有価証券報告書-第49期(令和2年2月21日-令和3年2月20日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。
なお、従来、当社グループの報告セグメントは「家具・インテリア用品の販売事業」の1つとしておりましたが、株式会社島忠の連結子会社化に伴い、当連結会計年度において事業セグメントの区分方法の見直し及び追加を行うことといたしました。その結果、当社の報告セグメントは、「ニトリ事業」、「島忠事業」の2つへ変更しておりますが、「島忠事業」について当連結会計年度は貸借対照表のみを連結しているため、セグメント別の記載はしておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2020年2月21日から2021年2月20日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等厳しい状況となりました。また景気の先行きにつきましては、各種政策効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されるものの、感染再拡大による国内外経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があり、不透明な状況が続いております。
家具・インテリア業界におきましては、巣ごもり消費や新しい生活様式の定着により家具・インテリア商品等に対する需要の増加が見られるものの、業種業態の垣根を越えた販売競争の激化や人手不足による人件費の高騰及び、物流コストの上昇等により、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような環境のなか、ニトリグループでは、新型コロナウイルス感染症に対して様々な感染拡大防止策を講じながら、生活関連用品の安定供給を担う社会的なインフラとしての役割を強く認識して営業を継続してまいりました。店舗におきましては、営業時間の短縮、店舗内設備における消毒・清掃の強化、検温の実施、マスクの着用、手洗い消毒等を徹底しながら、お客様の安心・安全と健康面への配慮を最優先に考え取り組むとともに、店舗外におきましても従業員が安心・安全に働ける職場環境づくりに注力し、時差出勤の推奨やWEB会議の活用等の対策を徹底してまいりました。
営業概況といたしましては、巣ごもり消費やこれまでより多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式の定着により、家具・ホームファッション商品ともに大変好調に推移いたしました。EC事業につきましても、通販WEBサイト限定の商品や色・サイズを展開したほか、「おうち時間」や「快適ワークスペース」の特集を通販WEBサイトに掲載する等、お客様のニーズに合わせたサービスの強化に努めたことで売上が大きく伸長し、当連結会計年度におけるEC事業売上高は、705億円(前期比59.2%増)となりました。2025年度における国内EC事業売上高の目標1,500億円を達成すべく、更にEC事業の基盤強化を図ってまいります。原価低減の取り組みといたしましては、より原価率の低い商品への入替や、原材料の統一及び、海外サプライヤーとの共同による生産工程の改善等に継続して取り組んだことで売上総利益率の改善に繋がりました。販売費及び一般管理費につきましては、従業員賞与の増加や一部珪藻土商品の自主回収に伴う費用の増加のほか、EC事業の売上増により通販発送件数が大きく増加したことから、商品発送作業に関連する業務委託費が増加いたしました。一方で、緊急事態宣言期間中の店舗の臨時休業や営業時間の短縮及び出張自粛等により、売上に占める賃借料や旅費交通費の割合が減少いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は7,169億円(前期比11.6%増)、営業利益は1,376億87百万円(前期比28.1%増)、経常利益は1,384億26百万円(前期比26.4%増)となり34期連続増収増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は921億14百万円(前期比29.0%増)となりました。
(a)家具・インテリア用品の販売
当連結会計年度における販売実績といたしましては、外出自粛の動きやテレワークの浸透を受け、「Nインボックス」や「Nカラボ」シリーズ等の収納整理用品やキッチン・ダイニング用品、パソコンデスクやワークチェア等のホームオフィス家具が売上を牽引いたしました。更に、例年好評をいただいております「Nクール」や「Nウォーム」シリーズ等の季節寝具寝装品や自社開発かつ自社工場生産による食卓セット「Nコレクション」シリーズが好調に推移いたしました。
前年度より継続して取り組んでいる新たなプロトタイプ(標準型)店舗の確立につきましては、ニトリ成増店や草加店をはじめとする関東の複数店舗において、商品分類や商品構成の整理を行い、コーディネートシリーズ別の提案をしたほか、プレゼンテーションの強化を実施する等、トータルコーディネートをより楽しんでいただける売場づくりに注力したことにより、1人当たり買上品目数の増加に繋がりました。また、新たに家電商品の集積売場やキッズ・ベビー商品の演出売場を展開する等、客層の拡大に努めてまいりました。引き続き、多様化するお客様のニーズに応えるためこれら店舗の成功事例を新店や改装店へ拡大してまいります。
One to Oneマーケティングの取り組みといたしましては、アプリ会員を対象とした商品購入時においてポイントの追加付与の実施や、ご自宅の家具のサイズや納品経路に加え、設置スペースや窓のサイズを空間認識して計測できるAR機能を搭載した「サイズwithメモ」機能を新しく追加する等、お客様にとってより便利で快適な買物環境の構築に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度末におけるアプリ会員数は前連結会計年度末の522万人から大きく伸長し908万人(前期比73.9%増)となりました。2025年度におけるアプリ会員数の目標2,500万人を達成すべく、今後もアプリ機能や会員向けサービスの拡充に注力してまいります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みといたしましては、近くにニトリの法人及びリフォーム事業の拠点がなくても、オンラインで専門スタッフによるご案内を可能とする遠隔接客サービスを開始いたしました。引き続き、オンラインとオフラインの融合施策やDXを推進し、お客様との継続的な関係性の構築と、買物利便性の向上に努めてまいります。
物流面の取り組みといたしましては、当社の物流子会社である株式会社ホームロジスティクスが、異業種3社が参画するスワップボディを活用した共同輸送事業の取り組みにおいて、輸送効率の向上や空回送の削減及び輸送と荷役の分離等によって、ドライバーの作業負担の低減や労働環境の改善を実現したことにより「令和2年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」の「国土交通大臣表彰」を共同受賞いたしました。また、発送品の一部自社配達化や玄関先納品の実施による物流コスト削減の取り組みを推進したほか、DC拠点を自社化する等、今後5年間で2,000億円超の大規模投資を行う新たな物流戦略プロジェクトに着手しております。
当連結会計年度における国内店舗の状況につきましては、店舗数は32店舗増加し573店舗となりました。海外店舗の状況につきましては、中国事業の基盤づくりとして前年度より取り組んでいる既存店の改装に注力した結果、中国の標準店として位置付けた上海七宝万科店と、旗艦店として位置付けた上海徐家ワイ店の売上が大きく増加いたしました。これらの店舗を収益化のモデル店舗として、新たに上海南翔印象城店、珠海優特広場店、昆山九方コウ物中心店の3店舗を出店し、売上は好調に推移いたしました。その他、台湾で7店舗を出店した一方で、台湾で2店舗、中国で3店舗を閉店した結果、店舗数は台湾35店舗、米国2店舗、中国34店舗と合わせて71店舗となり、当連結会計年度末における国内及び海外の合計店舗数は644店舗となりました。また当連結会計年度における買上客数は、前連結会計年度末の9,300万人から増加し1億人を突破いたしました。当社では、お買い上げいただけるお客様の数が増え続けることが社会貢献のバロメーターになると考え、2025年度における国内及び海外の店舗数の目標1,400店舗及び、買上客数の目標2億人を達成すべく、引き続き国内及び海外で積極的な出店を行い、より多くのお客様に豊かな暮らしを提供してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の家具・インテリア用品の販売事業の売上高は、7,040億35百万円(前期比11.8%増)となりました。
(b)その他
前年度より『トータルコーディネートの大人服』をコンセプトに、大人の女性のためのお求めやすく、着心地もよく、気軽にカラーコーディネートができるニトリグループ発のファッションブランドとしてNプラスを展開しております。当連結会計年度における国内の出店状況につきましては、従来のショッピングセンター内への出店だけでなく、新たにニトリ店舗内に出店する等、店舗数は13店舗増加し17店舗となりました。
その他、不動産賃貸収入及び広告・宣伝事業等を加え、当連結会計年度のその他の事業の売上高は、128億65百万円(前期比2.7%増)となりました。
当社は、株式会社島忠を当社の完全子会社とすることを目的として、2020年11月から12月にかけて同社の普通株式の全てを対象とする公開買付けを実施し、2021年1月に同社は当社の連結子会社となりました。両社が強固に連携することでシナジーの実現が可能となり、従来の家具・インテリア用品に加えて、ホームセンター商材や一般商材へ事業領域を拡大し、お客様に住まいに関する包括的なサービスを提供することで、お客様の様々なライフスタイルに対応した事業展開が可能になるものと考えております。今後、強力な社内統合推進体制を構築し、事業の更なる発展及び企業価値の最大化を図ってまいります。
また、株式会社島忠を加えた場合の当連結会計年度末におけるニトリグループの店舗状況につきましては、ニトリ644店舗、Nプラス17店舗、島忠61店舗となり、合計店舗数は722店舗となります。なお、当連結会計年度は、株式会社島忠の貸借対照表のみを連結しており、同社の業績は含まれておりません。
生産、受注及び販売の実績
従来、当社グループの報告セグメントは、「家具・インテリア用品の販売事業」の1つとしておりましたが、株式会社島忠の連結子会社化に伴い、当連結会計年度において事業セグメントの区分方法の見直し及び追加を行うことといたしました。その結果、当社の報告セグメントは、「ニトリ事業」、「島忠事業」の2つへ変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報を当連結会計年度の報告セグメントの区分方法により作成した情報については、「島忠事業」が当連結会計年度より追加されたことから、開示を行っておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 記載金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
流動資産は、商品及び製品が149億30百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ391億60百万円増加いたしました。固定資産は、土地の増加等により有形固定資産が1,526億47百万円増加したこと及びのれんの増加等により無形固定資産が241億48百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,046億39百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,438億円増加し、9,270億48百万円となりました。
流動負債は、短期借入金が459億27百万円、支払手形及び買掛金が247億79百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,092億82百万円増加いたしました。固定負債は、資産除去債務が89億34百万円、退職給付に係る負債が38億42百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ135億22百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,228億4百万円増加し、2,451億90百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が796億10百万円、非支配株主持分が397億60百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,209億96百万円増加し、6,818億57百万円となりました。
なお、当連結会計年度におきまして、株式会社島忠が新たに当社の連結子会社になったことに伴い、資産合計及び負債合計が大幅に増加しております。株式会社島忠の連結子会社化に伴い増加した資産及び負債の額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより1,508億79百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより1,959億85百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより303億9百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ153億4百万円減少し、1,254億87百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,508億79百万円(前連結会計年度は993億37百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,306億96百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、1,959億85百万円(前連結会計年度は444億86百万円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,583億4百万円、有形固定資産の取得による支出171億45百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、303億9百万円(前連結会計年度は138億62百万円の支出)となりました。これは主として、短期借入れによる収入460億円及び配当金の支払額124億97百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主な資金需要は、商品仕入や販売費及び一般管理費等の運転資金及び出店や物流施設、工場拡張、システム投資等の設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄うことを予定しておりますが、2032年の目標店舗数3,000店舗に向け、今後のM&A等を検討する場合に借入や社債発行等の資金調達が機動的かつ低コストで行えるよう、充実した内部資金を元とした健全な財務基盤を構築・維持することが重要であると考えております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
次期の経営環境につきまして、世界では、新型コロナウイルス感染症のワクチンへの期待感が広まっておりますが、感染症拡大の脅威は依然として続いており、景気回復の足取りは弱く、今後も不透明な経営環境が続くと予想されます。また、家具インテリア業界におきましても、テクノロジーの進化スピードの加速に起因する競合の進化等、業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇、消費者の価値観や購買行動の変化等により経営環境は大きく変化するものと予想されます。
このような経営環境のもと当社グループは、本格的なグローバルチェーンの確立に向け、独自のビジネスモデルである『製造物流IT小売業』の強みを進化させ、日本国内においてはコーディネート提案の推進やO2Oの推進等、海外においては出店の加速等、各地域の市場特性と成長ステージに応じた取り組みをすすめることによって、より一層お客様の立場に立った商品・店・サービスを提供してまいります。
また、従来の家具・インテリア用品に加えて、ホームセンター商材や一般商材へ事業領域を拡大し、お客様に対して住まいに関する包括的なサービスを提供し、お客様の様々なライフスタイルに対応した事業展開が可能になるものと考えております。更に、持続的な成長を強固なものにするため、商品開発と品質管理体制の強化及び物流・組織・仕組み・システム改革を実行してまいります。
通期の連結業績見通しといたしましては、売上高は8,736億円、営業利益は1,439億円、経常利益は1,464億円、親会社株主に帰属する当期純利益は986億円を予定しております。
なお、上記のうち島忠事業の見通しにつきましては、ニトリ商品やオリジナルPB商品の開発により荒利改善を見込む一方、店舗修繕や新規出店を進める等、未来対策の経費増加を計画しており、売上高は1,500億円、営業利益は75億円、経常利益は80億円、当期純利益は50億円を見込んでおります。
なお、従来、当社グループの報告セグメントは「家具・インテリア用品の販売事業」の1つとしておりましたが、株式会社島忠の連結子会社化に伴い、当連結会計年度において事業セグメントの区分方法の見直し及び追加を行うことといたしました。その結果、当社の報告セグメントは、「ニトリ事業」、「島忠事業」の2つへ変更しておりますが、「島忠事業」について当連結会計年度は貸借対照表のみを連結しているため、セグメント別の記載はしておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2020年2月21日から2021年2月20日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等厳しい状況となりました。また景気の先行きにつきましては、各種政策効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されるものの、感染再拡大による国内外経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があり、不透明な状況が続いております。
家具・インテリア業界におきましては、巣ごもり消費や新しい生活様式の定着により家具・インテリア商品等に対する需要の増加が見られるものの、業種業態の垣根を越えた販売競争の激化や人手不足による人件費の高騰及び、物流コストの上昇等により、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような環境のなか、ニトリグループでは、新型コロナウイルス感染症に対して様々な感染拡大防止策を講じながら、生活関連用品の安定供給を担う社会的なインフラとしての役割を強く認識して営業を継続してまいりました。店舗におきましては、営業時間の短縮、店舗内設備における消毒・清掃の強化、検温の実施、マスクの着用、手洗い消毒等を徹底しながら、お客様の安心・安全と健康面への配慮を最優先に考え取り組むとともに、店舗外におきましても従業員が安心・安全に働ける職場環境づくりに注力し、時差出勤の推奨やWEB会議の活用等の対策を徹底してまいりました。
営業概況といたしましては、巣ごもり消費やこれまでより多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式の定着により、家具・ホームファッション商品ともに大変好調に推移いたしました。EC事業につきましても、通販WEBサイト限定の商品や色・サイズを展開したほか、「おうち時間」や「快適ワークスペース」の特集を通販WEBサイトに掲載する等、お客様のニーズに合わせたサービスの強化に努めたことで売上が大きく伸長し、当連結会計年度におけるEC事業売上高は、705億円(前期比59.2%増)となりました。2025年度における国内EC事業売上高の目標1,500億円を達成すべく、更にEC事業の基盤強化を図ってまいります。原価低減の取り組みといたしましては、より原価率の低い商品への入替や、原材料の統一及び、海外サプライヤーとの共同による生産工程の改善等に継続して取り組んだことで売上総利益率の改善に繋がりました。販売費及び一般管理費につきましては、従業員賞与の増加や一部珪藻土商品の自主回収に伴う費用の増加のほか、EC事業の売上増により通販発送件数が大きく増加したことから、商品発送作業に関連する業務委託費が増加いたしました。一方で、緊急事態宣言期間中の店舗の臨時休業や営業時間の短縮及び出張自粛等により、売上に占める賃借料や旅費交通費の割合が減少いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は7,169億円(前期比11.6%増)、営業利益は1,376億87百万円(前期比28.1%増)、経常利益は1,384億26百万円(前期比26.4%増)となり34期連続増収増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は921億14百万円(前期比29.0%増)となりました。
(a)家具・インテリア用品の販売
当連結会計年度における販売実績といたしましては、外出自粛の動きやテレワークの浸透を受け、「Nインボックス」や「Nカラボ」シリーズ等の収納整理用品やキッチン・ダイニング用品、パソコンデスクやワークチェア等のホームオフィス家具が売上を牽引いたしました。更に、例年好評をいただいております「Nクール」や「Nウォーム」シリーズ等の季節寝具寝装品や自社開発かつ自社工場生産による食卓セット「Nコレクション」シリーズが好調に推移いたしました。
前年度より継続して取り組んでいる新たなプロトタイプ(標準型)店舗の確立につきましては、ニトリ成増店や草加店をはじめとする関東の複数店舗において、商品分類や商品構成の整理を行い、コーディネートシリーズ別の提案をしたほか、プレゼンテーションの強化を実施する等、トータルコーディネートをより楽しんでいただける売場づくりに注力したことにより、1人当たり買上品目数の増加に繋がりました。また、新たに家電商品の集積売場やキッズ・ベビー商品の演出売場を展開する等、客層の拡大に努めてまいりました。引き続き、多様化するお客様のニーズに応えるためこれら店舗の成功事例を新店や改装店へ拡大してまいります。
One to Oneマーケティングの取り組みといたしましては、アプリ会員を対象とした商品購入時においてポイントの追加付与の実施や、ご自宅の家具のサイズや納品経路に加え、設置スペースや窓のサイズを空間認識して計測できるAR機能を搭載した「サイズwithメモ」機能を新しく追加する等、お客様にとってより便利で快適な買物環境の構築に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度末におけるアプリ会員数は前連結会計年度末の522万人から大きく伸長し908万人(前期比73.9%増)となりました。2025年度におけるアプリ会員数の目標2,500万人を達成すべく、今後もアプリ機能や会員向けサービスの拡充に注力してまいります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みといたしましては、近くにニトリの法人及びリフォーム事業の拠点がなくても、オンラインで専門スタッフによるご案内を可能とする遠隔接客サービスを開始いたしました。引き続き、オンラインとオフラインの融合施策やDXを推進し、お客様との継続的な関係性の構築と、買物利便性の向上に努めてまいります。
物流面の取り組みといたしましては、当社の物流子会社である株式会社ホームロジスティクスが、異業種3社が参画するスワップボディを活用した共同輸送事業の取り組みにおいて、輸送効率の向上や空回送の削減及び輸送と荷役の分離等によって、ドライバーの作業負担の低減や労働環境の改善を実現したことにより「令和2年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」の「国土交通大臣表彰」を共同受賞いたしました。また、発送品の一部自社配達化や玄関先納品の実施による物流コスト削減の取り組みを推進したほか、DC拠点を自社化する等、今後5年間で2,000億円超の大規模投資を行う新たな物流戦略プロジェクトに着手しております。
当連結会計年度における国内店舗の状況につきましては、店舗数は32店舗増加し573店舗となりました。海外店舗の状況につきましては、中国事業の基盤づくりとして前年度より取り組んでいる既存店の改装に注力した結果、中国の標準店として位置付けた上海七宝万科店と、旗艦店として位置付けた上海徐家ワイ店の売上が大きく増加いたしました。これらの店舗を収益化のモデル店舗として、新たに上海南翔印象城店、珠海優特広場店、昆山九方コウ物中心店の3店舗を出店し、売上は好調に推移いたしました。その他、台湾で7店舗を出店した一方で、台湾で2店舗、中国で3店舗を閉店した結果、店舗数は台湾35店舗、米国2店舗、中国34店舗と合わせて71店舗となり、当連結会計年度末における国内及び海外の合計店舗数は644店舗となりました。また当連結会計年度における買上客数は、前連結会計年度末の9,300万人から増加し1億人を突破いたしました。当社では、お買い上げいただけるお客様の数が増え続けることが社会貢献のバロメーターになると考え、2025年度における国内及び海外の店舗数の目標1,400店舗及び、買上客数の目標2億人を達成すべく、引き続き国内及び海外で積極的な出店を行い、より多くのお客様に豊かな暮らしを提供してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の家具・インテリア用品の販売事業の売上高は、7,040億35百万円(前期比11.8%増)となりました。
(b)その他
前年度より『トータルコーディネートの大人服』をコンセプトに、大人の女性のためのお求めやすく、着心地もよく、気軽にカラーコーディネートができるニトリグループ発のファッションブランドとしてNプラスを展開しております。当連結会計年度における国内の出店状況につきましては、従来のショッピングセンター内への出店だけでなく、新たにニトリ店舗内に出店する等、店舗数は13店舗増加し17店舗となりました。
その他、不動産賃貸収入及び広告・宣伝事業等を加え、当連結会計年度のその他の事業の売上高は、128億65百万円(前期比2.7%増)となりました。
当社は、株式会社島忠を当社の完全子会社とすることを目的として、2020年11月から12月にかけて同社の普通株式の全てを対象とする公開買付けを実施し、2021年1月に同社は当社の連結子会社となりました。両社が強固に連携することでシナジーの実現が可能となり、従来の家具・インテリア用品に加えて、ホームセンター商材や一般商材へ事業領域を拡大し、お客様に住まいに関する包括的なサービスを提供することで、お客様の様々なライフスタイルに対応した事業展開が可能になるものと考えております。今後、強力な社内統合推進体制を構築し、事業の更なる発展及び企業価値の最大化を図ってまいります。
また、株式会社島忠を加えた場合の当連結会計年度末におけるニトリグループの店舗状況につきましては、ニトリ644店舗、Nプラス17店舗、島忠61店舗となり、合計店舗数は722店舗となります。なお、当連結会計年度は、株式会社島忠の貸借対照表のみを連結しており、同社の業績は含まれておりません。
生産、受注及び販売の実績
従来、当社グループの報告セグメントは、「家具・インテリア用品の販売事業」の1つとしておりましたが、株式会社島忠の連結子会社化に伴い、当連結会計年度において事業セグメントの区分方法の見直し及び追加を行うことといたしました。その結果、当社の報告セグメントは、「ニトリ事業」、「島忠事業」の2つへ変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報を当連結会計年度の報告セグメントの区分方法により作成した情報については、「島忠事業」が当連結会計年度より追加されたことから、開示を行っておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年2月21日 至 2021年2月20日) | 前期比 |
百万円 | % | |
ニトリ事業 | 716,900 | 111.6 |
合計 | 716,900 | 111.6 |
(注) 記載金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
流動資産は、商品及び製品が149億30百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ391億60百万円増加いたしました。固定資産は、土地の増加等により有形固定資産が1,526億47百万円増加したこと及びのれんの増加等により無形固定資産が241億48百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,046億39百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,438億円増加し、9,270億48百万円となりました。
流動負債は、短期借入金が459億27百万円、支払手形及び買掛金が247億79百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,092億82百万円増加いたしました。固定負債は、資産除去債務が89億34百万円、退職給付に係る負債が38億42百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ135億22百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,228億4百万円増加し、2,451億90百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が796億10百万円、非支配株主持分が397億60百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,209億96百万円増加し、6,818億57百万円となりました。
なお、当連結会計年度におきまして、株式会社島忠が新たに当社の連結子会社になったことに伴い、資産合計及び負債合計が大幅に増加しております。株式会社島忠の連結子会社化に伴い増加した資産及び負債の額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより1,508億79百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより1,959億85百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより303億9百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ153億4百万円減少し、1,254億87百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,508億79百万円(前連結会計年度は993億37百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,306億96百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、1,959億85百万円(前連結会計年度は444億86百万円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,583億4百万円、有形固定資産の取得による支出171億45百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、303億9百万円(前連結会計年度は138億62百万円の支出)となりました。これは主として、短期借入れによる収入460億円及び配当金の支払額124億97百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主な資金需要は、商品仕入や販売費及び一般管理費等の運転資金及び出店や物流施設、工場拡張、システム投資等の設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄うことを予定しておりますが、2032年の目標店舗数3,000店舗に向け、今後のM&A等を検討する場合に借入や社債発行等の資金調達が機動的かつ低コストで行えるよう、充実した内部資金を元とした健全な財務基盤を構築・維持することが重要であると考えております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
次期の経営環境につきまして、世界では、新型コロナウイルス感染症のワクチンへの期待感が広まっておりますが、感染症拡大の脅威は依然として続いており、景気回復の足取りは弱く、今後も不透明な経営環境が続くと予想されます。また、家具インテリア業界におきましても、テクノロジーの進化スピードの加速に起因する競合の進化等、業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇、消費者の価値観や購買行動の変化等により経営環境は大きく変化するものと予想されます。
このような経営環境のもと当社グループは、本格的なグローバルチェーンの確立に向け、独自のビジネスモデルである『製造物流IT小売業』の強みを進化させ、日本国内においてはコーディネート提案の推進やO2Oの推進等、海外においては出店の加速等、各地域の市場特性と成長ステージに応じた取り組みをすすめることによって、より一層お客様の立場に立った商品・店・サービスを提供してまいります。
また、従来の家具・インテリア用品に加えて、ホームセンター商材や一般商材へ事業領域を拡大し、お客様に対して住まいに関する包括的なサービスを提供し、お客様の様々なライフスタイルに対応した事業展開が可能になるものと考えております。更に、持続的な成長を強固なものにするため、商品開発と品質管理体制の強化及び物流・組織・仕組み・システム改革を実行してまいります。
通期の連結業績見通しといたしましては、売上高は8,736億円、営業利益は1,439億円、経常利益は1,464億円、親会社株主に帰属する当期純利益は986億円を予定しております。
次期予想 | 当期 | 増減額 | 増減率(%) | |
売上高(百万円) | 873,600 | 716,900 | 156,699 | 21.9 |
営業利益(百万円) | 143,900 | 137,687 | 6,212 | 4.5 |
経常利益(百万円) | 146,400 | 138,426 | 7,973 | 5.8 |
親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | 98,600 | 92,114 | 6,485 | 7.0 |
1株当たり当期純利益(円) | 873.92 | 817.01 | 56.91 | 7.0 |
なお、上記のうち島忠事業の見通しにつきましては、ニトリ商品やオリジナルPB商品の開発により荒利改善を見込む一方、店舗修繕や新規出店を進める等、未来対策の経費増加を計画しており、売上高は1,500億円、営業利益は75億円、経常利益は80億円、当期純利益は50億円を見込んでおります。