訂正有価証券報告書-第37期(2023/09/01-2024/08/31)

【提出】
2025/01/10 16:00
【資料】
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【項目】
157項目
(1) 経営成績等の状況の概況
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年9月1日~2024年8月31日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限緩和に伴う社会経済活動の正常化により、個人消費やインバウンド需要は回復傾向にあり、世界的な政治情勢の変動による資源価格の高騰による物価上昇や、為替、金利を始めとした金融資本市場の変動等の経済への影響には十分注意が必要ではあるものの、景気の緩やかな回復がみられました。世界経済においては、前述の通り、物価上昇や金融資本市場の変動等による景気への影響が継続する中、特に中国では不動産市場の低迷や若年層の失業率上昇等による成長率の鈍化が見受けられ、更なる景気の下振れリスクの高まりが懸念されております。
国内眼鏡小売市場(視力矯正眼鏡)は、新型コロナウイルス感染症の影響が収束し、発生以前の水準へ回復の傾向が見受けられました。
このような市場環境の中で、当社グループのアイウエア事業では、経営課題として掲げているイノベーティブなプロダクト開発の強化及び店舗展開の推進などの取り組みを進めておりました。商品開発につきましては、お客様の利用シーンに応じた商品の開発に取り組み、自宅での使用を提案した「JINS HOME」等の新たな商品価値を提供するとともに、引き続き「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器開発の共同プロジェクトを進めておりました。店舗戦略につきましては、市場環境に応じてお客様の利便性の高い立地への出店を推進しており、国内においては、郊外ロードサイドや小型のショッピングモールなどを中心に出店を進めました。また、海外においては、新たな購買体験ができる店舗の検討等に取り組んでおりました。
店舗展開につきましては、当連結会計年度末におけるアイウエアショップの店舗数は、国内495店舗、海外241店舗(中国167店舗、台湾61店舗、香港9店舗、米国4店舗)の合計736店舗となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
(イ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高82,999百万円(前年同期比13.3%増)、営業利益7,836百万円(前年同期比61.7%増)、経常利益7,735百万円(前年同期比106.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,671百万円(前年同期比165.1%増)となりました。
なおセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
国内アイウエア事業の業績につきましては、売上高64,293百万円(前年同期比14.5%増)、営業利益7,791百万円(前年同期比74.5%増)となりました。
海外アイウエア事業の業績は、売上高18,705百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益44百万円(前年同期比88.4%減)となりました。
(ロ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は54,045百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,182百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は28,451百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,367百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は25,593百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,814百万円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は18,673百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,470百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ4,934百万円収入が増加し、10,989百万円の収入となりました。
これは主に、法人税等の支払額1,260百万円による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益7,202百万円、減価償却費2,926百万円の計上による資金の増加があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ1,463百万円支出が減少し、2,385百万円の支出となりました。
これは主に、店舗の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出1,886百万円、無形固定資産の取得による支出739百万円によるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ9,167百万円支出が減少し、2,335百万円の支出となりました。
これは主に、配当金の支払額1,056百万円、割賦債務の返済による支出746百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは一部において受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。 販売実績につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りにより作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づいた見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
これらの連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は82,999百万円(前年同期比13.3%増)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、前期に引き続き店頭でのお客様一人ひとりへの接客を強化し、世界最高水準屈折率の両面非球面レンズ「JINS極薄レンズ」をはじめとしたオプションレンズの装着率が上昇したほか、自宅での使用を提案した、快適でストレスフリーなかけ心地と日常を自分らしく楽しめるデザイン性を兼ね備えた“おうち時間に着替えるメガネ”「JINS HOME」等が好評を博したことや、夏季にかけて、紫外線や光によって色が変わる可視光調光レンズ等のオプションレンズやサングラスといった季節性商品への需要が増え、単価の上昇を牽引しました。また、JINSアプリの会員数は2024年8月末現在で約1,521万人となりました。
店舗展開につきましては、国内店舗数は495店舗(出店25店舗、退店3店舗)となりました。
以上の結果、国内アイウエア事業の売上高は前年同期比14.5%増加しました。
海外アイウエア事業につきましては、中国においては、新型コロナウイルス感染症の影響は収束したものの、 不動産市場の低迷や若年層の失業率上昇等による消費の低迷が続いており、当社の業績への影響がありました。
台湾においては、引き続きオプションとして取り揃えている日本製レンズが好評を博していること等により業績は順調に推移しました。
香港においては、出店により売上高は増加しているものの、為替の影響による中国や日本へのアウトバウンド増加等があり、業績は想定よりも下回りました。
米国においては、事業構造改革を進め、既存店の売上高も好調に推移しました。
以上の結果、海外アイウエア事業の売上高は前年同期比9.3%増加しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は7,836百万円(前年同期比61.7%増)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、売上総利益については、円安による仕入れ価格の上昇の影響はあったものの、商品ミックスの改善等もあり、売上総利益率は上昇しました。販売管理費については、人件費は出店数の増加や時給改定等により増加しましたが、売上が増加した影響もあり、売上高販管費率は改善しました。
海外アイウエア事業につきましては、主に中国において前述の通り、消費の低迷が続いたことで、当社の業績への影響がありました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は7,735百万円(前年同期比106.9%増)となりました。
これは主に、営業利益が増益となったことによるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は7,202百万円(前年同期比149.7%増)となりました。
これは主に、経常利益が増益となったことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,671百万円(前年同期比165.1%増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が増益になったことによるものです。
財政状態及びキャッシュ・フローの分析
(資産)
流動資産は、32,254百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,496百万円増加いたしました。
これは主に、現金及び預金が6,470百万円、売掛金が1,512百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、21,791百万円となり、前連結会計年度末に比べ685百万円増加いたしました。
これは主に、新規出店等に伴い建物及び構築物等の有形固定資産が11百万円、敷金及び保証金が291百万円増加したことによるものであります。
以上により、総資産は、54,045百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,182百万円増加いたしました。
(負債)
流動負債は、25,663百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,393百万円増加いたしました。
これは主に、償還期限が1年以内となった転換社債型新株予約権付社債を固定負債より10,005百万円振り替えたこと、及び未払金及び未払費用が1,224百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、2,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,025百万円減少いたしました。
これは主に、償還期限が1年以内となった転換社債型新株予約権付社債を流動負債に10,005百万円振り替えたことによるものであります。
以上により、負債合計は28,451百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,367百万円増加いたしました。
(純資産)
純資産合計は、25,593百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,814百万円増加いたしました。
これは主に、配当金の支払いにより1,056百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益4,671百万円を計上したことによるものであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものです。
また、当社グループの運転資金及び出店資金については自己資本を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達について銀行借入及びリース契約を使用する場合があります。
当連結会計年度においては、取引銀行5行と極度額10,800百万円、120百万元、15百万香港ドル及び13百万台湾ドルの当座貸越契約、取引銀行4行と総額8,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な投資資金の調達の実現を図っております。
加えて、2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額20,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。
なお、当連結会計年度末における短期借入金は1,909百万円、長期借入金は45百万円、リース債務は415百万円であります。