有価証券報告書-第32期(平成30年9月1日-令和1年8月31日)

【提出】
2019/11/28 16:00
【資料】
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【項目】
155項目
(1) 経営成績等の状況の概況
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における国内経済は、相次ぐ自然災害を背景にした消費者マインドの低下およびインバウンド需要の減少があったものの個人消費は持ち直しており、景気は緩やかに回復しました。一方、世界経済に目を向けると、米国と中国間の貿易摩擦の深刻化があり、中国では景気の緩やかな減速が続いているものの、全体として景気回復傾向が続きました。
また、国内眼鏡小売市場(視力矯正眼鏡)は、2016年3月以降、前年同期比マイナスの傾向が継続しており、引き続き足元は弱含みに推移しております
このような市場環境の中で、当社グループのアイウエア事業では、経営課題として掲げている商品ラインアップの多様化および接客力、店舗オペレーション力の向上などの取り組みを進めてまいりました。また国内アイウエア事業において更なる成長を実現していくために、イノベーティブなプロダクトの開発や店舗オペレーションの効率化に注力しました。商品開発につきましては、「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器開発の共同プロジェクトに着手しました。これにより、当連結会計年度の研究開発費の総額は88百万円となりました。店舗戦略につきましては、ショッピングモール形態での出店を継続しながらも郊外ロードサイドへの出店を加速し、更なる店舗基盤の強化に努めてまいりました。
なお、前連結会計年度まで当社の非連結子会社でありました台灣睛姿股份有限公司につきましては、重要性が増したため、第1四半期連結会計期間より連結の範囲に含めており、報告セグメントは「海外アイウエア事業」であります。
店舗展開につきましては、当連結会計年度末におけるアイウエア専門ショップの店舗数は、国内直営店379店舗、海外直営店181店舗(中国144店舗、台湾28店舗、香港4店舗、米国5店舗)の合計560店舗となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
(イ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高61,893百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益7,459百万円(前年同期比22.9%増)、経常利益7,015百万円(前年同期比24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円(前年同期比25.0%増)と増収増益となりました。
なおセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
国内アイウエア事業の業績につきましては、売上高48,155百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益7,242百万円(前年同期比16.1%増)となりました。
海外アイウエア事業の業績は、売上高11,095百万円(前年同期比53.8%増)、営業利益360百万円(前年同期比409.0%増)となりました。
雑貨事業の業績は、売上高2,642百万円(前年同期比2.0%増)、営業損失144百万円(前年同期は営業損失235百万円)となりました。
(ロ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は36,628百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,129百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は14,258百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,466百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は22,370百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,662百万円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,947百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ2,134百万円増加し、6,877百万円の収入となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益6,238百万円の計上、減価償却費2,529百万円の計上による資金の増加があったものの、たな卸資産の増減額293百万円、法人税等の支払額2,216百万円による資金の減少があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ227百万円減少し、2,836百万円の支出となりました。
これは主に、店舗の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出1,939百万円、貸付けによる支出183百万円、敷金及び保証金の差入による支出443百万円によるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ1,272百万円減少し、1,724百万円の支出となりました。
これは主に、短期借入金の純増額841百万円による資金の増加があったものの、割賦債務の返済による支出422百万円、リース債務の返済による支出715百万円、配当金の支払額1,150百万円による資金の減少があったものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は卸・小売業であり、生産活動を行っておりませんので、生産実績、受注実績は該当事項がありません。
販売実績につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りにより作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示ならびに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づいた見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
これらの連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は61,893百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、3プライス制の価格戦略における高価格帯商品のバリエーションを拡充し、1本で簡単にメガネにもサングラスにもなるアイウエア「JINS Switch(ジンズ・スイッチ)」および12,000円の価格帯で発売している「Combi Slim Airframe」等が順調な売れ行きだったことにより、一式単価が上昇いたしました。
また、郊外ロードサイドにコーヒーショップや書店といった他業態と協働した集客力の高い出店を推し進めるなど、店舗基盤の強化を図ることで、前期から30店舗純増し国内直営店は379店舗となりました。これにより国内アイウエア事業の売上高は前期同期比6.9%増加しました。
海外アイウエア事業につきましては、中国事業においては競争環境が激しさを増しているものの、新規出店を進め前期から14店舗純増し店舗数は144店舗になりました。米国においても、米国向けデザイン商品の投入及び店舗オペレーションの改善等により既存店売上高が大幅に増加しました。また、当連結会計年度より台湾事業および香港事業が連結の範囲に加わったこともあり、海外アイウエア事業の売上高は前年同期比53.8%増加しました。
雑貨事業につきましては、通販サイトおよび中古市場の台頭等により厳しさを増しておりますが、市況の変化に対応できるよう店舗オペレーションおよび商品戦略の見直しを行っており、業績は回復基調にあります。
これにより雑貨事業の売上高は前年同期比2.0%増加しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は7,459百万円(前年同期比22.9%増)となりました。
国内アイウエア事業は、高価格帯商品が好調だったことによる一式単価の上昇およびセールの抑制により売上高総利益率が改善しました。販売管理費についても、下期に「JINS Switch」のプロモーションをTVCMを中心に展開したこと等により広告宣伝費が増加したものの、既存店売上高が好調だったことにより売上高対販売管理費率が下がったことが増益要因となりました。
海外アイウエア事業は、順調に利益を伸ばしている台湾事業が連結の範囲に加わったことが増益要因となりました。
雑貨事業は、店舗オペレーションの見直しとともに販売管理費の削減を進めたことが増益要因となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は7,015百万円(前年同期比24.6%増)となりました。
これは主に、不動産賃貸費用が309百万円、支払利息が155百万円あったことにより、営業利益7,459百万円から444百万円の減少となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は6,238百万円(前年同期比27.1%増)となりました。
これは主に、店舗資産等の減損損失が592百万円、固定資産除却損が121百万円あったことにより、経常利益7,015百万円から776百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,869百万円(前年同期比25.0%増)となりました。
これは主に、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額があったことによるもので、税金等調整前当期純利益6,238百万円から2,369百万円の減少となりました。
財政状態及びキャッシュフローの分析
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は36,628百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,129百万円増加いたしました。
これは主に、現金及び預金が2,947百万円、受取手形及び売掛金が978百万円、商品及び製品が454百万円増加したこと、また新規出店等に伴い建物及び構築物等の有形固定資産が168百万円、システム投資によりソフトウェアが464百万円、敷金及び保証金が288百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は14,258百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,466百万円増加いたしました。
これは主に、短期借入金が755百万円、未払金及び未払費用が667百万円、未払法人税等が538百万円、長期未払金が316百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は22,370百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,662百万円増加いたしました。
これは主に、配当金の支払により1,150百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円を計上したことによるものであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
セグメント別の業績の概況
(国内アイウエア事業)
国内アイウエア事業につきましては、3プライス制の価格戦略における高価格帯商品のバリエーションを拡充し、1本で簡単にメガネにもサングラスにもなるアイウエア「JINS Switch(ジンズ・スイッチ)」および12,000円の価格帯で発売している「Combi Slim Airframe」等が順調な売れ行きだったことにより、一式単価が上昇いたしました。また、売上総利益率は一式単価の上昇およびセールの抑制により改善いたしました。
店舗展開につきましては、国内直営店舗数は379店舗(出店32店舗、退店2店舗)となりました。
以上の結果、国内アイウエア事業の業績は、売上高48,155百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益7,242百万円(前年同期比16.1%増)となりました。
(海外アイウエア事業)
海外アイウエア事業につきましては、中国において、出店政策を見直した結果、足元では既存店売上高の成長率は改善傾向にあります。
第1四半期連結会計期間より連結の範囲に追加いたしました台湾においては、2015年11月の台湾1号店の出店から順調に伸長しております。
香港においては、2018年9月に九龍区に出店した1号店を皮切りに4店舗を出店し好評をもって受け入れられておりますが、政情不安等の影響もあり、出店による先行費用を補うには至りませんでした。
米国においては、引き続き既存店売上高の高成長が継続していることから出店を再開し、2018年8月にカリフォルニア州トーランス市に新店を出店しました。
店舗展開につきましては、中国直営店144店舗(出店20店舗、退店6店舗)、台湾直営店28店舗(出店7店舗、退店なし)、香港直営店4店舗(出店4店舗、退店なし)、米国直営店5店舗(出店1店舗、退店なし)の合計181店舗となりました。
以上の結果、海外アイウエア事業の業績は、売上高11,095百万円(前年同期比53.8%増)、営業利益360百万円(前年同期比409.0%増)となりました。
(雑貨事業)
雑貨事業を取り巻く環境は、通販サイトおよび中古市場の台頭等により厳しさを増しておりますが、市況の変化に対応できるよう店舗オペレーションおよび商品戦略の見直しを行っており、業績は回復基調にあります。
店舗展開につきましては、メンズ雑貨専門ショップ20店舗(出店なし、退店1店舗)、レディス雑貨専門ショップ18店舗(出店なし、退店1店舗)となりました。
以上の結果、雑貨事業の業績は、売上高2,642百万円(前年同期比2.0%増)、営業損失144百万円(前年同期は営業損失235百万円)となりました。

資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものです。
また、当社グループの運転資金及び出店資金については自己資本を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達について銀行借入及びリース契約を使用する場合があります。
当連結会計年度においては、取引銀行5行と極度額8億円及び120百万元の当座貸越契約、取引銀行4行と総額8,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な投資資金の調達の実現を図っております。
なお、当連結会計年度末における上記契約を含む金融機関からの資金調達額は3,296百万円、リース債務残高は1,505百万円であります。
経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、アイウエア事業に参入以降、眼鏡を必要とされるすべての方に高品質・高機能メガネを市場最低・最適価格で提供してまいりました。また「JINS SCREEN」、「JINS 花粉CUT」を始めとした機能性アイウエアを開発し、新しい市場を創出してまいりました。
しかしながら、JINSが率先して世に提案してきたサービスやイノベーティブな商品のコモディティー化が進んできております。当社グループがさらにお客様の期待に応えるために、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器の共同研究をはじめとした新しい価値をもたらすプロダクトの開発、デジタル技術を用いたこれまでにないメガネの新しい買い方を提案する次世代型店舗などのこれまでにないエクスペリエンスの提供、「JINSオリジナルアプリ」を使用したお客様の視力数値・購買情報を基にしたパーソナルデータベースの強化を推し進め、年間600万人を超える顧客基盤を持つ当社グループでしかできない変革に挑戦してまいります。