有価証券報告書-第51期(2022/02/21-2023/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2022年2月21日から2023年3月31日)におけるわが国経済は、世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっておりますが、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されております。家具・インテリア業界におきましては、業種・業態の垣根を越えた販売競争の激化や、人手不足による人件費の高騰及び供給面での制約や原材料価格の上昇等により、依然として厳しい経営環境が続いております。
当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度は決算期変更の経過期間にあたるため、2022年2月21日から2023年3月31日までの13か月11日間となっております。前期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減額および増減率を記載しております。
また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (収益認識関係)」に記載のとおりであります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、ニトリ事業の当連結会計年度の外部顧客への売上高は813,734百万円であり、島忠事業の外部顧客への売上高は134,360百万円となります。
① ニトリ事業
国内の営業概況といたしましては、当連結会計年度において、ニトリ43店舗、デコホーム33店舗と積極的な出店を進めてまいりました。なかでも、ニトリ目黒通り店及びニトリ池袋サンシャイン60通り店は、実際の部屋をイメージした部屋型プレゼンテーションを多数展開した都内の旗艦店としてオープンいたしました。2022年7月には、早い時間帯にお買い物をしたいというお客様の声にお応えし、353店舗において開店時間を午前11時から午前10時に繰り上げいたしました。また、より多くのお客様にご満足いただくために、家具や家電商品の無料配送や、一部商品のお試し価格でのご提供を複数行うなど各種キャンペーン施策を実施してまいりました。販売費及び一般管理費につきましては、物流の効率化による発送配達費の削減などを行い、経費の抑制に努めてまいりました。しかしながら、急激な円安の進行や原油高に起因する輸入コストの上昇等により売上原価は増加いたしました。
当連結会計年度における販売実績といたしましては、横向き寝がラクなまくら「ナチュラルフィット」、背もたれとフットレストをそれぞれお好みの角度に調整できる電動本革リクライニングパーソナルチェア「2モーターLE01」、熱や傷に強いセラミック素材を天板に使用したダイニングテーブル「セーラル」などの売上が好調に推移いたしました。2022年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)におきましては、「手にフィットして握りやすいオールステンレス包丁」「UVカット率99%でも明るいレースカーテン」「5層構造ボリューム敷布団スリープメンテ」の3項目において受賞いたしました。当社グループの企画・開発・実現への取り組みが評価され、2013年度より10年連続でのグッドデザイン賞受賞となっております。
新しい買い方のご提案に関する取り組みといたしましては、前連結会計年度に開始した「インスタライブ」に加え、お客様とのコミュニケーションをより密に取れる「ニトリLIVE」をニトリネット内に公開し、週2回配信を行っております。ニトリLIVE内ではクーポンの配布を行うなど、お客様との接点拡大も進めております。また、ご自宅にいながら無料で窓まわりの商品購入に関する相談ができる「カーテンオンライン相談サービス」を開始いたしました。このサービスでは、カーテン、ロールスクリーン、ブラインド等の商品のご提案だけでなく、採寸に関するご案内も行っております。2022年11月からはニトリネット内に、気になるインテリアがご自宅のお部屋に合うか、色や柄の組み合わせを確かめた上でお買い物ができる「お部屋deコーディネート」を導入いたしました。引き続き、オンラインとオフラインの融合施策を推進し、お客様との継続的な関係性の構築と、買い物利便性の向上に努めてまいります。
物流施策といたしましては、川上から川下までの物流機能の全体最適の実現を目的とした物流戦略プロジェクトを推進しております。その第一弾として、石狩DC(北海道石狩市)を2022年5月に竣工し、9月より北海道内への商品供給を開始いたしました。また、11月に竣工した神戸DCは、2023年3月より関西圏への商品供給を開始いたしました。さらに、次年度以降の稼働を計画している名古屋DCを2022年7月に、幸手DC(埼玉県幸手市)を8月にそれぞれ着工しております。内製化による効率化を進めているラストワンマイルの配送網の整備においては、従前より東京23区を中心とした地域にてワンマン配送を行っておりましたが、その対象地域を関西圏にも拡大し、物流コストの抑制と配送の効率化を進めております。
海外の営業概況といたしましては、中国大陸におきまして、感染症再拡大によるロックダウン等の影響により最大32店舗が営業停止になるなど厳しい状況でしたが、2022年6月より全店で営業を再開するとともに、北京市への初出店を果たすなど出店を加速し当連結会計年度において21店舗を出店いたしました。東南アジア地域におきましては、マレーシアへの店舗展開が順調に推移し、当連結会計年度末には7店舗体制となりました。シンガポールへも初出店を果たし、東南アジア地域への店舗拡大を加速しております。「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」という企業理念の実現に向けて、今後も未出店の国・地域も含め店舗網の積極的な拡大を進めてまいります。
② 島忠事業
島忠事業につきましては、前連結会計年度より、地域のお客様にご支持いただける商品や売場を実現すべく様々な実験を行っております。2022年4月より、島忠の全店舗及びECサイト「シマホネット」においてニトリポイントの付与・利用が可能となっただけでなく、当社グループの配送網を活用した全国一律料金での配送が可能となり、お買い物をより一層お楽しみいただけるようになりました。また、既存の店舗において、お客様の買い物利便性の向上を目的とした売場及び設備の改装を進めております。商品の品揃えについても見直しを進めており、プライベートブランド商品の開発は順調に推移しております。当社グループにおける重点施策として、今後もお客様の暮らしに密着した「お、ねだん以上。」のプライベートブランド商品開発の拡大と、商品力の強化を図り、地域のお客様の快適な暮らしに貢献してまいります。
2025年までの目標として設定した指標の進捗は次のとおりであります。
店舗の出退店の状況は次のとおりであります。
当社では、お買い上げいただけるお客様の数が増え続けることが社会貢献のバロメーターになると考え、より多くのお客様に豊かな暮らしを提供すべく、日本そして世界へと店舗展開を拡大し、グローバルチェーンの整備を進めております。今後も引き続き、お客様数の増加と買い物利便性の向上のため、事業領域と店舗網の拡大を進めてまいります。
当社は、2022年4月に株式会社エディオンと、両グループの事業拡大及び企業価値向上を目的とし、資本業務提携契約を締結いたしました。当社は、同社株式を10.00%取得し、同社の主要株主となっております。経営資源やノウハウを相互に活用することで、お客様のより豊かな生活に貢献するとともに、あらゆるステークホルダーの皆様の期待に応えることを目指してまいります。
当連結会計年度におけるサステナビリティに関する取り組みといたしましては、気候変動への対応として、当社グループの店舗及び物流倉庫の屋根を活用した太陽光発電のプロジェクトを開始しております。
資源循環の取り組みとして、再製品化、素材化、再資源化の3つのリサイクルの仕組みを構築いたしました。
再製品化の取り組みでは、2021年に一部店舗でお客様より回収した羽毛ふとんから、回収・再製品化・販売の循環の仕組みを当社グループとして初めて構築することに成功し、リサイクル羽毛を約30%使用した「リサイクル羽毛ふとん」を一部店舗及びニトリネットにおいて販売開始いたしました。また、2022年は羽毛ふとんの回収店舗を全国に拡大しました。素材化の取り組みでは、当連結会計年度はカーテンの回収店舗を全国に拡大し、海外で製品や生地素材としてリユースするとともに、国内で自動車の断熱材としてリサイクルいたしました。再資源化の取り組みでは、一部店舗でカーペット・敷ふとんを回収し、熱エネルギーやセメント材料として活用する仕組みを新たに構築いたしました。今後は本取り組みにおいても、カーテン・羽毛ふとんと同様に全国での実施を目指しております。
また、多様性の確保に向けた社内環境整備に関する取り組みでは、2023年3月に、従業員のワークライフバランス向上を目的として、転勤なし・報酬の減額なしの「マイエリア制度」を導入するなど、多様な働き方が選択できるよう進めております。
当社グループのサステナビリティへの取り組みはこれまでに一定の評価を得ており、2022年3月には、ESG投資の代表的指標である「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されました。当社グループは今後も、企業として持続的に発展するとともに、一気通貫のビジネスモデルを通じて環境・社会課題を解決し、より良い未来に貢献することを目指してまいります。
(2) 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(3) 財政状態
流動資産は、商品及び製品が334億83百万円、受取手形及び売掛金が182億2百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ519億86百万円増加いたしました。固定資産は、土地の増加等により有形固定資産が889億97百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ979億44百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,499億30百万円増加し、1兆1,337億71百万円となりました。
流動負債は、短期借入金が480億円、未払法人税等が80億20百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ585億87百万円増加いたしました。固定負債は、長期借入金が69億32百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ60億59百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ646億47百万円増加し、3,156億74百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が789億75百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ852億83百万円増加し、8,180億96百万円となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより913億98百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより1,325億38百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより369億3百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ19億60百万円減少し、1,251億15百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、913億98百万円(前連結会計年度は855億65百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,389億13百万円及び法人税等の支払額400億43百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、1,325億38百万円(前連結会計年度は1,199億80百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出1,139億33百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、369億3百万円(前連結会計年度は177億29百万円の獲得)となりました。これは主として、短期借入金の純増減額(△は減少)400億円、長期借入れによる収入500億円及び長期借入金の返済による支出350億68百万円並びに配当金の支払額160億64百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主な資金需要は、商品仕入や販売費及び一般管理費等の運転資金及び出店や物流施設、工場拡張、システム投資等の設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄うことを予定しておりますが、2032年の目標店舗数3,000店舗に向け、今後のM&A等を検討する場合に借入や社債発行等の資金調達が機動的かつ低コストで行えるよう、充実した内部資金を元とした健全な財務基盤を構築・維持することが重要であると考えております。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
世界情勢の不確実性の高まりや、日本国内の人口減少・少子高齢化・単身世帯や共働き世帯の増加・低所得化の進行、テクノロジーの進化による購買行動や価値観の多様化等、大きなビジネス環境の変化に直面しています。
当社グループにおいては、独自のビジネスモデルである「製造物流IT小売業」を通じ、社会における共有価値を創出し相互繁栄を図ってまいります。既存事業における魅力ある品揃え・品質・価格の実現、ホームセンター事業におけるローコストオペレーションの実現、グローバル展開の加速を進めてまいります。また、お客様から支持し続けていただけるよう、変容する消費者ニーズ・ウォンツに対応した商品の開発や、変わりゆく消費者の買い方に応じた販売方法に変革をしてまいります。
次期の連結業績見通しは、次のとおりであります。
当社は、決算期を2月20日から3月31日に変更いたしました。上記の当期実績につきましては、決算期変更の経過期間にあたるため、2022年2月21日から2023年3月31日までの13か月と11日間となっております。次期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減額及び増減率を記載しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2022年2月21日から2023年3月31日)におけるわが国経済は、世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっておりますが、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されております。家具・インテリア業界におきましては、業種・業態の垣根を越えた販売競争の激化や、人手不足による人件費の高騰及び供給面での制約や原材料価格の上昇等により、依然として厳しい経営環境が続いております。
当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度は決算期変更の経過期間にあたるため、2022年2月21日から2023年3月31日までの13か月11日間となっております。前期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減額および増減率を記載しております。
また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (収益認識関係)」に記載のとおりであります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
売上高 | 811,581 | 948,094 | 136,513 | 16.8 |
営業利益 | 138,270 | 140,076 | 1,806 | 1.3 |
(利益率) | (17.0%) | (14.8%) | ||
経常利益 | 141,847 | 144,085 | 2,237 | 1.6 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 96,724 | 95,129 | △1,594 | △1.6 |
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、ニトリ事業の当連結会計年度の外部顧客への売上高は813,734百万円であり、島忠事業の外部顧客への売上高は134,360百万円となります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
ニトリ事業 | 売上高 | 679,252 | 821,782 | 142,529 | 21.0 |
営業利益 | 135,274 | 135,329 | 55 | 0.0 | |
島忠事業 | 売上高 | 137,052 | 134,664 | △2,388 | △1.7 |
営業利益 | 3,032 | 4,112 | 1,079 | 35.6 |
① ニトリ事業
国内の営業概況といたしましては、当連結会計年度において、ニトリ43店舗、デコホーム33店舗と積極的な出店を進めてまいりました。なかでも、ニトリ目黒通り店及びニトリ池袋サンシャイン60通り店は、実際の部屋をイメージした部屋型プレゼンテーションを多数展開した都内の旗艦店としてオープンいたしました。2022年7月には、早い時間帯にお買い物をしたいというお客様の声にお応えし、353店舗において開店時間を午前11時から午前10時に繰り上げいたしました。また、より多くのお客様にご満足いただくために、家具や家電商品の無料配送や、一部商品のお試し価格でのご提供を複数行うなど各種キャンペーン施策を実施してまいりました。販売費及び一般管理費につきましては、物流の効率化による発送配達費の削減などを行い、経費の抑制に努めてまいりました。しかしながら、急激な円安の進行や原油高に起因する輸入コストの上昇等により売上原価は増加いたしました。
当連結会計年度における販売実績といたしましては、横向き寝がラクなまくら「ナチュラルフィット」、背もたれとフットレストをそれぞれお好みの角度に調整できる電動本革リクライニングパーソナルチェア「2モーターLE01」、熱や傷に強いセラミック素材を天板に使用したダイニングテーブル「セーラル」などの売上が好調に推移いたしました。2022年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)におきましては、「手にフィットして握りやすいオールステンレス包丁」「UVカット率99%でも明るいレースカーテン」「5層構造ボリューム敷布団スリープメンテ」の3項目において受賞いたしました。当社グループの企画・開発・実現への取り組みが評価され、2013年度より10年連続でのグッドデザイン賞受賞となっております。
新しい買い方のご提案に関する取り組みといたしましては、前連結会計年度に開始した「インスタライブ」に加え、お客様とのコミュニケーションをより密に取れる「ニトリLIVE」をニトリネット内に公開し、週2回配信を行っております。ニトリLIVE内ではクーポンの配布を行うなど、お客様との接点拡大も進めております。また、ご自宅にいながら無料で窓まわりの商品購入に関する相談ができる「カーテンオンライン相談サービス」を開始いたしました。このサービスでは、カーテン、ロールスクリーン、ブラインド等の商品のご提案だけでなく、採寸に関するご案内も行っております。2022年11月からはニトリネット内に、気になるインテリアがご自宅のお部屋に合うか、色や柄の組み合わせを確かめた上でお買い物ができる「お部屋deコーディネート」を導入いたしました。引き続き、オンラインとオフラインの融合施策を推進し、お客様との継続的な関係性の構築と、買い物利便性の向上に努めてまいります。
物流施策といたしましては、川上から川下までの物流機能の全体最適の実現を目的とした物流戦略プロジェクトを推進しております。その第一弾として、石狩DC(北海道石狩市)を2022年5月に竣工し、9月より北海道内への商品供給を開始いたしました。また、11月に竣工した神戸DCは、2023年3月より関西圏への商品供給を開始いたしました。さらに、次年度以降の稼働を計画している名古屋DCを2022年7月に、幸手DC(埼玉県幸手市)を8月にそれぞれ着工しております。内製化による効率化を進めているラストワンマイルの配送網の整備においては、従前より東京23区を中心とした地域にてワンマン配送を行っておりましたが、その対象地域を関西圏にも拡大し、物流コストの抑制と配送の効率化を進めております。
海外の営業概況といたしましては、中国大陸におきまして、感染症再拡大によるロックダウン等の影響により最大32店舗が営業停止になるなど厳しい状況でしたが、2022年6月より全店で営業を再開するとともに、北京市への初出店を果たすなど出店を加速し当連結会計年度において21店舗を出店いたしました。東南アジア地域におきましては、マレーシアへの店舗展開が順調に推移し、当連結会計年度末には7店舗体制となりました。シンガポールへも初出店を果たし、東南アジア地域への店舗拡大を加速しております。「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」という企業理念の実現に向けて、今後も未出店の国・地域も含め店舗網の積極的な拡大を進めてまいります。
② 島忠事業
島忠事業につきましては、前連結会計年度より、地域のお客様にご支持いただける商品や売場を実現すべく様々な実験を行っております。2022年4月より、島忠の全店舗及びECサイト「シマホネット」においてニトリポイントの付与・利用が可能となっただけでなく、当社グループの配送網を活用した全国一律料金での配送が可能となり、お買い物をより一層お楽しみいただけるようになりました。また、既存の店舗において、お客様の買い物利便性の向上を目的とした売場及び設備の改装を進めております。商品の品揃えについても見直しを進めており、プライベートブランド商品の開発は順調に推移しております。当社グループにおける重点施策として、今後もお客様の暮らしに密着した「お、ねだん以上。」のプライベートブランド商品開発の拡大と、商品力の強化を図り、地域のお客様の快適な暮らしに貢献してまいります。
2025年までの目標として設定した指標の進捗は次のとおりであります。
2025年の目標 | 当連結会計年度実績 | ||
グループ合計 | 買上客数(年間) | 2億人超 | 1億54百万人 |
店舗数(期末) | 1,400店舗 | 902店舗 | |
日本国内 | アプリ会員(期末) | 2,500万人 | 1,601万人 |
EC売上高(年間) | 1,500億円 | 911億円 |
店舗の出退店の状況は次のとおりであります。
2022年2月20日 店舗数 | 出店 | 退店 | 2023年3月31日 店舗数 | ||
ニトリ(EXPRESS含む) | 494 | 43 | 14 | 523 | |
デコホーム | 140 | 33 | 6 | 167 | |
台湾 | 44 | 10 | 1 | 53 | |
中国大陸 | 46 | 21 | - | 67 | |
米国 | 2 | - | 1 | 1 | |
マレーシア | 1 | 6 | - | 7 | |
シンガポール | - | 1 | - | 1 | |
Nプラス | 18 | 13 | 1 | 30 | |
ニトリ事業 | 745 | 127 | 23 | 849 | |
島忠事業 | 56 | - | 3 | 53 | |
合計 | 801 | 127 | 26 | 902 |
当社では、お買い上げいただけるお客様の数が増え続けることが社会貢献のバロメーターになると考え、より多くのお客様に豊かな暮らしを提供すべく、日本そして世界へと店舗展開を拡大し、グローバルチェーンの整備を進めております。今後も引き続き、お客様数の増加と買い物利便性の向上のため、事業領域と店舗網の拡大を進めてまいります。
当社は、2022年4月に株式会社エディオンと、両グループの事業拡大及び企業価値向上を目的とし、資本業務提携契約を締結いたしました。当社は、同社株式を10.00%取得し、同社の主要株主となっております。経営資源やノウハウを相互に活用することで、お客様のより豊かな生活に貢献するとともに、あらゆるステークホルダーの皆様の期待に応えることを目指してまいります。
当連結会計年度におけるサステナビリティに関する取り組みといたしましては、気候変動への対応として、当社グループの店舗及び物流倉庫の屋根を活用した太陽光発電のプロジェクトを開始しております。
資源循環の取り組みとして、再製品化、素材化、再資源化の3つのリサイクルの仕組みを構築いたしました。
再製品化の取り組みでは、2021年に一部店舗でお客様より回収した羽毛ふとんから、回収・再製品化・販売の循環の仕組みを当社グループとして初めて構築することに成功し、リサイクル羽毛を約30%使用した「リサイクル羽毛ふとん」を一部店舗及びニトリネットにおいて販売開始いたしました。また、2022年は羽毛ふとんの回収店舗を全国に拡大しました。素材化の取り組みでは、当連結会計年度はカーテンの回収店舗を全国に拡大し、海外で製品や生地素材としてリユースするとともに、国内で自動車の断熱材としてリサイクルいたしました。再資源化の取り組みでは、一部店舗でカーペット・敷ふとんを回収し、熱エネルギーやセメント材料として活用する仕組みを新たに構築いたしました。今後は本取り組みにおいても、カーテン・羽毛ふとんと同様に全国での実施を目指しております。
また、多様性の確保に向けた社内環境整備に関する取り組みでは、2023年3月に、従業員のワークライフバランス向上を目的として、転勤なし・報酬の減額なしの「マイエリア制度」を導入するなど、多様な働き方が選択できるよう進めております。
当社グループのサステナビリティへの取り組みはこれまでに一定の評価を得ており、2022年3月には、ESG投資の代表的指標である「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されました。当社グループは今後も、企業として持続的に発展するとともに、一気通貫のビジネスモデルを通じて環境・社会課題を解決し、より良い未来に貢献することを目指してまいります。
(2) 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
ニトリ事業 | 813,734 | 20.6 |
島忠事業 | 134,360 | △2.0 |
合計 | 948,094 | 16.8 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(3) 財政状態
流動資産は、商品及び製品が334億83百万円、受取手形及び売掛金が182億2百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ519億86百万円増加いたしました。固定資産は、土地の増加等により有形固定資産が889億97百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ979億44百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,499億30百万円増加し、1兆1,337億71百万円となりました。
流動負債は、短期借入金が480億円、未払法人税等が80億20百万円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ585億87百万円増加いたしました。固定負債は、長期借入金が69億32百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ60億59百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ646億47百万円増加し、3,156億74百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が789億75百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ852億83百万円増加し、8,180億96百万円となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより913億98百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより1,325億38百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより369億3百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ19億60百万円減少し、1,251億15百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、913億98百万円(前連結会計年度は855億65百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,389億13百万円及び法人税等の支払額400億43百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、1,325億38百万円(前連結会計年度は1,199億80百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出1,139億33百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、369億3百万円(前連結会計年度は177億29百万円の獲得)となりました。これは主として、短期借入金の純増減額(△は減少)400億円、長期借入れによる収入500億円及び長期借入金の返済による支出350億68百万円並びに配当金の支払額160億64百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主な資金需要は、商品仕入や販売費及び一般管理費等の運転資金及び出店や物流施設、工場拡張、システム投資等の設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄うことを予定しておりますが、2032年の目標店舗数3,000店舗に向け、今後のM&A等を検討する場合に借入や社債発行等の資金調達が機動的かつ低コストで行えるよう、充実した内部資金を元とした健全な財務基盤を構築・維持することが重要であると考えております。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
世界情勢の不確実性の高まりや、日本国内の人口減少・少子高齢化・単身世帯や共働き世帯の増加・低所得化の進行、テクノロジーの進化による購買行動や価値観の多様化等、大きなビジネス環境の変化に直面しています。
当社グループにおいては、独自のビジネスモデルである「製造物流IT小売業」を通じ、社会における共有価値を創出し相互繁栄を図ってまいります。既存事業における魅力ある品揃え・品質・価格の実現、ホームセンター事業におけるローコストオペレーションの実現、グローバル展開の加速を進めてまいります。また、お客様から支持し続けていただけるよう、変容する消費者ニーズ・ウォンツに対応した商品の開発や、変わりゆく消費者の買い方に応じた販売方法に変革をしてまいります。
次期の連結業績見通しは、次のとおりであります。
次期予想 | 当期 | 増減額 | 増減率 | |
売上高(百万円) | 932,000 | 948,094 | △16,094 | △1.7 |
営業利益(百万円) | 145,100 | 140,076 | 5,023 | 3.6 |
経常利益(百万円) | 147,000 | 144,085 | 2,914 | 2.0 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 100,000 | 95,129 | 4,870 | 5.1 |
1株当たり当期純利益(円) | 884.86 | 841.90 | 42.97 | 5.1 |
当社は、決算期を2月20日から3月31日に変更いたしました。上記の当期実績につきましては、決算期変更の経過期間にあたるため、2022年2月21日から2023年3月31日までの13か月と11日間となっております。次期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減額及び増減率を記載しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。