有価証券報告書-第33期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)
(1) 経営成績等の状況の概況
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年9月1日~2020年8月31日)における国内経済は、上半期は相次ぐ自然災害の影響及び消費税率引き上げによる消費マインド低下の懸念の中、個人消費は持ち直しつつありました。しかしながら、下半期は2020年2月下旬に新型コロナウイルスに関する政府の緊急対応策が発表されて以降、景気への悪影響が出始め、2020年4月上旬の政府による緊急事態宣言発表から5月下旬に宣言が解除されるまでの期間は社会経済活動が大幅に抑制され、景気は急速に悪化いたしました。一方、世界経済に目を向けると、2020年初頭より中国において影響が顕在化し始めた新型コロナウイルスの感染拡大が世界各国に波及し、中国のみならず欧米、新興国においても景気は急速に悪化し、今なお世界各国で厳しい状況が継続しております。
また、国内眼鏡小売市場(視力矯正眼鏡)は、2016年3月以降、前年同期比マイナスの傾向が継続しており、足元では新型コロナウイルスの影響を大きく受けております。
このような市場環境の中で、当社グループのアイウエア事業では、経営課題として掲げている商品ラインアップの多様化及び接客力、店舗オペレーション力の向上などの取り組みを進めてまいりました。また国内アイウエア事業においてさらなる成長を実現していくために、イノベーティブなプロダクトの開発や店舗オペレーションの効率化に注力しました。商品開発につきましては、「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器開発の共同プロジェクトを進めており、当連結会計年度の研究開発費の総額は332百万円となりました。店舗戦略につきましては、引き続きショッピングモールや郊外ロードサイドへの出店を加速しつつ、新たな顧客体験を提案する次世代型店舗をオープンするなど、お客様がよりお求めやすい店舗の開発を進め、店舗基盤の強化に努めてまいりました。
しかしながら、2020年4月上旬に政府から発表された緊急事態宣言を受け、国内アイウエア事業では最大360店舗の営業を自粛することとなり業績に大きな影響が出ておりましたが、緊急事態宣言解除後には一部店舗で時短営業があったものの速やかに全店開業いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響により、お客様の生活様式が大きく変革し、デジタルトランスフォーメーションが加速しており、ネットショップやデリバリービジネスなど対面を伴わない商取引やオンライン会議をはじめとしたネット環境を活用したリモートワークが拡大しております。当社グループでは、このような新しい生活様式による行動の変化に柔軟に対応していくことが大きなビジネスチャンスと捉えており、よりお客様に利便性の高い購買体験を提供できるECサイト、携帯アプリの刷新を進め、売上高に占めるEC比率の上昇を目指すとともに、デスクワークを中心とした従業員にはリモートワークを推進し、業務の効率化や生産性の向上に努めております。
店舗展開につきましては、当連結会計年度末におけるアイウエア専門ショップの店舗数は、国内直営店415店舗、海外直営店203店舗(中国162店舗、台湾30店舗、香港6店舗、米国5店舗)の合計618店舗となりました。
なお、当社は2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額200億円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。また、本新株予約権付社債の発行に伴う当社株式需給への短期的な影響を緩和し資金調達を円滑に実行するため、約50億円の自己株式を取得いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
(イ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高60,258百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益5,617百万円(前年同期比24.7%減)、経常利益5,827百万円(前年同期比16.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,687百万円(前年同期比56.4%減)となりました。
なおセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
国内アイウエア事業の業績につきましては、売上高47,324百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益5,942百万円(前年同期比17.9%減)となりました。
海外アイウエア事業の業績は、売上高10,856百万円(前年同期比2.2%減)、営業損失9百万円(前年同期は営業利益360百万円)となりました。
雑貨事業の業績は、売上高2,078百万円(前年同期比21.4%減)、営業損失316百万円(前年同期は営業損失144百万円)となりました。
(ロ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は53,392百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,763百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は35,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,371百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は17,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,607百万円減少いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は24,667百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,188百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ872百万円収入が増加し、7,749百万円の収入となりました。
これは主に、法人税等の支払額1,784百万円による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益3,681百万円、減価償却費2,762百万円の計上による資金の増加があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ1,041百万円支出が増加し、3,878百万円の支出となりました。
これは主に、店舗の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出2,267百万円、投資有価証券取得による支出526百万円、事業譲受による支出391百万円によるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ14,162百万円収入が増加し、12,438百万円の収入となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出5,005百万円、配当金の支払額1,197百万円による資金の減少があったものの、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入20,151百万円による資金の増加があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は卸・小売業であり、生産活動を行っておりませんので、生産実績、受注実績は該当事項がありません。
販売実績につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りにより作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づいた見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
これらの連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は60,258百万円(前年同期比2.6%減)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、「ドラえもん」をJINSならではの視点でデザインした「JINS ドラえもんモデル」や多くの女性から絶大な人気を誇るヘアメイクアップアーティストのイガリシノブとコラボレートした「JINS×イガリシノブ」などのコラボレート商品が好評だった他、フレームのフロントとテンプルを繋ぐヒンジ(丁番)をなくすことでこれまでにないフィット感とかけ心地を実現した「Airframe Hingeless」が好調に推移いたしました。また、12,000円の価格帯で発売している「Combi Slim Airframe」が期を通じて順調な売れ行きだったこと等により、一式単価が上昇いたしました。しかしながら、2020年4月上旬に政府から発表された緊急事態宣言を受け、最大360店舗の営業を自粛することとなり、客数に大きな影響がありました。緊急事態宣言解除後は、メガネが生活必需品ということもあり、店舗においては比較的速やかに客数は回復し、またブルーライトカットレンズの追加料金無料キャンペーンなどによりオンラインショップでの売上が大きく伸長しました。
また、店舗につきましては、ショッピングモールや郊外ロードサイドへの出店を加速しつつ、新たな顧客体験を提案する次世代型店舗をオープンするなど、お客様がよりお求めやすい店舗の開発を進め、前期から36店舗純増し国内直営店は415店舗となりました。
以上の結果、国内アイウエア事業の売上高は前期同期比1.7%減少しました。
海外アイウエア事業につきましては、中国においては、新型コロナウイルスの影響により2020年1月下旬に武漢市で都市封鎖が行われたことを皮切りに、春節以降も長期間に亘り全国的に移動制限がかかるなど社会経済活動が大幅に抑制され、最大で85店舗の休業を余儀なくされました。
台湾においては、上半期は国内景気の回復を背景に既存店売上高は順調に伸長しておりました。新型コロナウイルスの影響も政府の対策が功を奏しており、一時的にやや消費に落ち込みが見受けられたものの、足元では回復傾向が持続しております。
香港においては、政情不安によるデモ騒動の影響により閉店を余儀なくされた店舗があり、また新型コロナウイルスの影響による消費の落ち込みも相まって、客数に少なからず影響が出ております。
米国においては、引き続き既存店売上高の高成長が継続しておりましたが、新型コロナウイルスの影響により2020年3月中旬より州政府による都市封鎖がなされ、2ヵ月間に亘り全店舗で休業することとなりました。店舗が休業する中、オンラインでの販売に注力し、EC販売は大幅に伸長しております。
以上の結果、海外アイウエア事業の売上高は前年同期比2.2%減少しました。
雑貨事業につきましては、近年は通販サイト及び中古市場の台頭により競争環境が激しくなり、さらに2020年2月下旬の新型コロナウイルスに関する政府の緊急対応策が発表されて以降、より一層厳しい事業環境が続いていたことを踏まえ、2020年8月31日をもって事業撤退いたしました。
これにより雑貨事業の売上高は前年同期比21.4%減少しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は5,617百万円(前年同期比24.7%減)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、高価格帯商品が好調だったこと等による一式単価の上昇により売上高総利益率が改善しました。販売管理費については、新型コロナウイルスの影響により休業した店舗の人件費、賃借料、減価償却費等の費用を特別損失に振替えたものの、売上高の減少に伴い研究開発費等の固定費の比率が高まり、売上高対販売管理費率が上がったこと等により減益となりました。
海外アイウエア事業につきましては、新型コロナウイルスによる影響が大きく、中国、米国を中心に販売管理費の削減を進めたものの、売上高の減少を補うことができず減益となりました。
雑貨事業につきましても、新型コロナウイルスによる影響のため減益となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は5,827百万円(前年同期比16.9%減)となりました。
これは主に、営業外収益として還付消費税等が627百万円あったこと、及び営業外費用として不動産賃貸費用が313百万円、支払利息が178百万円あったこと等により、営業利益5,617百万円から210百万円の増加となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は3,681百万円(前年同期比41.0%減)となりました。
これは主に、特別利益として新型コロナウイルスの影響に伴う店舗臨時休業時における従業員人件費に対する助成金収入が527百万円あったこと、及び特別損失として新型コロナウイルスの影響に伴う店舗臨時休業による損失が1,213百万円、雑貨事業の事業撤退損失が662百万円、店舗資産等の減損損失が541百万円あったこと等により、経常利益5,827百万円から2,146百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,687百万円(前年同期比56.4%減)となりました。
これは主に、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額があったことによるもので、税金等調整前当期純利益3,681百万円から1,993百万円の減少となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの分析
(資産)
流動資産は、35,104百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,370百万円増加いたしました。
これは主に、商品及び製品が866百万円減少したものの、転換社債型新株予約権付社債の発行等に伴い現金及び預金が16,188百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、18,288百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,419百万円増加いたしました。
これは主に、新規出店等に伴い建物及び構築物等の有形固定資産が274百万円、敷金及び保証金が161百万円、のれんが142百万円増加したことによるものであります。
以上により、総資産は53,392百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,763百万円増加いたしました。
(負債)
流動負債は、12,838百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,169百万円増加いたしました。
これは主に、未払金及び未払費用が541百万円、未払法人税等が335百万円、未払消費税等が507百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、22,791百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,201百万円増加いたしました。
これは主に、転換社債型新株予約権付社債が20,211百万円増加したことによるものであります。
以上により、負債合計は35,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,371百万円増加いたしました。
(純資産)
純資産合計は、17,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,607百万円減少いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,687百万円を計上したものの、配当金の支払いにより1,198百万円、自己株式の取得等により5,000百万円減少したことによるものであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものです。
また、当社グループの運転資金及び出店資金については自己資本を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達について銀行借入及びリース契約を使用する場合があります。
当連結会計年度においては、取引銀行5行と極度額25,800百万円、120百万中国元、15百万香港ドル及び13百万円台湾ドルの当座貸越契約、取引銀行4行と総額8,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な投資資金の調達の実現を図っております。
加えて、2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額20,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。
なお、当連結会計年度末における上記契約を含む金融機関からの資金調達額は3,112百万円、リース債務残高は1,195百万円であります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年9月1日~2020年8月31日)における国内経済は、上半期は相次ぐ自然災害の影響及び消費税率引き上げによる消費マインド低下の懸念の中、個人消費は持ち直しつつありました。しかしながら、下半期は2020年2月下旬に新型コロナウイルスに関する政府の緊急対応策が発表されて以降、景気への悪影響が出始め、2020年4月上旬の政府による緊急事態宣言発表から5月下旬に宣言が解除されるまでの期間は社会経済活動が大幅に抑制され、景気は急速に悪化いたしました。一方、世界経済に目を向けると、2020年初頭より中国において影響が顕在化し始めた新型コロナウイルスの感染拡大が世界各国に波及し、中国のみならず欧米、新興国においても景気は急速に悪化し、今なお世界各国で厳しい状況が継続しております。
また、国内眼鏡小売市場(視力矯正眼鏡)は、2016年3月以降、前年同期比マイナスの傾向が継続しており、足元では新型コロナウイルスの影響を大きく受けております。
このような市場環境の中で、当社グループのアイウエア事業では、経営課題として掲げている商品ラインアップの多様化及び接客力、店舗オペレーション力の向上などの取り組みを進めてまいりました。また国内アイウエア事業においてさらなる成長を実現していくために、イノベーティブなプロダクトの開発や店舗オペレーションの効率化に注力しました。商品開発につきましては、「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器開発の共同プロジェクトを進めており、当連結会計年度の研究開発費の総額は332百万円となりました。店舗戦略につきましては、引き続きショッピングモールや郊外ロードサイドへの出店を加速しつつ、新たな顧客体験を提案する次世代型店舗をオープンするなど、お客様がよりお求めやすい店舗の開発を進め、店舗基盤の強化に努めてまいりました。
しかしながら、2020年4月上旬に政府から発表された緊急事態宣言を受け、国内アイウエア事業では最大360店舗の営業を自粛することとなり業績に大きな影響が出ておりましたが、緊急事態宣言解除後には一部店舗で時短営業があったものの速やかに全店開業いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響により、お客様の生活様式が大きく変革し、デジタルトランスフォーメーションが加速しており、ネットショップやデリバリービジネスなど対面を伴わない商取引やオンライン会議をはじめとしたネット環境を活用したリモートワークが拡大しております。当社グループでは、このような新しい生活様式による行動の変化に柔軟に対応していくことが大きなビジネスチャンスと捉えており、よりお客様に利便性の高い購買体験を提供できるECサイト、携帯アプリの刷新を進め、売上高に占めるEC比率の上昇を目指すとともに、デスクワークを中心とした従業員にはリモートワークを推進し、業務の効率化や生産性の向上に努めております。
店舗展開につきましては、当連結会計年度末におけるアイウエア専門ショップの店舗数は、国内直営店415店舗、海外直営店203店舗(中国162店舗、台湾30店舗、香港6店舗、米国5店舗)の合計618店舗となりました。
なお、当社は2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額200億円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。また、本新株予約権付社債の発行に伴う当社株式需給への短期的な影響を緩和し資金調達を円滑に実行するため、約50億円の自己株式を取得いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
(イ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高60,258百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益5,617百万円(前年同期比24.7%減)、経常利益5,827百万円(前年同期比16.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,687百万円(前年同期比56.4%減)となりました。
なおセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
国内アイウエア事業の業績につきましては、売上高47,324百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益5,942百万円(前年同期比17.9%減)となりました。
海外アイウエア事業の業績は、売上高10,856百万円(前年同期比2.2%減)、営業損失9百万円(前年同期は営業利益360百万円)となりました。
雑貨事業の業績は、売上高2,078百万円(前年同期比21.4%減)、営業損失316百万円(前年同期は営業損失144百万円)となりました。
(ロ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は53,392百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,763百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は35,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,371百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は17,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,607百万円減少いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は24,667百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,188百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ872百万円収入が増加し、7,749百万円の収入となりました。
これは主に、法人税等の支払額1,784百万円による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益3,681百万円、減価償却費2,762百万円の計上による資金の増加があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ1,041百万円支出が増加し、3,878百万円の支出となりました。
これは主に、店舗の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出2,267百万円、投資有価証券取得による支出526百万円、事業譲受による支出391百万円によるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ14,162百万円収入が増加し、12,438百万円の収入となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出5,005百万円、配当金の支払額1,197百万円による資金の減少があったものの、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入20,151百万円による資金の増加があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は卸・小売業であり、生産活動を行っておりませんので、生産実績、受注実績は該当事項がありません。
販売実績につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りにより作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づいた見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
これらの連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は60,258百万円(前年同期比2.6%減)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、「ドラえもん」をJINSならではの視点でデザインした「JINS ドラえもんモデル」や多くの女性から絶大な人気を誇るヘアメイクアップアーティストのイガリシノブとコラボレートした「JINS×イガリシノブ」などのコラボレート商品が好評だった他、フレームのフロントとテンプルを繋ぐヒンジ(丁番)をなくすことでこれまでにないフィット感とかけ心地を実現した「Airframe Hingeless」が好調に推移いたしました。また、12,000円の価格帯で発売している「Combi Slim Airframe」が期を通じて順調な売れ行きだったこと等により、一式単価が上昇いたしました。しかしながら、2020年4月上旬に政府から発表された緊急事態宣言を受け、最大360店舗の営業を自粛することとなり、客数に大きな影響がありました。緊急事態宣言解除後は、メガネが生活必需品ということもあり、店舗においては比較的速やかに客数は回復し、またブルーライトカットレンズの追加料金無料キャンペーンなどによりオンラインショップでの売上が大きく伸長しました。
また、店舗につきましては、ショッピングモールや郊外ロードサイドへの出店を加速しつつ、新たな顧客体験を提案する次世代型店舗をオープンするなど、お客様がよりお求めやすい店舗の開発を進め、前期から36店舗純増し国内直営店は415店舗となりました。
以上の結果、国内アイウエア事業の売上高は前期同期比1.7%減少しました。
海外アイウエア事業につきましては、中国においては、新型コロナウイルスの影響により2020年1月下旬に武漢市で都市封鎖が行われたことを皮切りに、春節以降も長期間に亘り全国的に移動制限がかかるなど社会経済活動が大幅に抑制され、最大で85店舗の休業を余儀なくされました。
台湾においては、上半期は国内景気の回復を背景に既存店売上高は順調に伸長しておりました。新型コロナウイルスの影響も政府の対策が功を奏しており、一時的にやや消費に落ち込みが見受けられたものの、足元では回復傾向が持続しております。
香港においては、政情不安によるデモ騒動の影響により閉店を余儀なくされた店舗があり、また新型コロナウイルスの影響による消費の落ち込みも相まって、客数に少なからず影響が出ております。
米国においては、引き続き既存店売上高の高成長が継続しておりましたが、新型コロナウイルスの影響により2020年3月中旬より州政府による都市封鎖がなされ、2ヵ月間に亘り全店舗で休業することとなりました。店舗が休業する中、オンラインでの販売に注力し、EC販売は大幅に伸長しております。
以上の結果、海外アイウエア事業の売上高は前年同期比2.2%減少しました。
雑貨事業につきましては、近年は通販サイト及び中古市場の台頭により競争環境が激しくなり、さらに2020年2月下旬の新型コロナウイルスに関する政府の緊急対応策が発表されて以降、より一層厳しい事業環境が続いていたことを踏まえ、2020年8月31日をもって事業撤退いたしました。
これにより雑貨事業の売上高は前年同期比21.4%減少しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は5,617百万円(前年同期比24.7%減)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、高価格帯商品が好調だったこと等による一式単価の上昇により売上高総利益率が改善しました。販売管理費については、新型コロナウイルスの影響により休業した店舗の人件費、賃借料、減価償却費等の費用を特別損失に振替えたものの、売上高の減少に伴い研究開発費等の固定費の比率が高まり、売上高対販売管理費率が上がったこと等により減益となりました。
海外アイウエア事業につきましては、新型コロナウイルスによる影響が大きく、中国、米国を中心に販売管理費の削減を進めたものの、売上高の減少を補うことができず減益となりました。
雑貨事業につきましても、新型コロナウイルスによる影響のため減益となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は5,827百万円(前年同期比16.9%減)となりました。
これは主に、営業外収益として還付消費税等が627百万円あったこと、及び営業外費用として不動産賃貸費用が313百万円、支払利息が178百万円あったこと等により、営業利益5,617百万円から210百万円の増加となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は3,681百万円(前年同期比41.0%減)となりました。
これは主に、特別利益として新型コロナウイルスの影響に伴う店舗臨時休業時における従業員人件費に対する助成金収入が527百万円あったこと、及び特別損失として新型コロナウイルスの影響に伴う店舗臨時休業による損失が1,213百万円、雑貨事業の事業撤退損失が662百万円、店舗資産等の減損損失が541百万円あったこと等により、経常利益5,827百万円から2,146百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,687百万円(前年同期比56.4%減)となりました。
これは主に、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額があったことによるもので、税金等調整前当期純利益3,681百万円から1,993百万円の減少となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの分析
(資産)
流動資産は、35,104百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,370百万円増加いたしました。
これは主に、商品及び製品が866百万円減少したものの、転換社債型新株予約権付社債の発行等に伴い現金及び預金が16,188百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、18,288百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,419百万円増加いたしました。
これは主に、新規出店等に伴い建物及び構築物等の有形固定資産が274百万円、敷金及び保証金が161百万円、のれんが142百万円増加したことによるものであります。
以上により、総資産は53,392百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,763百万円増加いたしました。
(負債)
流動負債は、12,838百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,169百万円増加いたしました。
これは主に、未払金及び未払費用が541百万円、未払法人税等が335百万円、未払消費税等が507百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、22,791百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,201百万円増加いたしました。
これは主に、転換社債型新株予約権付社債が20,211百万円増加したことによるものであります。
以上により、負債合計は35,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,371百万円増加いたしました。
(純資産)
純資産合計は、17,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,607百万円減少いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,687百万円を計上したものの、配当金の支払いにより1,198百万円、自己株式の取得等により5,000百万円減少したことによるものであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものです。
また、当社グループの運転資金及び出店資金については自己資本を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達について銀行借入及びリース契約を使用する場合があります。
当連結会計年度においては、取引銀行5行と極度額25,800百万円、120百万中国元、15百万香港ドル及び13百万円台湾ドルの当座貸越契約、取引銀行4行と総額8,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な投資資金の調達の実現を図っております。
加えて、2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額20,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。
なお、当連結会計年度末における上記契約を含む金融機関からの資金調達額は3,112百万円、リース債務残高は1,195百万円であります。