売上高において販売価格が未決定のものが一部含まれており、決定予測価格を合理的に見積り売上計上しておりますが、価格決定時において売上高の修正を行う場合があります。
価格決定の早期化と合理的な予測価格による売上計上に努めておりますが、価格決定までの期間が長期化し、決定価格が予測価格を大幅に下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.貸倒引当金
当社グループは、受取手形及び売掛金等の債権の貸倒れに備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。お得意さまの財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性がないと考えられる金額は、評価性引当額を計上しております。将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングにより評価性引当額の必要性を検討しております。
過去に計上した繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩しております。一方、計上額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、繰延税金資産を計上しております。
d.退職給付
退職給付債務及び退職給付費用の見積りは、退職給付に関する会計基準等に準拠して行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、将来認識される退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等について
当社グループを取巻く経営環境は、社会保障費の抑制およびカテゴリーチェンジ、さらにお得意さまの経営環境の変化など、激変する環境にあります。
そのようななか、この環境変化を脅威ではなく機会と捉え、当連結会計年度は、中期成長戦略「One Suzuken 2019」の初年度として、4つのOneの実現に向けスピードを上げ取組んでまいりました。
(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。)
中期ビジョン1.Number One「顧客信頼度最大化への挑戦」については、顧客が真に求める機能・価値を追求することにより顧客接点を強化する取組みである、スマイル活動を全社をあげて推進してまいりました。
この結果、医薬品卸売事業においてはC型肝炎治療剤の市場縮小の影響があるなか、C型肝炎治療剤を除く市場においては市場伸長を上回る売上高の伸びを確保できたものと推測しております。
今後も「地域密着全国卸」実現のため、営業・物流の生産性向上を踏まえた機能の追求、および新たなビジネスネスモデルの構築など顧客信頼度最大化に向け取組んでまいります。
中期ビジョン2.Only One「唯一無二のビジネスモデル」については、患者さまを中心とした地域医療に貢献できるビジネスモデル、スズケングループの医療流通プラットフォームを活用したビジネスモデル、廃棄などの「社会的なムダ」の削減に貢献できるようなビジネスモデル等、新たな収益モデルの構築を目指しております。
そのようななか、新薬剤管理システムである「キュービックス」を東名阪を中心に導入開始したことに加え、ヤマト科学㈱と資本業務提携を行いました。
キュービックスは、平成30年度より全国展開を開始するにあたり、その基盤が整ったものと考えております。
今後、早期にキュービックスのビジネスモデルを確立し、スペシャリティ医薬品を安心・安全にお届けするという社会的使命を果たす社会インフラをより強固にすることにより、流通在庫適正化および廃棄ロス等社会的コストの低減にも貢献してまいりたいと考えております。
中期ビジョン3.One Group「共通の基盤、共通の価値観」については、各種共同研修や異動等の人材交流を行うとともに、グループ卸においては情報基盤の統合・共有化により業務の標準化に取組んでまいりました。
これらのインフラの整備は今後の生産性向上へも寄与できるものと考えております。
中期ビジョン4.One Point Improvement「生産性向上による販管費率の改善」については、激変する環境のなかで、業務改革による生産性向上とコスト構造改革が喫緊の課題であると認識するなか、全社的な「ムダの廃除」による業務の見直し等コスト構造改革を進めるとともに、変形労働時間制の活用や残業の是正など「働き方改革」に取組んでまいりました。
医薬品卸売事業および医薬品製造事業においては希望退職者の募集を実施し、One Point Improvementに対して一定の成果があったものと考えております。
さらに、医薬品製造事業においては、糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル錠」の後発医薬品上市の影響を背景とした収益性低下に対応するため、更なる原価率および販管費率の低減に取組んでまいります。
今後も、当社グループは全事業において生産性向上を目指し、低コスト経営の追求を図るとともに、グループが有する機能の融合や外部との協業強化による新たなビジネスモデルの構築に取組むことにより企業価値の向上を目指してまいります。
また、当社は、資本効率の向上へ取組む姿勢をより明確にするため、2年間平均総還元性向80%以上とする新たな株主還元方針を策定し、中期成長戦略「One Suzuken 2019」の最終年度である平成32年3月期までさらなる株主還元の充実を図るとともに、資本効率の向上を目指してまいります。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、買掛金の支払や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、営業・物流・情報基盤の強化および新たな事業領域の拡大等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金を基本としており、投資はフリーキャッシュフローの範囲内を基本としております。ただし、有事における緊急的な措置としてコミットメントラインも保持しております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,006億9百万円となっております。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ686億76百万円増加し1兆1,776億88百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
流動資産は前連結会計年度末に比べ812億66百万円増加いたしました。これは主に当連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、買掛金の支払が翌月となった影響で現金及び預金が866億93百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ125億90百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が32億28百万円、無形固定資産が22億38百万円、投資その他の資産が保有株式の一部を売却したこと等により71億23百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ587億46百万円増加し7,712億63百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
流動負債は前連結会計年度末に比べ583億52百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が536億38百万円、未払法人税等が33億81百万円増加したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ3億94百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ99億29百万円増加し4,064億25百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
株主資本は前連結会計年度末に比べ68億26百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当により51億65百万円、自己株式の取得等により68億82百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を188億20百万円計上したことによるものであります。
その他の包括利益累計額は前連結会計年度末に比べ29億82百万円増加いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が15億78百万円、退職給付に係る調整累計額が13億46百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善や政府の経済政策の効果もあり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループは、平成32年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期成長戦略「One Suzuken 2019」の中期ビジョンであるNumber One「顧客信頼度最大化への挑戦」、Only One「唯一無二のビジネスモデル」、One Point Improvement「生産性向上による販管費率の改善」、One Group「共通の基盤、共通の価値観」の4つの「One」の実現に向けて、お得意さまの真のニーズの追求と対応、さまざまな企業との協業による新たな機能やビジネスモデルの構築、さらに、低コスト体制の実現により更なる企業価値向上を目指しております。
当連結会計年度においては、新薬剤管理システムである「キュービックス」について、東名阪を中心に導入を開始しており、高額医薬品や希少疾病薬の新たな流通モデルの構築に取組んでおります。また、同システムの管理用冷蔵庫の開発・製造・運用などを共同で行っているヤマト科学㈱と資本業務提携を行いました。両社間で更なる協業関係を深め、革新的な製品とサービスの開発を推進してまいります。
㈱三和化学研究所においては、自社が創製した新規の夜間頻尿治療薬「SK-1404」のライセンス契約を、杏林製薬㈱との間で締結いたしました。
激変する環境のなかで、業務改革による生産性向上とコスト構造改革が喫緊の課題であり、その対応として、当社およびグループ卸において、平成29年12月31日を退職日とする希望退職者の募集、㈱三和化学研究所においては平成30年1月31日を退職日とする早期退職希望者の募集を行い、特別退職金などの特別損失を計上いたしました。
さらに、保有する資産の効率化を図るため、投資有価証券の一部を売却し特別利益を計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は2兆1,239億97百万円(前期比0.1%減)、営業利益は197億35百万円(前期比5.5%増)、経常利益は290億19百万円(前期比4.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は188億20百万円(前期比11.7%減)となりました。
セグメント別の業績は次の通りであります。
(医薬品卸売事業)
医療用医薬品市場は、後発医薬品使用促進およびC型肝炎治療剤市場縮小の影響があったものの、抗悪性腫瘍剤市場の拡大により、僅かながら伸長したものと推測しております。
そのようななか、売上高は、C型肝炎治療剤の販売減少の影響があったものの、抗悪性腫瘍剤の販売増加や全社をあげて取組んでいるスマイル活動(顧客信頼度最大化への挑戦の取組み)の成果などにより微増収となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の抑制に努めたことなどにより増益となりました。
なお、流通改善の取組みとして、個々の医療用医薬品の価値に見合った価格交渉を徹底し、適正利益の確保に注力してまいりました。
また、卸物流を担う「西神物流センター」が平成29年4月より稼働し、同じ建物内にメーカー物流・輸配送ターミナルを有した業界初となる併設型複合センターとして安定稼働しております。さらに、配送実績管理システムの導入により、お得意さまへの配送の見える化を推進し、配送の効率化に取組んでまいりました。
これらの結果、売上高は2兆308億54百万円(前期比0.0%増)、営業利益は143億92百万円(前期比3.3%増)となりました。
(医薬品製造事業)
売上高は、DPP-4阻害剤「スイニー錠」、高尿酸血症・痛風治療剤「ウリアデック錠」などを中心に販売促進に努めたものの、平成29年6月に糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル錠」の後発医薬品が上市されたことやニュートリション事業譲渡の影響などにより減収となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、減収の影響により減益となりました。
これらの結果、売上高は522億64百万円(前期比18.3%減)、営業利益は9億86百万円(前期比64.3%減)となりました。
(保険薬局事業)
売上高は、M&Aおよび新規出店や、薬局のかかりつけ機能強化の取組みによる技術料収入の増加などにより増収となりました。
営業利益は、増収効果および販売費及び一般管理費の抑制に努めたことにより増益となりました。
これらの結果、売上高は995億50百万円(前期比1.8%増)、営業利益は31億95百万円(前期比109.7%増)となりました。
(医療関連サービス等事業)
売上高は、主に、メーカー支援サービス事業(医薬品メーカー物流受託・希少疾病薬流通受託)の受託が増加したことや、介護事業において利用者が増加したことにより増収となりました。
営業利益は、メーカー支援サービス事業および介護事業における増収効果により増益となりました。
これらの結果、売上高は505億94百万円(前期比15.0%増)、営業利益は8億62百万円(前期比131.2%増)となりました。
(注)セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含んでおります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ862億63百万円増加し2,006億9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は980億66百万円(前期比710億53百万円増)となりました。
この主な要因は、投資有価証券売却損益61億10百万円、法人税等の支払額83億46百万円があったものの、税金等調整前当期純利益287億66百万円、減価償却費110億42百万円、たな卸資産の減少82億8百万円、仕入債務の増加が534億66百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は8億94百万円(前期は54億97百万円の支出)となりました。
この主な要因は、定期預金の預入による支出62億60百万円、有価証券の取得による支出224億0百万円、有形固定資産の取得による支出55億2百万円、無形固定資産の取得による支出24億44百万円があったものの、有価証券の売却及び償還による収入260億円、投資有価証券の売却及び償還による収入が108億9百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は126億91百万円(前期比28億75百万円減)となりました。
この主な要因は、自己株式の取得による支出69億2百万円、配当金の支払が51億66百万円あったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬品製造事業 | 17,103 | 94.1 |
| 医療関連サービス等事業 | 1,312 | 92.2 |
| 合計 | 18,415 | 94.0 |
(注) 金額は、製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
| 医薬品卸売事業 | 医療用医薬品 | 1,731,233 | 99.6 |
| 診断薬 | 72,254 | 103.0 | |
| 医療機器・材料 | 60,149 | 101.2 | |
| その他 | 33,012 | 103.4 | |
| 計 | 1,896,650 | 99.8 | |
| 医薬品製造事業 | 32,129 | 88.8 | |
| 保険薬局事業 | 61,681 | 99.2 | |
| 医療関連サービス等事業 | 47,060 | 115.9 | |
| 小計 | 2,037,522 | 99.9 | |
| セグメント間消去 | △106,395 | 99.8 | |
| 合計 | 1,931,126 | 99.9 | |
(注) 金額は、仕入価額によっており、消費税等は含まれておりません。
c.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬品製造事業 | 1,531 | 82.7 | 410 | 93.2 |
| 医療関連サービス等事業 | 1,995 | 91.6 | 78 | 82.6 |
| セグメント間消去 | △847 | 90.9 | △11 | 76.4 |
| 合計 | 2,679 | 86.4 | 477 | 91.7 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
| 医薬品卸売事業 | 医療用医薬品 | 1,849,257 | 99.7 |
| 診断薬 | 78,650 | 104.5 | |
| 医療機器・材料 | 66,949 | 101.5 | |
| その他 | 35,996 | 106.7 | |
| 計 | 2,030,854 | 100.0 | |
| 医薬品製造事業 | 52,264 | 81.7 | |
| 保険薬局事業 | 99,550 | 101.8 | |
| 医療関連サービス等事業 | 50,594 | 115.0 | |
| 小計 | 2,233,264 | 99.9 | |
| セグメント間消去 | △109,266 | 99.8 | |
| 合計 | 2,123,997 | 99.9 | |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析を行っております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、それらについて継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.収益の認識
当社グループの中心である医薬品卸売事業の売上高は、通常お得意さまからの発注に基づき、倉庫より出荷した時点で計上されます。計上される売上高において販売価格が未決定のものが一部含まれており、決定予測価格を合理的に見積り売上計上しておりますが、価格決定時において売上高の修正を行う場合があります。
価格決定の早期化と合理的な予測価格による売上計上に努めておりますが、価格決定までの期間が長期化し、決定価格が予測価格を大幅に下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.貸倒引当金
当社グループは、受取手形及び売掛金等の債権の貸倒れに備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し回収不能見込額を計上しております。お得意さまの財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性がないと考えられる金額は、評価性引当額を計上しております。将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングにより評価性引当額の必要性を検討しております。
過去に計上した繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩しております。一方、計上額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、繰延税金資産を計上しております。
d.退職給付
退職給付債務及び退職給付費用の見積りは、退職給付に関する会計基準等に準拠して行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、将来認識される退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等について
当社グループを取巻く経営環境は、社会保障費の抑制およびカテゴリーチェンジ、さらにお得意さまの経営環境の変化など、激変する環境にあります。
そのようななか、この環境変化を脅威ではなく機会と捉え、当連結会計年度は、中期成長戦略「One Suzuken 2019」の初年度として、4つのOneの実現に向けスピードを上げ取組んでまいりました。
(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。)
中期ビジョン1.Number One「顧客信頼度最大化への挑戦」については、顧客が真に求める機能・価値を追求することにより顧客接点を強化する取組みである、スマイル活動を全社をあげて推進してまいりました。
この結果、医薬品卸売事業においてはC型肝炎治療剤の市場縮小の影響があるなか、C型肝炎治療剤を除く市場においては市場伸長を上回る売上高の伸びを確保できたものと推測しております。
今後も「地域密着全国卸」実現のため、営業・物流の生産性向上を踏まえた機能の追求、および新たなビジネスネスモデルの構築など顧客信頼度最大化に向け取組んでまいります。
中期ビジョン2.Only One「唯一無二のビジネスモデル」については、患者さまを中心とした地域医療に貢献できるビジネスモデル、スズケングループの医療流通プラットフォームを活用したビジネスモデル、廃棄などの「社会的なムダ」の削減に貢献できるようなビジネスモデル等、新たな収益モデルの構築を目指しております。
そのようななか、新薬剤管理システムである「キュービックス」を東名阪を中心に導入開始したことに加え、ヤマト科学㈱と資本業務提携を行いました。
キュービックスは、平成30年度より全国展開を開始するにあたり、その基盤が整ったものと考えております。
今後、早期にキュービックスのビジネスモデルを確立し、スペシャリティ医薬品を安心・安全にお届けするという社会的使命を果たす社会インフラをより強固にすることにより、流通在庫適正化および廃棄ロス等社会的コストの低減にも貢献してまいりたいと考えております。
中期ビジョン3.One Group「共通の基盤、共通の価値観」については、各種共同研修や異動等の人材交流を行うとともに、グループ卸においては情報基盤の統合・共有化により業務の標準化に取組んでまいりました。
これらのインフラの整備は今後の生産性向上へも寄与できるものと考えております。
中期ビジョン4.One Point Improvement「生産性向上による販管費率の改善」については、激変する環境のなかで、業務改革による生産性向上とコスト構造改革が喫緊の課題であると認識するなか、全社的な「ムダの廃除」による業務の見直し等コスト構造改革を進めるとともに、変形労働時間制の活用や残業の是正など「働き方改革」に取組んでまいりました。
医薬品卸売事業および医薬品製造事業においては希望退職者の募集を実施し、One Point Improvementに対して一定の成果があったものと考えております。
さらに、医薬品製造事業においては、糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル錠」の後発医薬品上市の影響を背景とした収益性低下に対応するため、更なる原価率および販管費率の低減に取組んでまいります。
今後も、当社グループは全事業において生産性向上を目指し、低コスト経営の追求を図るとともに、グループが有する機能の融合や外部との協業強化による新たなビジネスモデルの構築に取組むことにより企業価値の向上を目指してまいります。
また、当社は、資本効率の向上へ取組む姿勢をより明確にするため、2年間平均総還元性向80%以上とする新たな株主還元方針を策定し、中期成長戦略「One Suzuken 2019」の最終年度である平成32年3月期までさらなる株主還元の充実を図るとともに、資本効率の向上を目指してまいります。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、買掛金の支払や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、営業・物流・情報基盤の強化および新たな事業領域の拡大等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金を基本としており、投資はフリーキャッシュフローの範囲内を基本としております。ただし、有事における緊急的な措置としてコミットメントラインも保持しております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,006億9百万円となっております。