有価証券報告書-第47期(平成30年2月21日-平成31年2月20日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。なお、当社は家具・インテリア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
(ⅰ)経営成績の状況
当連結会計年度(2018年2月21日から2019年2月20日)におけるわが国経済は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働き、雇用・所得環境の改善が続くなか、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしましたが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響により依然として不透明な状態が続いております。
家具・インテリア業界におきましても、業態を越えた販売競争の激化及び人件費の高騰、物流コストの上昇等により引続き厳しい経営環境が続いております。
このような環境のなか、営業概況といたしましては、季節商品を中心とした寝具・寝装品や機能性カーテンなどのウィンドウカバリング、ベッドルーム家具が好調に推移し売上を牽引いたしました。販売費及び一般管理費につきましては、新規出店による人件費及び賃借料、物流業界における賃金上昇等により発送配達費が増加いたしましたが、展示什器費及び備品消耗品費が既存店の改装を推進した前期と比較して減少したことなどにより、概ね計画通りの実績となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は6,081億31百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,007億79百万円(前期比7.9%増)、経常利益は1,030億53百万円(前期比8.6%増)となり32期連続増収増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は681億80百万円(前期比6.2%増)となりました。
(a)家具・インテリア用品の販売
当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)の取り組みといたしましては、グローバルでの事業環境や外部環境の変化に対応した基盤作りを行う組織として新たにグローバル商品本部を発足し、さらなるバーティカルマーチャンダイジングの推進、原材料の集約化による原価低減と品質向上に取り組んだほか、パッケージサイズの小型化や梱包材の改善により物流コストの低減に努めてまいりました。また、ベトナムやタイの自社工場における製造を拡大し、より競争力のある安定した商品供給体制の構築にも注力しております。
当連結会計年度における販売実績といたしましては、ホームファッション商品では、接触冷感素材を使用した「Nクール」及び吸湿発熱素材を使用した「Nウォーム」シリーズが、さらなる品質の向上及び品種の拡大と安定した商品供給体制の構築も手伝って前年を大きく上回る売上となったほか、ズレ防止ひもをなくし、付け替えが簡単な掛けカバー等「Nグリップ」シリーズや空気中の花粉やほこりを吸着する花粉キャッチカーテン、ネジや工具を使用せず組立時間を大幅に短縮したカラーボックス等「Nクリック」シリーズなどの機能性商品が好調に推移いたしました。また、様々な色柄の組み合わせが低価格で楽しめるプライス・ブランドの「DAY Value」を中心に構成された、季節ごとのトータルコーディネートの商品企画「Patio」「HARBOR」「THE LAND」「Winter Holiday」の各シリーズは、いずれも高いデザイン性がお客様に支持されて好調に推移いたしました。 家具につきましては、ドイツのヘティヒ社と共同開発のレールをすべての引出しに使用し、高い耐久性を実現した組み合わせキッチンボード「リガーレ」や、商品のバリエーションを増やした自社開発のベッドマットレス「Nスリープ」の売上が伸長いたしました。
EC事業におきましては、新たなマーケティングツールの導入により、顧客一人ひとりの趣向や属性などから個別に最適化されたマーケティングを行う「One to Oneマーケティング」 施策のほか、商品カテゴリーの再編成等によるウェブサイトの改善や、昨年導入のスマートフォンアプリ「手ぶらdeショッピング」も効果をあげ、ニトリネットにおける売上を押上げる要因となりました。法人事業におきましては、オフィス家具だけでなく飲食店や各種ショールーム、医療・福祉施設や宿泊施設など様々なシーンに対応した提案を行い、お客様の要望に応じたオリジナル商品の開発等も寄与し、好調な売上となりました。また、2018年10月にはニトリ渋谷公園通り店9階にてニトリのショールームとして最大となる「NITORI BUSINESS 渋谷ショールーム」をオープンし、ビジネス事業のさらなるシェア拡大を推進しております。
品質面におきましては、経済産業省が主催する『第12回製品安全対策優良企業表彰』において、発注元の企業に知らせずに部品の素材等の仕様が変更される「サイレントチェンジ」防止に向けた品質保証マニュアルの適用範囲の拡大、海外拠点での技術評価会による安全性評価の展開、海外取引先への技術指導及び経営指導・品質改善指導の拡大等、当社グループの製品安全への取り組みが評価され、大企業小売販売事業者部門における「経済産業大臣賞」を前回に続き2回連続受賞いたしました。
物流面におきましては、2018年10月に中国江蘇省の太倉にて当社グループ最大となる約4万坪の敷地面積を有する「太倉DC」を新設いたしました。中国国内向けだけでなく、アジア各地の生産・調達工場と日本を結ぶ物流拠点としても活用することで、安定的な商品供給体制を構築し、グローバルな事業成長を推進しております。また、国内におきましても、売上の増加による物流量の増大に対応し、更なる物流品質の向上に向け、2018年11月に宮城県にて「仙台DC」及び茨城県にて「五霞DC」を開設いたしました。
当連結会計年度における国内の出店状況につきましては、ニトリ店舗のさらなる小商圏の地域のドミナント化を進めてまいりました。また、デコホームでは、店舗のロゴや看板を一新し、従来とは大きく異なる商品陳列や演出による売場作りを行い、ニトリ店舗との違いを明確にした店舗出店を加速しております。その結果、店舗数は38店舗増加し505店舗となりました。海外の出店状況につきましては、2018年5月にアメリカのオンタリオミルズ(カリフォルニア州)に出店いたしました。このほか、台湾で出店4店舗、中国で出店13店舗、米国で3店舗を閉店した結果、店舗数は台湾31店舗、米国3店舗、中国37店舗と合わせて71店舗となり、当連結会計年度末における国内・海外の合計店舗数は576店舗となりました。
CSRに関する取り組みといたしましては、北海道のさらなる観光発展に寄与するため、2018年11月より「小樽芸術村」にて、教会のステンドグラスの名品が綴られた「ルイス・C・ティファニー ステンドグラスギャラリー」をグランドオープンいたしました。また、「平成30年北海道胆振東部地震」等の自然災害に対して、迅速な営業再開・商品供給体制の回復を実現し、地域住民の方々の早期生活復旧支援に取り組んだほか、「平成30年7月豪雨」では、復興支援の一環として被災地の方々へ自社製品マットレスを寄贈いたしました。
その他の活動といたしましては、次世代育成支援対策推進法に基づき、働き方改革の一環としてのダイバーシティ推進への取り組みが評価され、厚生労働大臣より子育てサポート企業として「くるみん」に認定されました。また、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、当社グループは従業員が働きやすい職場環境づくりやワークライフバランスの充実、心身の健康確保への取り組みが評価され「健康経営優良法人2018 ホワイト500」に2年連続で認定されました。当社グループは引き続き、企業イメージの向上、従業員のモラールアップやそれに伴う生産性の向上、優秀な従業員の採用・定着へ向け邁進してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の家具・インテリア用品の販売事業の売上高は、5,950億48百万円(前期比6.5%増)となりました。
(b)その他
不動産賃貸収入及び広告・宣伝事業等により、当連結会計年度のその他の事業の売上高は、130億82百万円(前期比0.5%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇等により引き続き厳しい経営環境が続いておりますが、売上高は6,081億31百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,007億79百万円(前期比7.9%増)、経常利益は1,030億53百万円(前期比8.6%増)となり32期連続の増収増益を達成いたしました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は681億80百万円(前期比6.2%増)となりました。
(売上高)
家具・インテリア用品の販売は、さらなる小商圏の地域のドミナント化や、通販事業の好調、また、季節商品を中心とした寝具・寝装品や機能性カーテンなどのウィンドウカバリング、ベッドルーム家具が売上を牽引し、前連結会計年度に比べ361億41百万円増加し、5,950億48百万円となりました(前期比6.5%増)。また、その他の売上高は前連結会計年度に比べ71百万円減少し、130億82百万円となりました(前期比0.5%減)。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ194億27百万円増加し、2,767億9百万円となりました(前期比7.6%増)。これは主として、売上高の増加によるものであります。売上高総利益率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント減少し、54.5%となりました。これは主として、仕入や棚卸資産に係る為替の影響によるものであります。
販売費及び一般管理費につきましては、新規出店による人件費及び賃借料、物流業界における賃金上昇等により発送配達費が増加した結果、前連結会計年度に比べ92億42百万円増加し、2,306億42百万円となりました(前期比4.2%増)。しかしながら、展示什器費及び備品消耗品費が既存店の改装を推進した前期と比較して減少したことなどにより、対売上高比率では、前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少し、37.9%となり概ね計画通りとなりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ7億27百万円増加し、25億61百万円(前期比39.7%増)となりました。これは主として、持分法による投資利益4億74百万円、為替差益95百万円増加したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ65百万円減少し、2億86百万円(前期比18.5%減)となりました。これは、主として為替差損が2億35百万円減少したことによるものであります
(ⅱ) 財政状態の状況
資産・負債及び純資産の状況
流動資産は、現金及び預金が390億6百万円、商品及び製品が94億93百万円、受取手形及び売掛金が23億60百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ525億30百万円増加いたしました。固定資産は、新店の増加に伴う土地・建物の取得等により有形固定資産が107億26百万円、また、SAPのERPソフトウェアライセンス及びERP策定フェーズ支援等によるソフトウェア仮勘定等の無形固定資産が49億69百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ162億49百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ687億79百万円増加し、6,192億86百万円となりました。
流動負債は、未払金が54億29百万円、未払法人税等が20億72百万円、支払手形及び買掛金が13億48百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ115億91百万円増加いたしました。固定負債は、長期借入金が19億71百万円減少した一方で、退職給付に係る負債が4億88百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ13億35百万円減少いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ102億55百万円増加し、1,190億94百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が576億46百万円増加し、為替換算調整勘定が22億4百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ585億24百万円増加し、5,001億92百万円となりました。
(ⅲ) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより816億64百万円増加し、新規出店及び設備の増強等の投資活動によるキャッシュ・フローにより304億24百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより113億40百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ391億30百万円増加し、1,000億53百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、816億64百万円(前連結会計年度は768億40百万円の獲得)となりました。これは主として売上高の増加に伴う税金等調整前当期純利益1,004億90百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、304億24百万円(前連結会計年度は827億51百万円の支出)となりました。これは主として新店に係る建物、土地等の有形固定資産の取得による支出223億63百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、113億40百万円(前連結会計年度は6億55百万円の獲得)となりました。これは主として、配当金の支払額105億27百万円によるものであります。
(ⅳ)生産、受注及び販売の実績
なお、当社グループは、家具・インテリア用品の販売事業を主たる事業としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引について相殺消去しております。
2.記載金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「4.会計方針に関する事項」に記載のとおり重要な資産の評価基準及び評価方法、重要な引当金の計上基準等においての継続性、網羅性、厳格性を重視して計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資金の流動性に関して、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローにより816億64百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより304億24百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより113億40百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ391億30百万円増加し、1,000億53百万円となりました。当社の主な資金需要は、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに固定資産等にかかる投資であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ銀行借入等により対応してまいります。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマンを実現するために、中長期ビジョンである「2022年 1,000店舗、2032年 3,000店舗」の達成に向けた経営戦略を策定しております。
主な内容として、2013年~2022年の10ヶ年テーマに「グローバル化と事業領域の拡大」を掲げ、そこに至る戦略として、2018年~2020年は「海外高速出店と成長軌道の確立」、2021年~2022年は「グローバルチェーン確立に向けた経営基盤再構築」に努めてまいります。
当社グループは、以上のような中長期経営計画の達成に向けた諸施策を実行することにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に邁進していく所存であります。
今後の見通しといたしましては、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響により依然として先行き不透明な状態が続くものと予想されます。また、家具・インテリア業界におきましても、業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇、テクノロジーの進化に起因する様々な変革、消費者の価値観変化等により経営環境は大きく変化するものと予想されます。
このような経営環境のもと当社グループは、本格的なグローバルチェーンの確立に向け、組織・仕組み・システム改革を実行するとともに、独自のビジネスモデルである『製造物流小売業』の強みを活かし、より一層お客様の立場に立った商品・店・サービスを提供してまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。なお、当社は家具・インテリア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
(ⅰ)経営成績の状況
当連結会計年度(2018年2月21日から2019年2月20日)におけるわが国経済は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働き、雇用・所得環境の改善が続くなか、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしましたが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響により依然として不透明な状態が続いております。
家具・インテリア業界におきましても、業態を越えた販売競争の激化及び人件費の高騰、物流コストの上昇等により引続き厳しい経営環境が続いております。
このような環境のなか、営業概況といたしましては、季節商品を中心とした寝具・寝装品や機能性カーテンなどのウィンドウカバリング、ベッドルーム家具が好調に推移し売上を牽引いたしました。販売費及び一般管理費につきましては、新規出店による人件費及び賃借料、物流業界における賃金上昇等により発送配達費が増加いたしましたが、展示什器費及び備品消耗品費が既存店の改装を推進した前期と比較して減少したことなどにより、概ね計画通りの実績となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は6,081億31百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,007億79百万円(前期比7.9%増)、経常利益は1,030億53百万円(前期比8.6%増)となり32期連続増収増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は681億80百万円(前期比6.2%増)となりました。
(a)家具・インテリア用品の販売
当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)の取り組みといたしましては、グローバルでの事業環境や外部環境の変化に対応した基盤作りを行う組織として新たにグローバル商品本部を発足し、さらなるバーティカルマーチャンダイジングの推進、原材料の集約化による原価低減と品質向上に取り組んだほか、パッケージサイズの小型化や梱包材の改善により物流コストの低減に努めてまいりました。また、ベトナムやタイの自社工場における製造を拡大し、より競争力のある安定した商品供給体制の構築にも注力しております。
当連結会計年度における販売実績といたしましては、ホームファッション商品では、接触冷感素材を使用した「Nクール」及び吸湿発熱素材を使用した「Nウォーム」シリーズが、さらなる品質の向上及び品種の拡大と安定した商品供給体制の構築も手伝って前年を大きく上回る売上となったほか、ズレ防止ひもをなくし、付け替えが簡単な掛けカバー等「Nグリップ」シリーズや空気中の花粉やほこりを吸着する花粉キャッチカーテン、ネジや工具を使用せず組立時間を大幅に短縮したカラーボックス等「Nクリック」シリーズなどの機能性商品が好調に推移いたしました。また、様々な色柄の組み合わせが低価格で楽しめるプライス・ブランドの「DAY Value」を中心に構成された、季節ごとのトータルコーディネートの商品企画「Patio」「HARBOR」「THE LAND」「Winter Holiday」の各シリーズは、いずれも高いデザイン性がお客様に支持されて好調に推移いたしました。 家具につきましては、ドイツのヘティヒ社と共同開発のレールをすべての引出しに使用し、高い耐久性を実現した組み合わせキッチンボード「リガーレ」や、商品のバリエーションを増やした自社開発のベッドマットレス「Nスリープ」の売上が伸長いたしました。
EC事業におきましては、新たなマーケティングツールの導入により、顧客一人ひとりの趣向や属性などから個別に最適化されたマーケティングを行う「One to Oneマーケティング」 施策のほか、商品カテゴリーの再編成等によるウェブサイトの改善や、昨年導入のスマートフォンアプリ「手ぶらdeショッピング」も効果をあげ、ニトリネットにおける売上を押上げる要因となりました。法人事業におきましては、オフィス家具だけでなく飲食店や各種ショールーム、医療・福祉施設や宿泊施設など様々なシーンに対応した提案を行い、お客様の要望に応じたオリジナル商品の開発等も寄与し、好調な売上となりました。また、2018年10月にはニトリ渋谷公園通り店9階にてニトリのショールームとして最大となる「NITORI BUSINESS 渋谷ショールーム」をオープンし、ビジネス事業のさらなるシェア拡大を推進しております。
品質面におきましては、経済産業省が主催する『第12回製品安全対策優良企業表彰』において、発注元の企業に知らせずに部品の素材等の仕様が変更される「サイレントチェンジ」防止に向けた品質保証マニュアルの適用範囲の拡大、海外拠点での技術評価会による安全性評価の展開、海外取引先への技術指導及び経営指導・品質改善指導の拡大等、当社グループの製品安全への取り組みが評価され、大企業小売販売事業者部門における「経済産業大臣賞」を前回に続き2回連続受賞いたしました。
物流面におきましては、2018年10月に中国江蘇省の太倉にて当社グループ最大となる約4万坪の敷地面積を有する「太倉DC」を新設いたしました。中国国内向けだけでなく、アジア各地の生産・調達工場と日本を結ぶ物流拠点としても活用することで、安定的な商品供給体制を構築し、グローバルな事業成長を推進しております。また、国内におきましても、売上の増加による物流量の増大に対応し、更なる物流品質の向上に向け、2018年11月に宮城県にて「仙台DC」及び茨城県にて「五霞DC」を開設いたしました。
当連結会計年度における国内の出店状況につきましては、ニトリ店舗のさらなる小商圏の地域のドミナント化を進めてまいりました。また、デコホームでは、店舗のロゴや看板を一新し、従来とは大きく異なる商品陳列や演出による売場作りを行い、ニトリ店舗との違いを明確にした店舗出店を加速しております。その結果、店舗数は38店舗増加し505店舗となりました。海外の出店状況につきましては、2018年5月にアメリカのオンタリオミルズ(カリフォルニア州)に出店いたしました。このほか、台湾で出店4店舗、中国で出店13店舗、米国で3店舗を閉店した結果、店舗数は台湾31店舗、米国3店舗、中国37店舗と合わせて71店舗となり、当連結会計年度末における国内・海外の合計店舗数は576店舗となりました。
CSRに関する取り組みといたしましては、北海道のさらなる観光発展に寄与するため、2018年11月より「小樽芸術村」にて、教会のステンドグラスの名品が綴られた「ルイス・C・ティファニー ステンドグラスギャラリー」をグランドオープンいたしました。また、「平成30年北海道胆振東部地震」等の自然災害に対して、迅速な営業再開・商品供給体制の回復を実現し、地域住民の方々の早期生活復旧支援に取り組んだほか、「平成30年7月豪雨」では、復興支援の一環として被災地の方々へ自社製品マットレスを寄贈いたしました。
その他の活動といたしましては、次世代育成支援対策推進法に基づき、働き方改革の一環としてのダイバーシティ推進への取り組みが評価され、厚生労働大臣より子育てサポート企業として「くるみん」に認定されました。また、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、当社グループは従業員が働きやすい職場環境づくりやワークライフバランスの充実、心身の健康確保への取り組みが評価され「健康経営優良法人2018 ホワイト500」に2年連続で認定されました。当社グループは引き続き、企業イメージの向上、従業員のモラールアップやそれに伴う生産性の向上、優秀な従業員の採用・定着へ向け邁進してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の家具・インテリア用品の販売事業の売上高は、5,950億48百万円(前期比6.5%増)となりました。
(b)その他
不動産賃貸収入及び広告・宣伝事業等により、当連結会計年度のその他の事業の売上高は、130億82百万円(前期比0.5%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇等により引き続き厳しい経営環境が続いておりますが、売上高は6,081億31百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,007億79百万円(前期比7.9%増)、経常利益は1,030億53百万円(前期比8.6%増)となり32期連続の増収増益を達成いたしました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は681億80百万円(前期比6.2%増)となりました。
(売上高)
家具・インテリア用品の販売は、さらなる小商圏の地域のドミナント化や、通販事業の好調、また、季節商品を中心とした寝具・寝装品や機能性カーテンなどのウィンドウカバリング、ベッドルーム家具が売上を牽引し、前連結会計年度に比べ361億41百万円増加し、5,950億48百万円となりました(前期比6.5%増)。また、その他の売上高は前連結会計年度に比べ71百万円減少し、130億82百万円となりました(前期比0.5%減)。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ194億27百万円増加し、2,767億9百万円となりました(前期比7.6%増)。これは主として、売上高の増加によるものであります。売上高総利益率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント減少し、54.5%となりました。これは主として、仕入や棚卸資産に係る為替の影響によるものであります。
販売費及び一般管理費につきましては、新規出店による人件費及び賃借料、物流業界における賃金上昇等により発送配達費が増加した結果、前連結会計年度に比べ92億42百万円増加し、2,306億42百万円となりました(前期比4.2%増)。しかしながら、展示什器費及び備品消耗品費が既存店の改装を推進した前期と比較して減少したことなどにより、対売上高比率では、前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少し、37.9%となり概ね計画通りとなりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ7億27百万円増加し、25億61百万円(前期比39.7%増)となりました。これは主として、持分法による投資利益4億74百万円、為替差益95百万円増加したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ65百万円減少し、2億86百万円(前期比18.5%減)となりました。これは、主として為替差損が2億35百万円減少したことによるものであります
(ⅱ) 財政状態の状況
資産・負債及び純資産の状況
流動資産は、現金及び預金が390億6百万円、商品及び製品が94億93百万円、受取手形及び売掛金が23億60百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ525億30百万円増加いたしました。固定資産は、新店の増加に伴う土地・建物の取得等により有形固定資産が107億26百万円、また、SAPのERPソフトウェアライセンス及びERP策定フェーズ支援等によるソフトウェア仮勘定等の無形固定資産が49億69百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ162億49百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ687億79百万円増加し、6,192億86百万円となりました。
流動負債は、未払金が54億29百万円、未払法人税等が20億72百万円、支払手形及び買掛金が13億48百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ115億91百万円増加いたしました。固定負債は、長期借入金が19億71百万円減少した一方で、退職給付に係る負債が4億88百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ13億35百万円減少いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ102億55百万円増加し、1,190億94百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が576億46百万円増加し、為替換算調整勘定が22億4百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ585億24百万円増加し、5,001億92百万円となりました。
(ⅲ) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより816億64百万円増加し、新規出店及び設備の増強等の投資活動によるキャッシュ・フローにより304億24百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより113億40百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ391億30百万円増加し、1,000億53百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、816億64百万円(前連結会計年度は768億40百万円の獲得)となりました。これは主として売上高の増加に伴う税金等調整前当期純利益1,004億90百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、304億24百万円(前連結会計年度は827億51百万円の支出)となりました。これは主として新店に係る建物、土地等の有形固定資産の取得による支出223億63百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、113億40百万円(前連結会計年度は6億55百万円の獲得)となりました。これは主として、配当金の支払額105億27百万円によるものであります。
(ⅳ)生産、受注及び販売の実績
なお、当社グループは、家具・インテリア用品の販売事業を主たる事業としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年2月21日 至 2019年2月20日) | 前年比 |
百万円 | % | |
家具・インテリア用品の販売 | 595,048 | 106.5 |
その他 | 13,082 | 99.5 |
合計 | 608,131 | 106.3 |
(注) 1.セグメント間の取引について相殺消去しております。
2.記載金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「4.会計方針に関する事項」に記載のとおり重要な資産の評価基準及び評価方法、重要な引当金の計上基準等においての継続性、網羅性、厳格性を重視して計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資金の流動性に関して、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローにより816億64百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより304億24百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより113億40百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ391億30百万円増加し、1,000億53百万円となりました。当社の主な資金需要は、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに固定資産等にかかる投資であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ銀行借入等により対応してまいります。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマンを実現するために、中長期ビジョンである「2022年 1,000店舗、2032年 3,000店舗」の達成に向けた経営戦略を策定しております。
主な内容として、2013年~2022年の10ヶ年テーマに「グローバル化と事業領域の拡大」を掲げ、そこに至る戦略として、2018年~2020年は「海外高速出店と成長軌道の確立」、2021年~2022年は「グローバルチェーン確立に向けた経営基盤再構築」に努めてまいります。
当社グループは、以上のような中長期経営計画の達成に向けた諸施策を実行することにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に邁進していく所存であります。
今後の見通しといたしましては、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響により依然として先行き不透明な状態が続くものと予想されます。また、家具・インテリア業界におきましても、業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇、テクノロジーの進化に起因する様々な変革、消費者の価値観変化等により経営環境は大きく変化するものと予想されます。
このような経営環境のもと当社グループは、本格的なグローバルチェーンの確立に向け、組織・仕組み・システム改革を実行するとともに、独自のビジネスモデルである『製造物流小売業』の強みを活かし、より一層お客様の立場に立った商品・店・サービスを提供してまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。